マンション経営は「立地」が命! では、勝てる立地の条件とは?
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平 行男
平 行男
ライター/合同会社スクライブ代表。主にビジネス、マネー、IT領域で、経営者インタビューやプロダクト紹介、導入事例紹介、イベントレポートなどのコンテンツ制作を担う。年間数冊のブックライティングも行う。

不動産投資で成功するためには「立地が大事」とよくいわれます。そもそも「立地」とは具体的にどのようなことを意味するのでしょうか。またマンション経営をするならどのような立地が「勝てる」立地になるのでしょうか。そこで今回はマンション経営を検討するうえで押さえておきたい立地の条件について解説します。

目次

  1. 1.空室率は立地に直結する
    1. 1-1.同じスペックでも立地によって収益に差が出る
  2. 2.マンション経営における「立地」とは
    1. 2-1.勝てる立地の条件1:交通の利便性
    2. 2-2.勝てる立地の条件2:生活関連施設の充実度
    3. 2-3.勝てる立地の条件3:周辺環境のよさ
    4. 2-4.勝てる立地の条件4:エリアの人気度
    5. 2-5.勝てる立地の条件5:人口の安定感
  3. 3.立地を選定する際の注意点
    1. 3-1.将来的な賃貸需要の動向をチェックする
  4. 4.まとめ
  5. 5.マンション経営における立地のQ&A
    1. Q5-1.なぜマンション経営において立地が大切なのでしょう?
    2. Q5-2.立地がいいマンションの条件を教えてください

オーナー様インタビュー特集第1話

1.空室率は立地に直結する

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不動産投資において「立地」が最重要視される理由は、入居率に直結するからです。立地がよい物件は賃貸ニーズが高いので入居者が決まりやすくなります。

空室期間の機会損失を減らすことができ、客付会社に支払う広告料も抑えられるため入居率が高い(空室率が低い)状態をキープできれば、安定したマンション経営が期待できるでしょう。

反対に立地が悪い物件は、入居者から敬遠されがちになり入居率が下がる傾向です。

いったん入居者が退去してしまうと次の入居者が決まるまで数カ月、下手すれば1年以上かかることも少なくありません。

当然その間の家賃収入は得られないため、空室を埋めるべくさまざまな手を打つ必要が出てきます。

家賃を下げたり、最新の設備を付けたり、客付会社に支払う広告料を上乗せしたりするなど、コストアップは否めません。

1-1.同じスペックでも立地によって収益に差が出る

同じようなスペックで同じ利回りの物件が2つあったとしても、立地の良いものと悪いものでは収益性に大きな差が出ます。

建物の設備や内装、管理サービスの内容などは工夫次第でいくらでも変えられますが、立地は後から変えることはできません。

だからこそ最初にしっかりと立地を確認してから買うことが必要なのです。

2.マンション経営における「立地」とは

マンション経営,不動産投資,立地
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マンション経営で勝てる立地は、下記のた5つの条件で決まってきます。

1.交通の利便性
2.生活関連施設の充実度
3.周辺環境のよさ
4.エリアの人気度
5.人口の安定感

すべての条件を網羅している立地はそうそうないと思いますが、あてはまる条件が多いほど空室期間や家賃の下落を緩和しやすいといえます。

2-1.勝てる立地の条件1:交通の利便性

・「都心マンションの交通の利便性」の考え方
ビジネスパーソン向けのワンルームや高所得者向けの高級マンションなど、都心物件の主な交通手段は電車です。そのため、「交通の利便性=電車の利用のしやすさ」と考えてよいでしょう。

