サラリーマンでも確定申告が必要な人は?得をするケースや申請方法
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丸山 優太郎
丸山 優太郎
日本大学法学部新聞学科卒業のライター。おもに企業系サイトで執筆。金融・経済・不動産系記事を中心に、社会情勢や経済動向を分析したトレンド記事を発信している。

サラリーマンは通常、年末調整を受けるので確定申告の必要はありません。しかし、中には確定申告が必要な人や、確定申告することで得をする人もいます。本記事では、確定申告の具体的なやり方や申告しなかった場合のペナルティを確認し、正しく確定申告する方法について見ていきます。

目次

  1. 1.会社員・サラリーマンでも確定申告が必要な人
  2. 2.会社員・サラリーマンでも確定申告をしたほうが得な人
  3. 3.確定申告の期限
  4. 4.確定申告に関するペナルティ
  5. 5.確定申告のやり方
  6. 6.サラリーマンでも節税になる人は確定申告をしよう

1.会社員・サラリーマンでも確定申告が必要な人

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会社員・サラリーマンは会社が年末調整をやってくれるので、確定申告の手間がないのがメリットです。しかし、全員が年末調整のみで終わるわけではありません。

会社員・サラリーマンでも、以下の条件に当てはまる人は確定申告が必要です。

1-1.給与が2,000万円を超えている人

給与が2,000万円を超えている人は会社で年末調整をしてくれないので、自分で確定申告する必要があります。年末調整がないため、確定申告しないと生命保険料控除や火災保険料控除など各種控除が適用されません。

2,000万円の基準は給与所得控除や社会保険料控除後の所得ではなく、給与収入の額面が2,000万円を超える人です。年収が2,000万円を超えると、配偶者特別控除や住宅ローン控除などを受けられなくなるというデメリットがあります。

1-2.副業や株式売買などをしている人

副業や株式売買などをしている人はケースによって確定申告が必要になる場合があります。「給与所得と退職所得以外」の所得が20万円を超える人は確定申告が必要です。アルバイトで得た収入は給与所得に含まれます。

課税の基準は、通販であれば売上から仕入れ費用や送料など差し引いて得た所得となります。雑所得が20万円を超えたにもかかわらず確定申告をしなかった場合、本来納めるべき税額との差額を追徴課税されます。

1-3.2ヵ所以上から給与を受け取っている人

何らかの事情があって2ヵ所以上から給与を受け取っている人は、確定申告が必要です。年末調整を受けられるのは本業として働いている会社だけです。本業として給与を受け取っている会社以外からの所得が20万円を超える場合は確定申告をしなければなりません。

2ヵ所以上の会社から給与を受け取っている場合、確定申告するためには、それぞれの会社から源泉徴収票をもらう必要があります。

1-4.一時所得があった人

定期的な収入ではない一時所得が50万円以上あった人は確定申告をする必要があります。国税庁ホームページによると、一時所得に該当するのは以下のような所得です。

(1)懸賞や福引きの賞金品(業務に関して受けるものを除きます。)
(2)競馬や競輪の払戻金(営利を目的とする継続的行為から生じたものを除きます。)
(3)生命保険の一時金(業務に関して受けるものを除きます。)や損害保険の満期返戻金等
(4)法人から贈与された金品(業務に関して受けるもの、継続的に受けるものを除きます。)
(5)遺失物拾得者や埋蔵物発見者の受ける報労金等
(6)資産の移転等の費用に充てるため受けた交付金のうち、その交付の目的とされた支出に充てられなかったもの

出典:国税庁「No.1490 一時所得」

1-5.前職年収を含めず年末調整を受けた人

年度途中で転職した人が、前職の年収を含めずに年末調整を受けた場合は、確定申告が必要です。年度途中で転職した場合、本来は前職の会社から源泉徴収票をもらって、新しく就職した会社で年末調整をしてもらいます。2回転職した場合は、2社分の源泉徴収票が必要です。

