
所得税の改正によって、2020年分の所得税から会社員の給与所得控除の上限が引き下げられました。年収が850万円超のサラリーマン世帯(22歳以下の子どもがいる世帯や介護が必要となる世帯を除く)が大きな打撃を受けることになります。一方的に繰り返される増税は私たちの生活にますます重くのしかかってきています。これらの増税にどう対策を講じるのか。その一つの答えがマンション経営です。
目次
1.なぜ高所得者の節税にマンション経営が役立つのか

日本の所得税は累進課税になっており、所得が増えるほど税率の区分が上がる仕組みになっています。すなわち、所得が高くなるほど税金を多く払わなければならなくなります。
税率を少しでも低くするには、課税所得を減らす工夫が必要です。その有力な方法の一つがマンション経営です。なぜ高所得者にマンション経営が有利なでしょう。
実は高所得者に対する控除が縮小されているという事情があります。「配偶者控除」は所得が1,000万円を超えると適用されず、「基礎控除」は所得が2,500万円を超えると適用されません。
また、給与所得控除も控除上限と適用所得が段階的に引き下げられています。
高所得者にとって所得圧縮の手段がほとんどないのが現状です。そこで、後述するいろいろな節税方法を使用するにはマンション経営が必要になるのです。
1-1.所得が高いと税金も高くなる
【所得の速算表】
課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
1,000円〜194万9,000円まで | 5% | 0円 |
195万円〜329万9,000円まで | 10% | 9万7,500円 |
330万円〜694万9,000円まで | 20% | 42万7,500円 |
695万円〜899万9,000円まで | 23% | 63万6,000円 |
900万円〜1,799万9,000円まで | 33% | 153万6,000円 |
1,800万円〜3,999万9,000円まで | 40% | 279万6,000円 |
4,000万円以上 | 45% | 479万6,000円 |
(出典:国税庁 所得税の税率)
はじめに、所得税の税率区分と所得税額をシミュレーションしてみましょう。
たとえば課税所得100万円の場合、税率区分は5%ですので、100万円×0.05=5万円が所得税額となります。
課税所得が300万円とすると区分税率は10%に上がるため、300万円×0.1-9万,7500円=20万2,500円と負担感が大きく増します。
もし一律5%であれば15万円の税額で済んでいることを考えると、累進課税による負担の大きさを実感できるのではないでしょうか。
ただし、300万円になったからといって全額10%の税率が課されるわけではありません。
日本では「超過累進課税制度」をとっていますので、5%の税額区分で計算される195万円を超えた部分のみに10%の税率が課されます。
そのため、195万円×0.05=9万7,500円を控除して計算する仕組みになっているのです。
1-2.マンション経営による節税の仕組み
マンション経営には節税につながるさまざまな仕組みがあります。代表的なのが「損益通算」です。損益通算とは、赤字の所得を黒字の所得から差し引くことで相殺することをいいます。
たとえば、1,200万円の高額所得者は何もしなければ速算表の税率区分は33%です。しかし、マンション経営をして400万円の赤字があれば所得は800万円となり、税率区分は23%に下がります。
800万円 × 0.23 - 63万6,000円 = 120万4,000円
所得が半分に減ったわけではないのに、税金は約半分になります。もちろん毎年赤字では経営が成り立ちませんが、初年度は初期投資や購入諸経費が多くかかるため、赤字になるのが普通です。
初年度はとくに損益通算で節税できる可能性が高いといえます。2年目以降は初期費用がなくなり、黒字化して軌道に乗っていくのが一般的です。
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2.節税効果を得る方法

