不動産投資を検討している人のなかには、マンションを購入し家賃収入から不労所得の形成を目指す、中長期的な投資を考えている人も多いのではないでしょうか。しかし「新築マンションを購入したほうがいいのだろうか」と疑問に思っている人もいるかもしれません。そこで本記事では「新築マンションに投資するメリット・デメリット」について解説しつつ、利回りの計算方法やブランドマンションの特徴について紹介します。
目次
1.不動産投資で新築マンションを選ぶメリットとは?
新築マンションというと、購入費用が高いといったイメージを持つ人が多いかもしれません。
新築マンションは、適切に運用すれば中古マンションよりも利益を得ることが可能であることから、購入費用が高くともそれを上回るメリットが期待できます。
ここでは、新築マンションを購入するメリットを6つ紹介します。
2.節税になる
3.投資のための資金を借りやすい
4.修繕費がかからない
5.売却時に高く売りやすい
6.長期の契約不適合責任を受けられる
1.入居率が高い
マンション投資を行ううえで向き合わなければならないのが、購入した物件に入居者がつかず支出金が膨らむ「空室リスク」です。
新築マンションの場合「設備がきれい」「セキュリティがしっかりしている」「アメニティが充実している」などの理由で、中古マンションに比べて入居者を見つけやすい点がメリットとなります。
2.節税になる
マンションを購入すると、購入時の費用を分割して減価償却費として計上することが可能です。
減価償却費を利用すれば、家賃収入などの不動産収入に対する帳簿上の経費を増やすことができるため、その分所得税を抑えることができます。
減価償却費は、マンションの購入費に減価償却率という物件の資産価値から導き出した数値をかけて算出します。
新築マンションの場合、資産価値が大きいと判断されやすいため、減価償却費も多く計上でき長期的に所得税を抑え続けることが可能です。
3.投資のための資金を借りやすい
新築マンションの価格は高いですが、資産価値が高いため「金融機関の住宅ローンの審査が通りやすい」「返済期間を長期に設定しやすい」というメリットがあります。
ローンを組む際には、借主からの返済が滞ったときのため、購入物件へ抵当権を設定する必要があります。
金融機関としても資産価値の落ちにくい物件であれば、債務不履行となった際に資金の回収がしやすいことから、それだけ融資の審査に通りやすくなります。
4.修繕費がかからない
新築マンションは設備が新しいため、初期に支払う修繕費などの経費を抑えることが可能です。また修繕費だけでなく、修繕積立金や管理費などの諸経費も中古マンションに比べて安く済むケースもあります。
壁紙やカーペット、エアコンなどの設備には、耐用年数が6年と決められているので、残存価値が少ないほど借主が退去するときに、オーナーが支払う原状回復費用が多くなりがちです。
新築マンションの場合、設備の残存価値も当然多く残っていることから、当面は予想外の支出を抑えることができるでしょう。
5.売却時に高く売りやすい
不動産投資を行う際には「最終的にどのように物件を手放すのか」という出口戦略をあらかじめ描いておくことが必要です。
不動産は、経年によって評価が下がっていきます。新築マンションの場合は、中古マンションと比較しても資産価値が落ちにくく、売却時に買い手も見つかりやすい点がメリットです。
とくに中古マンションの場合は、以下のようなリスクもあります。
・最悪のケースとしては建物を壊して土地を売ることになる
そのため不動産投資を検討する際は、長期的なプランを描くようにしましょう。
6.長期の契約不適合責任を受けられる
「契約不適合責任」とは、物件を購入した後で破損箇所などが発覚した際、その責任を買主ではなく売主が負う制度です。
新築マンションの場合、「住宅瑕疵担保責任保険」の売主に対する契約不適合責任期間は10年と長期に設定されている点が大きなメリットとなります。
とくに不動産投資を始めたばかりで物件購入の際のチェックポイントなどについて不安がある人ほど、契約不適合責任の期間の長さが新築マンションを選ぶ動機となるのではないでしょうか。
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2.新築マンション投資のデメリット
