マンション経営で相続税の節税対策をするメリットとデメリット
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本間 貴志
本間 貴志
ビジネス書・実用書専門の「アスラン編集スタジオ」の編集ライターを経てフリー。2015年より秋田県に移住、テレワークによる柔軟な働き方を実践中。

富裕層や高額所得者であれば、誰しも将来の相続税の負担を軽くして配偶者や子どもたちに少しでも多くの財産を残したいと考えることでしょう。相続税対策にはいくつか方法がありますが、今回はその有効策のひとつである「マンション経営」について解説します。

目次

  1. 1.相続税とマンション経営について
    1. 1-1.知っておきたい相続税の計算方法
    2. 1-2.マンション経営は2種類のリターンで儲ける投資手法
  2. 2.相続対策におけるマンション経営のメリット
    1. 2-1.土地や建物が購入価格よりも低く評価される
    2. 2-2.路線価は実際の土地価格よりも2割ほど安い
    3. 2-3.借入することで債務控除が適用される
    4. 2-4.家賃収入がある
    5. 2-5.長期的に不労所得が入る
    6. 2-6.景気の変動に影響されにくい
  3. 3.相続対策におけるマンション経営のデメリット
    1. 3-1.不動産価格が下がることもある
    2. 3-2.空室の可能性がある
    3. 3-3.自然災害の可能性がある
    4. 3-4.家賃滞納の可能性がある
  4. 4.資産を守るためマンション経営に取り組んでみませんか

1.相続税とマンション経営について

マンション経営で相続税の節税対策をするメリットとデメリット
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マンション経営による相続税対策を理解するには、まず「相続税」と「マンション経営」に関する基礎知識が必要です。

相続税とは、財産を相続するときに支払わなければならない税金です。亡くなった人のことを被相続人、相続する人のことを相続人といい、相続税は相続人が納めます。相続税は、相続する財産が大きければ大きいほど、税金が多くかかります。

例えば、相続人が1人の場合、相続財産が3,600万円未満であれば相続税を支払う必要はなく、税務署に申告する必要もありません。相続人が2人の場合は、2人が相続する額の合計が4,200万円未満であれば、相続税を支払う必要はありません。3人なら4,800万円、4人なら5,400万円などとなっています。

上記にあげた3,600万円や4,200万円のことを「基礎控除額」といいます。基礎控除額は「3,000万円+600万円×相続人の数」で算出します。つまり、相続財産が基礎控除以下であれば相続税は発生しないということです。

1-1.知っておきたい相続税の計算方法

続いて相続税額の計算方法はこちらになります。

相続税額=(相続する全財産額-基礎控除額)×税率

上記のうちの「税率」は10%から55%まで幅広く設定されています。相続額(全財産額)が大きいほど税率が高くなります。また、「相続する全財産額」には、現金や株式、不動産のようなプラスの財産だけでなく、借金や買掛金などのマイナスの財産も含まれます。

上記の計算式にある全財産額とは、プラスの財産からマイナスの財産(借金やローンの財産など)を差し引いた額になります。

1-2.マンション経営は2種類のリターンで儲ける投資手法

マンション経営は、資産運用の目的で不動産を購入し、その不動産から得られるインカムゲイン(不動産所得)とキャピタルゲイン(売却益)で儲ける手法です。一般的なマンション経営では、賃貸需要のある立地の物件を取得し、不動産所得(家賃収入 − 諸経費)をコツコツと積み重ねていくのがセオリーです。

一口にマンション経営といっても、立地はさまざまで首都圏(都心)、地方都市、海外などのカテゴリがあります。また、物件タイプもいくつかあり、ワンルーム、ファミリー、DINKs向けなどがあります。ちなみに相続税対策に向いているのは、資産価値が高いため相続税評価額を圧縮しやすく、資産価値を保ちやすい都心マンションです。

2.相続対策におけるマンション経営のメリット

マンション経営で相続税の節税対策をするメリットとデメリット
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さて、被相続人が生前にマンション経営をすると、どうして亡くなったときの相続税が節税できるのでしょうか。わかりやすい理由をあげると、「購入した土地や建物の購入価格と、相続財産としての評価に差が生じる」からです。

例えば、1億円の現金を持っている人が亡くなった場合、相続財産は1億円になります。この場合、相続税は「(1億円 − 基礎控除)×税率」になります。しかし、この人が生前に1億円で土地と建物を購入してその後亡くなった場合、その土地と建物は、相続財産としては1億円にはなりません。

仮に土地と建物が5,000万円の価値しかないとなったら、相続税は「(5,000万円 − 基礎控除)×税率」になります。つまり課税対象額が下がることによって相続税が安くなるのです。

2-1.土地や建物が購入価格よりも低く評価される

それでは、なぜ1億円で買った土地や建物は、購入価格よりも安い価格で評価されるのでしょうか?相続税を計算するときの建物の評価額は、「固定資産税評価額」というものを使います。固定資産税評価額は、国の固定資産評価基準に従って市区町村で決められます。この固定資産税評価額は、一般的に建築費用の50~60%になります。

例えば3,000万円の住宅を建てたら、固定資産税評価額は1,500万~1,800万円になります。この住宅を相続した場合、相続税を計算する際には、3,000万円ではなく、1,500万~1,800万円になるため、結果的に節税効果に繋がります。

2-2.路線価は実際の土地価格よりも2割ほど安い

また、土地については、相続税を計算する際、市街地の場合は「路線価」で算出します。路線価は公示地価の8割ほどに設定されます。また、公示地価は一般的に、実際に土地を売買するときの価格に近いとされています。

かなり簡単な表現になりますが、「路線価は実際の土地価格よりも2割ほど安い」というわけです。当然、「路線価×税率」で算出される相続税も、実際の購入価格で計算するよりも安くなります。