税金には所得税や固定資産税のように毎年課税される税金と、相続税や贈与税のように財産を受け継ぐときだけ支払う税金があります。
税金ごとに節税の方法がありますので、よく調べたうえでより節税効果の高い方法を選ぶようにしましょう。
2-1.所得税と住民税を節税
所得税と住民税は、毎年の所得に応じて課税されます。所得税は所得金額によって異なりますが、住民税は一律10%です。
所得税と住民税の節税には先に紹介した「損益通算」のほかに、「減価償却費」の計上があります。
減価償却とは、不動産などの固定資産を購入した場合、それを使用する期間にわたり、分割し費用を計上することをいいます。
マンションの購入費用は高額ですが、一度に経費計上するのではなく、建物の法定耐用年数で割った金額を毎年経費として計上することが可能です。
帳簿上は赤字となりますが、実際に現金が出ていくことはないため、その分の現金が手元に残って節税になります。
2-2.都市計画税を節税
都市計画税は、毎年1月1日時点で市街化区域内に土地・家屋を所有している人に課税される税金です。計算式は次のとおりです。
固定資産税評価額 × 都市計画税の制限税率
制限税率は市区町村によって税率が異なりますが、法律で上限が0.3%と決められています。都市計画税は、所有している土地に住宅を建てることで節税できます。
・200平方メートルまで
200平方メートルまでの土地は小規模住宅用地と呼び、固定資産税評価額が3分の1に軽減されます。
・200平方メートルを超え
200平方メートルを超え、家屋の床面積の10倍までの部分を一般住宅地と呼び、固定資産税評価額が3分の2に軽減されます。
2-3.固定資産税を節税
固定資産税は、毎年1月1日時点で固定資産(土地、家屋、償却資産)を所有している人全員に課税される税金です。計算式は次のとおりです。
課税標準額(固定資産税評価額 - 軽減率)× 1.4%
固定資産税には都市計画税に比べて、多くの軽減措置が用意されています。主な軽減措置は以下のとおりです。
・住宅用地の軽減措置
小規模住宅用地(200平方メートル以下)は固定資産税が課税標準額の6分の1に軽減されます。また、一般住宅地(200平方メートル超)は課税標準額の3分の1に軽減されます。
・併用住宅の特例
マンションのなかには、テナント(店舗)と居住用を併用している「併用住宅」があります。併用住宅の場合も該当する部分は下表のように住宅用地の適用割合が決められています。
対象の住宅 | 居住部分の割合 | 住宅用地の率 |
---|---|---|
専用住宅 | すべて | 1 |
地上5階以上・耐火建築物の併用住宅 | 4分の1以上2分の1未満 | 0.5 |
2分の1以上4分の3未満 | 0.75 | |
4分の3以上 | 1 | |
上記以外の併用住宅 | 4分の1以上2分の1未満 | 0.5 |
2分の1以上 | 1 |
(出典:生和コーポレーション 併用住宅とは? 定義や固定資産税の影響について解説)
たとえば、「地上5階以上・耐火建築物の併用住宅」では居住部分の割合が4分の3以上なら100%の土地に特例が適用され、居住部分が4分の1以上2分の1未満の場合は50%の土地に特例が適用されます。
・新築住宅の軽減措置
居宅、併用住宅、集合住宅を新築した場合、床面積等の要件を満たすと新築住宅の軽減措置が受けられます。
軽減措置は120平方メートルに相当する税額について、固定資産税が2分の1に軽減されます。
軽減措置の期間は2階建てまでの建物が3年間、3階建て以上で耐火・準耐火建築物(マンション等)が5年間となっています。
・長期優良住宅の減額措置
一定の床面積の要件を満たす場合、120平方メートルに相当する税額について、固定資産税が2分の1に減額されます。
減額措置の期間は一般住宅が新築後5年間、3階建て以上で耐火・準耐火建築物(マンション等)が新築後7年間となっています。
減額の適用を受けるには下記2つの条件を満たす必要があります。
2. 同法の規定に基づき、耐久性・安全性などの住宅性能が一定基準を満たすものとして所管行政庁の認定を受けて新築された住宅であること
2-4.相続税を節税
不動産は相続税対策にもなります。マンション購入のための借入金は相続財産から差し引くことができるので、相続税の財産評価の引き下げにつながります。
タワーマンションの購入が相続税対策として人気を集めていたのは、土地面積に対する戸数が多く、取得金額のほとんどが建物部分だったため、相続税の財産評価額を引き下げられるからです。
また、被相続人が貸付事業用にしていた宅地(アパートやマンションの敷地及び駐車場)は、200平方メートルまでが減額適用になります。
ひとつ考えなければいけないのは、相続物件がアパートで相続人が複数存在した場合、分割の問題が生じることです。特定の一人を相続人とした場合、相続人同士でトラブルが起こることが想定されます。
また、共有名義にすると売却するために全員の同意が必要となり、大変な手間がかかります。
その点、マンションの区分所有は相続がしやすく、相続人同士のトラブルの回避に役立つことでしょう。また、都心のマンションは流動性が高く、現金化しやすいので、納税の準備もスムーズです
2-5.贈与税を節税
贈与税は個人から財産を贈与されたときにかかる税金です。
1年間に受け取った財産の合計額から基礎控除110万円を差し引いた金額に対して課税されます。マンションを贈与された場合に節税する方法として「相続時精算課税」があります。
この制度を利用すると贈与された額の合計が2,500万円まで贈与税が非課税となります。2,500万円を超えた部分には一律20%課税されます。60歳以上の親や祖父母から、20歳以上の子や孫に贈与するときに利用できます。
ただし、相続時精算課税という名前のとおり、贈与された財産は相続が発生したときに改めて相続財産に加算されます。加算される金額は時価ではなく贈与されたときの金額です。
したがって、東京都心の好立地マンションなど将来値上がりが予想される物件を贈与しておけば、相続時に時価が高くなった場合に差額を節税できるというメリットがあります。
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3.マンション経営における必要経費

