近年「EdTech」という言葉が教育分野で盛んに用いられるようになってきました。IT技術を教育現場に活用することで、新しいビジネスの領域が生まれてきたのです。幼児のための知育アプリや、スマートフォンを用いた双方向コミュニケーションが可能な進学教室、インターネット中継による英語授業など、教育の形が次々と変わり始めています。

そこで本稿ではEdTechの解説から、実際の教育サービス、そして今後EdTechとどう関わってゆけば良いのかについて説明します。

『教育×IT』で未来が変わる!EdTech(エドテック)とは?
(画像=Gorodenkoff/Shutterstock.com)

EdTechとは

EdTech(エドテック)は、Education(教育)とTechnology(テクノロジー)を組み合わせた造語です。教育にITを活用することで、学習効率を高める試みを指しています。これらはたとえば、AIを利用した学習プログラムの提供や教育支援サービス、教材マッチングなどが挙げられます。Finance(金融)×Technology(テクノロジー)の「FinTech(フィンテック)」を知っている人であれば、自ずと想像がつくのではないでしょうか。

EdTechの活用例

EdTechは知育や進学塾、また公教育の分野で目覚ましい発展を遂げつつありますが、一般生活にも浸透してきています。たとえば語学力を向上させるアプリやオンライン上での英会話教室などもその一つです。

さらに最近では、プログラミング教育も盛んに取り上げられています。プログラミングの分野はもともとEdTechと相性が良く、生徒たちもインターネット動画やオンラインレッスンなどを盛んに利用して学習をしています。AIの登場や3Dプリンタの活用なども期待されている将来、EdTechの浸透は、ビジネスにおいてもはやITが無視できない時代に変わりつつあることを象徴しているといえます。

■EdTech にどう関われば良いか

EdTechは、未来に対する一つの可能性を示したものです。これはひっくり返してみれば、ITと教育の関わるすべての分野が対象であるということです。そこで、未知の広がりを見せるEdTechの分野を理解するために3つの切り口から考えてみます。

①「ITを学ぶ」 これから先、需要の拡大が予想されるIT分野。それに対応するため、ITそのものを学習対象とする教育サービスなどが含まれます。具体的にはプログラマーを中心に、マーケターや金融トレーダー、セールス、流通管理などテクノロジーの導入が進む職種の人々が対象として挙げられます。

②「ITで学ぶ」 ITは学習ツールそのものにもなり得ます。知育現場へのアプリの提供やオンラインレッスン、また学習する習慣を管理するツールなども含まれることでしょう。教える側の立場としても、学習の進捗管理やスケジュール管理などにITを取り入れることで、さらに効率性をアップさせられると考えられています。

③「ITも学ぶ」 学習内容とソーシャルメディアを組み合わせることで、テクノロジーが学習者の情報を最適化し、進捗をより効率的に進められるシステムなどが挙げられます。子どもの教育においては特に「アダプティブラーニング(適応学習)」と呼ばれており、一部ではすでに教育サービスとして取り入れられつつあります。

アダプティブラーニングは、ソーシャルメディアのほか、AIやビッグデータなどを活用することで、学習内容やペース、レベルを最適化することも含みます。具体的には、生徒の進捗状況のデータを分析して学習に反映させます。いわばオーダーメイドの学習システムの構築を目指すものであり、多忙で自己学習に身の入らない社会人の学習管理にも導入の進む可能性があります。

EdTechで浮き彫りになる「学ぶ理由」の重要性

今後もEdTech分野はますます盛り上がると予想されます。進化を続けるテクノロジーをうまく活用することで、学習効率を劇的に高めることもできるでしょう。

学習内容をテクノロジーの力で最適化できる一方で、モチベーションの維持と管理が重要になります。テクノロジーは人間に教育を強制するわけではありません。そのため、モチベーションが低ければいくらテクノロジーが優秀でも学習の成果には結びつきにくくなってしまいます。

これから先、教育にデジタルテクノロジーが導入されるにつれ、学習の生産性の向上のため、同時に人間の心理というアナログな要素にもさらなる進展が望まれると予測されます。

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