仮想通貨の登場と同時に情報管理の分野で爆発的なイノベーションが起こりました。その中心にあるものが「ブロックチェーン」と呼ばれる技術です。ブロックチェーンは一般的にはビットコインの根幹技術として知られていますが、この技術そのものは、社会システム全般に適用できることが認知されつつあります。

そこで今回は、ブロックチェーンによる今後の社会への影響とともに、ブロックチェーンが一般化した後の社会で、いかに働けば良いかについてお伝えします。

ブロックチェーンが巻き起こす!社会システムとビジネス革命
(画像=Panchenko Vladimir/Shutterstock.com)

ブロックチェーンとは?

ブロックチェーンとは、データを管理するデータベースの一種です。ビットコインに代表される仮想通貨の基盤技術として実用化されましたが、その用途は仮想通貨の管理にのみ限ったものではありません。現在では医療・文化・ビジネスなど、さまざまな分野での活用が期待されています。

そもそもブロックチェーンとは一体どのようなものなのでしょうか。ブロックチェーンの「ブロック」とは、いくつかの取引データのかたまりを指しています。このブロックがチェーンのように連なることで、ブロックチェーンができあがります。たとえば「100円でジュースを買った」という取引は、このデータがブロックチェーンにつなぎこまれると成立です。

ブロックチェーンにデータがつなぎこまれる際には、「承認」の作業が必要です。たとえば「Aさんが100円でジュースを買った」という一連の取引が生じた場合、「Aさんが100円でジュースを買ったことが計算によって検証した」という作業が「承認」にあたります。一度承認されたデータは以降、書き換えや改ざんができなくなります。この計算作業は「マイニング」と呼ばれ、最初に承認を成功させたユーザーには仮想通貨が与えられます。

種類によって異なるものの、仮想通貨の多くは発行上限が設けられています。たとえばビットコイン(BTC)の発行上限は2,100万枚と決められています。このため、発行枚数が上限に近づくほど、マイニングで得られる報酬は少なくなります。一方で、発行枚数が上限に近づくほど、その希少価値は高まるため、コインの価額そのものは上昇するというかたちになります。いずれにせよ、いち早く計算を実行するために、世界中の人々が高性能のコンピューターを使ってマイニング競争に参加しています。

ブロックチェーンの革新性は、その運営を各ユーザーが担っている点にあります。一般的なデータベースであれば、中央にサーバーを立てて管理するものです。そしてサーバーやコンピューターのセキュリティ対策をしっかりしなければ、データ漏洩の危険が常に存在します。

それに対してブロックチェーンは、データを各ユーザーが分散して保有している状態にあるため、「分散型データベース」と呼ばれます。世界中のユーザーがデータを保有しているため、データの改ざんはきわめて難しいとされています。高性能サーバーが不要なので、管理コストは安くなります。低コストなのに安全性が高いのがブロックチェーンのメリットです。

ブロックチェーンの応用例

ブロックチェーンは、仮想通貨のデータ管理技術としていち早く実用化されました。しかし仮想通貨以外のいわゆる法定通貨の管理にも、ブロックチェーンが有効であるとして調査や実験が始まっています。

実際に、日本の金融機関でも関心が高まっています。全国の銀行で構成される全国銀行協会(全銀協)は、2017年から2018年にかけてパートナーベンダーとともに「ブロックチェーン連携プラットフォーム」の実証実験を行いました。新たな決済・送金サービスや本人確認・取引時確認(KYC)、金融インフラにおけるブロックチェーンの実用化を目指した動きが進んでいます。

ブロックチェーンは、フィンテックに留まらず、さまざまな分野への応用可能性があると期待されています。経済産業省は、サプライチェーン管理や認証技術、IoTなどさまざまな分野で活用が進んでいることを指摘しています。たとえば北欧のエストニアでは、行政サービスにおける改ざん検知機能をブロックチェーン上で行っています。

先を見越してブロックチェーンを使う側に

ブロックチェーンは、取引や決済のみならず、社会システム全般に適用できる潜在性を秘めています。ブロックチェーンについて学ぶことは、これからの社会がどう変化するかを見通す一つの手段になります。

ブロックチェーンの拡大によって、職業にも変化が生じてくる可能性は十二分にあるでしょう。たとえば銀行にブロックチェーンが導入されると、窓口業務や各種事務が効率化されて必要な従業員数が減るかもしれません。ネガティブな見方をすると、ブロックチェーンで仕事を「奪われる」ということになります。

しかし逆に考えれば、ブロックチェーンによって生産性がアップしたり、新たなニーズが社会に生まれたりする可能性もあります。ブロックチェーンのプログラミング技術を学んでその開発に携わったり、ブロックチェーンの新たな使い道を提案してビジネスチャンスに結びつけたりなど、これまでにない職業が生まれる側面もあるのです。

ブロックチェーン技術の進展と実用化への流れは現在進行形で進んでいます。これからの未来に期待しつつ、日々の情報の先取りも怠らないように心がけていきたいものです。

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