最終更新日:2024/8/21
 
長生きリスク対策「トンチン年金」のメリットを活かすマンション経営との併用
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佐古野 道人
佐古野 道人
一般企業で不動産運用や税務を経験後、ファイナンシャル・プランナーとして独立。マネー専門ライターとしてWEBライティングの他、書籍の企画・構成にも携わる。得意分野は資産運用。日本FP協会資格認定会員(AFP)。

「人生100年時代」という言葉がさかんに使われるようになった今、長生きリスクへの対策として「トンチン型の個人年金保険」が注目されています。

老後資金の作り方として有効な部分もありますが、注意点も少なくありません。その内容とデメリットを補う方法をお伝えします。

目次

  1. トンチン年金の特徴|長生きリスクを回避できる保険
  2. トンチン年金のデメリットとリスク
    1. 実質的に掛け捨てである
    2. インフレリスクには弱い
    3. 外貨建てのタイプは円高で損することも
  3. マンション経営と併用することで負担を低くすることも可能
  4. 老後のプランは一つだけではなく組み合わせることで弱点を補おう

トンチン年金の特徴|長生きリスクを回避できる保険

長生きリスク対策「トンチン年金」のメリットを活かすマンション経営との併用
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日本で販売されているトンチン年金は、死亡保障がないか払込額に対して少ない代わりに、給付が一生涯続くタイプが一般的です。

なんとなくユーモラスな名前ですが、17世紀のイタリアの銀行家ロレンツォ・トンティ(Lorenzo de Tonti)の名前に由来しています。

トンチン年金の保険料の払い込みや受け取りの方法にはさまざまな選択肢があります。

一括で支払いを終えたり、据置期間を設けることで返戻率(支払額に対する受取額の割合)を上げたりと、資産設計に合わせた対応が可能です。

最近は特約で「介護年金」をつけられるタイプもあります。

介護の必要性が一定以上になると、保険金が追加されるものです。長生きすればするほど高まる介護費用の発生リスクにも対応できる心強い商品といえます。

トンチン年金のデメリットとリスク

長生きリスク対策「トンチン年金」のメリットを活かすマンション経営との併用
(画像=Dzmitry/stock.adobe.com)

トンチン年金は長生きリスクへの備えとしての効果がある保険商品ですが、デメリットもあります。

1.実質的に掛け捨てである
2.インフレリスクには弱い
3.外貨建てのタイプは円高で損することも

加入を検討する際には契約内容の詳細な確認が必要です。

実質的に掛け捨てである

例えば35歳から65歳まで毎月2万5,000円ずつ支払い、65歳以降毎月5万円ずつ受け取り、死亡保障は一切なし、という契約を想定して概算してみます。

支払い総額=2万5,000円×12ヵ月×30年=900万円

これに対して受け取り額は、80歳まで生きたとして

受取り総額=5万円×12ヵ月×15年=900万円

保険に加入したメリットが出るためには(支払い総額以上の金額を受け取るためには)、受取人が80歳以降も生き続ける必要があることがわかります。

このようにトンチン年金は、早く亡くなってしまうと保険料に見合った保障が得られず、「支払い損」となる可能性があり、実質的に掛け捨ての保険といえます。

一般的な掛け捨て保険のよいところは保険料が低いことですが、トンチン年金でそれなりの保険金を受け取るためには、ある程度若いうちから毎月数万円単位の負担が必要です。

インフレリスクには弱い

保険金額は一定であるため、物価が上昇すると実質的な受け取り額は目減りしてしまいます。

物価が下落すればメリットが出ますが、数十年間の超長期で下落し続けることは考えにくいでしょう。

このデメリットをカバーするためには、インフレリスクに強いマンション経営など不動産投資と組み合わせる方法があります。こちらは次の章で説明します。

外貨建てのタイプは円高で損することも

トンチン年金の中には外貨で受け取るタイプのものもあります。日本は金利が低いので金利が高い外貨は魅力的に映るかもしれません。

しかし為替の変動リスクには注意する必要があります。円高になると受け取る保険金が少なくなってしまうからです。

マンション経営と併用することで負担を低くすることも可能

長生きリスク対策「トンチン年金」のメリットを活かすマンション経営との併用
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老後資金の支えになる選択肢のひとつとしてマンション経営があります。ローンを組んでワンルームマンションなどの賃貸物件を買い、家賃収入を得るものです。

ローン返済中は利益は多くありませんが、完済後には家賃がほぼそのまま手元に残るため毎月数万円以上の収入が見込めます。

トンチン年金とマンション経営はどちらも個人で準備する年金のようなものといえ、それぞれに別のメリットやリスクがありますが、組み合わせることで双方の特徴を活かすことができます。

マンション経営は不動産という実物資産を対象とするためインフレリスクに強く、貯蓄性もあります。

しかしトンチン年金と違って一生涯の受け取りが必ず保証されるわけではありません。

40年~50年経過し、もしも管理が悪く建物が老朽化して価値が低くなれば、収入は減少する可能性もないとはいい切れません。

ただし、立地や建物のブランド力、管理運営サポートの有無などを見極めることでこのリスクは軽減または回避できる場合がありますので、購入の際の検討は十分に行い、実績のある不動産会社に依頼する必要があります。

両者の特徴を活かす方法として、マンション経営でローン返済後に得た収入の一部をトンチン年金の保険料に充てるという方法があります。

トンチン年金の保険期間を短縮することで、インフレリスクと掛け捨てになるリスクを低減でき、マンション経営だけでは足りない一生涯の保障を補うことができます。

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老後のプランは一つだけではなく組み合わせることで弱点を補おう

長生きリスク対策「トンチン年金」のメリットを活かすマンション経営との併用
(画像=goodluz/Shutterstock.com)

トンチン年金には貯蓄性がなく物価の上昇に弱いという欠点がありますが、マンション経営と組み合わせることによって、これらを補うことができます。

豊かな老後を築くため、さまざまな選択肢を検討してみてください。

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