定型マンション購入時に消費税はかかる?新築・中古別ルールや、その他の税金
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丸山 優太郎
丸山 優太郎
日本大学法学部新聞学科卒業のライター。おもに企業系サイトで執筆。金融・経済・不動産系記事を中心に、社会情勢や経済動向を分析したトレンド記事を発信している。

マンション購入時に消費税がかかるのかは、不動産投資を検討する際によく疑問に挙がるポイントです。不動産は高額であるため、10%の消費税が適用されるとその負担も大きくなります。本記事では、新築・中古別の消費税がかかるルールや、ほかにどのような税金がかかるのかを解説します。

目次

  1. 1.不動産取引における消費税の課税対象要件とは
  2. 2.新築マンション購入時の消費税
    1. 2-1.新築マンションの購入時は消費税が発生
    2. 2-2.消費税は「総額表示」が基本のルール
  3. 3.中古マンション購入時の消費税
    1. 3-1.個人が売主の場合は非課税となるケースが多い
    2. 3-2.法人が売主の場合は消費税の対象になる
  4. 4.マンション購入で消費税の対象となるその他の費用
    1. 4-1.仲介手数料
    2. 4-2.金融機関に支払う事務手数料
    3. 4-3.司法書士代行手数料
  5. 5.マンション購入で消費税以外にかかる税金
    1. 5-1.印紙税
    2. 5-2.登録免許税
    3. 5-3.不動産取得税
  6. 6.マンション購入後にかかる税金
    1. 6-1.固定資産税
    2. 6-2.都市計画税
  7. 7.不動産にかかる消費税は高額になることを把握しておこう

1.不動産取引における消費税の課税対象要件とは

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はじめに国税庁のホームページで、不動産取引に関係する消費税の課税対象要件を確認しておきましょう。不動産取引で以下の要件に該当する場合は消費税が課税されます。

・国内における取引であること
・事業者が事業として行う取引であること
・対価を得て行う取引であること
・資産の譲渡および資産の貸付けならびに役務(サービス)の提供であること

参考:国税庁「№6105 課税の対象」

したがって、国内における取引であっても、対価を得ずに無償で譲渡(寄附)する場合は非課税となります。そのほかにも、ケースバイケースで消費税がかかる取引とかからない取引があります。

2.新築マンション購入時の消費税

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消費税は商品やサービスを購入または利用したときに課税される税金です。居住用住宅の家賃が非課税なので、住居であるマンションの購入も非課税であると思いたいところです。しかし、マンションも例外ではなく、消費する商品として消費税の課税対象になります。

マンションは新築と中古で課税の有無が異なる場合があります。新築マンションを購入した場合の消費税課税の概要は以下のとおりです。

2-1.新築マンションの購入時は消費税が発生

新築マンションはデベロッパーを兼ねた不動産会社が販売するので、例外なく消費税が課税されます。マンション価格は建物部分と土地部分に分かれて設定されています。新築マンションを購入した場合、消費税は建物部分のみにかかります。土地は消費するという概念には馴染まないので非課税とされています。

購入したマンションの建物価格・土地価格・消費税の内訳は原則として売買契約書に記載されています。消費税が建物部分のみの金額か確認することが大事です。万一土地価格にまで消費税が加算されていたら、署名・押印する前に問いただす必要があります。

2-2.消費税は「総額表示」が基本のルール

消費税は基本的に総額で表示するのがルールになっています。購入価格が3,200万円の物件で、建物価格2,000万円、土地価格1,000万円だとしたら、建物部分のみに200万円消費税が課税されて総額3,200万円と表示されます。

一般の商品のように単純に価格に10%をかけるだけでは計算できないので、わかりにくい仕組みといえます。ただし、ルールはそうなっていても、販売価格に税込と表示されていなかったら、念のため不動産会社に確認したほうが無難です。

3.中古マンション購入時の消費税

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中古マンションを購入するときにかかる消費税は、売主が個人と法人で対応が異なります。新築に比べると判断が難しいケースもあるので注意が必要です。

3-1.個人が売主の場合は非課税となるケースが多い

不動産取引で消費税が課税されるのは、事業者が事業として収益を得るために行う取引に限られます。個人が自宅を売却するのは事業として行うものではないので、消費税の納税義務はありません。したがって個人間で売買する場合は、購入する人も消費税を支払う必要がないのです。そのため、個人が売主の場合は非課税となるケースが多いです。

ただし、個人が売買する場合であっても、投資用不動産を事業として売却する場合は消費税の課税対象になります。

個人事業主(免税事業者)が消費税を課税されるケースは以下の2つです。

・その年の前々年の課税売上高が1,000万円を超えている場合
・その年の前年の1~6月の課税売上高が1,000万円を超え、かつ給料支払額の合計が1,000万円を超えている場合

