サラリーマンが個人でできる節税対策を紹介!高所得者におすすめの方法も
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丸山 優太郎
丸山 優太郎
日本大学法学部新聞学科卒業のライター。おもに企業系サイトで執筆。金融・経済・不動産系記事を中心に、社会情勢や経済動向を分析したトレンド記事を発信している。

サラリーマンは給与から差し引かれる税金が多く、手取り収入はかなり減ってしまいます。そこで必要になるのが節税対策です。本記事では、サラリーマンが個人でできる節税方法や、高所得者におすすめの方法を紹介しますので、参考にしてください。

目次

  1. 1.サラリーマンが知っておきたい税金の仕組み
  2. 2.サラリーマンが実践できる節税対策
  3. 3.資産形成と節税を両立する方法
  4. 4.特定の状況で活用できる節税方法
  5. 5.高所得者におすすめの節税方法
  6. 6.節税対策の手続きと注意点
  7. 7.サラリーマンは節税できるチャンスが多い

1.サラリーマンが知っておきたい税金の仕組み

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サラリーマンが受け取る給与明細を見ると、額面金額と手取り金額の乖離が大きいことがわかります。税金の負担が重いからです。給与から差し引かれる税金の種類と、年収が増えるに従って税負担が増える理由を確認しましょう。

1-1.サラリーマンが負担する税金の種類

サラリーマンが負担する税金・社会保険料には以下のようなものがあります。

・税金=所得税、住民税
・社会保険料=健康保険料、厚生年金保険料、雇用保険料、介護保険料

このうち、介護保険料は40歳になった誕生月から徴収が始まります。保険料となっていますが、サラリーマンの感覚では社会保険料を含めて「取られる税金が多い」と感じているようです。

1-2.年収が増えると税負担も増加する理由

日本の所得税は、年収が増えるほど税負担が増加する「超過累進課税制度」を採用しています。課税される所得区分が上がるごとに税率も上がっていきます。課税所得が900万円を超えると税率は33%になり、住民税10%を加えると税負担は43%に及びます。いくら稼いでも暮らしが楽にならないと感じるのは、この制度上の問題によるところが大きいです。

▽所得税税率表

課税される所得金額税率控除額
1,000円から1,949,000円まで5%0円
1,950,000円から3,299,000円まで10%97,500円
3,300,000円から6,949,000円まで20%427,500円
6,950,000円から8,999,000円まで23%636,000円
9,000,000円から17,999,000円まで33%1,536,000円
18,000,000円から39,999,000円まで40%2,796,000円
40,000,000円以上45%4,796,000円

2.サラリーマンが実践できる節税対策

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引かれる税金が多いのであれば、サラリーマンにできる節税対策を実践して、少しでも手取り額を増やす必要があります。以下の対策で自分が該当するものがあれば実践しましょう。

2-1.扶養控除や配偶者控除の活用

子どもがいる家庭や、親の面倒を見ている家庭であれば扶養控除を受けられます。扶養親族の区分によって、以下のような金額を控除できます。

区分控除額
一般の控除対象扶養親族38万円
特定扶養親族63万円
老人扶養親族同居老親等以外の者48万円
同居老親等58万円

扶養控除を受けるには、以下の4つの要件を満たしている必要があります。

・配偶者以外の親族または都道府県知事から養育を委託された児童や、市町村長から養護を委託された老人であること。
・納税者と生計を一にしていること。
・年間の合計所得が48万円以下であること(給与のみの場合は給与収入が103万円以下)。
・青色申告の事業専従者としてその年を通じて一度も給与の支払を受けていないことまたは白色申告の事業専従者でないこと。

また、所得税法上の配偶者がいる場合は、以下の金額を控除できます。

控除を受ける納税者本人の
合計所得金額
控除額
一般の控除対象配偶者老人控除対象配偶者
900万円以下38万円48万円
900万円超950万円以下26万円32万円
950万円超1,000万円以下13万円16万円

2-2.生命保険料・地震保険料の控除

「生命保険料」「個人年金保険料」「介護医療保険料」を支払った場合は、それぞれ以下の金額を控除できます(2012年1月1日以降に契約した場合)。

・年間の支払保険料が2万円以下の場合は、支払保険料全額
・2万円超4万円以下の場合は、支払保険料×1/2+1万円
・4万円超8万円以下の場合は、支払保険料×1/4+2万円
・8万円超の場合は、一律4万円