ここまで新築マンション投資のメリットを紹介してきましたが、そればかりではなく注意しなければならない点もあります。
おもな注意点としては以下の5つが挙げられますので、一つひとつ見ていきましょう。
2.返済が滞るリスクがある
3.実績がないので収支のシミュレーションが難しい
4.早く売却すると損をする可能性がある
5.物件の下落幅が大きい
1.購入費用が高い
新築マンション最大のデメリットは、購入費用が高い点です。すでに説明した通り、新築マンションは審査が通りやすく、金融機関からの融資も受けやすい魅力があります。
しかし融資を受けた金額が大きいと、その分返済計画を綿密に立てなければなりません。返済スケジュールを長期に設定した場合、毎月の支払い金額は少なくなります。
返済期間を短くして金利の支払いを減らすか、長くして毎月の返済額を減らすかは、用意できる頭金の額や、給与などほかに収入があるかによっても異なりますので、不動産会社に相談し最も安全・有利な方法を提示しもらいましょう。
2.返済が滞るリスクがある
新築マンションはキャッシュフローを良好に保ちやすくなる分、突発的に収支が悪化し返済が滞るリスクがあることも考慮しなければなりません。
とくに変動金利のローンを組んでいる場合、定期的に金利が見直されるため、思わぬタイミングでローンを支払えなくなってしまう可能性が出てきます。
返済リスクを考えると、「ローンを固定金利にする」「頭金を多めに入れる」などの対策をとることで安全性を高めることができます。
ただ、サラリーマン大家としてマンション経営を副業にする場合は、給与というベースがあるため、返済が滞るリスクは小さくなります。
3.実績がないので収支のシミュレーションが難しい
新築物件は過去に入居者が住んでいた実績がありません。家賃も参考にできないため、自分で決めなくてはなりません。
過去の家賃、空室率、利回りなどの実績を基にした収支のシミュレーションが難しいのがデメリットです。ただし、周辺の家賃相場を参考にしてシミュレーションすることは可能です。
その場合、後述するように実質利回りでシミュレーションする必要があります。
逆にいえば、中古マンションで表面利回りが記載されていると甘い見通しを立てる恐れがありますが、新築のほうが慎重にシミュレーションするため安全性が高いと考えることもできます。
4.早く売却すると損をする可能性がある
新築マンションの販売価格は、物件価格に販売会社の利益が上乗せされて決められています。
したがって、購入して早期に売却すると物件価値の下落に加え、販売会社の利益上乗せ分を回収できず、ある程度大きな損失が出る恐れがあります。
新築マンションに投資する際は長期の運用を目的とし、早期に売却することがないように生活費に余裕をもたせて購入することが大事です。
5.物件の下落幅が大きい
新築マンションの価格が高いのは「新築」という中古にはないプレミア価値があるからです。
「誰も住んだことがない」というのは大きな魅力です。しかし、新築マンションも1年が経過すると「築1年」という表記に変わり、中古物件に区分が変更されます。
また、築1年以内でも一度入居者が住んだ物件は新築としての魅力が薄れます。新築から中古に変わることで一般的には20%程度価値が下がるといわれています。
ただし、下落率は物件によって異なります。質の高い物件を購入することで下落リスクを低減することもできるのです。
質の高いマンションとしておすすめなのが後述する「ブランドマンション」です。ブランドマンションとは、不動産開発・販売会社が自社の統一したブランド名を冠して販売しているマンションのことをいいます。
1棟でも粗悪な物件があれば全体のイメージダウンにつながるため、販売会社の威信にかけて同一のクオリティを保証しており、安心して購入できます。
新築マンションには以上のようなデメリットがありますが、資金計画をしっかり立てることや、品質の高いマンションを購入することである程度リスクを軽減することができます。
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3.利回りを理解しよう
株式投資で配当利回りが重要なように、不動産投資でもどの程度の利回りを得られるかが投資の重要なポイントになります。投資用不動産の購入を検討する場合は「表面利回り」と「実質利回り」の違いを理解する必要があります。
