毎月10万円の貯金をしている人の割合は?達成するための基本原則と資産形成術
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「毎月10万円の貯金」は、年間120万円の資産形成につながる一つの大きな目標です。しかし、「自分の収入で可能なのか」「どうすれば挫折せずに続けられるのか」といった、現実的な課題に直面する方も少なくありません。

この記事では、「毎月10万円貯金」を達成するための具体的な方法を、基本原則から挫折しないコツまで網羅的に解説します。

目次

  1. 年代別の貯金額
  2. 「毎月10万円貯金」できている人はどれくらい?
  3. 毎月10万円貯金を達成するための「3つの基本原則」
  4. 毎月10万円貯金を「挫折せず」達成するための2つのコツ
  5. なぜ貯まらない?毎月10万円貯金の継続を阻む2つの悪習慣
  6. ただし「貯金だけ」では資産が目減りするリスクも
  7. 投資も視野に入れた「お金の増やし方」
  8. 「貯める力」を身につけ、未来の選択肢を広げよう

年代別の貯金額

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「毎月10万円貯金」を継続すると、10年後には1,200万円、20年後には2,400万円という大きな資産が築かれます。この目標達成へのモチベーションを維持し、自身の現在地を客観的に把握するために、まずは他の人がどれくらいの金融資産を保有しているのか、その全体像を確認しておきましょう。

金融広報中央委員会が発表した「家計の金融行動に関する世論調査(令和5年)」によると、年代別の金融資産保有額の平均値と中央値は以下のようになっています。

※金融資産とは、預貯金、金銭信託、積立型保険商品、個人年金保険、債券、株式、投資信託、財形貯蓄などの金融商品を指します。

【単身世帯】金融資産保有額

年代 平均 中央値
20歳代 121万円 9万円
30歳代 594万円 100万円
40歳代 559万円 47万円
50歳代 1,391万円 80万円
60歳代 1,468万円 210万円
70歳代 1,529万円 500万円
※金融資産を保有していない世帯を含む

【二人以上世帯】金融資産保有額

年代 平均 中央値
20歳代 249万円 30万円
30歳代 601万円 150万円
40歳代 889万円 220万円
50歳代 1,147万円 300万円
60歳代 2,026万円 700万円
70歳代 1,757万円 700万円
※金融資産を保有していない世帯を含む

「平均値」と「中央値」の違い

  • 平均値: 全員の資産額を合計し、人数で割った数値。一部の富裕層が値を大きく引き上げる傾向があります。
  • 中央値: 資産額を少ない順に並べたとき、ちょうど真ん中にくる人の数値。より実態に近い数値とされています。

データを見ると、二人以上世帯は単身世帯よりも全体的に金融資産が多いことが分かります。これは、共働きによって収入の柱が二つになることに加え、家賃や光熱費といった生活コストを分担できるため、貯蓄に回せる資金が多くなることが主な理由と考えられます。

年代別の推移では、特に50代以降で資産額が大きく伸びる傾向が見られます。子育てが一段落して教育費の負担が軽くなったり、住宅ローンを完済したりする世帯が増え、退職金の支給も重なることで、老後に向けた資産形成が本格化するためと推測されます。

「毎月10万円貯金」できている人はどれくらい?

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では、今回のテーマである「毎月10万円の貯金」を、実際にどれくらいの人が実践できているのでしょうか。同調査の「年間手取り収入(臨時収入を含む)からの貯蓄割合」のデータから見ていきましょう。

単身世帯

単身世帯、つまり一人暮らしで毎月10万円貯金を目指す場合、年間120万円の貯蓄が必要です。例えば、手取り年収400万円の人なら貯蓄割合は30%となります。

以下の表は、単身世帯の年間手取り収入(臨時収入を含む)からの貯蓄割合です。

【単身世帯・全国】年間手取り収入からの貯蓄割合

貯蓄割合の階級 構成比
5%未満 5.1%
5~10%未満 8.8%
10~15%未満 14.2%
15~20%未満 3.3%
20~25%未満 7.9%
25~30%未満 2.2%
30~35%未満 6.1%
35%以上 11.2%
貯蓄しなかった 41.3%

このデータを見ると、「30%以上」を貯蓄に回している人は合計で17.3%にのぼり、約6人に1人は非常に高い貯蓄率を達成していることが分かります。この「貯蓄率30%以上」という水準がどれほどのものか、自身の手取り年収に当てはめて考えてみてください。

