不動産投資
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マンション経営をすると必ずかかるコストには、「退去時費用」があります。実際に発生したときに「まったく意識してなかった!」ということがないよう、「どのような項目があり、相場はどれくらいなのか」を把握しておきましょう。

退去時費用は「更新時期」や「環境変化」で起こりやすい

退去時費用は、入居者が入れ替わるときにかかるものです。この費用をオーナー側と入居者側の負担分にわけて双方で負担します。

「いつ入居者が退去するか(いつ退去時費用が発生するか)」のタイミングについては読みづらい一方、入居者の背景によってある程度推測することもできます。なぜなら退去は「更新時期」や「環境変化」で起こりやすいからです。

退去が「更新時期」に起こりやすい理由は、「更新料を払うのであれば、新しい賃貸物件に引っ越そう」と考える入居者がいるからです。

もう1つ退去のきっかけになる「環境変化」とは、進学・就職・異動・転職などのことです。たとえば入居者が大学生であれば、卒業のタイミングで退去になる可能性が高いと推測できます。また、異動の多い職種の公務員が入居者の場合、数年で退去する可能性が高いです。

入居者満足度が低いと退去が発生しやすくなる

入居者満足度も退去に大きな影響を与えます。「近隣の騒音がひどい」「共用部の管理状態が悪い」など入居者が安心・快適に暮らせない事情があると、退去が頻繁に起こりやすくなります。これによってオーナーが負担する退去費用も多くなります。

1年以内など短期間の更新が繰り返される場合は、「何か問題があるのではないか?」と疑いましょう。あまりにひどい場合は、管理会社と話し合ったり、賃貸物件の周辺や共用部を現地調査したりといった対策が必要かもしれません。

入居者が退去するときにオーナーが負担する費用とは?

退去時費用の具体的な項目には、「原状回復費」「仲介手数料」「広告料(AD)」などがあります。マンション経営をする際には、これらの費用をある程度想定した上で経営計画をシュミレーションするのが賢明です。

原状回復費

原状回復費は、部屋を入居前と同じ状態に戻すための費用です。原則、管理会社(自主管理の場合はオーナー)と入居者が部屋の状態を両者で確認した上で、賃貸借契約の内容に沿って費用配分や金額を決めます。具体的な項目としては、ハウスクリーニング、クロスの張り替え、住宅設備の交換などがあります。

原状回復費の基本的な考え方として、一般的な生活で汚れたり経年劣化が発生したりした場合の修繕費は、オーナー側の負担となります。一方、入居者が故意または不注意で破損・損傷させた箇所などについては入居者の負担となります。

仲介手数料

仲介手数料とは、オーナー(貸主)と入居者(借主)をマッチングする不動産会社(仲介会社)に支払う手数料のことです。宅地建物取引業法では、賃貸の仲介で受け取れる手数料を貸主と借主の両者からそれぞれ賃料の半月分(0.5ヵ月分)以内と定めています。

ただし、オーナーや入居者が事前に了承していれば、どちらか一方から家賃の1ヶ月分以内の仲介手数料を受け取ることも可能です。

広告料(AD)

広告料(AD)は、不動産投資の初心者が理解しづらい項目でしょう。広告料という名前のため、広告を出したときに払う対価のような印象がありますが、実際には入居者をマッチングしてくれた仲介会社などにオーナーが払う成功報酬のことです。

広告料(AD)の相場は、家賃の1ヵ月分程度といわれますが、オーナーが優先して客付けをして欲しい場合などに、広告料を2ヵ月分などに増やすよう仲介会社に申し入れこともあるようです。

いずれにしても広告料(AD)はあいまいな性格の費用のため、次のような内容をあらかじめ明確にしておく方がよいでしょう。

・空室発生時に広告料の設定があるのか
・ある場合は広告料をどんな業務の対価と定義しているのか
・入居者が決まった場合、どれくらい広告料を払えばよいのか

賃貸物件サイトなどへの出稿料(掲載料)

入居者を募集する際、有料の賃貸物件サイトなどに広告(物件情報)を掲載した場合は出稿料がかかります。管理会社が負担するケースも多いですが、提案があった場合は、選択するメディアの出稿料・出稿期間・条件などを確認しましょう。

その他

原状回復費とは別に、エアコンや給湯器などの住宅設備が老朽化・故障している場合は、入居者が退去するタイミングで交換するケースもあります。

併せて、賃貸借契約のときに「退去時のクリーニング費用は入居者が負担する」といった特約を定めていて、それを入居者が認めている場合、本来オーナーが負担する費用を入居者が負担するケースもあります。特約については後で「説明された、されていない」といったトラブルにならないよう丁寧な説明が必要でしょう。

マンション経営(ワンルーム)でかかる退去時費用の相場

退去時費用の具体的な金額は、読みづらい部分もあります。そのため、不動産会社の担当者に「いくらかかるの?」と質問をしても「ケースバイケースですね…」といったあいまいな反応になりがちです。

ただオーナーからすると、退去時費用がどれくらいかかるか把握できないのは不安だと思います。あくまでも一例として目安をご紹介したいと思います。なお、ワンルームマンションの場合の目安です。

ハウスクリニーング代

入居者の退去時に必ず発生する費用としては、ハウスクリーニング代があります。これは特約などがない限り、オーナー負担になります。

ハウスクリーニング代の相場はワンルームタイプであれば数万円程度〜と考えられます。ただし、エアコンのクリーニングをしたり、水回りの汚れがひどかったりする場合、追加費用が必要なケースもあります。

エアコンのクリーニングの相場は1台あたり1〜1万5,000円前後ですが、最近では自動お掃除機能付きのエアコンも増えています。こういったタイプだと2〜3万円前後が相場になるでしょう。

クロスの張り替え

クロスの張り替え費用を「誰が負担するか」については、入居者が喫煙者でヤニによって色が変色している場合などは入居者負担になります。また、通常の経年劣化による張り替えの場合はオーナー負担になります。

ただし 、国土交通省のガイドラインに基づくとクロスの耐用年数は6年と定められています。そのためタバコを吸った影響でクロスが変色してもいても、6年以上入居者が住み続けたのならクロスの張り替え費用はオーナー負担という考え方が一般的です。

張り替え費用の金額は、質感や色合いのよいクロスなどを選択した場合、1平方メートルあたり1,000円〜1,500円程度が相場でしょう。安さ重視のクロスだと1,000円以下で施工するケースもあります。この価格に下地処理や既存のクロス撤去などの費用が含まれるかは業者によって違うでしょう。

6畳の部屋の場合、トータルのクロス張替の費用は(安さを重視した場合)4、5万円程度からが相場です。

退去時費用は、かけるべき部分にしっかりかけるべき

ここではマンション経営の退去時費用には、「どんな項目があり、どれくらいの費用がかかるか」をテーマに解説してきました。

退去時費用を考えるときのポイントは、コストを抑えることにこだわりすぎないことです。なぜなら、「かけるべき部分にコストをしっかりかけて入居者を決めること」が最優先課題だからです。

もちろん、ムダなコストが発生しないようオーナーが相場を把握したり、コストが高いと感じたときに不動産会社に質問したりする姿勢は大切でしょう。

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