ふるさと納税の利用件数は2017年度の時点で1,700万件以上に達しており、2008年度の実に340倍ほどとなっています。テレビCMや広告などでも数多く宣伝されており、いまや全国的な知名度があると言ってもよいでしょう。

ただし、初めて利用する人が注意すべき点の一つとして「ワンストップ特例制度」があります。こちらを利用しないと、確定申告しない限りふるさと納税による節税効果を受けることができません。今回は、ワンストップ特例制度の概要と対象者、使い方について説明します。

ふるさと納税をする会社員が知っておくべき「ワンストップ特例制度」の使い方
(画像=Syda Productions/Shutterstock.com)

ワンストップ特例制度でふるさと納税の確定申告が不要に!

ふるさと納税で節税効果を得るためには、寄附した金額を「寄附金控除」として税務署へ申告する必要があります。かつては、確定申告をするしか申告方法がありませんでした。自分の収入や支出(経費)、寄附金控除を含めた各種控除などを確定申告書に記載し、2月中旬から3月中旬にかけての確定申告期間に税務署へ提出することで、控除された分のお金が払いすぎた税金の還付金として戻ってくる仕組みです。

しかし一般的な会社員にとって、確定申告の作業は不慣れでとても面倒に感じられると思います。せっかく会社が源泉徴収や年末調整で納税作業を代行してくれているにもかかわらず、ふるさと納税だけのために自分で確定申告しなければならなくなってしまいます。その中で、面倒な確定申告作業をせずに控除を可能とする方法が求められ、新設された制度がワンストップ特例制度です。

ワンストップ特例制度は、2015年4月1日以降を対象として新設されたものです。ワンストップ特例制度を活用すれば、確定申告を行わなくてもふるさと納税による寄附金控除を受けられます。

このワンストップ特例制度を利用するには、ふるさと納税を行なった自治体が5つ以内で、なおかつ納税先の全自治体に対して申請用紙(寄付金税額控除に係る申告特例申請書)を提出する必要があります。

6回以上ふるさと納税を利用した場合でも、対象の自治体が5つ以内であれば制度の適用対象です。また申請用紙は自分でダウンロードすることもできますし、多くの自治体ではふるさと納税の返礼品とともにこの申請用紙を同封してくれます。1枚記入するのに数分程度しか要しないような簡便な申請用紙ですので、確定申告書に比べればはるかに短い時間で手続きが完了するはずです。

ワンストップ特例制度の申請方法

ワンストップ特例制度を利用するには、申請用紙が必要です。ここで重要なのは、ふるさと納税を申し込むときに「申請書が必要」という欄にチェックを付けることです。もともと確定申告が必要な人、あるいは確定申告したい人は、この欄にはチェックせずに申し込めば申請用紙は同封されずに返礼品だけを送ってもらうこともできるのです。

万が一、「申請書が必要」の欄にチェックを入れ忘れてしまったとしても、Webサイトからダウンロード・印刷することが可能です。自治体のホームページか、自分が利用したふるさと納税のポータルサイトから入手してもよいでしょう。自分で印刷する手間がかかりますが、確実に用紙を手に入れられます。マイナンバーの写しなどの本人確認書類も忘れないようにしましょう。

そしてもう一つ、返礼品が送られてきたらできるだけすぐに自治体へ返送することです。返礼品が送られてきただけで満足してしまい、うっかり申請を忘れてしまうのがよくあるミスです。

2018年分のワンストップ特例申請書の提出期限は2019年1月10日必着でした。毎年この時期が期限となりますが、あわてて年末年始に郵送しても郵便トラブルなどによって届かないリスクもわずかながら考えられます。余裕を持って早めに提出するようにしてください。

ワンストップ特例制度を使えない人も?例外事項をチェック

ワンストップ特例制度の申請条件として、ふるさと納税先の自治体が5つ以内であることに加えて、そもそも確定申告をしなくてよい人であることが挙げられます。逆に言えば、ふるさと納税の有無にかかわらず確定申告が必要な人は、ワンストップ特例制度を使えません。確定申告を通じてふるさと納税の申告を行うことになります。

確定申告の必要な人の例は以下の通りです。

  • 給与収入が2,000万円を超える
  • 給与所得・退職所得以外(不動産所得、雑所得など)の所得の合計額が20万円を超える
  • 源泉徴収の対象となる給与を2つ以上の会社からもらっており、年末調整されなかった給与収入と給与所得・退職所得以外の所得の合計額が20万円を超える

したがって額面で2,000万円以上もらっている会社員や、副業などにより年間20万円以上の所得を得ている人などはワンストップ特例制度の対象外となります。

また確定申告が必要というわけではないが、医療費控除や住宅ローン控除などのために確定申告しようと考えている人も、ワンストップ特例制度を使うことはできません。他の控除とともに、ふるさと納税による寄附金控除についても確定申告書へ記載する必要があります。確定申告とワンストップ特例をともに利用することはできません。

ワンストップ特例制度を活用してふるさと納税を行おう

ワンストップ特例制度の申請方法や条件について、述べてきました。確定申告の作業がめんどうで、ふるさと納税に踏み切れなかった方もいるかもしれません。ワンストップ特例制度は多くの方がふるさと納税を始める際に魅力的な制度です。自分が申請の条件を満たしているのかを確認し、ふるさと納税を検討している方はぜひ、この制度を活用してみましょう。

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