高齢者の長寿化が進み、今では「人生100年」といわれるようになってきました。定年も65歳の現状からさらに繰り下げて、70歳にする議論も始まっています。70代、80代になってもただ漫然と過ごすのではなく、より有意義に人生を過ごさねばなりません。これに伴い、私たちも生活のスタイルを変えていく必要があります。
長寿化の一方で、私たちを取り巻く環境そのものも大きく変わりつつあります。その最たるものが人工知能(AI)の発達です。人工知能は将来的にビジネスや生活を激変させる可能性を秘めています。そして、このような時代の変化に合わせて、充実した人生を送るコツとは何か。その答えの一つがパラレルキャリアだといわれています。
パラレルキャリアとは?
パラレルキャリアという概念は、マネジメントの発明者と言われるピーター・F・ドラッガーの著書で、1999年に刊行された『明日を支配するもの』(原題:Management challenges for the 21st Century)で提唱されました。ドラッガーは、21世紀の主役は知的労働者であり、人生もキャリアも自分自身でマネジメントすることを重要だと説いています。
パラレルキャリアは端的にいえば『本業とは別にキャリアを持つこと』です。ただし、そのキャリアの目的は人生を充実させ、またそれを通じて本業のブラッシュアップに貢献することです。誤解されやすいのですが、パラレルキャリアは副業ではありません。ビジネスを否定はしないものの、必ずしも報酬にこだわるわけではないため、NPOやNGO・ボランティアなどの活動もパラレルキャリアに含みます。
人工知能の時代へ
仕事とは、生活の糧を得るための手段だけではありません。生きがいややりがいなどの精神的な支えでもあります。パラレルキャリアはこれらを支えてくれると同時に、将来的に社会に大きな影響を与えるだろう、人工知能の時代の備えともなります。
人工知能は将来、仕事の内容を大きく変化させます。あるコンサルティング会社では、現在ある仕事のうち最大49%は、その担い手が人間から人工知能に置き換わると推定しています。
例えば、企業の組織は、これまで一般社員・係長・課長・部長という階層に分かれ、組織全体でも、各階層でもその人数は、ピラミッド型になるのが一般的でしたが、人工知能の導入で、少数のトップと一般階層に二極化することが予想されています。実際、世界最大手の金融会社であるゴールドマン・サックスは人工知能の導入に伴い、これまで勤めていた600人のトレーダーを2人にまで減らしました。
このような事例を目の当たりにすると、パラレルキャリアの意味がより鮮明に理解できます。単純労働的な仕事、ルーティンワーク的な仕事は、人工知能やロボットに代替される時代になります。その際に、より良いポジションを獲得するためには、人工知能では代替できない創造力が必要になります。パラレルキャリアが意味するものとは、「創造性を育むキャリアパス」であるともいえます。
政府の「働き方改革」により、「サラリーマンの副業を解禁すべし」という議論が盛んです。会社員の場合は、会社の勤務時間以外に、別の仕事に従事し、収入を得ることが副業です。先に述べたように副業とパラレルキャリアは、似て非なるものですが、多面的なスキル形成や人生の意義といった点を重視しつつ、そこから報酬も得ると考えればパラレルキャリアと副業は両立できるともいえるはずです。
新時代に適応するために
私たちは今、「長寿」と「人工知能」という、2つの変革に直面しています。パラレルキャリアはこの2つを乗り切るための礎となり得るものです。なぜなら、パラレルキャリアには、本業とは異なるフィールドで、会社から与えられた役割ではなく、自分の関心事やスキルを活かせる活動など、自分で自分自身のポジションを作り出すという側面があるためです。
サラリーマンであれば、FPや宅建士、中小企業診断士など、本業に関連する資格を保有している人も多いでしょう。このような資格保有者にうってつけなパラレルキャリアのひとつにWEBライターが挙げられます。資格を得るために学んだ知識が、原稿を書く上で役に立つためです。
60歳、もしくは65歳で定年を迎えた後も、長い人生が待っています。これまでは定年退職したのであればすぐに余生と言った感じでしたが、これからの時代は、本業を持ちながらパラレルキャリアを、定年退職したのであれば、なおのこと充実したパラレルキャリアを持つことが何よりも大切になってくることでしょう。
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