ほったらかし投資とは?メリット・デメリットとおすすめの投資方法5選
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大西 勝士
大西 勝士
フリーランスの金融ライター(AFP、2級FP技能士)。早稲田大学卒業後、会計事務所、一般企業の経理職、学習塾経営などを経て2017年10月より現職。10年以上の投資経験とFP資格を活かし、複数のメディアで執筆しています。

「投資は難しそう」「毎日値動きをチェックするのは面倒」と感じる人には、手間をかけずに続けられる「ほったらかし投資」がおすすめです。最初に手続きや準備を済ませれば、その後は仕事やプライベートの時間を犠牲にすることなく、着実にお金を育てていくことができます。

本記事では、忙しい現代人や投資初心者にも取り入れやすい「ほったらかし投資」のメリット・デメリットや、その中でもおすすめの投資方法などを紹介します。

目次

  1. 1.ほったらかし投資とは
  2. 2.ほったらかし投資のメリットと初心者におすすめの理由
    1. 2-1.初心者でも手軽に始められる
    2. 2-2.少額からOK。預金より増やせる可能性も
    3. 2-3.時間や手間がかからないから続けやすい
    4. 2-4.自然とお金の知識が身につく
  3. 3.ほったらかし投資のデメリット
    1. 3-1.元本割れリスクがある
    2. 3-2.短期間で資産を大きく増やすのは難しい
    3. 3-3.完全に放置するのは難しい
  4. 4.ほったらかし投資が向いている人
    1. 4-1.忙しい人や浪費傾向のある人におすすめ
    2. 4-2.値動きに一喜一憂しやすい人には不向き
  5. 5.ほったらかし投資におすすめの投資方法11選
    1. 5-1.投資信託
    2. 5-2.ロボアドバイザー
    3. 5-3.不動産投資クラウドファンディング
    4. 5-4.ソーシャルレンディング
    5. 5-5.マンション経営
    6. 5-6.株式やFXの自動売買
    7. 5-7.高配当株
    8. 5-8.純金積立
    9. 5-9.国債・債券
    10. 5-10.外貨預金
  6. 6.ほったらかし投資を後押しする2大制度
    1. 6-1.NISA(少額投資非課税制度)
    2. 6-2.iDeCo(個人型確定拠出年金)
  7. 7.ほったらかし投資の注意点
    1. 7-1.定期的な状況チェックを習慣にする
    2. 7-2.無理のない余剰資金で始める
    3. 7-3.投資対象の内容やリスクを理解する
  8. 8.未来への種まき、今日から始める「ほったらかし投資」

1.ほったらかし投資とは

ほったらかし投資とは?メリット・デメリットとおすすめの投資方法5選
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ほったらかし投資とは、最初に投資方針を決めて仕組みを整えることで、あとは基本的に放置しておいても利益を生み出してくれる投資方法です。

短期で大きな利益を狙うのではなく、長期的な視点でじっくりとお金を増やしていくのが特徴です。日々の値動きを過度に気にする必要がなく、難しい経済ニュースを毎日追いかけたりする必要もありません。一度設定してしまえば、あとは時間と複利の力があなたの味方となり、着実に資産形成を進めてくれるので、仕事が忙しい人や投資初心者でも取り組みやすい投資方法といえます。

2.ほったらかし投資のメリットと初心者におすすめの理由

ほったらかし投資とは?メリット・デメリットとおすすめの投資方法5選
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「ほったらかし投資」には、手間をかけずに資産形成を続けられるというメリットがあります。誰でも簡単に始められ、少額からでも運用ができるため、投資が初めてという人にもぴったりです。ここでは、ほったらかし投資の主なメリットと、初心者におすすめできる理由を紹介します。

2-1.初心者でも手軽に始められる

ほったらかし投資の多くは、複雑な手続きや高度な知識を必要とせず、スマートフォンやパソコンだけで始められます。例えば、投資信託の積立やロボアドバイザーを活用すれば、口座開設から銘柄選び、購入、運用までをオンライン上で完結できます。

初期設定さえ済ませれば、あとは自動で運用が継続されるため、日々の値動きに時間を取られることもありません。投資に不安を感じている初心者でも、スムーズに一歩を踏み出しやすいのが特徴です。