例えば、手取り年収が300万円なら年間90万円(月7.5万円)、400万円なら年間120万円(月10万円)、500万円なら年間150万円(月12.5万円)を貯蓄に回している計算になります。年収額に関わらず、収入の3割以上を将来のために確保するという、強い意志と計画性を持った層がこれだけ存在するという事実は、目標達成の大きな励みになるでしょう。

一方、「貯蓄しなかった」と回答した人は41.3%と、全体の4割以上も占めています。これは、計画的に貯蓄ができる層と、全くできない層との二極化が顕著であることを示唆しています。

二人以上世帯

次に、二人以上世帯のデータを見てみましょう。

【二人以上世帯・全国】年間手取り収入からの貯蓄割合

貯蓄割合の階級 構成比
5%未満 6.5%
5~10%未満 13.5%
10~15%未満 19.2%
15~20%未満 3.5%
20~25%未満 9.4%
25~30%未満 1.4%
30~35%未満 5.1%
35%以上 7.7%
貯蓄しなかった 33.8%

二人以上世帯では、「30%以上」を貯蓄に回している世帯が合計で12.8%存在し、約8世帯に1世帯が高い貯蓄率を達成していることが分かります。

子どもの教育費や住宅ローンといった大きな支出を抱えがちな二人以上世帯にとって、この「貯蓄率30%以上」という水準は決して簡単な目標ではありません。この水準を達成できている背景には、夫婦で収入計画や将来のライフプランを共有し、協力して家計を管理しているという状況が推測されます。

その一方で、「貯蓄しなかった」世帯も33.8%と、約3世帯に1世帯という高い割合で存在しており、単身世帯と同様に貯蓄状況の二極化が進んでいることがうかがえます。

毎月10万円貯金を達成するための「3つの基本原則」

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毎月10万円の貯金を達成するための方法は、突き詰めると非常にシンプルです。それは以下の「3つの基本原則」を徹底することに他なりません。

  1. 支出を減らす
  2. 収入を増やす
  3. 仕組みを作る

この3つを組み合わせることで、無理なく、そして確実に貯蓄を増やしていくことが可能になります。

原則1:支出を減らす(家計の見直し)

貯金の第一歩は、何にお金を使っているかを把握し、不要な支出を削減することです。特に効果が大きいのが、毎月決まって出ていく「固定費」の見直しです。

固定費の項目 見直しの具体例
家賃 より家賃の安い物件への引っ越し、実家暮らしの検討
通信費 大手キャリアから格安SIMへの乗り換え
光熱費 電力・ガス会社の自由化に伴うプランの見直し
保険料 保障内容が重複していないか、不要な特約はないか確認
サブスクリプション 利用頻度の低い動画配信サービスやアプリなどの解約

これらの固定費は、一度見直すだけで節約効果が継続するため、手間に対する効果が非常に高いのが特徴です。まずはこれらの項目から家計の見直しを始めてみましょう。

原則2:収入を増やす(副業・キャリアアップ)

支出の削減には限界があります。ある程度の節約をしても毎月10万円の貯金が難しい場合は、根本的な解決策として「収入を増やす」ことを検討しましょう。

方法 具体例
副業 スキル系(Webライティング、デザイン)、時間給系(デリバリー)など
キャリアアップ 現職での昇進・昇給を目指す、より給与水準の高い業界へ転職する

近年は働き方も多様化しており、副業を始めやすい環境が整っています。自分のスキルや使える時間に合わせて、本業に支障のない範囲で始めてみるのがおすすめです。

原則3:仕組みを作る(先取り貯金)

強い意志だけで貯金を続けるのは困難です。「余ったら貯金しよう」という考え方では、ついお金を使いすぎてしまい、目標達成は遠のきます。そこで重要なのが、「給料が入ったら、まず貯金額を別口座に移す」という先取り貯金です。

仕組みの名称 内容
自動積立定期預金 毎月決まった日に、指定した金額を普通預金から定期預金へ自動で振り替える金融機関のサービス
財形貯蓄制度 会社の給料から天引きで貯蓄する制度。利用できる場合は積極的に活用する

