働き方や生き方の価値観が多様化する現代、「週5日のフルタイム勤務から解放されたい」「もっと自分の時間を大切にしたい」と考える人が増えています。そんな中で注目を集めているのが、完全なリタイアとは少し違う、新しいライフスタイル「サイドFIRE」です。この記事では、サイドFIREの実現に「いくら必要なのか?」という疑問に、具体的なシミュレーションを交えながら徹底解説します。
目次
【結論】サイドFIREは資産3000万円+月10万円の労働収入で実現可能!
結論から言うと、資産3000万円を築き、月10万円程度の好きな仕事による収入を組み合わせれば、サイドFIREは十分に実現可能な目標です。
完全なリタイア(FIRE)を目指すとなると1億円近い資産が必要になることもあり、多くの人にとってハードルが高いのが現実です。しかし、サイドFIREは労働収入で生活費の一部をカバーするため、目標資産額を大幅に下げることができます。
この記事では、あなただけのサイドFIREプランを立てられるよう、具体的な必要資金額の計算方法から、目標資産額別の生活シミュレーション、そして実現に向けた具体的なアクションプランまでを網羅的に解説します。読み終える頃には、夢への道筋がきっと明確になっているはずです。
そもそもサイドFIREとは?完全FIREとの違いを解説
サイドFIREの計画を立てる前に、よく比較される「完全なFIRE」との違いを知っておきましょう。
サイドFIREは「労働収入+資産所得」のハイブリッド型
サイドFIREとは、完全にリタイア(Retire Early)するのではなく、好きな仕事を少しだけ続けて生活費の一部を稼ぎ、残りを資産からの不労所得(資産所得)でまかなうという、ハイブリッド型のライフスタイルです。
完全FIRE:生活費の100%を、株の配当金や不動産の家賃収入といった資産所得で賄う。
サイドFIRE:生活費の一部を労働収入で、残りを資産所得でまかなう。
目的は「全く働かないこと」ではなく、「週5日のフルタイム勤務や、やりたくない仕事から解放されること」にあります。経済的な自立(Financial Independence)を達成しつつ、社会との繋がりや自己実現も大切にする、非常にポジティブで現代的な選択肢と言えるでしょう。
【簡単計算】あなたのサイドFIREに必要な資金額をシミュレーション
必要な資金額はいくらでしょうか?ここでは、誰でも簡単に自分の目標額を計算できる3つのステップを紹介します。
STEP1:サイドFIRE後の毎月の支出額を決める
最初のステップは、サイドFIRE後のリアルな生活費、つまり毎月の支出額を把握することです。現在の家計簿をベースに、生活が変化することで増える費用と減る費用を考慮しましょう。
- 増える可能性のある費用
・国民健康保険料、国民年金保険料(会社員から変わる場合)
・住民税(前年の所得にかかるため初年度は注意)
・趣味や旅行にかける費用 - 減る可能性のある費用
・会社の飲み会などの交際費
・スーツや仕事着などの被服費
・通勤交通費、ランチ代
まずは、月20万円、25万円、30万円など、自分がどんな生活を送りたいかをイメージして目標支出額を設定してみましょう。
STEP2:サイドFIRE後の毎月の労働収入を決める
次に、サイドFIRE後に労働でいくら稼ぎたいか(稼ぐ必要があるか)を決めます。これは「サイドFIRE バイト」といった検索意図にも応える重要なステップです。
「生活のために仕方なく働く」のではなく、「好きなことや得意なことで、楽しみながら稼ぐ」のがサイドFIREの醍醐味です。
- 月5万円:趣味の延長線上や週1〜2日の労働で
- 月10万円:週2〜3日のパートタイムやフリーランス活動で
- 月15万円:より専門的なスキルを活かした業務で
どのくらいの労働なら、心に余裕を持って楽しめそうか、という視点で目標額を設定してみてください。
STEP3:計算式に当てはめて必要資金を算出する
「支出額」と「労働収入」が決まったら、いよいよ計算です。以下の計算式に当てはめてみましょう。
必要な資金額 = (年間の支出額 - 年間の労働収入) ÷ 資産運用の想定利回り
この計算式は、「資産所得だけで賄うべき金額(年間の不足額)を、資産運用で生み出すには、元本がいくら必要か?」を算出するものです。
資産運用の想定利回りは、手堅く見積もって3%〜5%(0.03〜0.05)で設定するのが一般的です。これは、投資の世界でよく使われる「4%ルール(年間の生活費を投資元本の4%以内に抑えれば、資産を減らさずに暮らせるという考え方)」を応用したもので、税金等を考慮した現実的な数値です。
【計算例】
- 年間の支出:300万円(月25万円)
- 年間の労働収入:120万円(月10万円)
- 想定利回り:4%(0.04)
- 必要な資金額 = (300万 - 120万) ÷ 0.04 = 4,500万円
【目標資産額別】2000万・3000万・5000万円でどんな生活ができる?
