ソーシャルレンディングとは、お金を借りたい人とお金を貸したい人をマッチングするサービスです。お金を貸す側になって投資すると利息を受け取ることができるので、一種の金融商品と考えることもできます。

ソーシャルレンディングには歴史がありますが、初期の頃と現在とでは大きく様変わりしています。本稿ではソーシャルレンディングの概要とメリット・デメリットについて解説します。

さらなる進歩を遂げつつある「ソーシャルレンディング」の世界
(画像=isak55/Shutterstock.com)

ソーシャルレンディングとは

金融とは、お金を運用して増やしたい人が、お金を借りたい人に融資して利息を受け取ることです。ソーシャルレンディングはITを用いて、この金融を素早く行えるようにした仕組みと言うこともできるでしょう。

ソーシャルレンディングでは、融資案件をインターネットで広く告知し、お金を貸したい人とお金を借りたい人をマッチングして融資を斡旋します。現在では証券会社などが仲介者の役割を果たし、仲介会社に登録した一定の信用のある投資家たちが、やはり一定の信用のある企業などに融資することがメインになっています。

初期のソーシャルレンディングは危険だった

原始的な金融の仕組みはさまざまな課題を引き起こした

もともとソーシャルレンディングは、貸し手と借り手を結びつけるだけの原始的な仕組みでした。ソーシャルレンディングは、2008年に個人間融資サービスが開始されたことが起源とされています。しかし、最初はあまりうまくいきませんでした。その後、個人間融資の仲介サイトで、一定の手数料を徴収する、ソーシャルレンディングの原型のようなサービスが誕生しました。

初期のソーシャルレンディングサイトは貸し借りの仲介役として位置づけられていましたが、結局貸し手の多くが違法金融業者であり、借り手の多くが多重債務者であったため、ソーシャルレンディングを運営している企業はリスクヘッジができませんでした。その結果リスクテイクばかりで、ビジネスとしては成り立たなかったのです。

大幅に信用が高まったソーシャルレンディング

ソーシャルレンディングの原型とも言える個人間融資の仲介サイトが衰退した後、ある程度信用がある企業や証券会社などが仲介役となることで、現在のソーシャルレンディングのひな形ができあがりました。投資家から資金を募り、実績のある企業への融資を始めたのです。投資先は不動産会社など資金を必要とする企業が多く、その分リスクに見合ったリターンを得ることができるようになりました。

ただし、この段階においてもまだ課題は残されていました。ソーシャルレンディングは金融庁の規制によって借手の企業名などを開示することができず、「A社」「B社」といった名称でしか融資先を表すことができなかったのです。この結果、貸手から資金を募ったにも関わらず、本来の目的以外に資金を流用したソーシャルレンディング企業が摘発されました。

これを受けて、2019年3月に金融庁はソーシャルレンディングの借手企業名の開示を許可する方針を打ち出しました。このように、ソーシャルレンディングは信用度の向上ための改善を続けているのです。

ソーシャルレンディングのメリット・デメリット

ソーシャルレンディングは、株式投資のように株式を保有してその価値の騰落を見守るものではありません。現在ソーシャルレンディングの多くは太陽光や不動産のような大規模投資が必要な企業に貸付を行っています。ソーシャルレンディングはダイナミックな投資であり、その分リターンが高く、年利10%を超える融資対象も多くあります。

一方で、デメリットも存在します。一つは投資対象となる個人・企業などの情報がまだ完全には開示されていない点です。投資先が情報を開示することを拒んだ場合、融資先の情報がわからないまま投資することになります。

また、ソーシャルレンディングは大規模な融資を行うことも多く、その場合は当然リスクも高まります。ソーシャルレンディングは借手にとっては負債であり、株式のような自己資本ではありません。高い利率でお金を貸すということは、当然それに見合ったリスクを負うことになるのです。

分散投資の一つにも

ソーシャルレンディングは、高い金利を得られる金融商品です。ただし、リスクとリターンは比例するというのが金融の基本であり、ハイリスクハイリターンであることを忘れてはなりません。これらを踏まえて、ソーシャルレンディングを投資対象の一つとして検討してみてはいかがでしょうか。

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