インフレリスクとは? 知っておくべき影響と、資産を守り育てる運用戦略
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昨今、「インフレ」という言葉をニュースなどで頻繁に耳にするようになりました。この現象は、私たちの資産形成や日常生活に対して、静かながらも確実に影響を及ぼし始めています。特に、現預金中心の資産構成の場合、インフレの進行によって実質的な資産価値が減少する、いわゆる「インフレリスク」に直面する可能性があります。

本記事では、インフレの基礎知識に加え、日米の経済と物価の現状、そしてインフレリスクに備える資産運用戦略について解説します。

目次

  1. 1.そもそもインフレとは?
    1. 1-1.インフレの定義
    2. 1-2.インフレが起きる原因
    3. 1-3.「良いインフレ」と「悪いインフレ」の違い
  2. 2.日米の経済とインフレの現状
    1. 2-1.日本の景気と物価の動き
    2. 2-2.米国の景気とインフレの動き
    3. 2-3.物価上昇が生活に与える影響
  3. 3.インフレリスクに備える資産運用戦略
    1. 3-1.「預貯金から投資へ」という発想転換
    2. 3-2.インフレに備える資産運用の3つの基本
  4. 4.インフレ対策としての資産運用ポートフォリオ
    1. 4-1.株式投資:企業収益とともに資産も育てる
    2. 4-2.不動産投資:インフレと相性のよい実物資産
    3. 4-3.金(ゴールド):物価上昇に備える「価値の保存先」
    4. 4-4.外貨建て資産:円安リスクへの備え
    5. 4-5.投資信託:手軽にできる分散運用の入り口
  5. 5.NISA制度を活用した効率的なインフレ対策
    1. 5-1.NISA制度の概要と税制メリット
    2. 5-2.NISA口座を最大限に活用する運用戦略
  6. 6.インフレ時代を乗り切るための資産運用の心構え
    1. 6-1.経済動向の継続的な情報収集と学習の重要性
    2. 6-2.専門家のアドバイス活用と最終的な自己決定のバランス
    3. 6-3.ポートフォリオの定期的な点検と柔軟な調整
  7. 7.インフレ時代を賢く生き抜き、未来の資産を築くために

1.そもそもインフレとは?

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まずは、インフレの定義と起きる理由、そして「良いインフレ」と「悪いインフレ」の違いについて解説します。

1-1.インフレの定義

インフレ(インフレーション)とは、モノやサービスの全体的な価格水準(=物価)が、一定期間にわたって継続的に上昇する経済現象のことです。例えば、以前は100円で買えたパンが、今では110円になっているとします。このような価格上昇が、食品に限らず衣料品やサービスなど、幅広い分野にわたって広く見られる状態を「インフレ」と呼びます。

重要なのは、「物価が上がる=お金の価値が下がる」という関係です。同じ100円でも買える量が減るため、実質的な購買力が低下します。インフレとはお金の価値そのものが下がる現象であり、その仕組みを理解することがインフレを正しく捉えるうえでの基本となります。

1-2.インフレが起きる原因

インフレは、さまざまな要因が複雑に絡み合って起こります。主なパターンとして、次の3つに分類されます。

1-2-1.デマンドプルインフレ(需要超過型)

消費や投資の動きが活発になり、モノやサービスの需要が供給を上回ると、価格が上昇します。これが「デマンドプル(=需要に引っ張られる)」インフレです。好景気による所得増加や消費拡大が引き金となりやすく、経済成長とともに進む傾向があるため、比較的ポジティブなインフレと捉えられることもあります。

1-2-2.コストプッシュインフレ(コスト上昇型)

原材料費や人件費、物流費などが上昇し、企業の生産コストが増えることで、価格に転嫁されて物価が上がるインフレです。最近の日本に見られる物価上昇は、主にこの「コストプッシュ型」が関係しているとされています。需要が伴わないまま物価だけが上昇することで、家計に負担をかけ、景気が停滞する「スタグフレーション」につながる懸念もあります。

1-2-3.その他、インフレを引き起こす要因

需要やコスト以外にも、インフレを引き起こす要因はあります。代表的な例として、以下のようなものが挙げられます。

  • 金融緩和による通貨供給量の増加
  • 為替の変動(円安による輸入品価格の上昇)
  • 消費税などの税率引き上げ
  • 環境規制や法改正による企業コストの上昇