目標資産額から逆算した生活シミュレーションもご紹介します。ここでは、一般的な目標とされる2000万円、3000万円、5000万円のケースを見ていきましょう。(※前提:運用利回り年4%、税金20%を差し引いた手取り利回り年3.2%で計算)
資産2000万円の場合
資産2000万円から得られる年間の資産所得(不労所得)は約64万円(月あたり約5.3万円)です。
この収入だけでは生活は難しいため、労働収入がメインの柱となります。例えば、月15万円の労働収入があれば、資産所得と合わせて合計で月20.3万円の生活ができます。フルタイム勤務からは解放されますが、比較的しっかりと働くスタイルになります。
資産3000万円の場合
資産3000万円の場合、年間の資産所得は約96万円(月あたり8万円)です。
冒頭の結論を裏付けるように、月10万円の労働収入と合わせれば合計で月18万円の生活費が確保できます。この金額は、独身の方や夫婦二人暮らしの方にとって、十分に生活可能なレベルです。多くの現役世代にとって、最も現実的で目指しやすい目標ラインと言えるでしょう。
資産5000万円の場合
資産5000万円まで到達すると、年間の資産所得は約160万円(月あたり約13.3万円)となり、生活はかなり楽になります。
月10万円程度の労働を組み合わせるだけで、合計で月23.3万円の余裕ある生活が実現可能です。ここまで来ると、労働の頻度をさらに減らして趣味の時間を増やしたり、少し贅沢な旅行に出かけたりと、ライフスタイルの自由度が格段に高まります。
サイドFIREを実現する「2つの収入源」の作り方
シミュレーションで目標額が見えてきたら、次はいよいよ「どうやってその収入源を作るのか?」という実践的な話に移ります。サイドFIREの柱となる「資産所得」と「労働収入」の具体的な作り方を解説します。
① 資産所得(不労所得)を得る方法
資産所得を築く方法は様々ですが、代表的なものは「インデックス投資」と「不動産投資」です。
- インデックス投資(投資信託など)
世界中の株式などに分散投資し、その成長による売却益や分配金を得る方法です。NISAなどを活用すれば税制上のメリットも大きく、多くの人が実践しています。ただし、収入を得るためには資産を売却して「取り崩す」必要があったり、市場の変動で資産額が大きく増減したりするデメリットもあります。 - 不動産投資(マンション経営など)
マンションなどを購入し、入居者から毎月安定した家賃収入を得る方法です。インデックス投資と比較した場合、不動産投資には以下のような大きな優位性があります。
・資産を取り崩さずに済む:元本である不動産を維持したまま、毎月チャリンチャリンと現金収入が得られる。
・インフレに強い:物価が上がれば家賃も上昇する傾向があり、資産価値が目減りしにくい。
・レバレッジが効く:金融機関からの融資を利用することで、自己資金以上の大きな資産を動かせる。
特に、元本を維持しながら安定した不労所得を求めるサイドFIREの考え方には、不動産の家賃収入は非常に親和性が高いと言えます。
② 労働収入(月5〜15万円)を得る方法
サイドFIRE後の働き方は、あなた次第で自由にデザインできます。フルタイム勤務に縛られず、楽しみながら収入を得られる仕事を見つけるのが成功の鍵です。
- 週2〜3日のパート・アルバイト:カフェや書店、趣味の店など、好きな場所で働く。
- 専門スキルを活かしたフリーランス:Webライター、デザイナー、プログラマー、コンサルタントなど、場所や時間に縛られずに働く。
- 趣味・特技を活かしたスモールビジネス:ハンドメイド作家、ブログ運営、オンラインでの教室運営など、好きなことを仕事にする。
大切なのは、無理なく続けられる範囲で、やりがいを感じられる仕事を選ぶことです。
【年代別】サイドFIRE達成へのロードマップ
サイドFIREを目指す戦略は、年齢によって異なります。「50代からではもう遅いのでは…」と考える必要はありません。あなたの年代に合った最適なアプローチを見つけましょう。
20代・30代:時間を武器に積立投資でコア資産を作る
20代・30代の最大の武器は「時間」です。複利の効果を最大限に活かせるこの時期は、つみたてNISAやiDeCoといった税制優遇制度を活用し、インデックスファンドなどでコツコツと積立投資を行うのが王道戦略です。
まずは月々3万円、5万円といった無理のない範囲から始め、収入の増加とともに積立額を増やしていきましょう。時間をかけて着実に、サイドFIREの土台となるコア資産を築いていくことが可能です。
40代・50代:自己資金と信用力で不動産投資を加速させる
ある程度の自己資金があり、長年の勤務で社会的信用力も高まっている40代・50代。この世代の武器は「自己資金」と「信用力」です。
その信用力を活かして不動産投資ローンを組み、レバレッジを効かせて資産形成をスピードアップさせる戦略が非常に有効です。例えば、退職金の一部を頭金にして都心のワンルームマンションを購入し、安定した家賃収入を得る、といった具体的なプランが描けます。インデックス投資と不動産投資を組み合わせることで、50代からでもサイドFIREは十分に達成可能な目標となるのです。
まとめ:サイドFIREは夢じゃない!今日から始める資産計画
サイドFIREに必要な資金から、具体的な実現方法までを解説しました。最後に、重要なポイントを振り返りましょう。
- サイドFIREに必要な資金は計算式で算出でき、資産3000万円+月10万円程度の労働収入といった組み合わせから現実的な目標になる。
- 実現には、不労所得である「資産所得」と、好きな仕事で稼ぐ「労働収入」の2つの柱をバランス良く作ることが不可欠である。
- 資産所得の作り方にはインデックス投資と不動産投資があり、特に不動産の家賃収入は、資産を取り崩さずに済む安定した不労所得としてサイドFIREと非常に相性が良い。
あなたの年齢や資産状況、そして理想のライフスタイルによって、最適なサイドFIREの形は異なります。もし具体的なプランニングに迷ったら、専門家と一緒に考えてみるのも一つの手です。今日この日から、あなただけのサイドFIRE計画の第一歩を踏み出してみませんか?
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