なお、インボイス制度で課税事業者として登録した場合は、1,000万円以下でも消費税を納税する義務があります。

課税事業者の基準は課税売上高1,000万円以上なので、不動産会社はほぼすべての会社が該当すると考えてよいでしょう。

3-2.法人が売主の場合は消費税の対象になる

先に述べたように、不動産会社などの法人が売主になっている取引には消費税が課税されます。中古マンションも売主が事業者である場合は、建物は消費する商品とみなされるためです。新築マンションと同様に建物価格のみに消費税がかかります。

そう考えると、個人から直接買ったほうが得のように思えますが、個人間売買には大きなリスクがあります。まず「瑕疵担保責任」の問題です。不動産会社が仲介していれば、買った物件に欠陥があった場合に修繕を要請できますが、個人間では責任の所在が曖昧になる恐れがあります。

また重大なトラブルがあった場合も個人間では解決が難しく、人間関係にひびが入る心配もあります。消費税や仲介手数料を削減するために個人から購入することは得策ではありません。中古マンションは重要事項説明がしっかりなされ、契約書も取り交わす不動産会社から購入するのが基本です。

4.マンション購入で消費税の対象となるその他の費用

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マンションの購入でかかる消費税は建物価格だけではありません。初期費用の中にも消費税が発生する費用が多数あるので、あらかじめ把握しておく必要があります。以下は、マンション購入時にかかる費用のうち、消費税が課されるものの具体例です。

4-1.仲介手数料

仲介手数料は売買を仲介してもらった場合に不動産会社に支払う費用です。以下の速算式で計算した金額に消費税が加算されます。

仲介手数料=売買価格×3%+6万円(売買価格が400万円超の場合)

例えば売買価格5,000万円の場合にかかる消費税は、以下のように計算します。

5,000万円×3%+6万円=156万円(仲介手数料)
156万円×10%=15万6,000円(消費税)

仲介手数料が高額なので、消費税もかなりの負担になります。なお、新築マンションはデベロッパーとなる不動産会社が売主となって売り出すので、一般的に仲介手数料がかかりません。仲介手数料がなければ当然消費税も発生しないので、コスト面では新築マンションが有利といえます。

4-2.金融機関に支払う事務手数料

不動産を購入する場合、全額自己資金を用意できる人は少数で、金融機関から融資を受けるケースがほとんどでしょう。

金融機関から融資を受ける場合、融資額によって事務手数料を支払う必要があります。事務手数料には、定められた率で支払う「定率型」と金額が決まっている「定額型」の2種類があります。手数料の相場は定率型が融資額の1~3%程度、定額型が30万円程度です。

事務手数料にも消費税がかかるので、例えば定率型2.2%(税込)なら、0.2%が消費税に該当します。物件価格5,000万円の場合の事務手数料は、5,000万円×2.2%=110万円となり、消費税が10万円かかっています。

4-3.司法書士代行手数料

不動産を購入すると登記手続きが必要です。手続きを司法書士に依頼する場合は司法書士報酬と消費税がかかります。

日本司法書士連合会が司法書士に行ったアンケート調査によると、物件価格が1,000万円の場合、平均費用と消費税は以下のようになります。

登記の種類平均報酬額(税込)消費税
所有権移転登記 売買156,678円5,152円
所有権移転登記 売買2 ※94,887円8,626円
所有権保存登記29,060円2,641円
抵当権設定登記142,699円3,881円
抵当権設定登記2 ※76,383円6,943円
※面識のない登記義務者(売主)の本人確認情報の作成(運転免許証により確認を行ったこととする)、登記原因証明情報(売買契約書等)の作成および登記申請の代理をした場合。

登記手続を自分で行えば司法書士報酬を節約できますが、手続きの手間や書類の不備などの心配を考えると、司法書士に依頼したほうが安心でしょう。

5.マンション購入で消費税以外にかかる税金

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マンション購入においては、消費税以外にもかかる税金があります。代表的な税金として、印紙税・登録免許税・不動産取得税が挙げられます。

5-1.印紙税

売買契約書に既定の金額の収入印紙を貼付することで納税する税金です。税額は下表のように売買契約書に記載された契約金額によって区分ごとに決められています。

なお、2027年3月31日までに作成される、土地建物売買契約書などの不動産の譲渡に関する契約書のうち、契約書に記載された契約金額が10万円を超えるものについては、税率が軽減されます。

▽印紙税税額表(不動産)

記載された契約金額本則税額軽減後の税額
1万円未満非課税対象外
10万円以下200円対象外
10万円を超え50万円以下のもの400円200円
50万円を超え100万円以下のもの1,000円500円
100万円を超え500万円以下のもの2,000円1,000円
500万円を超え1,000万円以下のもの1万円5,000円
1,000万円を超え5,000万円以下のもの2万円1万円
5千万円を超え1億円以下のもの6万円3万円
1億円を超え5億円以下のもの10万円6万円
5億円を超え10億円以下のもの20万円16万円
10億円を超え50億円以下のもの40万円32万円
50億円を超えるもの60万円48万円
契約金額の記載のないもの200円対象外