もし何らかの事情があって前職の会社から源泉徴収票をもらえなかった場合は、自分で確定申告しなければなりません。

1-6.退職などで年末調整をしていない人

年度途中に退職した人が年末調整をしていない場合は、確定申告をしなければなりません。上記のように年度途中に退職しても同じ年に再就職すれば、新しく勤務した会社で年末調整してくれます。

しかし、再就職していない場合は、退職した会社から源泉徴収票をもらって、確定申告をする必要があります。

2.会社員・サラリーマンでも確定申告をしたほうが得な人

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年末調整を受けた会社員・サラリーマンでも、確定申告をしたほうが得になる人がいます。以下のケースに当てはまる人は、確定申告をすることによって節税になる場合があるので、実行しましょう。

2-1.医療費控除を受ける人

医療費控除を受ける人は確定申告をする必要があります。医療費控除は、生計を同じくする家族の年間の医療費が10万円を超えた場合、所得から控除できる制度です。病院やクリニックでの診察代だけでなく、薬代や医療機関までの交通費なども対象になります。

控除できる金額は最高200万円で、総所得が200万円未満の人は総所得の5%を控除できます。

また、医療費が10万円を超えていない人は、「セルフメディケーション税制」を利用して節税することができるので、利用するとよいでしょう。

セルフメディケーション税制とは、健康の保持増進や疾病の予防として一定の取り組みを行っている人が、その年中に自分や生計を同じくする家族のために、1万2,000円を超える対象医薬品を購入した場合に、超えた分の金額を控除できる制度です。

ただし、医療費控除と併用することはできないので注意が必要です。

2-2.住宅ローン控除1年目の人

住宅ローン控除はローンを組んで住宅を購入した場合、ローン残高に応じて所得控除できる制度です。ローンを組んで1年目の人は、確定申告の必要があります。2年目以降は年末調整で控除されるため、確定申告する必要はありません。

2-3.ふるさと納税をした人

最近人気になっている「ふるさと納税」ですが、確定申告においては寄附金控除を利用することができます。控除額は次のうちいずれか低いほうから2,000円を差し引いた額になります。

・その年に支出した特定寄附金の合計額
・その年の総所得額の40%相当

確定申告の際は、自治体から送付される「寄附金受領証明書」の提出が必要です。

なお、ふるさと納税には、以下の条件を満たせば確定申告をしなくても寄附金控除が受けられる「ワンストップ特例制度」があるので、そちらを利用するのもよいでしょう。

・ふるさと納税の確定申告が不要な給与所得者
・医療費控除や初年度の住宅ローン控除を受ける必要がない人
・1年間のふるさと納税の寄附先が5つの自治体以内の人

2-4.災害や盗難の被害を受けた人

地震や台風などの災害にあった人や盗難の被害を受けた人は、確定申告することによって雑損控除の適用を受けることができます。雑損控除の金額は次のうちいずれか多いほうの金額です。

・(損害金額+災害等関連支出の金額-保険金等の額)-(総所得金額等)×10%
・(災害等関連支出の金額-保険金等の額)-5万円

また、雑損控除とは別に、その年の所得金額の合計額が1,000万円以下の人が災害にあった場合は、「災害減免法」による所得税の軽減免除があります。

2-5.損益通算できる損失がある人

損益通算は、事業や投資の利益と損失を相殺できる制度です。

例えば、不動産投資が赤字になった場合、損益通算によって給与所得等から赤字分を差し引くことができます。給与の課税所得が400万円で不動産所得が100万円の赤字だった場合、差し引き300万円に対して課税されるため、所得税と住民税の節税につながります。

また、株式やFX(外国為替証拠金取引)の売買もケースによって損益通算できる場合があります。ただし、NISA(少額投資非課税制度)口座内で発生した利益と損失は損益通算できないので注意が必要です。