したがって、最大12万円まで控除できることになります。

また、「地震保険料」を支払った場合は、保険料5万円以下は支払保険料全額、5万円超は5万円を所得控除できます。

2-3.医療費控除とセルフメディケーション税制

医療費と医薬品代も金額によっては所得控除できます。

「医療費控除」は支払った医療費の合計から、民間の医療保険などで補填された金額から10万円を差し引いた金額を所得控除できます。

医療費控除額=年間に支払った医療費-医療保険から補填された金額-10万円

単に診療費だけでなく、治療・療養に必要な医薬品の購入費用や、あんま・マッサージ・はりなどの施術料、義手、義足、松葉杖、補聴器、義歯なども医療費として認められます。

「セルフメディケーション税制」は、薬局やドラッグストアで、対面で購入できるOCT医薬品の購入費用のうち、1万2,000円を超える部分を控除できる制度です。

ただし、予防接種、健康診断の受診など健康になるための取り組みを行っていることが条件になります。また、医療費控除とセルフメディケーション税制は併用することができません。

2-4.ふるさと納税による寄附金控除

ふるさと納税は、寄附した地方自治体から名産品などの返礼を受けられるうえに寄附金控除できることから、近年人気が高まっています。

任意で選んだ地方自治体に寄附することができ、控除上限額の範囲内で寄附した金額のうち、2,000円を超える部分を所得から控除できます。

つまり実質2,000円の負担で名産品がもらえる大変有利な制度です。

2-5.住宅ローン控除での減税対策

住宅ローンを支払っている人は、住宅ローン控除を利用できます。住宅の購入やリフォームを行ったときに、国税庁ホームページに記載されている「控除の適用を受けるための要件」のすべてを満たした場合に所定の金額を所得から控除できます。

主な要件は以下のとおりです。

・住宅の床面積が50平方メートルで、かつ床面積の2分の1以上を専ら住むために使っていること。
・特別控除を受ける年の合計所得額が3,000万円以下であること。
・10年以上にわたり分割で返済する方法になっている住宅ローンがあること。

そのほか細かく適用要件が記載されているので、ホームページで確認が必要です。

控除額は住み始めた年によって異なり、最新の2024年1月1日~2025年12月31日の間に住み始めた場合は、控除期間10年、1~10年目すべての年で「年末残高等(上限2,000万円)×0.7%」の金額を所得控除できます。

2-6.特定支出控除の費目と適用範囲

サラリーマンは事業者に比べて必要経費が少ないと思われがちですが、以下のような費用は特定支出控除として給与収入から差し引くことができます。

通勤費、職務上の旅費、転居費、研修費、資格取得費、帰宅旅費、勤務必要経費(図書費、衣服費、交際費等)

これらの特定支出は、いずれも給与の支払者またはキャリアコンサルタントが証明したものに限られます。

3.資産形成と節税を両立する方法

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サラリーマンにとっては、将来に備えて資産運用することも必要です。資産形成と節税を両立させる有利な制度が、話題になっている「NISA」と「iDeCo」です。ともに非課税で資産運用が可能なことから、検討する価値がある制度といえます。

3-1.NISA(少額投資非課税制度)を利用した非課税投資

つみたて投資枠成長投資枠
非課税保有期間無制限
口座開設期間恒久化
年間投資枠120万円240万円
非課税保有限度額1,800万円(うち成長投資枠は1,200万円)
投資対象商品長期の積立・分散投資に適した一定の投資信託(金融庁の基準を満たした投資信託に限定)上場株式・投資信託等
対象年齢18歳以上

2024年1月から新NISA制度がスタートし、「つみたて投資枠」が120万円、「成長投資枠」が240万円の合計360万円まで非課税で投資できます。限度枠の範囲で購入した投資信託や株式から得られる配当金や売却益を非課税で受け取ることができるため、資産運用するなら利用したほうが良い制度です。

