最終更新日:2024/10/9
 
なぜ年収1000万円でも生活が苦しいのか?貯金できない理由とまとまった資産を作る方法を解説
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大西 勝士
大西 勝士
フリーランスの金融ライター(AFP、2級FP技能士)。早稲田大学卒業後、会計事務所、一般企業の経理職、学習塾経営などを経て2017年10月より現職。10年以上の投資経験とFP資格を活かし、複数のメディアで執筆しています。

年収1000万円は高収入の目安であり、会社員にとっては1つの目標かもしれません。しかし、年収1000万円でも生活が苦しい人もいます。多くの収入を得ているにも関わらず、なぜ金銭的に余裕がないのでしょうか。本記事では、年収1000万円でも貯金ができない理由やまとまった資産を作る方法を解説します。

目次

  1. 年収1000万円で貯金がない人の割合
    1. 貯金ゼロの世帯は25%
    2. 3000万円以上保有する世帯は12.7%
  2. 年収1000万円の手取り額
  3. 年収1000万円でも生活が苦しい理由
    1. 使えるお金が思ったより少ない
    2. お金を使いすぎてしまう
    3. 公的な補助金の対象外となる
  4. 年収1000万円でも生活が苦しい場合の対処法
    1. 家計を見直して節約に取り組む
    2. 資産運用を始める
  5. 年収1000万円の人にはマンション経営がおすすめ
  6. まとめ

年収1000万円で貯金がない人の割合

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まずは、年収1000万円で貯金がない人がどの程度いるのかを確認しておきましょう。

貯金ゼロの世帯は25%

金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査(二人以上世帯)(2023年)」によると、年収1000万円以上の二人世帯のうち、 金融資産保有額が100万円未満の世帯の割合は非保有を合わせて33.2%です。

・金融資産非保有(持っていない):24.6%
・100万円未満:8.6%
※合計33.2%

年収1000万円以上にもかかわらず、貯金が100万円に満たない世帯が33.2%(全体の約3分の1)を占めています。金融資産非保有は24.6%で、年収1000万円世帯の2割以上が貯金ゼロという状況です。

この結果から、年収1000万円でも安定した資産形成ができていない世帯が一定割合いることがわかります。

3000万円以上保有する世帯は12.7%

一方で、年収1000万円以上の二人世帯のうち、金融資産保有額が3000万円以上の割合は12.7%です。年収1000万円以上世帯の約1割は、3000万円以上の資産を作ることができています。このように、同じ年収1000万円の世帯でも、金融資産保有額に大きな差が生じているのが現状です。

国民全体の貯蓄金額とそのの割合についてはこちらの国民生活基礎調査のデータをご覧ください。

年収1000万円の手取り額

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額面年収1000万円の場合、手取り額はどれくらいなのでしょうか。社会保険料(厚生年金保険料、健康保険料)と所得税、住民税のみを考慮したシミュレーション結果は以下の通りです。

項目金額備考
社会保険料(控除)約140万円保険料率14.055%(厚生年金18.3%+健康保険料9.81%(介護保険なし)を事業主と折半)※東京都の場合
給与所得控除195万円-
基礎控除48万円-
課税所得617万円年収1000万円-社会保険料控除-給与所得控除-基礎控除
所得税約81万円課税所得×20%-42万7,500円(控除額)
住民税約62万円課税所得×10%
手取り額約717万円年収1000万円-社会保険料-所得税-住民税

社会保険料は約140万円とします。額面年収1000万円から社会保険料控除、給与所得控除、基礎控除を差し引いた課税所得金額は約617万円です。所得税は約81万円、住民税は約62万円のため、社会保険料・税金控除後の手取り額は約717万円となります。

年収の手取り額を12ヵ月で割ると、手取り月収は約60万円です。賞与を含めて年収1000万円の場合、月収の手取り額はさらに少なくなるでしょう。

上記シミュレーション結果はあくまでも概算金額であり、実際の手取り額は他の所得控除や介護保険の有無など、個人の状況によって変わってくる点にご留意ください。

年収1000万円でも生活が苦しい理由

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年収1000万円でも生活が苦しいという方は多くいらっしゃいます。その具体的なデータと改善案はこちらの「年収1000万円の生活レベル。データで見るその実態とは?」をご覧ください。