2-3.借入することで債務控除が適用される

マンション経営には、ここまで解説してきたような相続税評価額を圧縮できる以外のメリットもあります。前述のように、相続税は「プラスの財産」から「マイナスの財産」を差し引いた残りのプラスの財産を元に計算します。この仕組みのことを「債務控除」といいますが、債務控除が使えるのもマンション経営の大きなメリットです。

なぜ、債務控除がマンション経営のメリットなのかというと、収益物件を購入するときに組んだ不動産投資ローン(アパートローン)も債務控除のマイナスの財産になるからです。通常、マンション経営のローンは数千万円、数億円の単位になるため、この仕組みをうまく利用すれば大きな節税効果が期待できます。

2-4.家賃収入がある

マンション経営は、相続税を節税しながら不動産所得(家賃収入 − 必要経費)を得られるのも魅力です。一口にマンション経営の収入といっても、いくつかの種類があります。メインとなる毎月の家賃のほか、数年おきの「更新料」などもオーナーの収入になります(いずれも家賃の1〜2ヵ月分程度。地域によって相場は異なる)。

また、好立地の物件だと入居者が転勤や結婚などの理由で移転しない限り、定期更新が発生しやすいと考えられます。

2-5.長期的に不労所得が入る

相続対策では相続税の節税にプラスして、「ご家族が生活に困らないだけのお金(収入源)を残す」という視点も大事です。不動産投資であれば収益物件を所有している限り、長期的に不労所得が入るので生活の支えになりやすいです。

不動産投資にはさまざまなジャンルがありますが、とくに相続対策向けなのが区分マンションです。なぜなら、管理業務を管理会社にアウトソースすれば家族に負担をかけないからです。これに対して、一棟アパートや一棟マンションの場合、管理業務の量と種類が多いためアウトソースしても家族に負担がかかる可能性もあります。

2-6.景気の変動に影響されにくい

マンション経営は「景気の影響を受けにくい資産運用」とよくいわれます。マンション経営のリターンの種類には「不動産所得(家賃収入 - 諸経費)」と「売却益」がありますが、とくに首都圏や大都市圏の好立地マンションは家賃収入の安定性が高いといわれています。そのため賃貸マンションを相続財産として残せば、長年に渡って家族の生活の助けになることでしょう。

3.相続対策におけるマンション経営のデメリット

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相続税対策の面からみると、非常に魅力的なマンション経営ですが、注意しなければならないこともあります。マンション経営はいうまでもなく「投資」です。投資には成功もあればリスクもあります。それではどのようなリスクがあるのかを見ていきましょう。

3-1.不動産価格が下がることもある

もし相続後に不動産価格が大きく下がるようなことがあれば、せっかくの相続税の節税効果は相殺されてしまいます。これでは意味がありません。

安いからという理由で郊外の物件を購入してしまい入居者が付かない、築年の経過した物件を購入し、多額の修繕費が必要になったなど、せっかく相続対策したのに余計な出費がかさんでしまうケースもあります。相続税を少なくすることばかりを考えるのではなく、総合的な判断が求められます。

3-2.空室の可能性がある

相続する人が「ご家族のために」との思いで残したマンションでも、空室が発生すれば家族に迷惑をかけることになります。このデメリットを解消するには、設備が整っている物件を選択するのが無難です。

一般的にコンクリートの寿命は50〜100年程度といわれています。新築マンションであれば、仮に10年後に相続が発生しても理論的には40〜90年程度の寿命が残っていることになります。また、一般に築古物件と呼ばれるのは築30年以上ですが、築古になるまでにも相当な年数が残っています。

3-3.自然災害の可能性がある

例え相続対策で新築マンションを購入しても、大地震などの自然災害で建物が損壊すれば、計画が総崩れになります。自然災害リスクを完全になくすのは難しいですが、別エリアに複数のマンションを所有することでリスク分散するのも一案です。

木造ではなくRC造などの物件を選ぶことによってリスクヘッジをする方法もあります。

また、地盤が気になる人は、公的機関が提供している地震に関するリスク情報をチェックした上でマンションを購入するのがよいでしょう。例えば、東京都都市整備局では「地震に関する地域危険度測定調査」による町丁目ごとのリスク度をネット上で発表しています。
東京都都市整備局:地震に関する地域危険度測定調査

3-4.家賃滞納の可能性がある

このほかマンション経営には、家賃滞納のリスクもあります。家賃滞納が発生すると、入居者がいるのに家賃が入ってこないという困った事態になります。このリスクを回避するのに有効なのは、「優秀な管理会社を選択すること」です。これにより、「入居者審査を的確に行う」「滞納督促をしっかり行う」という2つの方法でリスクを軽減できます。

4.資産を守るためマンション経営に取り組んでみませんか

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日本では普通に相続税を払っていると「3代で財産がなくなる」といわれてきました。さらに、2015年の相続税改正で相続税の最高税率が引き上げられたため、富裕層の相続税の負担が増しています。更に今まで相続税とは無関係だった人もそんなことはなくなりました。

相続税対策をしっかり行ってさえいれば子孫に財産を残すことは可能です。つまり、「今の代で相続税対策を行ったか否か」で次の代以降の資産が大きく変わってくるわけです。

相続税対策には様々な選択肢がありますが、一般的に「税制優遇されている不動産」を利用するのが効果的といわれています。そのなかでも有効なのが「マンション経営」による相続税対策です。といっても、やみくもにマンションを買っても期待した効果は得られません。

大切なのは、相続税対策に強い不動産会社を選ぶことです。具体的には、複数の不動産会社を候補にしつつ、その会社が「相続税対策を得意にしているか」「相続関連の実績がどれくらいあるか」をしっかりヒアリングした上でパートナーを決めるとよいでしょう。

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