2-2.少額からOK。預金より増やせる可能性も

「投資には大きな資金が必要」というイメージを持つ人も多いかもしれませんが、ほったらかし投資の多くは少額から始められます。例えば、毎月数千円からの積立投資が可能な投資信託や、100円単位で購入できるサービスもあります。

銀行預金の利率が依然として低い現在、ほったらかし投資は一定のリスクを伴うものの、それ以上のリターンを期待できる選択肢です。

2-3.時間や手間がかからないから続けやすい

ほったらかし投資は自動積立などを活用して仕組みを整えたら、あとは放置しておいても運用が継続されます。定期的に運用状況を把握することは大切ですが、1日に何度も値動きをチェックする必要はありません。時間や手間がかからないので、自分のやるべきことに集中しながら投資に取り組めます。

2-4.自然とお金の知識が身につく

実際に運用を始めてみると、ニュースで見かける経済や金融の話題が自分ごととして感じられるようになります。資産がどう増減するかを体験しながら、自然と「お金の動き」や「長期運用の大切さ」が理解できるようになるでしょう。

難しい用語を覚えるよりも、まずは少額でも投資を始めてみることが、金融リテラシーを高める第一歩になります。

3.ほったらかし投資のデメリット

ほったらかし投資のおすすめ11選!メリット・デメリットや注意点を解説
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一方で、ほったらかし投資には以下のようなデメリットもあります。

3-1.元本割れリスクがある

ほったらかし投資は、投資である以上は元本割れのリスクがあります。運用が順調に進めば利益を得られますが、経済状況の悪化や予期せぬ市場の変動により損失が生じることもあります。初心者でも取り組みやすい投資方法ですが、必ず利益を得られるわけではない」という事実を理解した上で、冷静な姿勢で取り組むことが非常に重要です。

3-2.短期間で資産を大きく増やすのは難しい

ほったらかし投資は、長期間の運用が前提の投資方法です。積立投資や複利運用を活用しながら長く運用を継続することで、まとまった資産を作ることが可能となります。

基本的に短期間で資産を2倍、3倍と大きく増やすのは難しいでしょう。短期で大きな利益を狙いたい場合は別の投資方法を検討する必要があります。

3-3.完全に放置するのは難しい

ほったらかし投資は「一度設定したら何も見なくていい」ということはなく、完全に放置することはできません。大切なお金を運用する以上は、定期的に運用状況を確認することが大切です。状況によっては商品や資産配分の見直し、売買タイミングの判断も必要になってきます。まったく確認しないままだと、想定外の損失につながったり、非効率な運用になってしまったりするリスクがあります。

4.ほったらかし投資が向いている人

ほったらかし投資とは?メリット・デメリットとおすすめの投資方法5選
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ほったらかし投資は、特に次のような人に適しています。

4-1.忙しい人や浪費傾向のある人におすすめ

仕事や家事、育児などで忙しく、投資の勉強や管理にあまり時間をかけられない人にとって、ほったらかし投資は負担が少なく、継続しやすい方法です。

また、「手元にお金があるとつい使ってしまう」という人にもおすすめです。給与振込口座から自動で引き落とされる積立型の仕組みを活用すれば、無理
なく先取りで投資を続けることができ、自然と資産形成の習慣が身についていきます。

4-2.値動きに一喜一憂しやすい人には不向き

一方で、日々の価格変動に過敏に反応してしまうタイプの人には、ほったらかし投資は向かないこともあります。相場が少し下がっただけで不安になって売却してしまったり、短期的な利益に目が向いてすぐに利益確定してしまったりすると、長期運用のメリットを活かしにくくなります。

こうした行動は、手数料の増加やリターンの低下につながる可能性があります。ほったらかし投資を続けるうえでは、「価格は日々変動するもの」と受け止め、短期的な動きに一喜一憂せず、長期的な視点で取り組むことが大切です。

5.ほったらかし投資におすすめの投資方法11選

ほったらかし投資のおすすめ11選!メリット・デメリットや注意点を解説
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ここでは、忙しい人でも無理なく続けられる「ほったらかし投資」に適した投資方法を13種類紹介します。

5-1.投資信託

投資信託は、多くの投資家から集めた資金をひとまとめにし、運用の専門家が株式や債券、不動産などに分散投資する金融商品です。個別銘柄を選ぶ必要がなく、手軽に分散投資を始められる点が大きな魅力です。