これらの要因は、単独で作用する場合もあれば、複数が重なって物価上昇につながることもあります。

1-3.「良いインフレ」と「悪いインフレ」の違い

インフレには、経済にとってプラスに働く面もあれば、マイナスの影響をもたらす面もあります。ここでは、その違いを整理しておきましょう。

1-3-1.良いインフレ

物価がゆるやかに上昇し、それに伴って企業の収益や賃金も増え、消費や投資が活発になるような状態は「良いインフレ」と呼ばれます。

こうした健全な経済成長を促すために、多くの先進国の中央銀行は「ゆるやかなインフレ」を目標とし、年2%前後の物価上昇率を目安にしています。日本銀行も、経済・物価の安定的な成長を図るため、消費者物価の前年比上昇率2%を「物価安定の目標」として明確に掲げています。

参考:令和6年度業務概況書(日本銀行)

1-3-2.悪いインフレ

一方、物価が急激に上がっても賃金の上昇が追いつかず、家計の負担が増すような状態は「悪いインフレ」とされます。特に、企業のコスト上昇が原因となるコストプッシュ型のインフレでは、生活必需品の価格が上がる一方で所得が増えず、家計が圧迫されやすくなります。その結果、消費意欲が冷え込み、経済全体にも悪影響を及ぼす恐れがあります。

2.日米の経済とインフレの現状

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インフレを正しく理解するためには、物価だけでなく経済全体の動きもあわせて見ることが重要です。ここでは、日本と米国における景気と物価の最新動向を整理します。

2-1.日本の景気と物価の動き

日本の景気は伸び悩む一方で、物価だけが上昇しているという“ねじれ”が生じています。

第一生命経済研究所のレポート「世界経済見通し(日米欧亜・2025年5月) 」によると、2025年1〜3月期の日本の実質GDP成長率は前期比年率▲0.7%で、4四半期ぶりのマイナス成長を記録。輸出の減少と輸入の増加によって外需が大きく落ち込み、景気の押し下げ要因となったと分析されています。

加えて、食料品を中心に物価が上振れたことにより、実質賃金は減少に転じ、個人消費も弱含みに推移したとされています。物価が上がっても賃金が追いつかない状況が続いており、家計の購買力は押し下げられ、消費の足かせとなっている構図です。

2-2.米国の景気とインフレの動き

同レポートによれば、米国では、関税賦課前の駆け込み輸入の急増や、暴風雪による個人消費の一時的な下振れの影響から、2025年1〜3月期の実質GDP成長率(1次推計)は前期比年率▲0.3%と、22年1〜3月期以来のマイナス成長を記録。一方で、設備投資や雇用の増加は続いており、景気や労働市場は堅調さを維持しているとされています。

インフレについては、コアCPIの上昇モメンタム(物価が上がり続ける勢い)が低下する一方、6ヵ月前対比年率では高い水準にとどまっており、インフレは下げ渋っている状況とされています。

2-3.物価上昇が生活に与える影響

前述のように、日本では景気が足踏みする一方で物価だけが上昇する状態が続いており、米国でもインフレの下げ渋りが見られます。こうした物価動向は、私たちの暮らしにどのような影響をもたらすのでしょうか。

2-3-1.支出の変化は、家計の優先順位に波及

物価が上がると、家計は「何を買うか」だけでなく「何をあきらめるか」の選択を迫られます。例えば、食費や光熱費など固定的な支出の比重が増すと、教育費やレジャー、保険、投資など可変的な支出が後回しにされることもあります。これは単なる節約ではなく、中長期的な生活設計の軌道修正を余儀なくされる変化といえます。

2-3-2.預金の価値が目減りしていく

物価の上昇に対して、金利の低い預金に資産を置き続けると、実質的な価値が目減りしていきます。例えばインフレ率が年2%で推移し、預金金利が0.002%程度にとどまる場合、1年後には預金の購買力が約2%減少することになります。

見かけの金額が変わらなくても、実際に買えるモノやサービスの量が減るため、長期的には家計に大きなダメージを与える可能性があります。これが「定期預金インフレリスク」です。

2-3-3.ローン返済においては有利な側面も

インフレは、状況によっては有利に働く側面もあります。固定金利型のローンでは、物価が上昇しても返済額は変わらないため、将来的に実質的な負担が軽くなる可能性があります。ただし、変動金利型のローンでは金利上昇のリスクがあるため、インフレ時には注意が必要です。

3.インフレリスクに備える資産運用戦略

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インフレが私たちの生活や資産に影響を与える以上、それに備えるための戦略を持つことは非常に重要です。ここでは、インフレ時代における資産運用の基本的な考え方と、押さえておくべきポイントを解説します。