非課税限度額が1,800万円で、空いた枠の再利用もできるため、月数万円投資する少額投資家ならほぼ生涯非課税で資産運用できると考えて良いでしょう。

3-2.iDeCo(個人型確定拠出年金)での節税

個人年金の1つとしてiDeCoも節税に役立つ制度です。自分が毎月拠出した掛金を資産運用するのが特徴で、運用したお金は60歳以降に年金として受け取ることができます。資産運用なので運用結果によって受け取る額が異なります。

掛金は全額所得控除(小規模企業共済等掛金控除)、給付時は年金として受給する場合は公的年金等控除、一時金として受け取る場合は退職所得控除をそれぞれ利用できます。

ただし、NISAに比べて掛けられる金額は少ないです。下表のように加入者によって毎月拠出できる限度額が定められており、最も多い加入者でも年間81万6,000円が限度となります。また、掛金は60歳になるまで引き出すことはできないので注意が必要です。

区分毎月の拠出額
国民年金第1号被保険者
(自営業者等)
6万8,000円
国民年金第2号被保険者
(厚生年金保険の被保険者)
確定給付型の年金及び企業型DCに加入していない場合(公務員除く)2万3,000円
企業型DCのみに加入している場合2万円
確定給付型の年金のみ、または確定給付型と企業型DCの両方に加入している場合1万2,000円
公務員1万2,000円
国民年金第3号被保険者
(専業主婦(夫)等)
2万3,000円
国民年金任意加入被保険者6万8,000円

3-3.副業収入を青色申告で節税

サラリーマンでマンション経営を副業で行っている人もいるでしょう。副業の収入でも一定の要件を満たせば、青色申告を利用して節税することが可能です。

青色申告を利用すると、最大65万円の青色申告特別控除を受けることができ、生計を同じくする家族に専従者給与を支払うことができます。

ただし、青色申告を利用する場合は、個人事業主として開業届を提出しなければなりません。そのため、職場の就業規則を確認し、会社の許可を得る必要があります。

4.特定の状況で活用できる節税方法

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毎年できる節税のほかに、特定の状況で活用できる節税方法があります。以下の3つが代表的な例です。

4-1.株取引で損失が発生した場合

上場企業の株を取引して損失が発生した場合、ほかの所得と損益通算できます。その年の譲渡利益と配当金から損失を差し引いて「譲渡所得」が赤字となった場合、給与所得等から赤字分を控除することによって所得税・住民税の節税につながります。

ただし、NISA口座を利用して発生した損失については損益通算できないので注意が必要です。

4-2.配偶者と離婚や死別した場合

配偶者と離婚や死別した場合、「ひとり親控除」や「寡婦控除」を受けることができます。

ひとり親控除は、納税者がひとり親(シングルマザー、シングルファーザー)の場合、以下の3つの要件を満たせば、35万円を所得から控除できます。

・その人と婚姻関係同様の状況にある相手がいないこと。
・生計を一にする子(総所得金額48万円以下、ほかの人の同一生計配偶者や扶養親族になっていない子)がいること。
・合計所得金額が500万円以下であること。

寡婦控除は、その年の12月31日時点でひとり親に該当せず、以下の要件に当てはまると27万円を所得から控除できます。

・夫と離婚した後再婚せず扶養親族がいる人で、合計所得金額が500万円以下であること。
・夫と死別した後再婚していない人または夫の生死が明らかでない人で、合計所得金額が500万円以下であること。

4-3.災害や盗難に遭った場合

運悪く災害や盗難にあった場合は、「雑損控除」と「災害減免法による所得税の軽減免除」で節税できます。

雑損控除は、災害や盗難、横領によって「雑損控除の対象になる資産の要件」に当てはまる損害を受けた場合は、以下のうち多い金額を所得控除できます。

・(損害金額+災害等関連支出の金額-保険金等の額)-総所得金額等×10%
・(災害等関連支出の金額-保険金等の額)-5万円

災害減免法による所得税の軽減免除は、災害によって受けた住宅や家財の損害金額(保険で支払われた分を除く)がその時価の2分の1以上で、かつ災害にあった年の所得金額の合計が1,000万円以下の場合、以下のように所得税が免除されます。

