不動産投資ローンと住宅ローンの違い 2つとも借りることはできる?
(画像=Андрей Яланский/stock.adobe.com)

不動産投資ローンと住宅ローンは、同じ住居への融資になるため、似ているようですが両者には明確な違いがあります。それぞれの融資目的や条件が異なる点を理解して2つのローンがお互いに悪影響を及ぼさないように注意しましょう。

不動産投資ローンと住宅ローンの目的の違い

不動産投資ローンと住宅ローンは、そもそも融資の目的が異なります。不動産投資ローンは住む人に貸して利益を得る事業融資となり、あくまで事業の収益性とを評価して金融機関が融資するのが特徴です。住宅ローンは、住居という不動産への直接貸付で申込人の属性と建物や土地を評価して融資します。返済原資も不動産投資ローンは事業収益、住宅ローンは申込人の給与など収入となるため、審査の基準も大きく異なるのです。

このように2つの融資は、目的などの前提条件が全く異なることをまずは理解しておいてください。

融資額の違い

ここからは、融資条件の具体的な違いについて解説します。はじめに「いくら融資してもらえるか」です。金融機関が融資額を判断する基準は2つの融資で全く異なります。

不動産投資ローンの融資額

不動産投資ローンの融資額は、上記に加えて不動産経営の収益性(場所や管理力)で決められます。収益性の高い事業計画と判断されれば年収の7倍~10倍位の融資額が受けることも可能です。しかし、逆に低いとみなされれば融資額が希望に満たなかったり、最悪は断られたりすることも少なくありません。さらに以下のような内容も考慮されます。

  • 建物の法定耐用年数までの残期間
  • 劣化の程度
  • 担保価値
  • キャッシュフロー
  • 家賃収入に占める返済比率など

築年数が浅く高い賃貸需要が見込めるなど賃貸経営の条件に優れるほど多くの融資額が期待できます。

住宅ローンの融資額

住宅ローンは、申込人の属性によって融資額が決まります。年収や職種、勤務先、勤続年数などによって返済能力を判断され、場合によっては物件の担保評価も加味されるのが特徴です。また現在の受けている他の融資や過去に利用した融資、カードの返済履歴なども審査され年収の5倍~6倍まで借入の上限です。このように融資額の決定では、申込人の信用が非常に大きなウェイトを占めているのです。

金利の違い

2021年1月時点の金利では、不動産投資ローンがアパート~4.5%、ワンルーム1.5%~2.3%前後に対し住宅ローンは1%前後と不動産投資ローンのほうが高めになっています。なぜなら不動産投資ローンが事業融資となり「住宅ローンに比べてリスクが高い」と銀行が判断しているからです。銀行側は、万一返済されなかった場合に備え少しでも多く利息を回収しておく必要があります。

一方で住宅ローンは、不動産投資ローンに比べて金利およびリスクも低く設定されています。これは、安定した勤務先や職種であれば給与から支払われるローン返済は滞りにくいと考えているからです。そのため申込人の勤務先は、重要な審査対象の一つといえるでしょう。住宅ローンの支払いが滞れば住む場所を失うため、「申込人ができるだけ返済努力をする」と金融機関は考えているのです。

両者とも高額かつ長期の融資になりやすいため、わずか数%の金利の違いでも総支払額に大きな差が生まれることも理解しておきましょう。

借入期間の違い

不動産投資ローン、住宅ローンともに最長借入期間を35年としている金融機関が多いです。また、不動産投資ローンは建物の法定耐用年数、住宅ローンでは申込人の完済時年齢を借入期間の上限とする傾向があります。

不動産投資ローン融資で重視される法定耐用年数とは

法定耐用年数とは、国税庁によって示されている減価償却資産の耐用年数のことです。住宅用途の建物では、構造別に以下のようになっています。

建物構造法定耐用年数
鉄筋コンクリート47年
重量鉄骨34年
軽量鉄骨27年
木造22年

多くの金融機関が法定耐用年数から融資対象建物の築年数を引いた残りの年数を、借入期間の上限にしています。例えば築10年の木造アパートであれば、上記の表を参考にすると22年-10年=12年となり融資期間は12年が目安です。このため中古物件での賃貸経営では、売却時に法定耐用年数までの残年数が少なかったり、法定耐用年数を超えていたりすると売却が難しくなるケースがあります。