なかでも「インデックスファンド」と呼ばれる、日経平均株価やS&P500などの株価指数に連動するタイプは、市場全体の成長を取り込みやすいため、ほったらかし投資の代表的な手段とされています。

また、「積立投信」を利用すれば、毎月一定額を自動で積み立てることができ、購入タイミングを気にする必要がありません。ドルコスト平均法の効果により、価格変動の影響を平準化しながら、長期的に資産を積み上げていけます。

ETF(上場投資信託)は、日経平均株価やS&P500、金価格などの特定の指数や商品価格に連動するよう設計された投資信託で、証券取引所に上場しているのが特徴です。株式と同様にリアルタイムで売買できるため、一般的な投資信託よりも運用コストが低い傾向があります。NISA口座を利用すれば、ETFから得た売却益や分配金が非課税となるため、節税効果を活かした運用が可能です。

ただし、ETFは分配金が自動で再投資されない点や、購入タイミングによっては高値で掴んでしまうリスクがあることなど、一般的な投資信託とは異なる点にも注意が必要です。

5-2.ロボアドバイザー

ロボアドバイザーとは、AI(人工知能)を活用して資産運用を自動でサポートしてくれるサービスです。いくつかの質問に答えるだけで、年齢や投資目的、リスク許容度などに応じた運用プランをAIが分析・提案してくれるため、投資の知識がなくても始めやすいのが特徴です。

サービスによっては、最適なポートフォリオ(資産配分)の提案だけでなく、実際の買い付けや資産の配分調整(リバランス)まで自動で行ってくれるものもあり、「おまかせ投資」とも呼ばれます。少額から利用できるものが多く、口座開設から運用開始までスマートフォン一つで完結する手軽さも人気の理由です。

忙しくて投資に時間をかけられない人や、「何を選べばいいかわからない」と感じている投資初心者にとって、心強い選択肢となるでしょう。また、感情に左右されず、機械的に長期運用を続けられる点も、投資を習慣化するうえで大きなメリットです。

ただし、ロボアドバイザーの運用成績は市場環境に左右されるため、元本保証はありません。また、年間で運用資産の一定割合の手数料がかかるため、長期利用を前提とするなら、サービス内容とコストのバランスをよく比較しておくことが大切です。

5-3.不動産投資クラウドファンディング

不動産投資クラウドファンディングは、インターネットを通じて多数の投資家から資金を集め、その資金で不動産を取得・運用し、得られた賃料収入や売却益を投資家に分配する仕組みです。従来は高額な自己資金が必要だった不動産投資に、1万円程度の少額から参加できるのが大きな魅力です。

特定のマンションや商業ビルなど、投資対象となる物件が明確に提示されるため、「何に投資しているのか」が把握しやすく、安心感があります。運用期間は数ヵ月から数年と比較的短く、想定利回りや分配スケジュールが事前に示されるため、計画的に資金を運用したい人にも向いています。また、物件の選定や管理、売却といった煩雑な業務はすべて運営会社が担うため、投資家は手間をかけずに不動産収益を目指せるのもメリットです。

ただし、元本保証はありません。不動産市況の悪化や入居率の低下などにより、想定通りのリターンが得られない、あるいは元本割れのリスクもあります。さらに、運用期間中は原則として途中解約ができないものが多いため、急な資金ニーズがある場合には注意が必要です。

5-4.ソーシャルレンディング

ソーシャルレンディングは、インターネットを通じて「資金を必要とする企業(借り手)」と「資金を運用したい投資家(貸し手)」を結びつける貸付型クラウドファンディングの一種です。投資家は、運営会社が募集するファンド(案件)に出資し、その資金が一つまたは複数の企業に対して貸し付けられる仕組みです。

案件の種類は多岐にわたり、それぞれに想定利回りや運用期間が設定されています。比較的高い利回りが期待できる案件も多く、1万円程度から投資できるため、少額で複数案件に分散投資できる点も魅力です。投資後は基本的に満期まで運用を待つスタイルのため、日々の値動きを気にする必要がなく、「ほったらかし投資」に適した選択肢といえるでしょう。

ただし、ソーシャルレンディングには特有のリスクもあります。中でも注意すべきは「貸し倒れリスク」で、融資先の企業が返済不能になった場合、元本が回収できないおそれがあります。また、多くの案件では運用期間中の中途解約ができないため、資金拘束期間にも留意が必要です。