・所得金額の合計が500万円以下の場合は、所得税の額の全額
・500万円を超え750万円以下の場合は、所得税の額の2分の1
・750万円を超え1,000万円以下の場合は、所得税の額の4分の1

5.高所得者におすすめの節税方法

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高所得者は融資審査における属性が高いため、不動産投資を利用した節税がおすすめです。

5-1.サラリーマンに向いている節税対策「損益通算」

不動産投資を利用した節税対策でよく利用されているのが「損益通算」という仕組みです。不動産所得が赤字になった場合、給与所得などほかの所得から赤字分を控除することで、所得税・住民税を節税できます。

例えば、給与所得が700万円で不動産所得が100万円の赤字なら課税所得は600万円になり、所得税は以下のように変わります。

・給与所得のみの場合
課税給与所得700万円×税率23%-控除額63万6,000円=97万4,000円(所得税)

・損益通算した場合
給与所得700万円-不動産所得赤字分100万円=600万円(課税所得)
課税所得600万円×税率20%-42万7,500円=77万2,500円(所得税)

損益通算により、97万4,000円-77万2,500円=20万1,500円も節税できたことになります。

5-2.高所得者が不動産投資を行うメリット

高所得者が不動産投資を行うメリットは、所得税・住民税と譲渡税の乖離が大きくなり、減らせる税額が大きいことです。

例えば、課税所得900万円の人は、所得税と住民税を合わせて43%もの税率が課されます。しかし、不動産を売却したときの譲渡所得税の税率は20.315%(長期保有の場合で、復興特別所得税含む)なので、本来より大幅に低い税率で売却することができます。

5-3.節税効果を狙うなら前向きな物件選びが必要

マンション経営は本来収益を上げるために行うものです。節税効果を狙うなら先に述べたような、損益通算や所得税・住民税と譲渡所得税の乖離を狙った前向きな物件選びが必要です。

赤字を出したいからといって減価償却費を短期で計上できる耐用年数残存期間の少ない築古マンションを購入するのは本末転倒です。確かに4~5年は赤字になって所得税を減らせるかもしれませんが、物件自体に集客力がなく、売ろうと思っても買い手が付かず、賃貸しても入居者が付かない不良物件を抱える恐れがあります。結局捨て値で処分して初期費用も含め大きな損失を出したのでは、何のための節税かわかりません。

減価償却費は赤字にしなくてもそれ自体で不動産所得を減らせるので、むしろ新築マンションで長期間減価償却したほうが安定して節税になります。

6.節税対策の手続きと注意点

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最後に、節税対策の手続きと注意点について確認しておきましょう。

6-1.確定申告と年末調整

サラリーマンが節税対策を実行するには、年末調整や確定申告のときに控除額をきちんと計上する必要があります。

各種控除のうち、雑損控除、医療費控除、セルフメディケーション税制、寄附金控除は確定申告のみで計上が可能です。そのほかはほとんど年末調整で行われるので、証明書類等を会社に提出します。

6-2.税理士への相談

税金に関する相談は税理士に行います。税理士は確定申告の代行業務も行えるので、相談してそのまま依頼することもできます。事業規模にもよりますが、税務署との対応に不安があるなら、税理士に依頼したほうが無難でしょう。

6-3.控除制度と税優遇措置の利用

所得税・住民税を少しでも少なくするためには、各種の控除制度と税優遇措置はとことん利用することが大切です。控除制度に関しては、国税庁のホームページ等で確認して要件を満たすものは利用しましょう。

また、税優遇措置ではNISAとiDeCoを併用できるので、給与の中から無理のない範囲で適切に配分して運用すると良いでしょう。

7.サラリーマンは節税できるチャンスが多い

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サラリーマンが個人でできる節税対策について見てきました。サラリーマンは、給与からの控除、資産運用における税優遇、不動産投資を利用した損益通算など節税のチャンスが多い職業です。

特に高所得者は融資審査で通りやすいので、不動産を利用して節税するのに適しています。給与から引かれる税金を少しでも減らすために、本記事を参考に節税に取り組んでみてはいかがでしょうか。

※本記事は2024年8月29日現在の情報を基に構成しています。記事中の控除額は税制改正により変更になる場合があります。控除制度を利用する際は国税庁ホームページ等で最新の情報をご確認ください。

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