最重要のチェックポイントは、「最寄り駅から物件までの徒歩分数」です。一般的に都市部では最寄り駅から徒歩10分圏内が入居者に好まれる駅近物件といわれます。

次に、最寄り駅が次の3つのいずれかにあてはまると、マンション経営のプラス材料です。

1.人気路線沿線か
2.複数の路線が乗り入れているか
3.通勤特急や急行が停車するか

ただし、必ずしも複数路線の乗り入れ駅や急行停車駅でなくても、「主要ターミナルの隣駅やそれに近い駅」であれば入居ニーズが高いと考えてよいでしょう 。

・「郊外マンション」の交通の利便性の考え方
郊外になると、交通の利便性のチェックポイントが大きく変わります。

都心に電車通勤する人が多いエリアであれば、最寄り駅までの徒歩分数はもちろん、「通勤のときに座りやすい駅か」「混雑率の低い駅(路線)か」などが注目されます。

車通勤の割合が多いエリアであれば、「渋滞しにくい環境か」「十分な駐車スペースがあるか」を気にする人もいるでしょう。

また、ファミリー層や高齢の単身者向け物件で、最寄り駅から離れているようなエリアであれば、下記の3つが重視されます。

1. バスの停留所から近いか
2.バスの本数があるか
3.車通勤がしやすいよう渋滞がしにくい環境か

2-2.勝てる立地の条件2:生活関連施設の充実度

生活に必要な施設が周辺にどれくらいあるか、これも立地の魅力を構成する大切な要素です。

単身者向けマンションであれば「コンビニが近いか」、ファミリーや単身高齢者向けマンションであれば、「スーパーや商店街、大型ドラッグストアがあるか」などが注目されます 。

ファミリー向けマンションであれば下記のような教育関連施設が近隣にあることも大事です。

・保育園
・幼稚園
・児童館
・学童
・小学校
・中学校

とくに、「ブランド校といわれるような偏差値の高い学校が近くにあること」は、高所得のファミリー向けマンションにとって大きなプラス材料です。

公園・図書館・その他子育てに関連する公共施設があることも幼児のいるファミリー層にとっては魅力です。

単身高齢者向けのマンションでは、郵便局やメガバンクの店舗、市役所や区役所(または出張所)、総合病院があることも入居時の安心材料になります。

2-3.勝てる立地の条件3:周辺環境のよさ

マンションの周辺環境も立地の善し悪しを決める要素の一つです。具体的には以下のような内容も押さえておきましょう。

・物件周辺の雰囲気(荒れた物件がないかなど)
・最寄り駅からの道のり
・地域の治安
・騒音の有無
・においの発する施設の有無
・嫌悪施設の有無 など

いくら駅近で利便性が高くても、線路に近すぎて電車の騒音がひどい物件や歓楽街に近くてイメージがよくない物件は人気が下がりがちです。

ただしなかには周辺環境はあまり気にせず駅近であれば借りるという人もいます。

例えば雑多な繁華街に立地するわずか15㎡しかないような極小ワンルームでも人気駅の近くなら一定の需要があるのです。

合わせて女性の単身者やファミリーであれば、地域の治安や犯罪率を気にする人も多いでしょう。

「物件の近隣に警察署や派出所があるか」「最寄り駅からの道のりが夜間に暗くないか(電灯は多いか)」などが注目ポイントになります。

また、高齢者のいる世帯であれば「急な坂がないか」を気にするケースもあります。

最近では、集中豪雨が増えているため、水害リスクを気にする入居者もいます。

気象庁のアメダスをもとにした分析データによると、直近の30年間で1時間の降水量50ミリ以上の大雨は約1.4倍に急増しています(全国1300地点の観測)。

ここ半世紀で大雨は確実に増えているため、物件購入前に各自治体が公表しているハザードマップで水災リスクを確認するのが賢明かもしれません。

2-4.勝てる立地の条件4:エリアの人気度

エリアの人気度もマンションの入居率や家賃相場に影響を与えます。

当然ながら人気のあるエリアほど、マンション経営において有利となります。この視点で重要な要素は「街のブランド力」と「再開発」です。

・街のブランド力
1つ目の「街のブランド力」とは、「この街に住みたい!」と憧れる人の多い地名や駅名のことです。

住みたい街ランキングで上位の常連である吉祥寺・恵比寿・目黒などはその代表例です。こういった立地のマンションであれば、長期空室のリスクが低く賃料が下落しにくいといえます。

・再開発
もう1つの要素である「再開発」は、そのエリア内または近隣で大規模な再開発が行われたため、一気にエリア価値が高まり「住みたい!」と考える人が急増するようなケースです。