さらに、運営会社の審査体制や信頼性も極めて重要です。過去の運用実績や企業の透明性、財務状況などを確認し、信頼できるプラットフォームを選ぶことが不可欠です。

5-5.マンション経営

マンション経営は、分譲マンションの一室を購入し、それを賃貸に出すことで家賃収入(インカムゲイン)を得る不動産投資の一種です。 入居者がいる限り安定した収入が見込め、インフレ時には家賃が上昇する可能性もあることから、インフレ対策としても注目されています。また、購入した物件の価格が上昇すれば、将来的に売却益(キャピタルゲイン)を得ることも可能です。

ローンを活用すれば、少ない自己資金からスタートできる点も特徴の一つです。団体信用生命保険に加入すれば、万が一の際にローン残債が免除されるため、生命保険の代替としての側面もあります。

ただし、マンション経営は初期の物件選定から入居者募集、管理業務まで、一定の手間と専門知識が求められます。空室や家賃滞納、修繕費用の発生、金利上昇、自然災害などのリスクもあり、想定外の出費につながることも少なくありません。こうした業務は管理会社に委託できますが、その分のコストも考慮が必要です。長期的に安定した収入を得られる可能性はありますが、その実現には計画性と準備が求められます。

5-6.株式やFXの自動売買

株式やFX(外国為替証拠金取引)の自動売買は、あらかじめ設定した取引ルールに従って、システムが自動的に売買を行う取引手法です。例えば「株価が〇〇円まで下がったら買い、△△円まで上がったら売る」といった条件を設定しておけば、その条件が満たされた際に自動で取引が執行されます。 これにより、常に相場をチェックしなくても取引機会を逃さず、感情に左右されずに機械的な売買が可能になります。特にFXの自動売買では、一定の値幅で新規注文と決済注文を繰り返す「リピート系注文」が人気を集めており、忙しい人でも24時間取引のチャンスを狙える点が魅力です。

ただし、自動売買は「放っておくだけで確実に儲かる」ものではありません。設定したルールが市場環境に合わなくなると、損失が拡大するリスクもあります。また、システムの利用料や取引手数料がかかるケースもあるため、事前に確認が必要です。

特にFXは、レバレッジをかけることで少ない資金でも大きな取引が可能になりますが、その分リスクも高く、損失が膨らむ可能性もある点には十分な注意が必要です。自動売買を「ほったらかし投資」として活用する場合は、システムの特徴やリスクを理解したうえで、無理のない資金で運用し、定期的に設定を見直すといった慎重な姿勢が欠かせません。

5-7.高配当株

高配当株投資とは、配当利回り(株価に対する年間配当金の割合)が高い企業の株式を購入し、定期的に配当金を受け取ることを目的とした投資方法です。企業が生み出した利益の一部を株主に還元するのが配当金であり、これを継続的に受け取ることで、銀行預金よりも高いインカムゲインが期待できます。

一度購入した株式を長期保有すれば、企業が安定して配当を出し続ける限り、特別な操作をしなくても定期的に収入を得ることができるため、「ほったらかし」で資産形成が可能です。特に、業績が安定し、長年にわたって安定配当を継続している企業の株式は、長期保有に適しているといえるでしょう。こちらも、NISA口座を活用すれば、受け取った配当金が非課税となるため、より効率的に資産を増やすことができます。

ただし、高配当株投資にもリスクがあります。企業の業績が悪化すれば、配当金が減額されたり、支払われなくなる(減配・無配)ことがあります。また、株価そのものが下落すれば、配当金を得られてもトータルで損失になる可能性もあります。

こうしたリスクを抑えるには、特定の銘柄に集中するのではなく、複数の高配当株に分散して投資することが有効です。さらに、単に利回りが高いという理由だけで判断せず、その企業の財務状況や成長性、配当方針などを確認し、長期的に配当を出し続ける力があるかどうかを見極める必要があります。

5-8.純金積立

純金積立は、毎月一定額または一定量の金(ゴールド)を継続して購入する投資方法です。金は地球上に存在する量が限られている希少性の高い実物資産であり、特に「有事の金」とも呼ばれ、世界的な経済不安やインフレが起きた際に価値が高まりやすいとされています。株式や債券とは異なる値動きをするため、資産ポートフォリオに組み込むことでリスク分散の効果が期待できます。