これらの仕組みを一度設定してしまえば、あとは自動的にお金が貯まっていきます。これが貯金を成功させる最も確実な方法です。

毎月10万円貯金を「挫折せず」達成するための2つのコツ

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基本原則を理解した上で、ここでは「毎月10万円貯金」を挫折せずに継続するための、より具体的な2つのコツを紹介します。

コツ1:何のために貯めるのか?「目的」を明確にする

ただ漠然と「お金を貯めたい」と思っているだけでは、モチベーションを維持するのは難しいものです。なぜ毎月10万円を貯める必要があるのか、その「目的」を具体的にしましょう。

目的 期間 目標金額
海外旅行 1年後 120万円
結婚資金 3年後 360万円
住宅購入の頭金 10年後 1,200万円

「いつまでに」「いくら」という具体的な目標を設定することで、貯金が単なる我慢ではなく、夢を実現するためのポジティブな行動に変わります。

コツ2:「貯めやすい時期」を逃さず、貯蓄ペースを加速する

人生には「お金を貯めやすい時期」と「貯めにくい時期」があります。この「貯めどき」を意識し、逃さないことが重要です。

時期(ライフステージ) 特徴
独身時代 特に実家暮らしの場合、支出を大幅に抑えられる
DINKS(共働き・子なし) 世帯収入が多く、個人の裁量で使えるお金も多いため貯蓄しやすい
子ども独立後 教育費の負担がなくなり家計に余裕が生まれ、退職金も見込める

また、毎月の給料だけでなく、ボーナスも貯蓄を加速させる絶好の機会です。支給額の半分〜8割を貯金に回すなど、あらかじめルールを決めておきましょう。

例えば、年間120万円の貯金目標に対し、夏と冬のボーナスからそれぞれ40万円ずつ貯金できれば、それだけで年間80万円を確保できます。残りの目標額は40万円となり、これを12ヵ月で割ると、月々の給料からの貯金額は約3.3万円にまで軽減されます。

なぜ貯まらない?毎月10万円貯金の継続を阻む2つの悪習慣

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これまで貯金を成功させるコツを見てきましたが、逆に多くの人が陥りがちな「貯まらない悪習慣」も存在します。自身に当てはまるものがないか、確認してみましょう。

習慣1:支出を把握していない「どんぶり勘定」

「毎月、何にいくら使っているかよく分からない」という状態では、家計の改善は不可能です。レシートをもらわなかったり、クレジットカードの明細を確認しなかったりする「どんぶり勘定」は、貯蓄の大きな敵です。

まずは、最低でも1ヵ月間、家計簿アプリなどを活用してすべての支出を記録し、「見える化」することから始めましょう。

習慣2:手数料地獄に陥る「リボ払い」の利用など

便利なサービスに見えるリボ払い(リボルビング払い)ですが、その利用は貯蓄計画を根底から崩しかねない危険な習慣です。リボ払いは、一般的に年率15%前後という非常に高い手数料がかかり、気づいたときには支払いの大半が手数料という「手数料地獄」に陥るケースも少なくありません。また、ATMの時間外手数料なども軽視せず、ネット銀行の活用などで徹底的に削減しましょう。

ただし「貯金だけ」では資産が目減りするリスクも

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毎月10万円の貯金が軌道に乗れば、将来への安心感は大きく高まります。しかし、ただ銀行にお金を預けておくだけでは、資産を「守る」という観点で不十分な時代になっていることをご存知でしょうか。

その最大の理由が、「インフレ(インフレーション)」です。インフレとは、モノやサービスの値段(物価)が継続的に上昇することです。例えば、去年まで100円で買えたジュースが、今年102円に値上がりした場合、物価が2%上昇したことになります。このとき、銀行預金の金利がほぼ0%だとどうなるでしょうか。銀行に預けている100円は100円のままですが、その100円で買えるモノの量は減ってしまいます。つまり、お金の「価値」が実質的に目減りしているのです。

日本政府や日本銀行は、経済の活性化のために年2%の物価上昇を目標に掲げています。この目標が達成される社会では、何もしなければあなたの資産の価値は毎年2%ずつ減っていく計算になります。このインフレリスクに備え、資産を守り、さらに増やしていくために有効な手段が「投資」です。