また法定耐用年数を超える長期の融資を行う金融機関もありますが、金利が高めになることが一般的です。

住宅ローンにおけるは申込人の年齢制限

住宅ローンの借入期間では「申込人の完済時年齢」という制限が設けられています。返済が終わる時点での申込人の年齢が75歳以下や80歳以下などと定めている金融機関が一般的です。例えば完済時年齢が80歳以下の住宅ローンの場合、申込人の借入時の年齢が50歳であれば最長の借入期間は30年です。ローンの要件が最長35年となっていても完済時年齢が優先される点に注意しましょう。

不動産投資ローンの申込人年齢は金融機関によって判断が異なる

不動産投資ローンで「申込人の完済時年齢による制限があるか」については金融機関によって異なります。申込人が高齢で亡くなっても物件が収益を生み続ければ相続人が返済してくれると考え完済時年齢を問わない金融機関もあります。ただし物件が長期にわたり利益を生み出すことが見込める場合に限ります。

一方で近年は、相続トラブルを避けるため申込人が亡くなった後のリスクを考慮して完済時年齢の制限を設けたり、申込時の年齢を60歳までにしたりする金融機関も少なくありません。不動産投資ローンの申込人年齢は、金融機関によって判断が異なるため、利用の際は事前に金融機関に確かめるようにしましょう。

2つの融資を併用することができる

不動産投資ローンと住宅ローンの併用は、原則として可能です。これは、それぞれのローン返済原資が異なるためですが、場合によっては金融機関が行う融資審査に影響し合う可能性があるため注意しておきましょう。

事業収益が落ちるリスクを考慮する

不動産投資ローンの返済は、事業収益です。しかし審査では万一収益が落ちた場合を考えて、申込人の返済能力も審査されます。このとき住宅ローンを受けていると返済能力を差し引かれてしまう可能性もあります。特に賃貸経営の収益に対し融資割合が大きいと、金融機関は住宅ローンの有無を考慮し「リスクが高い」と判断、不動産投資ローンの融資額を減額することも考えられます。

不動産投資ローンを組むと住宅ローンに影響が出ることも

逆に住宅ローンを申し込む際に不動産投資ローンを組んでいる場合、審査に影響する可能性があります。しかしこれは必ずしもマイナスになるわけではありません。賃貸経営で収益が安定して発生していればそれを申込人の収入に合算することも検討できるため、より高額な住宅ローンの融資を受けたい人にとっては有利に働きます。

しかし賃貸経営の収支が大きく赤字となっている場合は、住宅ローンを返済するうえでのマイナス要因と捉えられ、住宅ローンの借り入れを減額される可能性もあるでしょう。このように2つのローンはお互いに影響し合う可能性がありますが「どのような条件が考慮されるか」は金融機関ごとに判断基準が異なります。

住宅ローンで賃貸経営の物件購入はできない

住宅ローンは低金利なため「賃貸物件の購入に利用できないか」などと考える人もいますがこれはできません。なぜなら住宅ローンの条件は「本人か家族が住む住宅購入」となっており他人に貸す賃貸物件の購入はできないからです。過去には、書類を偽装して住宅ローンで投資物件を購入した事件もありました。しかしこれは立派な犯罪です。

発覚すれば全額一括返済を求められる可能性が高く、厳しい経済状態に陥ってしまいかねません。そもそも目的が全く異なる2つのローンのため、それぞれに適切な目的に利用するようにしましょう。

2つのローンを同時に組む際は慎重に

不動産投資ローンと住宅ローンは、本来の目的が異なるため全く別の性質の融資です。条件や評価対象も異なりますが、審査では互いに影響し合う可能性があります。重なって申し込むことはできるものの、タイミングも含めて慎重に判断することがおすすめです。

もしローンを受ける時期が重なりそうであれば、早めに両方のローンに明るい仲介会社や不動産投資会社などに相談し、アドバイスを受けながら申し込むようにしましょう。

>>【無料eBook】「借金は悪である」という既成概念が変わる本

【オススメ記事】
副業で考える人生設計|マンション経営も視野に入れた副業の可能性
首都圏でのマンション経営|覚えておくべき「相場感」を紹介
始める前に読んでおきたい 初心者向け長期資産運用のコツがわかる本5冊
土地とマンションの資産価値は?「売却価値」と「収益価値」
人生はリスクだらけ……でもサラリーマンが行う対策は1つでいい