賃貸住まいから思い切って住宅を購入。その際の火災・地震保険はどう考える?
(画像=tamayura39/stock.adobe.com)

テレワークの普及による通勤環境の変化により、交通手段の利便性よりも住環境を重視して、郊外に家を購入することを検討される方も多いのではないでしょうか。住宅購入の際にはローンの手続きや引っ越しなど、考えなければならないことが多くありますが、そこでおろそかにしてはいけないのが火災保険と地震保険の内容についてです。

周辺エリアの災害リスクを把握することが大切

住まいにおける災害リスクは地域や立地によって異なり、その土地の環境や地盤等によってさまざまです。まず台風の被害を受けやすい地域なのか、また、川の近くであれば水災の被害はどの程度のものなのかを考える必要があります。

さらに海の近くであれば高潮や地震による津波の被害、さらに山や崖に面していれば土砂崩れなどの被害を受ける可能性が高くなります。自治体が公表しているハザードマップを調べるのはもちろんのこと、地域情報などから過去の災害を調べるなど、情報収集をしっかりと行い、その対策を考えることが大切です。

収入に余裕があっても保険加入は必須

住宅購入の際、比較的余裕のある世帯収入があったとしても、多額の住宅ローンが残った状態で自宅に大きな損害を受けると、その経済的負荷は甚大なものとなります。

自身の経済力でまかなえないほどの被害を受ける可能性がある災害には、しっかりと保険で備えておく必要があります。特に住宅ローンを組んだ初期にこそ、手厚い補償が必要であると考えましょう。

勧められるがままはNG!自身に合ったアレンジを

住宅を購入する人のほとんどが火災保険に加入しますが、その際、住宅購入の手続きなどに労力を使い切ってしまい、火災保険の補償内容まで考える余裕がなくなってしまうケースもあります。そうなると、特に内容を検討しないまま勧められた保険に加入する人も珍しくありません。

しかし、住まいに対する災害リスクはさまざまなので、複数の保険を比較し、自身に必要な補償を選択していく必要があります。大手損害保険会社の火災保険はいくつかの補償がセットになったプランから選ぶことが多いですが、最近ではインターネットから申し込みができる火災保険も増えています。

インターネットで申し込む場合、主に火災、落雷、破裂・爆発などに備えた基本補償を軸に水災や盗難などを追加するユニットタイプが主流となっています。自身でどのような補償が必要か、不要な補償については省く、もしくは補償額を減らすなどアレンジを行うことが大切です。

また、自宅だけでなく家財への損害にも備えたいのであれば、家財を補償の対象として火災保険や地震保険を契約する必要があります。家財も補償対象とすることによって保険料が上がるので、家計とのバランスを考えながら選択しましょう。

損害保険の場合、自己負担額(免責金額)を増やすことで保険料を減らすという方法もあります。

火災保険と地震保険の違いとは?

損害保険として一括りに考えがちですが、火災保険の内容と地震保険の内容は異なります。ここでしっかりとそれぞれの保険の特徴を理解しておきましょう。

火災保険は火事・落雷・風水害などが対象、地震は対象外

火災保険は、一戸建てやマンション、ビルなどの「建物」と、建物の中にある家具や什器などの「家財」を補償するものです。具体的には、火災や天災、建物外部からの物体の衝突、水濡れ、盗難などにより建物や家財に生じた損害に備える保険ということです。

最近の火災保険においては、火事・落雷・風水害などによって生じた建物や家財の損害を補償する、被害を受けた建物や家財を再築・再購入、あるいは修復するための「実損払方式」の保険が一般的となっています。

そして最も覚えておいていただきたいのが、「火災保険では、地震を原因とする火災や、地震によって延焼・ 拡大した場合の損害は補償されない」ということです。

地震保険の保険金額は火災保険の30%〜50%

地震保険は地震・噴火、またはこれらによる津波を原因とする火災・損壊・埋没または流失による被害を補償する地震災害専用の保険です。

地震は広域で甚大な被害をもたらすことがあり、そのすべてを国の財政や保険会社がまかなうのは難しいのが実情です。そのため地震保険は、被害を受けた人の生活再建に必要な資金を給付する保険として位置づけられています。

したがって、保険金額も火災保険の30%〜50%までの補償となり、補償対象は基本的に居住用建物と家財に限定されます。また地震保険においては損害の程度を全損、大半損、小半損、一部損という4段階の支払基準を設定しています。そして一部損の基準を満たしていない場合は、地震保険に加入していても保険金を受け取ることができません。