3-1.「預貯金から投資へ」という発想転換

長引く低金利の中、預貯金だけではインフレによる資産価値の目減りに対応しきれません。こうした「インフレリスク」を回避するには、リターンを見込める投資へと意識を向けることが求められます。

株式や債券、不動産、投資信託など、価格が変動する資産に投資することで、インフレに打ち勝てる可能性が高まります。投資にはリスクもありますが、「何もしないことのリスク」も含めて考えることが大切です。

3-2.インフレに備える資産運用の3つの基本

インフレ時代の資産形成においては、いくつかの基本原則があります。中でも、次の3つの視点は特に重要です。

3-2-1.分散投資でリスクを抑える

価格変動の影響を和らげるためには、資産を一つに集中させず、異なる種類の資産に分けて投資する「分散」が基本です。例えば、株式、債券、不動産、コモディティ(金など)といった異なる値動きをする資産を組み合わせることで、リスクの偏りを減らす効果が期待できます。さらに、国内外の地域や、先進国・新興国といった異なる市場への分散も有効です。多様な対象に分けて投資することで、特定の経済変動に左右されにくい、安定した運用が目指せます。

3-2-2.長期的な視点を持ち、複利効果を活かす

資産運用では、短期的な値動きに一喜一憂せず、長期的な視点で取り組む姿勢が大切です。特にインフレ対策としての投資は、10年、20年といったスパンで計画することで、複利の効果を活かしやすくなります。収益を再投資することで資産が雪だるま式に増える「複利」は、長期運用における大きな武器です。インフレの波があっても、長期で見ればその影響を乗り越えやすくなります。

3-2-3.自分のリスク許容度を把握する

どれくらいの損失であれば許容できるか、という「リスク許容度」を自分自身で理解しておくことが、安定した資産運用には欠かせません。年齢や収入、資産額、家族構成、投資経験などによって、リスクに対する感じ方や受け止め方は人それぞれ異なります。

自分のリスク許容度を超えた運用は、冷静な判断を妨げる原因となり、想定外の損失を招く恐れがあります。インフレに備えることは重要ですが、過度なリスクを取ってしまっては本末転倒です。まずは自分の家計や資産状況を正しく見つめ直し、そのうえで無理のない運用スタイルを選ぶことが大切です。

4.インフレ対策としての資産運用ポートフォリオ

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インフレリスクを回避し、資産を守り増やすためには、どのような資産を組み合わせてポートフォリオを構築すればよいのでしょうか。 ここでは、インフレに比較的強いとされ、ポートフォリオの核となり得る代表的な投資対象を、それぞれの特徴とともに紹介します。

4-1.株式投資:企業収益とともに資産も育てる

インフレによりモノやサービスの価格が上がると、企業の売上や利益も名目上は増えやすくなります。こうした収益拡大は株価に反映されることが多く、株式はインフレに比較的強い資産とされています。特に価格転嫁力のある企業や、エネルギー・インフラ・生活必需品などの業種は、インフレ局面で相対的に安定したパフォーマンスが期待できます。

ただし、物価だけが上がり実体経済が伴わない「スタグフレーション」のような局面では、企業業績が伸びず株価が下落するリスクもあるため、分散投資が鍵となります。

4-2.不動産投資:インフレと相性のよい実物資産

不動産は「実物資産」として、インフレとともに資産価値や賃料収入の上昇が見込めるため、インフレヘッジとして注目されます。特に都市部や利便性の高いエリアにある物件は、比較的安定した収益が期待できます。

一方で、初期投資額が大きく、売却しにくい流動性の低さや、空室リスク・修繕コストといった独自のリスクも伴います。これらを軽減したい場合は、不動産投資信託(REIT)を使って、間接的に複数物件に分散投資するという方法もあります。

4-3.金(ゴールド):物価上昇に備える「価値の保存先」

金は利息や配当を生まない一方、インフレや経済不安が高まる局面で「安全資産」として資金が集まりやすく、古くからインフレヘッジとしての役割を担ってきました。

特定の国や企業の経済状況に左右されにくく、株式などと異なる値動きをするため、ポートフォリオに一定割合組み入れることで全体の安定性が高まります。価格変動リスクや保管コストを踏まえつつ、長期的な視点で活用するとよいでしょう。

4-4.外貨建て資産:円安リスクへの備え

円安が進むと、外貨建て資産(米ドル建て預金や外国株・債券など)の円換算価値が上がることがあります。国内のインフレが進む背景には通貨価値の低下も関係しており、通貨分散は資産価値を守るうえで有効な手段の一つです。

