不動産投資を検討している方のなかには、災害のリスクについて不安を感じている方も少なくありません。日本は地震や台風が多い国ですが、最近では大雨による水害のリスクが高まっています。そこで本稿では、不動産投資において知っておくべき自然災害とは何か、それから自然災害の回避策などについて詳しく説明します。これから不動産投資を検討されている方、自然災害に不安を感じている方はぜひ最後までご覧ください。
目次
自然災害の被害は不動産にも
自然災害による被害について考えるとき、まずどの程度の規模の被害状況が、どのくらいの時期に引き起こされるのかを検討しなければなりません。
地震のように事前に予知できないものであればともかく、台風・大雨にともなう洪水等であれば、ある程度の規模と時期は予想できます。
そのうえで、予想される被害の内容と大きさをもとに、具体的な対策をとることが求められます。
ただ、ここ数年で発生している自然災害の場合、過去のデータが通用しないケースも少なくありません。各地で特別警報が発表されるなど、予想を超えた被害につながっているところもあります。
今後も地球温暖化等の影響で大規模災害が増えることを考えると、不動産への影響も踏まえ、きちんと対策しておくべきでしょう。
不動産投資に影響する代表的な災害とは?
日本で不動産投資をする際に影響が出やすい代表的な災害は以下の3つです。
1.地震による被害 2.台風による被害 3.大雨による被害 |
それぞれについて説明していきます。
地震による影響
不動産投資をする際に最も大きな影響を与える可能性がある災害は地震とえます。日本は世界有数の地震大国であるため、大規模な地震が発生することが珍しくありません。
記憶に新しいところでは、2011年の東日本大震災、2016年の熊本地震、2024年の能登半島地震など、大規模な地震が発生しており、小規模・中規模の地震は毎年一定数起きています。
さらに、このような大きな地震は今後も起きるといわれており、首都直下型地震や南海トラフ地震などはいつ起きてもおかしくないのが実状のようです。
このため、不動産投資を行う際は地震による影響を軽減できるように対策をとっておくことが非常に重要になります。
台風による影響
近年増えているのは台風による影響です。
例えば、2024年の台風7号は千葉県や栃木県の一部に停電を発生させており、同年8月に発生した台風5号は岩手県を中心に東北地方で冠水や土砂崩れなどを発生させ、2,000人の方が避難を余儀なくされました。
このように、不動産投資を行う場合は台風による浸水、土砂災害などの影響にも備えておくことが必要です。
大雨による影響
最近では地球温暖化の影響によるものと思われる大雨による災害も頻繁に起こっています。
令和3年8月に西日本で発生した豪雨では5,00以上の民家が断水され、令和5年6月に発生した梅雨前線の影響による全国的な豪雨では断水や停電が発生し、住家被害は3,000を超えました。
災害リスクに備えるための対策
地震・台風・大雨といった災害に対して、予測不能な部分がありますが、有効な対策として以下の2つをあげることができます。
・火災保険に加入することで台風による被害に備える
・地震保険に加入して地震による被害に備える
それぞれについて説明していきます。
1.火災保険に加入することで台風による被害に備える
火災保険は火事のためだけの保険ではありません。火災保険に加入することで、所有している不動産が台風や大雨による浸水などの被害にあったときにも補償してくれます。
基本、不動産を購入する際に金融機関から融資を受けている場合は火災保険に加入することが必須です。
なお、アパートや一棟マンション投資などで火災保険に加入する場合は、建物全体に対する火災保険に加入することになります。
各部屋については入居者が火災保険に加入するのが通例であるためです。
2.地震保険に加入して地震による被害に備える
地震による被害については火災保険で補償されないので、地震のリスクに備えるためには地震保険に加入する必要があります。ただし、地震保険単体では加入することができず、必ず火災保険とセットで加入をしなければなりません。
なお、地震保険は金融機関から融資を受けている場合でも、加入は任意です。とはいえ、大規模な地震が多く発生している日本では地震保険に加入しておくほうが安心です。
火災保険や地震保険については、下記の記事にて詳しく解説しています。ぜひ参考にしてみてください。
→ 賃貸住まいから思い切って住宅を購入。その際の火災・地震保険はどう考える?
