プライベートやビジネス、投資などあらゆる分野で、初めてのことや分からないことはたくさんあります。また、にわかに問題が生じることもたびたび起こり得るものです。このような不明瞭な状況に置かれたとき、どのように対応しているでしょうか。選択肢の一つとして、OODAループ(ウーダループ)という即断即決ができる戦略思考があります。本稿では、このOODAループについて説明します。

不動産投資にも役立つ!?即断即決の思考法「OODAループ」について
(画像=sommart sombutwanitkul/Shutterstock.com)

特異な歴史が生み出した戦略思考法

OODAループは、既存のフレームワークとは異なる特徴的な思考法です。OODAループは元来、アメリカ軍の戦闘機乗りが戦争中に開発したものであり、先行きが不明瞭で状況が読みづらい戦闘中における、迅速な意思決定手法として生まれたものです。どちらかといえば、戦術的な手段として生まれたのがOODAループの特徴といえます。

アメリカ軍は、その活用が幅広い分野に適用できることに気づき、次いで戦略レベル、ひいてはアメリカ軍全体にまで活用されるようになりました。さらに、その活用は留まるところを知らず、西側諸国のさまざまな軍隊で採用されたうえ、最終的には私たちのビジネスなどにも適用される形にまでいたったのです。

特殊な状況ほど高い効果を発揮

OODAループは元来、戦闘機乗りが空中戦のために開発した思考法です。マッハで飛び交う速度で敵軍と戦い合うための考え方ですので、その特徴はとにかくアウトプットまでの速度が早いことにあります。先が読めなかったり、問題がこんがらがっていたり、何をすれば良いのか分からないような不明瞭な状況に置かれた場合でも、即断即決で回答を導き出せます。

OODAループの考え方

OODAループは4つに分けられる1つのサイクルを持ちます。図面として考えるとPDCAのサイクルのように回してゆくものと思っていいでしょう。実際には、下記の4段階に分かれていきます。

1.Observe(観察) 2.Orient(見当) 3.Decide(意思決定) 4.Act(行動)

・1.Observe(観察)

最初の段階であるObserve(観察)とは、情報を集めることです。たとえば、これから外に出かけるとしたら、まず空を見上げて小雨が降っていることに気づき、スマホを使って天気予報を見たりすることが観察に該当します。

・2.Orient(見当)

次のOrient(見当)とは、今の状況について自分の置かれている立ち位置が分かることです。これによって自分の目的が定まってきます。天気でいえば、「小雨が降っているために濡れないように何かをしなければいけない」ということがわかるのです。

・3.Decide(意思決定)

Decide(意思決定)は、自分が何をすべきかを考える段階です。雨が降っているのだから、「傘を持って出かけるか」「レインコートを着るか」など、具体的な計画を導き出します。

・4.Act(行動)

最終段階はAct(行動)です。実際に傘を持って外出します。

以上で1サイクルとなります。しかし、例えば外は風が強く、あまり傘が役に立たないことに気づくかもしれません。そういった場合、再びObserve(観察)へと戻る形になるのです。

あくまでも効果と成果が全て

OODAループが生まれる前まで、アメリカ軍は司令室で作戦を立て、それを地球の裏側で実践させようとしました。しかし、机上の空論が実際の戦場でそこまで当てはまったわけではありません。そして、日本の場合、このアメリカ軍の古い考え方が今でも浸透しています。日本は、官民ともに最初にきっちりと計画を立て、そこから逸れることなく実行してゆくことを好みます。

この考え方は、工場などでより効率化を図るためのPDCAサイクルなどと相性が良い傾向です。しかし、ビジネスというものはいつ何が起こるか分かりませんし、そもそも挑戦の連続です。そのため、思いもよらない事態に遭遇したとき、即断即決のOODAループが功を奏すでしょう。

想定外のときにはぜひ活用を

OODAループは精密さには欠けるかもしれませんが、実行可能なアクションにはすぐに結び付けられる便利な思考法です。ビジネスにおいて想定外の状況はしばしば起こり得ます。そのような際にはぜひOODAループを活用されてみてはいかがでしょうか。

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