一例では、山手線の新駅「高輪ゲートウェイ駅」の開発によって、品川周辺のエリア価値が強化されました。

2-5.勝てる立地の条件5:人口の安定感

現在の日本は人口減少社会に突入しているため、物件購入前に周辺エリアの人口推移を必ず確認するべきでしょう。

この人口推移は地方都市だけでなく、首都圏や東京23区の立地でも意識すべきことです。

かつてはブランド力の高い人気の街だったのに、人口減少が進んでいるケースもあります。

とはいえ、全体で見ると東京都の人口推移は安定的です。現在の東京都の人口は約1,400万人(令和2年度6月現在)です。

東京都・政策企画局の推計によると、2045年頃まで1,300万人台をキープすると見られていて長期で見ても横ばい〜微減程度です。

さらに、街のブランド力がの高く、利便性の高い都心であれば安定的でしょう。「マンション経営をするなら東京」という投資家が多いのにもうなずけます。

3.立地を選定する際の注意点

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(画像=THINK b/stock.adobe.com)

都市部の駅近物件を取得すれば、それだけでマンション経営は安泰なのでしょうか。しかし現実はそうともいい切れないのがマンション経営の難しいところです。

なぜなら投資マンションの競争力が高いかどうかは、結局は「需要と供給」で決まるからです。

いくらよい立地にあっても同じようなスペックの物件が周辺にあふれていれば競争が激化して家賃下落や空室率の上昇につながってしまいます。

3-1.将来的な賃貸需要の動向をチェックする

したがって物件を購入するときは、立地状況を確認するだけでなく将来的な賃貸需要の動向についてチェックしておくことも大事です。

「自治体の人口や最寄り駅の乗降客数はどう推移しているか」「商業施設や大学、工場などが移転してくる(または外部に移転する)計画はないか」などを調べて周辺の賃貸マーケットの将来動向をある程度予測してから購入を判断する必要があります。

初心者が知っておきたいマンション経営特集第1話

4.まとめ

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ここでは、マンション経営で「勝てる立地の条件」について解説してきました。ちなみに、取り上げた5つの条件は次の内容でした。

1.交通の利便性
2.生活関連施設の充実度
3.周辺環境のよさ
4.エリアの人気度
5.人口の安定感

ただし、これらの情報をすべてご自身で収集するのは手間がかかります。

上記のうち1〜3の条件(交通の利便性、生活関連施設の充実度、周辺環境のよさ)については、物件を扱う不動産会社に情報提供してもらうとよいでしょう。

4(エリアの人気度)と5(人口の安定感)については、ネット検索で手軽に情報収集できると思います。

5.マンション経営における立地のQ&A

それでは最後に、マンション経営における立地に関する疑問を確認しておきましょう。

Q5-1.なぜマンション経営において立地が大切なのでしょう?

A.マンション経営において最も避けるべきリスクが「空室リスク」です。入居者が退去し次の入居者がなかなか決まらないとなった場合、その期間は家賃収入をローンの返済にあてることができません。

そうなると、貯金や月々の収入からローンを返済することになり、空室期間が長引くほど支出が多くなります。

また、空室を埋めるために広告を出すなどの手を打つ必要があります。広告料はもちろんオーナー負担です。

「空室リスク」避けるためには、賃貸のニーズが高い立地のいい場所にあるマンションを購入する必要があります。

立地のいいマンションは入居率が高く、退去してもすぐに埋まるなど、安定したマンション経営を行うことが可能です。

Q5-2.立地がいいマンションの条件を教えてください

A.東京に限っていうならば、以下の条件があげられます。

1.交通の利便性がいい
2.生活関連施設の充実している
3.周辺環境がいい
4.人気エリアである
5.人口が安定感している

1.交通の利便性がいい
「人気路線沿線」「複数の路線が乗り入れしている」「特急や急行などが止まる」「バスの停留所が近い」「バスの本数が多い」など、交通の利便性がいいことが第一の条件にあげられます。

2.生活関連施設の充実している
単身者世帯ならば、「スーパー、コンビニ、商店街が近い」ことが大切で、ファミリー世帯には「保育園、幼稚園、学校が近隣にある」ことなども重要になってきます。

3.周辺環境がいい
「治安がいい」「うるさくない」「歓楽街がない」など周辺環境の良さが大切です。

4.人気エリアである(ブランド力がある)
吉祥寺・恵比寿・目黒など街にブランド力があることもマンションを選ぶ際には重要になってきます。

5.人口が安定感している
東京は地方から人が集まり人口が増え続けてはいますが、エリアによっては人口が減少しているところもあります。そうしたエリアは避けたほうがいいでしょう。

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