いざというときの避難や対応について
では、このように私たちの予想を超えて広がる災害には、どのように対応すればいいのでしょうか。大前提となるのは、不動産そのものの安全性です。
各種災害に対し、どのくらい持ちこたえられるのかは、建設される不動産のスペックに左右されます。
その点を踏まえ、どの程度の災害対策住宅を手掛けているのかを中心に、いざというときの避難や対応についても、エリアごとに確認しておくといいでしょう。
災害リスクに強い不動産を購入する際のチェックポイント
火災保険、地震保険に加入することはもちろんのことですが、そもそも災害に強い不動産を購入することも災害に対する非常に有効な対策です。
以下にて災害に強い不動産のチェックポイントを5つピックアップしております。
1.購入する前に地盤の強さを確認する 2.購入する不動産があるエリアのハザードマップを確認する 3.新耐震基準の不動産を購入する 4.耐震等級の高い物件を購入する 5.マンションの場合は制震・免震構造のものを購入する |
では、それぞれについて説明していきます。
1.購入する前に地盤の強さを確認する
地震の被害を軽減するためには、地盤の強い土地に建てられている不動産を購入することが重要になります。地盤の強さについては「地盤調査報告書」より確認することができます。
しかし、地盤調査報告書に関しては建築前に調査するもののため、中古物件の場合は売主が処分しているケースがあるので注意が必要です。
この場合は、役所にて近隣の地盤調査データを確認することができます。ただし、あくまでも参考程度にしかならないため、より正確に把握したい方は地盤の調査を行う専門の業者に依頼するといいでしょう。
2.購入する不動産があるエリアのハザードマップを確認する
購入を予定している不動産があるエリアのハザードマップを確認することで、そのエリアにどういった災害のリスクがあるかがわかります。
例えば、以下の図は渋谷区の洪水ハザードマップになります。どのエリアにどれくらいの浸水があるのかを確認することができます。
ハザードマップで調べられる内容は、台風などで起きる河川の氾濫によって浸水が発生するエリアや土砂崩れが起きる可能性が高いエリア、地震によって液状化現象が起きる可能性があるエリアなどです。
購入予定の不動産があるエリアのハザードマップを調べるには、国土交通省が運営している「ハザードマップポータルサイト」をチェックしてみましょう。
ハザードマップポータルサイト
→https://disaportal.gsi.go.jp/
また、多くの市区町村はインターネット上にハザードマップを公開しているので、「◯◯(不動産の購入を検討しているエリア)ハザードマップ」で検索すると見つけることができます。紙の資料が欲しい場合は、調べたいエリアの市区町村に問い合せてみるといいでしょう。
このようにインターネットで簡単にハザードマップを調べることができるので、不動産を購入する前は必ずハザードマップを確認するようにしてください。
3.新耐震基準の不動産を購入する
建物には新耐震基準と旧耐震基準があり、1981年の建築基準法の改正後に建築された建物が「新耐震基準」が適用された建物で、1981年以前に建築された建物は「旧耐震基準」が適用されています。
なお、「新耐震基準」と「旧耐震基準」違いを簡単に説明すると以下のようになります。
・旧耐震基準
「震度5強の中規模の地震でほとんど損傷しない」基準で建築された建物
・新耐震基準
「震度6〜7の大規模な地震で倒壊・崩落しない」基準で建築された建物
したがって、旧耐震基準で建築された建物は新耐震基準より耐震性能が低いため、地震による災害のリスクが高いといえます。
ただし、旧耐震基準の建物でも耐震補強工事を行って新耐震基準を満たしている建物もあるので、購入される前にきちんと確認するようにしてください。
国土交通省が提示している以下の資料も参考にしてください。
→住宅・建築物の耐震化について
4.耐震等級の高い物件を購入する
耐震等級の高い不動産を購入することも、災害のリスクに対して強い不動産を購入するためのポイントです。
耐震等級とは地震によって建物が倒壊しない強さを表した耐震基準とは別の基準で、1〜3耐震等級があり数字が高いほど地震に対して強い建物という位置付けになります。
耐震等級の地震に対する基準を表にてまとめております。より高い等級の物件を選ぶといいでしょう。
等級 | 基準 |
---|---|
耐震等級1 | 新耐震基準と同等の耐震性能がある |
耐震等級2 | 耐震等級1の1.25倍の地震に対する耐震性能がある |
耐震等級3 | 耐震等級1の1.5倍の地震に対する耐震性能がある |
(参考:国土交通省 日本住宅性能表示基準)
5.マンションの場合は制震・免震構造のものを購入する
投資マンションを購入する場合は、制震・免震構造のあるマンションの購入をおすすめします。
制震・免震構造とは地震や強風などによる揺れを減少するための仕組みで、地震のリスクを軽減することが可能です。
ただし、制震・免震構造があるからといって、絶対的な耐震性能があるわけではありません。そのため、制震・免震構造の有無だけでなく、その他の耐震性も含めて総合的に判断するのが重要です。
【制震・免震・耐震の違い】
制震 | 地震の揺れを吸収する |
---|---|
免震 | 地震の揺れを受け流す |
耐震 | 地震の揺れに耐える |
まとめ
日本は地震や台風などの自然災害が非常に多く、年々その被害も拡大をしている状況です。そのため、不動産投資を行う際に地震や台風といった自然災害に備えておくことは非常に重要になります。
一度大規模な自然災害が発生し建物が大きく破損すると、大規模な修繕が必要になり大きな出費がともないます。
最悪のケースとしては建物が倒壊してしまうことです。こういった事態になると自身の資金状況が悪化する事態にもなりかねません。
したがって、火災保険や地震保険に加入することや災害に強い不動産を入念に調べて購入するなどの備えをすることを強くおすすめします。
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