積み立てた金は、一定量に達すれば現物として引き出すことも、市場価格で売却して現金化することも可能です。ただし、金自体は配当金や利息を生む資産ではないため、収益は基本的に売却時の価格差(キャピタルゲイン)によって得ることになります。

また、金価格は為替相場や国際情勢などの影響を受けて変動するため、価格下落のリスクも考慮が必要です。加えて、購入・売却時の手数料や保管料などのコストがかかる点にも注意が必要です。純金積立は、資産を積極的に増やすというよりは、インフレ対策や資産保全を目的とした「守りの資産」として、長期的に保有するほったらかし投資として活用されています。

5-9.国債・債券

国債や債券への投資は、国や企業にお金を貸し、その対価として定期的に利子を受け取り、満期(償還日)には元本が返ってくるという仕組みです。

なかでも日本政府が発行する「個人向け国債」は、安全性の高い金融商品として知られており、満期まで保有すれば元本が保証されるうえ、年0.05%の最低金利も設定されています。「変動10年」「固定5年」「固定3年」の3タイプがあり、1万円から購入可能なことから、リスクを極力抑えたい初心者にも適しています。

企業が発行する社債も選択肢の一つで、発行元の信用力が高い場合は比較的安全に、国債よりやや高めの利回りが期待できます。これらの債券は、基本的に満期まで保有していれば定期的な利子収入を得られるため、手間のかからない「ほったらかし投資」として活用しやすい商品です。

ただし、債券は株式のような大きな値上がり益は期待しにくく、あくまで安定した運用を目指す手段です。加えて、外国の国債や社債(外貨建て債券)には、為替変動や信用リスクといった追加の注意点があります。

債券に投資する投資信託を活用すれば、少額から複数の債券に分散投資できるため、リスクを抑えつつ効率よく債券投資を取り入れることも可能です。株式などのリスク資産と組み合わせて、資産全体のバランスを整える手段として債券は有効です。

関連記事:個人向け社債の利回りランキング!選び方のポイントも解説

5-10.外貨預金

外貨預金は、日本円を米ドルやユーロ、豪ドルなどの外国通貨に換えて預け入れる金融商品です。一般的に、日本の円預金よりも高い金利が設定されていることが多く、金利差による利息収入が期待できます。また、預け入れ時よりも円安が進んだ場合には、為替差益を得られる可能性もあります。一度預けてしまえば、満期まで特に手間がかからないため、「ほったらかし運用」の選択肢としても人気です。

ただし、外貨預金にはいくつか注意すべき点もあります。最大のリスクは為替変動で、円高が進んだ場合には、日本円に戻した際に元本割れとなる可能性があります。加えて、外貨への両替や日本円に戻す際には為替手数料がかかり、これが実質的なコストになります。さらに、外貨預金は預金保険制度(ペイオフ)の対象外であるため、万が一、預け入れ先の金融機関が破綻した場合でも、元本が保護されない点に注意が必要です。

また、高金利の外貨は、その国の経済や政治の不安定さが背景にある場合もあり、カントリーリスクの存在も忘れてはなりません。金利の高さだけに魅力を感じるのではなく、リスクやコストを正しく理解したうえで、資産の一部として慎重に活用することが大切です。

6.ほったらかし投資を後押しする2大制度

ほったらかし投資のおすすめ11選!メリット・デメリットや注意点を解説
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ほったらかし投資を始めるなら、税制優遇が受けられる制度を活用しない手はありません。「NISA」と「iDeCo」は、投資初心者にとっても扱いやすく、ほったらかし投資との相性も抜群です。

6-1.NISA(少額投資非課税制度)

NISAは、決められた非課税投資枠の範囲内で、株式や投資信託などから得られる売却益や配当金・分配金に対して、税金がかからない制度です。通常、投資による利益には約20%の税金が課されますが、NISAを活用すれば一定額までは非課税となり、手元に残る利益が大きくなります。 2024年からは制度が刷新され、「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の二つの非課税枠が設けられ、併用も可能になりました。

つみたて投資枠は、長期・積立・分散投資に適した一定の投資信託を定期的に購入でき、初心者でも自動的に資産形成を進められる点で、ほったらかし投資と非常に相性が良い仕組みです。一方、成長投資枠は、より幅広い投資信託や個別株、ETFなどに投資することができ、まとまった資金を活用して積極的に運用したい場合にも対応しています。

