ローンに対する意識が変わりつつあります。現金第一主義の日本では、ローンは借金の一つとして従来あまり好まれていない風潮がありました。その中で①教育ローン、②不動産ローン、③自動車ローン、はなんとなく許される雰囲気があったという程度です。しかし、タンス預金では価値がどんどん目減りしていき、払った年金は年々その価値を下げる現代、日本人の意識も、お金は預けるものから運用するものへと変わりつつあります。それに伴い、ローンに対するものの見方も変化しています。そこで本稿では、ローンへの考え方について一度見直してみます。
ローンの価値を見直す時期が訪れた
昭和時代の日本人にとってローンは良い顔をされにくいものでした。ローンは借金であり、借金は良くないものであるという意識が強かったためです。そこには質素であることが美徳とされ、お金を借りてまで身の丈に合わない生活をすることへの戒めという意味もあったのでしょう。
消費者金融各社も大手都市銀行の傘下に入り、コンプライアンスが重視されるようになりました。以前ほどの高額金利融資はなくなり、また総量規制によって、個人への融資額は年収の3分の1までと定められました。その結果、お金の貸し借りというものが以前よりも安全になり、またそれに伴って多くの人が気楽に融資を受けたり返済したりするような時代になってきたといえます。
また、終身雇用の時代が終わり、ビジネスパーソン一人ひとりがお金に対して考える時代が訪れるようになりました。今や、一般的な会社員でも、投資や事業を行うにあたっては、金融機関からお金を借りたり、投資家からお金を集めたりすることは当然の知識となりつつあります。そして、それはローンを組むという個人の生活にもあてはまるようになってきたといえます。
資産を生み出す『よい借金』
借金には「良い借金」と「悪い借金」があるといわれます。多くの人が、すでに気がついているように、所得に見合わない豪華な食事をしたり、高級ブランドの洋服やバッグを買い求めたりするような身の丈に合わない生活をするための借金は、大事な資産を浪費するに過ぎません。
その一方で、「良い借金」があります。それはお金そのものが働いてお金を増やしてくれたり、または事業などを通じて資産を増やしてくれたりする、いわば投資です。このような借金は浪費に使うものではないため、大抵は金融機関の審査などを通じて「ローン」のかたちでしっかりとシステム化されています。
一例としてマンション経営を挙げてみましょう。マンション経営の場合、頭金の多寡はあまり大きな問題にはなりません。信用情報に問題がなく、かつサラリーマンなどである程度安定した収入があるのであれば、物件購入に必要な融資を受けることはさほど難しくはありません。また返済のためのローンのほとんどは、毎月の家賃収入から賄うことが可能です。加えて経費を赤字計上することで損益通算として節税対策することもできます。このような節税が可能であるということは、国がそれをよしとしているともみなせます。つまりこのようなローンは、資産の増加に貢献してくれる良い借金であるといえます。
また、お子さんがいる家庭の場合は、教育ローンや奨学金を利用して、高い水準の教育を受けさせたり、芸術やスポーツの英才教育を施したりすることがあるかもしれません。そして最終的に、子どもが一流企業に就職できたり、難しい資格が取得できたり、プロのアスリートとして成功したりする。このような「先行投資」のための借金も「良い借金」ということになるでしょう。
金利を払って時間を買おう
お金を生み出すために融資を受け、ローンで返済する。その返済には利息がついてきます。日銀のマイナス金利政策のおかげもあり、現在のローン金利は最低水準にあるといえます。世の中にはお金を増やすためのさまざまな投資が存在しています。この中で借入利息が非常に低いマンション経営は、現状ではうってつけの投資手法だといえるでしょう。
ここで肝に銘じておきたいことは、ローンを組むとは金利も含めて時間を買っているということです。一年で一万円を返済するのと、一分で一万円を返済するのとではやれることが違います。マンション経営も、なるべく長期的な視野に立たねばなりません。5年、10年のような短期間で物件のローンを完済しようとすれば、返済額も極端に上がり、無理が生じてきます。ましてや融資を受けて物件を購入し、値上がりしたところで売却を考えたりすれば、リスクは極大化してしまうことでしょう。
低い金利でローンを組むということは、なるべく早い時期から物件を持ち、無理のない範囲で気軽に長期間に渡って返済を続け、最終的に大きな資産を手に入れることを指します。投資であれ、事業経営であれ、不動産経営であれ、大きな成功に安定してたどり着くには、時間をかけて「育てる」思いを持つことが重要になるのです。
ローンは成功へのレバレッジ
マンション経営はローンによるレバレッジが利きやすい投資です。自己資金がわずかであっても、物件購入の費用を銀行から借入することができるため、本来であれば手が届かなかった不動産という大きな資産を手に入れることができます。
かつての時代であれば、とにかく現金第一主義を原則に生きていても、それでも生きていくことはできたでしょう。しかし年金の目減りなどが明らかになっている現代、ローンを組むことで、現金であれば何十年後も働いてようやく手にできる不動産を前もって手にしておくことができます。またそれによって課税所得を減らして節税に貢献し、かつ最終的には悠々自適の老後に貢献することもできるでしょう。お金を借りることへの視点を変えることは、人生を成功に導くための最初の一歩なのです。