将来不安を解消!公務員に最適な資産運用手法とは
(画像=Gajus/Shutterstock.com)
山中 勇樹
山中 勇樹
ライター/編集者。主に企業経営者への取材・インタビューを通じて、ビジネス系の文章(書籍・雑誌等)を執筆。インタビュー実績多数。

わが国の年金制度は、大きく分けると“3階建て”の構造になっています。1階部分としての「国民年金(基礎年金)」と、会社員・公務員が受けられる2階部分の「厚生年金」、確定拠出年金などを含む3階部分という構成です。また被保険者は3つに分けられます。自営業者や無職、学生などの「第1号被保険者」、会社員や公務員の「第2号被保険者」、さらに第2号被保険者に扶養されている配偶者となる専業主婦(夫)の「第3号被保険者」です。

2015年10月まで公務員は、2階部分に「共済年金」というものがありました。これは、国民年金に上乗せして支給されるという点では厚生年金と同じであるものの、一部で優遇されているところがあり、いわゆる“官民格差”として批判されていました。そうした格差を解消するため厚生年金に一本化されています。その点、公務員であっても、これまでのような優遇は受けられないということです。

公務員も老後について考えなければならない時代へ

職と収入の安定が魅力の公務員は、現在でも就きたい職業として人気を博しています。たとえば、ソニー生命が2017年に行った調査によると、高校生の「将来なりたい職業」では男子高校生で4位、女子高校生では1位に公務員が入っています。中学生の段階でも男子6位、女子4位と若いうちから安定志向の人が多い傾向です。その背景には、不安定化する社会情勢があるのかもしれません。

ただ一方で年金行政の変化からもうかがえるように、「公務員だから将来が安泰である」とはいえないでしょう。とくに「人生100年時代」といわれている現代においては、定年退職が65歳だとしても30年以上にわたって生活していくことが必要です。その点、年金だけで生活するのはむずかしく、預貯金や退職金、そのほか不動産などの資産を準備するなど老後について考えておくことが急務といえます。

公務員にとって最適な資産運用手法とは

そこで検討したいのが資産運用です。受け取れる年金額から逆算し「どのくらいの資金を用意しておけばいいのか」をチェックしたうえで、適切な資産運用手法を検討していきましょう。とくに公務員は、安定した収入が見込めることもあり、計画的な運用がしやすい傾向です。そのため資産運用(投資)の基本をふまえつつ、着実に資金を増やしていける方法をベースに実践していきましょう。

資産運用の基本は「長期・分散・積立」

まず資産運用の基本となる「長期・分散・積立」について確認しておきます。

  • 長期 20~30年という長期にわたって資産を運用すること

  • 分散 一つの投資商品ではなく複数に投資するということ

  • 積立 お金があるときに投資するのではなく毎月一定額を定期的に投資するということ

このように「長期・分散・積立」というのは、いずれもできるだけリスクを下げ、安定的な資産運用を実現するための基本事項です。話題となった金融庁市場ワーキンググループの資料(「高齢社会における資産形成・管理」)でも言及されているように、収益をバラつきにくくするテクニックとなります。

手間や労力をなるべくかけないのがポイント

できるだけ手間や労力がかからない投資を選択することも大事です。公務員に限ったことではありませんが社会人の場合、優先するべきなのは日々の業務になります。いくら将来のためとはいえ、仕事に支障をきたすような投資手法を選択するのは避けたほうがいいでしょう。そこで株式や債券に投資する場合でも、できるかぎり自動化できる積立型の投資信託を選択するなど、手間や労力が少ない手法を積極的に選択するようにしてください。

近年では、ネット証券を中心にロボアドバイザーなどAI技術を駆使した手間のかからない投資商品が多数、提供されています。できるかぎりの省力化を目指しましょう。

公務員でも可能な不動産投資

「収入を増やす」という観点から、不動産投資を検討するのもいいでしょう。人事院規則に定められているように、公務員は、本業以外の業務を行うことが禁止されています。ただマンション経営であれば、一定の範囲内で問題なく運用することが可能です。具体的には、建物の賃貸であれば「おおむね5棟10室」まで運用することができます。

賃料収入ベースでは、「年間500万円未満」までであれば、人事院規則に抵触しないというわけです(人事院規則14-8)。とくに不動産投資は、ローリスク・ロングリターンで運用できる安定的な投資手法であるため、公務員が着手する投資として最適です。管理会社に管理を委託でき、手間がかからないという意味でも、忙しい公務員に向いている投資と言えます。実際に着手する際には、届出が必要な場合もあるため、事前に確認しておきましょう。

堅実に増やしていくことが求められる

このように資産運用の基本をふまえたうえで、適切な運用方法を模索していくことが大切です。将来の生活をシミュレーションし、現在の収入や資産状況、退職金なども含めて検討しつつ、ぜひ自分にあった資産運用について考えてみてください。

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