2-6.経費合計が給与所得控除額の半分以上だった人

サラリーマンの経費にあたる「特定支出」の合計が給与所得控除額の半分以上だった場合、最高125万円まで確定申告によって、超過した金額を所得から差し引くことができます。

給与所得者の特定支出とは、通勤費、職務上の旅費、転居費、研修費、資格取得費、帰宅旅費、勤務必要経費(図書費、衣服費、交際費等)を指します。

控除額は、その年中の給与所得控除額の2分の1です。

2-7.家族にフリーランスや自営業者がいる人

家族の中にフリーランスや自営業者がいる人は、年末調整に注意が必要です。というのも、フリーランスや自営業者は収入が不安定なので、年によって所得が大きく異なります。そのため、年末調整で配偶者控除や配偶者特別控除を受けられない可能性があるのです。

また、家族の収入が130万円を超える場合も、控除対象外になります。

2-8.年末調整で申告し忘れた控除がある人

年末調整で控除が多いと申告し忘れる控除もあるでしょう。出し忘れた場合は、確定申告することで追加の控除ができます。確定申告する際は年末調整済みの源泉徴収票が必要になるので、紛失しないように注意しましょう。

2-9.年末調整後に結婚した人

年末調整した後に結婚した人は、新たに給与所得者の扶養家族になり、扶養控除や扶養特別控除の対象になる場合があります。確定申告することによって控除額が戻る可能性があるので、提出するとよいでしょう。

ただし、扶養家族になる人が自営業者で白色申告や青色申告をしている場合や、給与が130万円を超えている場合は扶養控除の対象になりません。

2-10.家を売却して損をした人

家を売却した結果、購入した価格を下回って損失が出る人もいるでしょう。売却した年の1月1日現在で、所有期間が5年以上のマイホームに譲渡損失が生じた場合は、譲渡損失の金額をその年のほかの所得と損益通算することができます。

損益通算および繰越控除できる金額は、国税庁によって以下のように定められています。

(1)又は(2)により、その譲渡損失の金額をその年の他の所得と損益通算することができます。

その年で通算しきれなかった譲渡損失の金額がある場合には、その年の翌年以後3年内の各年分(合計所得金額が3,000万円を超える年分を除きます。)の所得から繰越控除をすることができます。

(1)新たにマイホームを買い換える場合の特例
マイホームを売った年の前年から翌年までの3年の間に新たなマイホームを取得し、年末においてその新たなマイホームの取得に係る住宅ローン残高があるなどの、一定の要件に該当する場合には、売ったマイホームの譲渡損失の金額について損益通算及び繰越控除をすることができます。

(2)新たにマイホームを買い換えない場合の特例
マイホームの譲渡契約締結日の前日において住宅ローン残高があるマイホームを売ったなどの、一定の要件に該当する場合には、そのマイホームの譲渡損失(住宅ローン残高からマイホームの譲渡対価の額を控除した残額を限度とします。)の金額について損益通算及び繰越控除をすることができます。

出典:国税庁「土地や建物を売ったとき」

2-11.株やFXなどで損をした人

株式売買やFXで損失が出た人は確定申告をしたほうが得な場合があります。

株式売買で損失が出た場合は、特定口座(源泉徴収あり)で源泉徴収するより、確定申告をして損失分をほかの口座の株式譲渡益や配当金と損益通算したほうが得になります。

FXで損失が出た場合は、確定申告を行うことで、個人の場合最大3年間繰越控除することができます。

3.確定申告の期限

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確定申告は当該年度1月1日~12月31日までに得た所得を、2月16日~3月15日(税務署が休業日の場合は翌営業日)の期間内に行います。

また、納税も同じ期間内に行わなければいけないので、確定申告書を提出したら終わりではありません。

4.確定申告に関するペナルティ

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確定申告で何らかの違反行為があった場合はペナルティが課されます。ペナルティの内容は、違反行為の悪質性によって決められます。