そして年収1000万円でも家計が苦しいのは、以下のような理由が考えられます。

使えるお金が思ったより少ない

年収1000万円は高収入の目安ではありますが、使える金額は意外と少ないものです。収入から社会保険料や税金などが差し引かれるため、年収1000万円がすべて手元に残るわけではありません。

所得税は累進課税制度が採用されており、収入が高くなるほど税負担も増えます。 会社員の場合は節税手段が限られるため、年収1000万円でも使えるお金は思ったより少ないのが現状です。

お金を使いすぎてしまう

年収が上がるにつれて、家賃(住宅ローン)や教育費、車、食費、娯楽費、小遣いといった出費は増えてしまいがちです。しかも、一度上げた生活レベルを下げるのは簡単ではありません。たとえ高収入を得ていても、その分出費が増えれば生活は苦しくなります。

公的な補助金の対象外となる

年収が1000万円になると、所得制限のある補助金の対象外となってしまいます。

例えば、子どもが中学校を卒業するまで受け取れる「児童手当」は、所得が所得制限限度額を超えると減額され、所得上限限度額を超える場合は支給されなくなります。扶養親族が児童2人と年収103万円以下の配偶者の場合、 所得制限限度額は年収960万円、所得上限限度額は年収1200万円が目安です。

また、授業料支援を受けられる「高等学校等就学支援金制度」にも所得制限があり、支給対象となる目安は世帯年収910万円以下となっています。

年収1000万円の人は、公的な補助金が支給されなくなることで使えるお金が減ってしまう可能性があります。

年収1000万円でも生活が苦しい場合の対処法

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年収1000万円でも生活が苦しい場合は、以下の対処法を試してみましょう。

家計を見直して節約に取り組む

まずは家計を見直して節約に取り組むことが大切です。いくら収入が上がっても、それ以上に支出が増えれば家計は苦しくなり、将来に向けて資産を作ることも難しくなります。家計を見直す際は、固定費から着手するのがおすすめです。

固定費とは、家賃や保険料、スマホ代のように定期・定額で発生する費用のことです。食費などの変動費に比べて節約効果が高く、生活への影響も少ない特徴があります。例えば、保障内容がほぼ同じで現在より保険料が安い保険に乗り換えれば、生活水準を変えることなく支出を抑えられます。

無理なく貯金できる家計を作るために、固定費の見直し から始めましょう。

資産運用を始める

家計の見直しに加えて、さらなる収入アップに取り組むのも有効です。短期で収入を上げる方法の1つに副業があります。しかし、年収1000万円の人は本業が忙しく、仕事以外の時間を確保するのは難しいかもしれません。そこでおすすめなのが資産運用です。

日本は低金利が続いており、預貯金だけでお金を増やすのは難しい状況です。株式や不動産などに投資することによって、配当金や家賃収入、値上がり益といった利益が期待できます。資産運用は、やり方によっては時間や手間をかけずにお金を増やせるのも魅力です。

投資である以上、運用がうまくいかずに損失が生じる可能性もあります。それでも、自分にあった投資方法を選択することによって、リスク低減を図りながら資産を増やすことか可能です。

年収1000万円の人にはマンション経営がおすすめ

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年収1000万円の人が資産運用に取り組むなら、マンション経営がおすすめです。

マンション経営とは、 マンションを購入して入居希望者に貸し出し家賃収入を得る方法です。空室リスクが低い物件を選ぶことで、長期にわたって安定した収入を得られます。物件選びは不動産会社、賃貸管理は管理会社のサポートを受けられるので、時間や手間をかけずに運用できます。

投資用マンションは物件価格が高額であるため、金融機関の融資を利用して購入するのが一般的です。融資を受けるには、金融機関の審査に通過しなくてなりません。ただし、年収が1000万円の人は金融機関からの評価が高く、融資を受けやすい傾向にあります。

もしマンション経営で赤字が出た場合は、その赤字と給与所得を相殺することによって所得税や住民税が節税できます。マンション経営を事業的規模まで拡大できれば、青色申告特別控除などの税務上の特典が利用できるようになり、さらなる節税が可能です。

まとめ

なぜ年収1000万円でも生活が苦しいのか?貯金できない理由とまとまった資産を作る方法を解説
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年収1000万円は高収入の目安ではありますが、税金や社会保険料が差し引かれるため、使える金額は額面金額ほど多くありません。家計を見直して支出をコントロールしないと、生活が苦しくなってしまいます。まずは固定費の見直しに着手し、さらなる収入アップを目指す場合はマンション経営を検討してみてはいかがでしょうか。

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