生涯で非課税のまま保有できる投資額の上限は1,800万円(うち成長投資枠は1,200万円まで)に拡大され、保有期間も無期限となったことで、長期的な視点でじっくりと資産を育てることがより現実的になりました。

NISA口座で投資信託の積立設定を行えば、あとは自動で買い付けが進むため、日々の値動きを気にせずに資産運用が可能です。 もちろん、NISAを通じて購入した金融商品にも元本保証はなく、価格変動による損失リスクは存在します。しかし、非課税という強力な制度メリットを活かせるNISAは、ほったらかし投資の入口としても非常に有力な選択肢といえます。

6-2.iDeCo(個人型確定拠出年金)

iDeCoは、自分で掛金を拠出し、自ら選んだ金融商品(定期預金、保険、投資信託など)で運用し、その成果を原則60歳以降に年金または一時金として受け取る、私的年金制度です。老後資金の準備に特化しており、最大の特徴は手厚い税制優遇にあります。

まず、拠出した掛金の全額が所得控除の対象となるため、毎年の所得税や住民税の負担を軽減できます。さらに、運用期間中に得た利益(利息や運用益)も非課税で再投資されるため、複利の効果を活かしやすくなります。受け取り時にも税制上の優遇があり、税負担を軽減した形で資金を受け取ることが可能です。

多くの場合、毎月一定額を積み立てる形で運用され、一度商品を選んで積立を設定すれば、その後は自動的に運用が進むため、手間をかけずに長期的な資産形成を行えます。 ただし、いくつかの注意点もあります。最も大きな制約は、原則として60歳までは資金を引き出せないことです。したがって、途中で使う予定のない余裕資金で始める必要があります。

また、加入時や運用中には一定の手数料がかかり、選ぶ商品によっては元本割れのリスクもある点には留意が必要です。

7.ほったらかし投資の注意点

ほったらかし投資とは?メリット・デメリットとおすすめの投資方法5選
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「ほったらかし投資」は、日々の細かな取引に追われず、手間をかけずに資産運用を続けるスタイルですが、完全に放置してよいというわけではありません。安心して資産を育てていくためには、いくつかの注意点を押さえておく必要があります。

7-1.定期的な状況チェックを習慣にする

手間をかけずに運用できるのが魅力とはいえ、投資の状況をまったく確認しないのは危険です。月に一度、あるいは四半期ごとなど、定期的に運用状況を見直す習慣を持ちましょう。

資産が目標に沿って成長しているか、市場の変化により当初の投資方針とズレが生じていないかなどを確認することが大切です。経済状況の変化やライフステージの変化に応じて、必要に応じて資産配分の見直しやリバランスを行うようにしましょう。

7-2.無理のない余剰資金で始める

投資は必ず、生活に支障のない「余剰資金」で行うのが原則です。生活費や教育費、住宅資金など、近い将来に必要となるお金は投資に回さず、急な出費にも対応できる予備資金を確保したうえで、当面使う予定のない資金を使うことが重要です。

ほったらかし投資は長期的な運用が前提のため、すぐに成果を期待するよりも、時間を味方にしてじっくりと取り組む姿勢が求められます。

7-3.投資対象の内容やリスクを理解する

どんな金融商品にもリスクがあり、「安全な投資」は存在しません。「簡単そうだから」「みんながやっているから」という理由だけで選んでしまうと、思わぬ損失を招く可能性があります。

投資対象の仕組みやリスク、期待できるリターン、コスト面などを事前にしっかり理解し、自分の判断で納得してから投資を始めることが大切です。信頼できる情報源で調べたり、目論見書を確認したりして、冷静な判断ができるように備えておきましょう。

8.未来への種まき、今日から始める「ほったらかし投資」

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「ほったらかし投資」は、投資初心者でも少額から気軽に始められ、日々の値動きに振り回されることなく、長期的な視点で資産形成に取り組める方法です。毎月の積立や自動運用の仕組みを活用すれば、複利の力も活かしながら、着実に資産を育てていくことが期待できます。

もちろん、投資である以上リスクは伴いますが、正しい知識を持ち、自分の目的やスタイルに合った方法を選べば、将来に向けた備えとして大きな力になるでしょう。

まずは小さな一歩からでも構いません。この記事をきっかけに、未来の安心につながる「種まき」として、今日からほったらかし投資を始めてみてはいかがでしょうか。

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