投資用物件の購入判断は難しいものです。土地とマンションのどちらに重きをおけばいいか迷う場面もあるでしょう。投資に大切なのは、資産価値を判断することです。「売却価値」「収益価値」という2つの観点から、資産価値を調べる方法を紹介します。
目次
「土地」と「マンション」どちらの資産価値が高いのか
土地とマンション、同じ価格で比べたらどちらの資産価値が高いのか。この思考実験は、どのような資産を購入するか検討するときに役に立つでしょう。たとえば、中古マンションと新築マンションを比べたとします。中古マンションは価格に占める土地の割合が高いため、極論すると土地とマンションを比べていることになります。
不動産は個別性が高い取引です。ほとんどのマンションには購入価格に土地が含まれます。土地にはマンションを建てることができます。必ずしもどちらかを選ばなければならないという性質のものではありません。実際に購入を検討するにあたっては、それぞれの資産価値を見積もったうえで比較するとよいでしょう。
資産価値には2種類あります。ひとつは「売却したらいくらになるか」という売却価値です。もうひとつは、「保有したらどれくらいの利益を生み出せるのか」という収益価値です。
「土地」「マンション」のメリット、デメリット
土地とマンションの違いは何でしょうか。資産価値を考えるうえで、それぞれの特徴を挙げます。
土地のメリットはなくならないことです。消費税もかからないので、購入時のコストが低いといえます。地価の相場に変化がなければ、数十年後もあまり変わらない価格で売却できるわけです。
デメリットは付加価値がつけにくいことです。収益性を高めるためには、建物を建てるなど何らかの工夫をする必要があります。
マンションのメリットは価値を向上させやすいことです。設備のひとつを入れ替えるだけでも、資産価値を増やすことができます。マンションはすぐに利用できるため、貸しやすく売りやすいという点も特長です。購入してすぐに価値を発揮しやすいといえます。
土地と比べたデメリットは、基本的に価値が減っていくことです。建物が劣化すれば、そのぶん資産価値は落ちます。価値を保つためには、定期的な修繕などのメンテナンスが必要となるでしょう。鉄筋コンクリート造など非木造の建物は、木造アパートと比べると劣化しにくい特長があります。
「土地」「マンション」の売却価値
売却価値を知る方法は難しくありません。立地や建物などの条件が似ている成約事例から、売却時の価格を見積もることができます。売買事例比較法といい、不動産のプロが売却査定にも使う方法です。
売却事例は国土交通省の不動産情報ライブラリで検索できます。不動産会社が持つ生の情報があればもっと正確にわかるのですが、ここでは簡便的に考えましょう。近隣地域で似たような事例がなければ、近いところを探して補正を加えます。売買事例が古い場合、相場動向も調整のポイントになります。
マンション価格の相場は2013年以降上昇傾向にあります。特に区分所有は顕著です。土地に比べて変動性が大きいため、売却益を得られる可能性がより高いといえます。
もちろんその反面、価格が低下するリスクもあります。これが売却価値でみたマンションの特徴です。
投資物件の場合、実際の売却査定は後述の収益還元法をメインに行います。そのうえで売買事例比較法によって調整するのが一般的です。
「土地」「マンション」の収益価値
収益価値を測る方法は収益還元法です。厳密に考えると非常に複雑な計算になりますが、ここでは比較的簡便な直接還元法について述べます。
直接還元法の計算式は家賃÷還元利回りです。家賃とは年間に受け取る家賃から経費を差し引いた純収益のことをいいます。還元利回りは平均的な実質利回りと考えてください。地域によって異なりますが、2024年時点では東京が4%、大阪・福岡・名古屋など大都市圏は5%、他の政令指定都市は6%としておきましょう。
たとえば東京のマンションで年間の純家賃が100万円というケースを計算します。100万円÷4%で収益価値は2,500万円です。
資産価値の活かし方
これらの鑑定手法は、不動産の購入判断に役立ちます。購入価格が資産価値を下回れば割安という判断です。このような物件は「買い」といえます。上回れば損失を生む可能性が相対的に高いと判断されます。物件購入には、資産価値にもとづいた判断が必要なのです。
土地とマンションでは、基本的にマンションのほうが高い収益価値を持っています。前述のとおり、マンションはすぐに収益を生むことができるからです。資産運用の一貫として不動産の購入を考える人にとっては、マンションの資産価値が魅力的に映るのではないでしょうか。
マンションの資産価値に注目
土地やマンションの資産価値を測る方法は2つあります。売却価値は類似物件の売却価格を基準にした考え方です。収益価値は家賃と一般的な利回りから割り出します。マンションは収益価値が高く、最近の相場では売却価値も上昇傾向にあります。高い資産価値を持っているといってよいでしょう。
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