節税効果を得るには、不動産所得を少しでも圧縮することが大切です。不動産所得は、家賃や礼金、敷金、更新料などから、必要経費を差し引いて計算されます。
マンション経営では、どのような費用が必要経費として計上できるのでしょうか。主な必要経費として以下のものがあげられます。
2. 登記費用
3. 火災保険料
4. 修繕費
5. 修繕積立金
6. 減価償却費
7. 借入金利子
8. 交通費(ガソリン代・交通費)
この他にマンション経営のセミナーの参加費用や、そのために購入したテキスト代も計上できます。経費に計上できるものはすべて計上し、不動産所得を減らすようにしましょう。
4.サラリーマンはマンション経営で赤字になっても大丈夫

サラリーマンを続けながらマンション経営を行う「サラリーマン大家」が存在します。
マンション経営が副業に適しているという理由もありますが、先に紹介した「損益通算」で給与所得を圧縮できるのも大きな理由です。
サラリーマンであれば、給与所得と損益通算することで、マンション経営が赤字の場合に所得税や住民税を少なくすることができます。したがって、マンション経営で赤字になっても大丈夫なのです。
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5.節税対策向けのマンションなら「ブランドマンション」がおすすめ

マンション経営を行うことで、しっかりとした節税対策になることがわかりました。
ここまで見たように、マンション経営を始めた年は初期費用が多く赤字になるリスクがありますが、赤字になっても「損益通算」で所得税と住民税を節税できます。
また、「減価償却費」を計上して利益を圧縮できるだけでなく、その分が手元に残るのも大きなメリットです。
節税対策を目的としたマンション購入にはブランドマンションが最適です。ブランドマンションは、大手デベロッパーが自社の統一ブランド名を冠して販売する、高品質で投資に適したマンションです。
ブランドマンションは利便性の高い一等地に建築されていることが多いです。
デザインや設備にこだわった長期の需要が見込める物件が多く、空室リスクが少ない安定した経営が期待できます。資産価値が落ちにくいのも人気の理由です。
ブランドマンションを購入して節税効果を得るだけでなく、経営が軌道に乗れば同じブランドシリーズから2棟目のマンションを購入し、複数経営の夢が広がるのもブランドマンションならではの魅力です。
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新築マンション投資のメリットとは?ブランドマンションの特徴も解説
Q&A
Q.マンション経営ではどのような税金を節税することができますか?
A.以下の税金を節税することが可能です。
2.住民税
3.都市計画税
4.固定資産税
5.相続税
6.贈与税
Q.高い節税効果が狙えるマンションはありますか?
A.節税対策を目的としたマンション購入にはブランドマンションが最適です。
デザインや設備にこだわった長期の需要が見込める物件が多く、空室リスクが少ない安定した経営が期待できます。資産価値が落ちにくいのも人気の理由です。
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