5-2.登録免許税

登録免許税は、不動産を登記する際に法務局に支払う税金です。不動産の種類や用途によって税率が異なります。以下に、新築および中古不動産の主要な登記に関する税率をまとめました。

登記の種類税率
所有権保存登記(新築)0.4%
所有権移転登記(中古)2.0%
抵当権設定登記(新築・中古)0.4%

所有権保存登記は新築不動産購入時に行う登記で、法務局認定価格の0.4%が課税されます。中古不動産の場合、所有権移転登記が必要となり、その税率は課税標準額の2.0%です。また、融資を利用して購入する場合は、抵当権設定登記が必要で、借入額(債権額)の0.4%が課税されます。一方、全額自己資金で購入する場合には抵当権設定登記は不要となります。

5-3.不動産取得税

不動産取得税は、不動産を購入、贈与、建築などにより取得した際に課税される税金です。不動産取得税はマンションの建物価格と土地価格に分けて計算します。計算式は以下のとおりです。

・建物の計算式
課税標準額(家屋の固定資産税評価額)×3%(2027年3月31日までの軽減税率)
・土地の計算式
課税標準額(土地の固定資産税評価額の1/2)×3%(同)

課税標準額は固定資産税評価額がそのまま適用されますが、固定資産税評価額は公示価格の70%程度が目安になります。上記の計算式には特例措置は含んでいません。

不動産取得税には一例として以下のような特例措置が用意されています。この特例は新築賃貸住宅の場合に適用されるもので、中古賃貸マンションを購入した場合は適用されません。

・住宅部分の軽減措置
新築の居住用住宅で、延床面積が50㎡(賃貸用住宅は40㎡)以上240㎡以下の場合、不動産価格から1,200万円が控除されます。したがって、固定資産税評価額が1,200万円未満の場合は、不動産取得税が非課税になります。

・土地部分の軽減措置
土地は固定資産税評価額を1/2にしたものから軽減額を引くことができます。軽減額は次のうち高いほうを選択できます。
A 4万5,000円
B (土地1㎡あたりの固定資産税評価額×1/2)×(住宅の課税床面積×2(200㎡まで))×3%(2027年3月31日までの軽減税率)

・長期優良住宅の特例措置
耐震性や省エネ性に優れ、長く住める基準を満たした長期優良住宅を取得すると、軽減措置が1,200万円から1,300万円に引き上げられます。

不動産取得税は地方税のため、各自治体から納付通知書が送付されます。送付される時期は自治体によって異なります。納付時期は「不動産取得税納税通知書」に記載された期日です。

6.マンション購入後にかかる税金

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マンションを購入した後も、以下の税金が毎年かかります。固定資産税・都市計画税は住んでいる人ではなく、固定資産の所有者が支払う税金のため、入居者に負担させることはできません。管理費や共益費とは性質が違う費用であることを心得る必要があります。

6-1.固定資産税

固定資産税は、その年の1月1日時点で固定資産を所有している人に課税される地方税です。物件価格ではなく、課税標準額に対して課税されます。課税標準額は固定資産税評価額が基になりますが、公示価格の70%程度が目安になります。税率は原則として1.4%ですが、自治体によって異なる場合があります。

6-2.都市計画税

都市計画税は、その年の1月1日時点で市街化区域に建てられた物件を所有している人に課税される地方税です。税率は原則として固定資産税評価額に上限0.3%をかけて計算します。こちらも自治体によって税率が異なる場合があります。都市計画税は固定資産税と一緒に納税する仕組みです。

固定資産税と都市計画税は、地方自治体から納付書が送付され、原則として年4回に分けて納税します。2つの税は毎年必ず納税しなければいけないので、銀行の口座引き落としに設定すれば納め忘れの心配がありません。

7.不動産にかかる消費税は高額になることを把握しておこう

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不動産は高額な商品なので、かかる消費税もまとまった金額になります。建物価格のみとはいえ、建物価格が3,000万円なら300万円の消費税が課税されるので負担が大きいです。加えて不動産の購入にはさまざまな初期費用がかかります。

不動産購入の初期費用でとりわけ大きいのが仲介手数料です。仲介手数料は建物価格だけではなく購入金額すべてに対して計算されます。もしこの費用がなくなれば初期費用の負担がかなり軽くなります。

そこで検討したいのが新築ワンルームマンションの購入です。デベロッパーを兼ねた不動産会社からの直接購入であれば仲介手数料がかかりません。東京・横浜・名古屋など大都市圏駅歩10分以内の物件であれば、賃貸需要が多いので安定した経営が見込めます。購入価格もファミリー向け物件に比べれば低く抑えられます。

まずは新築ワンルームマンションにどのような物件があるか、不動産会社を気軽に訪ねてみるとよいでしょう。

※記事中の税率や計算式は、軽減措置適用の有無など諸条件によって計算結果が異なります。参考程度にお考えください。

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