表面利回り
「表面利回り」とは、年間家賃収入を物件購入価格で割って計算する単純な利回りです。
中古マンションの広告に表示されている利回りはほとんどの場合「表面利回り」です。満室を想定して計算するため、かなり高い利回りが表示されている広告もあります。
(年間家賃収入÷購入価格)×100=表面利回り
2.実質利回り
「実質利回り」とは、年間家賃収入から固定資産税、火災保険料、修繕費などの諸経費を引いたうえで計算する利回りです。
表面利回りよりも正確に収益力を判断することができます。シミュレーションする場合は、実質利回りで計算することが大切です。
{(年間家賃収入-年間諸経費)÷購入価格}×100=実質利回り
3.収支シミュレーション
では、モデルケースで表面利回りと実質利回りによる収支をシミュレーションしてみましょう。
物件購入価格3,500万円
家賃収入月12万円(年間144万円)
諸経費月平均2万円(年間24万円)
A 表面利回りのシミュレーション
(年間家賃収入144万円÷物件購入価格3,500万円)×100=約4.11%
B 実質利回りのシミュレーション
{(年間家賃収入144万円-年間諸経費24万円)÷物件購入価格3,500万円}×100=約3.43%
実質利回りで3%を目標にするなら、この物件は購入に適していると考えられます。慎重を期して1ヵ月空室が出た場合を計算すると次のようになります。
C 実質利回りのシミュレーション(空室1ヵ月の場合)
{(年間家賃収入132万円-年間諸経費24万円)÷物件購入価格3,500万円}×100=約3.09%
空室が1ヵ月あった場合でも実質利回りは3%を確保できます。
次の入居者を見つけるためのハウスクリーニング代や仲介手数料などがかかりますが、入居者が決れば礼金として最低家賃1ヵ月分相当の収入が入るので、相殺すればそれほど大きな影響はありません。
そのためにも需要が多く、すぐ空室が埋まる好立地物件を購入することが重要なポイントになります。
なお、新築の場合、購入後数年間は修繕費がほとんど発生しませんが、築年数の経過とともにいずれ必要になるので、その分を計算に入れて積み立てておいたほうが安全です。
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4.新築の中でも投資先はブランドマンションがおすすめ
新築マンションのなかでも知名度のある大手デベロッパーが土地の選定からコンセプト設計、物件の建設まで手掛ける「ブランドマンション」の購入がとくにおすすめです。
ブランドマンションは、売値が高額になるにもかかわらず購入者が殺到するほどの人気があります。その理由を見ていきましょう。
2.デザインや設備にこだわっており長期需要が見込める
3.資産価値が落ちにくい
4.マンション投資に特化している
1.利便性の高い一等地に建築されている
国土交通省が公表している「平成30年度マンション総合調査結果」によると、「マンション購入の際に考慮した項目」という質問に対し、「駅からの距離など交通利便性」を挙げた人が72.6%で最も多くなっています。
やはり駅から近いことがマンションを選ぶ場合の大きなポイントになっていることがうかがえます。
その点、ブランドマンションの多くの物件は東京23区や首都圏の人気駅、また札幌、名古屋、大阪、福岡といった大きな都市の主要駅から徒歩圏内に立地しています。
利便性の高い一等地に建築されているブランドマンションを選ぶことで、空室リスクが低くなることが期待できます。
2.デザインや設備にこだわっており長期需要が見込める
空室を出さないためには、入居者に極力長く居住してもらうことが大事です。そのためには長く住んでいたいと思わせる快適性や利便性が高い物件であることが求められます。
ブランドマンションは、外観や内装にこだわった上質なデザインの物件が多いのが特徴です。
また、設備もオートロックやモニター付きインターホン、浴室乾燥機など人気の設備が導入されている物件が多く、ブランドマンションが選ばれる大きな要因になっています。
長期の需要を確保したいのなら新築ブランドマンションの購入が最適といえるでしょう。
3.資産価値が落ちにくい
同じ立地のなかには多くのマンションやアパートなどの競合物件が存在します。そのなかから選ばれるには、いかに魅力的なポイントを備えているかが重要です。
