リモートワークが広がる中で、さまざまな働き方への注目度も高まっています。地方活性化の施策として、一部の行政が推進している「二地域居住」もその一つです。都心をベースとしながら月の半分は地方で働きながら暮らす二地域居住のメリット、デメリットとは?
目次
地方活性化にもなる二地域居住という方法
二地域居住とは、生活の拠点を2つもって、都市部と地方を行き来するライフスタイルを指します。一時的なシーズンを過ごす別荘とは異なり、ある程度定期的に二地域間を往復するイメージです。
国土交通省は、地方活性化の施策として二地域居住を推進しています。同省の見解では、「国全体で人口が減少する中、すべての地域で定住人口を増やすことはできない」としています。
そこで都市部の住民が、農山漁村地域にも生活拠点をもつ二地域居住を推進することによって、地域への人の誘致・移動を図ることが必要だというのです。
確かに二地域居住が増えれば、人口は同じでも地方の生活拠点が増えるので、地方活性化につながるのは事実でしょう。
二地域居住のメリット、デメリット
国土交通省は、二地域居住のメリットについて、次のように分類しています。
実践する側のメリット
・企業にとっては、働き方改革、社会貢献活動、福利厚生、新規ビジネスの展開につながる。
受け入れ側のメリット
・地方自治体にとっては、遊休農地の解消、地域の雇用創出、消費等の経済効果につながる。
(出典:国土交通省ホームページ 「地方振興 活力と魅力のある地域づくり」)
一方で、二地域居住のデメリットは、都市部と地方を往復する移動費用が掛かることです。
また、セカンドハウスや仕事場であれば、居住環境の確保が必要です。都市部に比べると生活の利便性が低いのは否めません。
二地域居住を推進しているエリアを紹介
では、二地域居住を推進しているエリアをご紹介しましょう。
千葉県銚子市
都心から2時間程度とアクセスのよい地域です。銚子市は、都市部の企業の社員に、空き家を活用したお試し住宅を体験してもらう取り組みを実施。企業と連携した取り組みとして注目されます。
連携企業のアンケート調査では、「地方に魅力を感じた」(約66%)、「地方に住みたい」(約7%)、「二地域居住について真剣に考えた」(約8%)という結果が出ています。
兵庫県姫路市
姫路市家島での二地域居住を促進するため、都市部の人が趣味や特技を活かして、商売によって収益を得られる「小商い」という空き店舗を使った取り組みを実施。
宿泊・交通費などの負担を軽減するためのユニークな企画として注目されます。収益だけでなく、地域とのつながりを持つきっかけになったと手応えをつかんでいます。
福岡県宗像市
宗像市に関心のある東京都市圏在住者をターゲットとして、航空機を利用した「遠方二地域居住」を体験するモニターツアーを実施。東京から900㎞離れた遠方地へ招くという試みが注目されます。
参加者からは「人が優しい、自然豊か」「魚、農作物など、ごはんが美味しい」など、宗像市に好印象を持った声が聞かれています。
(出典:国土交通省ホームページ 二地域居住推進の取組事例集)
ベースは都心で、月の半分は地方暮らしも可能
さて、二地域居住の実現性ですが、やはり利便性を考えると都心での生活をベースにするのが基本になるようです。
例えば、住居は都心に置き、仕事場を地方に移すというスタイルも考えられます。平日に地方で仕事をし、金・土・日に都心の自宅に帰れば、月の半分を地方で暮らすことも可能です。
取引先との連絡はリモートワークでできる今だからこそ実現できる暮らし方といえます。
地方や農村部を訪れるテレビ番組などを見て、田舎暮らしに憧れる方はいるでしょう。その一方で、便利な都会暮らしも捨て難いのが実情です。
そのような方にとって、月の半分を地方で暮らす新たなライフスタイルとして、二地域居住は一つの有力な選択肢になるのではないでしょうか。
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