ただし、為替相場は経済情勢や金利差、地政学リスクなど多様な要因で変動するため、投資先の通貨やタイミングには注意が必要です。

4-5.投資信託:手軽にできる分散運用の入り口

投資信託は、資産運用のプロが複数の資産に分散投資してくれる商品です。少額から始められ、手軽に株式・債券・不動産・コモディティなどに分散できるのが最大のメリットです。

インフレに強いとされる分野に特化したファンドを選べば、個人では対応が難しい投資対象にもアクセスできます。国内外の株式や債券、REITなどに幅広く分散された「バランス型ファンド」もあり、選択肢が豊富です。

ただし、投資信託には信託報酬などの運用コストがかかるため、運用方針と費用のバランスを見ながら、長期的な視点で選ぶことが大切です。

5.NISA制度を活用した効率的なインフレ対策

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個人の資産形成を支援する税制優遇制度NISA(少額投資非課税制度)は、インフレ対策としての資産運用を効率的に進めるうえで有効です。

5-1.NISA制度の概要と税制メリット

NISAは、毎年一定額の範囲内で購入した金融商品から得られる売却益や配当金・分配金が非課税になる制度です。通常約20%課税される利益が非課税となるため、長期的な資産形成において大きなメリットがあります。

2024年からの新NISAでは非課税保有期間が無期限化され、年間の投資枠も「つみたて投資枠」と「成長投資枠」合計で最大360万円(生涯投資枠は1,800万円)に大幅に拡大され、より柔軟な資産運用が可能になりました。

5-2.NISA口座を最大限に活用する運用戦略

NISAを効果的に活用するには、長期的な視点での積立投資と、投資対象の分散を基本とすることが大切です。新NISAでは、「つみたて投資枠」で安定的にインデックスファンドなどを積み立てつつ、「成長投資枠」でより積極的な投資を行うなど、自身の戦略に合わせた枠の使い分けも可能です。

非課税投資枠を計画的に活用し、定期的なポートフォリオの見直しを行うことで、インフレリスクへの備えをより確実なものにできるでしょう。

6.インフレ時代を乗り切るための資産運用の心構え

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インフレ時代における資産運用は、単に金融商品を選んで投資するだけでは不十分です。ここでは、不確実な時代を乗り切るために、投資家が意識すべき基本的なスタンスや行動原則について解説します。

6-1.経済動向の継続的な情報収集と学習の重要性

経済や市場は常に変化します。インフレ動向、金利政策、為替など、資産運用に関連する情報を日頃から収集し、理解を深めることが重要です。新聞、経済ニュース、信頼できる専門家のレポートなどを通じて、経済の大きな流れを掴み、自身の投資判断に活かしましょう。また、新しい金融商品や制度についても学び続ける姿勢が大切です。

6-2.専門家のアドバイス活用と最終的な自己決定のバランス

資産運用は専門知識が求められます。難しい場合は、ファイナンシャルプランナー(FP)や金融機関の担当者など、専門家の意見を参考にすることも有効です。ただし、専門家のアドバイスはあくまで参考情報の一つと捉え、最終的には自身の理解と判断に基づいて投資決定を行うことが重要です。複数の意見を聞き、自分にとって最適な選択肢を見極めましょう。

6-3.ポートフォリオの定期的な点検と柔軟な調整

一度構築したポートフォリオが永続的に最適とは限りません。市場環境やライフステージの変化(結婚、住宅購入、退職など)、あるいは自身の投資目標やリスク許容度の変化に合わせて、少なくとも年に一度程度はポートフォリオ内容を見直し、必要に応じてリバランス(資産配分の調整)を行うことが推奨されます。これにより、資産全体のリスクバランスを適切に保ち、インフレリスクを含むさまざまな市場変動に対応できる、より強固な資産構成を維持することができます。

7.インフレ時代を賢く生き抜き、未来の資産を築くために

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インフレは、私たちの資産、特に現預金の実質的な価値に影響を及ぼす可能性があります。しかし、経済の変動期と捉え、適切な知識と対策をもって臨めば、資産を守り、育てることも可能です。重要なのは、インフレリスクを正しく理解し、主体的に情報を得て、自身に合った対応策を検討することです。

近年ではNISA制度が拡充されるなど、個人の資産形成を後押しする環境が整備されています。これを機に、少額からの投資を検討したり、専門家のアドバイスを求めたりすることも、賢明な一手といえるでしょう。

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