ブランドマンションはデザインや設備の機能、防犯体制などが普通のマンションよりも優れているので、同じ立地だとしたら選ばれやすいといえます。
当然ながらマンション経営を目指す投資家からの需要も多いため、資産価値が落ちにくいというメリットもあります。
4.マンション投資に特化している
ブランドマンションは、選ばれる立地、デザイン、設備、防犯・防災対策などがなされており、投資家にとって安心して購入できる物件に設定されています。
運用が軌道に乗って2棟目のマンションを購入する場合も、同じブランドシリーズなら探しやすいというメリットがあります。
とくにマンション投資初心者には、ワンルームのブランドマンションは手頃な価格で購入できるため、おすすめです。
上記の要素からブランドマンションは「入居率が高い」「売却時にも高額で手放せる」など不動産投資におけるいくつかのデメリットを低減したハイレベルな物件です。
一般的に新築の物件は完成と同時に緩やかに資産価値が下がっていきます。しかしブランドマンションの場合は、価値を維持しやすくなかなか価値が下落することがありません。
そのため投資目的だけでなく「自分の居住用に購入して引っ越す際にはほぼ同額で売却する」などの目的で購入する人もいます。
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5.ブランドマンションの選び方
ブランドマンションは、ブランドとしての知名度があるほど資産価値が落ちにくいといわれています。
より一層正確な情報を知りたいなら、騰落率から資産価値が下がりにくいかどうかを判断し、資産価値の下がらない物件を適性価格で購入すると失敗が少ないでしょう。
ブランドマンションのなかには、時代の流行を反映した独特なコンセプトのものもあります。そういったマンションの価値は、流行り廃りに左右されやすい傾向にあります。
ブランドマンションを購入する際は、時代のトレンドには関係なく資産価値を維持し続けられる物件を見極めることが必要です。
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6.新築マンションと中古マンションはどちらがいいのか?
新築マンションと中古マンションを比較すると、中古マンションは購入資金が少なく利回りも高い傾向です。
しかし中古マンションの場合、「入居者が(新築に比べ)見つかりにくい」「修繕費などの諸経費がかかる」などのデメリットがあります。
また前述の瑕疵担保責任に関しても、新築マンションは10年保証があるのに対し中古マンションは数ヵ月程度しかありません。
長期にわたって物件への保証を受けられるか否かも新築と中古の大きな違いの一つです。
以上のことから、初期費用がかかったとしても新築マンションを購入したほうが、長期的にみればプラスになる可能性があります。
とくに前述したブランドマンションであれば資産価値も落ちにくいため、売却時に手元に残せる金額がより多くなるでしょう。
また、マンション経営を始めるにあたっては、慎重に収支のシミュレーションを行い、目標利回りの達成が見込める物件を購入することが重要です。
シミュレーションで見たように、新築でも先々のために修繕費を見込んでおくなど少し厳しめの設定にすることで、より安全な経営計画を立てることにつながります。
多くの需要が見込める新築ブランドマンションは、目標利回り達成のための有力な選択肢になるでしょう。
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Q&A
Q.不動産投資で新築マンションを選ぶメリットを教えてください
A.主なメリットは以下になります。
2.節税になる
3.投資のための資金(ローン)を借りやすい
4.修繕費がかからない
5.売却時に高く売りやすい
6.長期の契約不適合責任を受けられる
Q.新築でも特にブランドマンションがいいと聞きましたが、その特徴を教えてください
A.ブランドマンションの特徴は以下になります。
2.デザインや設備にこだわっており長期需要が見込める
3.資産価値が落ちにくい
4.マンション投資に特化している
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