投資も視野に入れた「お金の増やし方」

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毎月10万円の貯金が軌道に乗ってきたら、次のステップとして、その一部を「投資」に回すことを検討しましょう。投資と聞くと「怖い」「難しそう」と感じるかもしれませんが、正しい知識を持って始めれば、資産形成の強力な味方になります。

NISAを活用した「長期・積立・分散」投資の基本

投資初心者の方に特におすすめなのが、NISA(ニーサ/少額投資非課税制度)という国の制度を活用する方法です。NISA口座内での投資で得られた利益には、年間最大360万円、生涯では最大1,800万円という非課税投資枠の範囲内であれば、通常かかる約20%の税金がかからないという大きなメリットがあります。

そして、投資で成功する確率を高めるための重要な原則が「長期・積立・分散」です。

投資の原則 内容
長期 10年、20年といった長い期間で投資を続け、短期的な価格変動のリスクを抑え、複利効果を最大限に活かす
積立 毎月一定額を継続的に投資することで高値掴みのリスクを避け、購入価格を平準化する(ドルコスト平均法)
分散 投資先を一つの国や商品に絞らず、幅広く分けることでリスクを低減する

ただし、投資である以上、銀行預金と違って元本が保証されているわけではない点には注意が必要です。市場の状況によっては、一時的に資産が元本を下回ることもあります。だからこそ、短期的な価格の変動に一喜一憂せず、これらの原則を守りながら腰を据えて資産を育てていく姿勢が大切になります。

初心者におすすめの投資対象とは

では、具体的に何に投資すればよいのでしょうか。投資初心者の方が「長期・積立・分散」を実践するのに最も適しているとされるのが「投資信託(インデックスファンド)」です。

投資信託とは、投資の専門家が多くの投資家から集めた資金を一つにまとめ、株式や債券などに分散投資してくれる金融商品です。中でもインデックスファンドは、日経平均株価や米国のS&P500といった市場全体の動きを示す指数に連動するように設計されており、手軽に分散投資ができ、手数料も安価なのが特徴です。

インデックスファンドの例 特徴
eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー) 「オルカン」の愛称で親しまれるこの一本で、日本を含む先進国・新興国の株式全体に分散投資できる
eMAXIS Slim 米国株式(S&P500) AppleやMicrosoftなど、米国の主要な500社にまとめて投資できる

まずは生活防衛資金(生活費の3ヵ月〜1年分程度)を貯金で確保し、その上で毎月の貯金10万円のうち1〜3万円程度を、NISA口座を活用してインデックスファンドに積立投資する方法から始めるとよいでしょう。

ただし、投資対象を選ぶ際には注意が必要です。例えば、同じ指数(例:S&P500)に連動するファンドでも、運用会社によって信託報酬(手数料)が異なります。わずかなコスト差でも、長期的には最終的な資産額に大きな影響を与えるため、できるだけ低コストのファンドを選ぶことが重要です。

また、インデックスファンドは、1本で数百〜数千の株式に分散投資できる優れた商品ですが、あくまで「株式」という資産クラスに偏っている点には留意が必要です。株式市場全体が不調な局面では、他の資産とのバランスが重要になります。そのため、値動きが比較的安定している「債券」や、「不動産(REIT)」、「金(ゴールド)」など、異なる値動きをする資産をポートフォリオに加えることで、資産全体の変動を抑えることができます。

もちろん、最初からすべての資産を組み合わせる必要はありません。まずはシンプルな株式インデックスファンドから始め、投資に慣れてきた段階で、資産クラスの分散によってポートフォリオをより安定的かつ強固なものにしていくステップアップを目指すのが現実的です。

「貯める力」を身につけ、未来の選択肢を広げよう

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「毎月10万円の貯金」という目標を通じて身につく「貯める力」は、単なる節約術ではなく、自身の人生を主体的にコントロールするための強力なスキルです。

この記事で得た知識を、ぜひ行動に移してください。「貯金用口座の開設」や「固定費の見直し」など、どんなに小さな一歩でも構いません。その一歩が、お金に振り回される生活から脱却し、未来の選択肢を自ら作り出すための転換点となります。

経済的な基盤を築くことは、より自由で豊かな人生を手繰り寄せるための最も確実な方法です。まずは、あなた自身の未来のために、今日からできることを始めてみましょう。

>>【無料eBook】30代で知りたかった「お金」の極意 後悔しない8つのポイント

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