お金はありすぎてもダメ!?「限界効用の逓減」に見る幸せな億万長者の条件
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山中 勇樹
山中 勇樹
ライター/編集者。主に企業経営者への取材・インタビューを通じて、ビジネス系の文章(書籍・雑誌等)を執筆。インタビュー実績多数。

「幸せになるためにはお金が必要」と考えている人は多いでしょう。しかし、お金がたくさんあれば幸せになれるとは限りません。収入や貯蓄には「限界効用の逓減」という法則があり、一定レベルを超えると幸福度は徐々に低下していくといわれています。本稿では、限界効用の逓減を踏まえて、最適な収入・貯蓄のバランスについて考えてみます。

お金は多ければ多いほどいいのか?

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「お金は多ければ多いほどいい」と考えている人は、お金が世の中に存在するあらゆる願望を実現し、それにより幸福をもたらすと思っているのではないでしょうか。

お金で買えるものはたくさんありますが、「それを購入することが幸せにつながるのか?」ということを無視したまま、本当の幸福について議論することはできません。

内閣府経済社会研究所の資料では、幸福の尺度として「所得」「所得格差・不平等度」以外に、「就業と生産性」「年齢・性別・身体的・精神的健康などの個人属性」「婚姻状況などの社会的関係」「政治経済体制と国民」の4分野が挙げられています。

また第一生命保険のレポートでは、幸福度の判断項目に「経済的ゆとり」だけでなく「健康」「家族関係」「趣味や楽しみ」などがあるとされています。

(引用:第一生命保険株式会社 どんな人が幸せなのか

幸福度は、お金だけで決まるわけではなさそうです。

資産と幸福の関係性について

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では、資産の多寡はどのように幸福と関連しているのでしょうか。資産と幸福の関係性について「幸せな億万長者」という観点で見ていきましょう。ポイントは限界効用の逓減と、資産・幸福の比例・反比例にあります。

「限界効用の逓減」とは

限界効用の逓減(限界効用逓減の法則)とは、お金の消費量が増えれば増えるほど、お金を消費したときに得られる効用が少なくなることを指します。

たとえば、商品を連続で3つ購入するとします。手元の商品が増えるにつれて効用の総量は増加しますが、それぞれの効用については3つ目より2つ目、2つ目より1つ目のほうが大きくなります。つまり、限界効用は徐々に減少していくのです。

限界効用が左右する幸福度

限界効用の逓減を食品に例えて考えてみましょう、たとえばパンを1つ買ったときと、2つ、3つ、4つと増やしていったときの限界効用は、パンが増えるほど減少していきます。

いい換えると、1つ目のパンよりも4つ目のパンのほうが、満足度は小さくなるのです。

この法則を、資産に当てはめてみましょう。収入が多く潤沢な資産を持つ人でも、消費における限界効用の逓減は避けることができないといわれています。

初めて買ったマイカーの喜びは、有り余る資産で購入した高級車の満足度よりも大きいケースがあるでしょう。それには、幸福度も関係しています。

最適な収入と貯蓄のバランスを考慮する

資産を増やすことは、必ずしも幸福につながるとは限らないといえます。むしろ、限界効用の逓減によって自ら満足度を下げることになってしまう可能性もあるのです。

それにより「もっとお金が欲しい」と考えるようになれば、幸せを見失うことにもなりかねません。大切なことは、何のためにどのくらいの収入と貯蓄が必要かを考えることです。幸福な億万長者ほど、そのバランスを意識しているのかもしれません。

適度にお金を得るということ

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お金が多ければ多いほど幸せになれるわけではありませんが、必要なお金を得られない状況も幸せとはいえないでしょう。限界効用の逓減は、私たちにバランス感覚を持つことの重要性を教えてくれます。

幸福な人生を実現するためには、「適度にお金を得る」という発想が求められると思われます

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