4-1.申告しなかった場合

確定申告をしなかった場合、「無申告加算税」が課されます。コロナ禍で緊急事態宣言が出たときは申告期限が1ヵ月延長されましたが、そのような正当な理由がない限り、申告期限を過ぎないようにしなければなりません。

加算される金額は、税務署から調査を受けて発覚したかどうかで異なります。税務調査を受けた場合は、納付すべき金額の50万円までは15%、50万円を超える部分は20%が加算されます。

一方、税務署から言われる前に自分で申告した場合は5%に減額されるので、期限を過ぎたら早めに申告することが大事です。

4-2.期日までに納税しなかった場合

所得税を期日までに納税しなかった場合は、申告はしているが納税を怠っているので「延滞税」が課されます。市民税を一定期間過ぎても支払わないと延滞税が加算されるのと同じです。

加算される金額は、申告期限から実際に支払った日までの日割りで計算されるので、遅れれば遅れるほど損をします。確定申告書を提出したら、その日のうちに金融機関に行って納税を済ませましょう。

4-3.不正な手段で納税を免れた場合

不正な手段で納税を免れる、いわゆる脱税をした場合は、上記2つとは処罰の性質が異なります。脱税は犯罪のため、「5年以下の懲役もしくは500万円以下の罰金、またはその両方」という重い処罰が課せられます。

サラリーマンの場合は給与収入を脱税するケースはごく稀でしょう。あり得るとすれば、副業や一時所得などで申告義務がある収入を申告しなかったケースです。副収入が申告すべき水準の金額かどうかチェックする必要があります。

5.確定申告のやり方

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初めて確定申告する人にとっては、やり方を把握する必要があります。

1年間事業活動を行って、12月31日で収入と支出が出揃ったら、確定申告書にまとめる作業を行います。

5-1.必要な書類

確定申告するには、以下のような必要書類を用意します。

5-1-1.確定申告書

確定申告書は、国税庁が提供しているWebサイト「確定申告書等作成コーナー」で簡単に作成できます。画面の案内どおりに各種書類を見ながら入力していくので、初めて確定申告する人でも問題なく作成可能です。

5-1-2.本人確認書類

マイナンバーカードがあればコピーを添付します。通知カードや個人番号が記載された住民票を利用する場合は、運転免許証、健康保険証、パスポート、在留カードなどのコピーを一緒に添付する必要があります。

5-1-3.所得金額がわかる書類

青色申告決算書、事業所得の内訳を記載した収支内訳書、株式の年間取引計算書など収入を明らかにできる書類を提出します。

5-1-4.各種控除の申請に必要な書類

雑損控除(災害に関する支出を証明する書類)、医療費控除(医療費控除の明細書、医療費の通知)、寄附金控除(寄付金額を証明する書類)などに関する書類を添付します。医療費の領収書は提出せず保管しておきます。

5-2.提出方法

確定申告書の作成が終わったら、必要な添付書類と一緒に所轄の税務署に提出します。確定申告書の提出方法は以下の3つから選べます。

・e-Tax(電子申告)を使って提出する
・郵送で提出する
・税務署に直接提出する

ほかに確定申告会場に出かけて申告書を提出することもできます。会場の情報はホームページの「確定申告会場のお知らせ」で確認できます。毎年時期が来ると会場が公表されるので、最新の情報を確認のうえ利用することをおすすめします。

6.サラリーマンでも節税になる人は確定申告をしよう

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サラリーマンで確定申告をしたことがない人にとって、確定申告は手間がかかるイメージがあり、できれば年末調整だけで済ませたいという思いもあるでしょう。

しかし、確定申告をすることで各種控除を利用でき、節税につながる場合があります。逆に確定申告をすべきなのに怠るとペナルティが課され、本来支払う税金より高い額を納税することになります。

確定申告の義務があるかチェックして、義務がなくても節税につながる場合は確定申告するようにしましょう。

※本記事は2024年10月21日現在の情報を基に構成しています。各種税制は変更になる場合があります。確定申告の際は最新の情報をご確認ください。

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