ちなみに損害の程度による地震保険の保険金支払いについては、以下のとおりとなっています。

【建物・家財共通】

全損地震保険の保険金額の100%
(時価額を限度とする)
大半損地震保険の保険金額の60%
(時価額の60%を限度とする)
小半損地震保険の保険金額の30%
(時価額の30%を限度とする)
一部損地震保険の保険金額の5%
(時価額の5%を限度とする)

【参照:損保ジャパン 地震保険 補償内容

【補償内容および保険金額の範囲の違い】

保険の種類補償内容保険金額の範囲
建物家財
火災保険・火災
・風災
・雹災
・雪災
・水災
など
評価額の100%
地震保険・地震、噴火、津波による火災および損壊など火災保険の保険金額の30%~50%
(5,000万円が限度)
火災保険の保険金額の30%~50%
(1,000万円が限度)

【参照:ソニー損保 地震保険

特約の上乗せで補償を手厚くする

火災保険には、基本のプランに加え、各種の特約を上乗せすることができます。例えば金融機関が扱う住宅ローンの自然災害補償の特約も、補償を上乗せする際の1つの選択肢になります。

個人賠償責任補償特約

特約の内容は各保険会社によって異なりますが、多く見られるのが「個人賠償責任補償特約」です。火災が原因である以外でも、契約者およびその家族が他人にケガを負わせたり、他人の物を壊したりするなど、法律上の損害賠償責任が生じたときに損害金を補償するもので、賠償金額が多額になりつつある現在では必須の特約といえるでしょう。

臨時費用保険金補償特約

「臨時費用保険金補償特約」も視野に入れておきたい特約です。火災や災害に遭った際に、家屋を修繕している間の宿泊費や職場への交通費、家財の保管費用として利用することができます。支払われる保険金は保険会社や契約内容などによりますが、1つの事故につき保険金の10%~30%(限度額100万~300万円)となっています。

新価保険特約

火災保険の保険金を評価する金額には「新価」のほかに「時価」があり、火災保険の契約時にどちらかを選択することになります。

「新価」とは再調達価格ともいわれ、保険契約の対象である建物や家財を再取得するために必要な金額ですが、古い契約では経年劣化などで落ちた品質の分の金額を差し引く「時価」が選択されていることが多いため、新たに契約する際には「新価保険特約」を付加することをおすすめします。

地震危険等上乗せ特約

火災保険に「地震危険等上乗せ特約」が付帯できるケースがあります。この特約を付加しておくと地震保険と同額の保険金が支払われるため、地震保険と合わせると火災保険金額の100%まで補償されます。

ただ、全半損時のみや地震による火災の損害だけが対象のこともあることから、補償範囲には注意しておきましょう。

少額短期保険の活用

少額短期保険にも地震を補償する商品があります。単独で加入でき、最大900万円まで補償されますが、別途保険料が必要となることから、「地震における補償を手厚くする」目的で、予算が許す範囲内で検討してみましょう。

住宅新築時に加入することの重要性と見直しのタイミング

2021年1月より火災保険料と地震保険料が改定され、築年数による割引の差が大きくなりました。築年数が浅いほうが割安になることからも、「新築住宅を購入した際にどのような保険に加入するのかが一層重要になった」といえるでしょう。また、火災保険は単独で加入できますが、地震保険は単独で加入できずに火災保険とあわせて加入することになることも、合わせて理解しておく必要があります。

住宅ローンを組んだばかりで住宅への損害が不安だという方は、地震上乗せ特約で地震に対する補償を手厚くした火災保険に加入を検討してみましょう。

契約年数について5年以内の契約にする人が90%以上を占めていますが、なるべく長期で加入したほうが保険料は抑えられるため、10年の契約にし、保険料払込回数については余裕があるのであれば、月払いより年払いの一括払いにすると総額が安くなります。

必要に応じて適時補償内容の見直しを 

住宅購入後、ローン残高がある程度減ってくれば、家計の状況によっては火災保険や地震保険金額の見直しを検討できます。

例えば、当初3,000万円の住宅ローンを組み、保険金額1,500万円の地震保険に加入していた場合、住宅ローンの残高が1,000万円になれば、地震保険の補償も見直しを検討してもいいでしょう。

補償を見直す際には住宅の築年数や貯蓄額、そして住んでいるエリアの環境の変化も踏まえ、総合的に検討するようにしましょう。

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