インデックス投資はおすすめしない?リスクや向かない人の特徴を解説
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インデックス投資は、コストを抑えつつ安定したリターンが期待できる投資方法の一つです。
投資関連の書籍でも「初心者にも取り組みやすい」「これからの資産形成に最適」と紹介されていることも多い一方、万人向けの“絶対解”とも言い切れません。

この記事では、インデックス投資の特徴や、実際にどのようなリスクがあるのかを解説し、自分に適した投資スタイルを見極めるためのヒントをお伝えします。

目次

  1. 1.インデックス投資をおすすめしないと言われる理由
    1. 1-1.インデックス投資とは
    2. 1-2.インデックス投資のメリット
    3. 1-3.インデックス投資で注意すべきこと
  2. 2.インデックス投資をやめておいた方がいい人の特徴
    1. 2-1.短期間で大きな利益を得たいと考えている人
    2. 2-2.損失への耐性が低い人
    3. 2-3.投資に主体性を持ちたい人
  3. 3.他の投資手法との比較
    1. 3-1.アクティブ投資との比較
    2. 3-2.不動産投資との比較
    3. 3-3.債券投資との比較
  4. 4.インデックス投資をやるなら知っておきたい注意点
    1. 4-1.長期・積立を心がける
    2. 4-2.NISAやiDeCoを活用して税制メリットを最大化する
    3. 4-3.他の投資と組み合わせたポートフォリオを構築し、分散効果を高める
  5. 5.インデックス投資は理解して選ぶことが大切

1.インデックス投資をおすすめしないと言われる理由

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インデックス投資では、市場全体の成長に応じて長期的に資産の成長を目指すことができます。まずは、インデックス投資の仕組みと、「おすすめしない理由」となる注意点について解説します。

1-1.インデックス投資とは

インデックス投資とは、特定の株価指数(インデックス)に連動する投資信託(インデックスファンド)を運用する投資方法です。代表的な指数には、日経平均株価(日経225)やTOPIX(東証株価指数)、S&P500などがあり、これらの指数の値動きに連動してファンドの価格も上下します。

1-2.インデックス投資のメリット

インデックス投資は、「長期」「積立」「分散」という資産形成の基本を、誰でも無理なく実践しやすい特徴があります。

インデックスファンドは1本で分散投資の効果を得ることができます。例えば、S&P500に連動するファンドなら、米国の代表的な500社にまとめて投資することになります。そのため、個別銘柄を選ばずに経済全体の成長を取り込むことが期待できるのです。

また、毎月一定額を自動的に積み立てていく「積立投資」との相性も良く、相場の上下に一喜一憂せずに投資を継続できるのが魅力です。積立投資を長期間続けることで購入価格が平均化され、安定したリターンにつながる可能性も高まります。

さらに、指数に合わせて機械的に運用されることから、ファンドマネージャーが分析して売買する必要がなく、運用手数料も比較的安いのも支持される理由です。

1-3.インデックス投資で注意すべきこと

ただし、インデックス投資を始める前に、次のようなリスクがあることは理解しておく必要があります。

1-3-1.元本割れの可能性がある

インデックス投資は対象とする市場全体の動きに連動するため、相場全体が下がれば当然価格は下落します。特に運用を始めた直後に暴落が起きると、短期間で資産価値が大きく目減りすることもあります。

インデックスファンドは日本株や米国株などの株式指数や、特定の業界に連動する商品が多く、それらの地域や業界に経済的な変調があった場合には大きな影響を受けます。

たとえば、2025年4月には、アメリカのトランプ大統領が発表した大規模な関税措置により、世界的に株式市場が急落しました。日本の株式市場も大きな影響を受け、日経平均株価は過去3番目の下げ幅を記録しました。インデックス投資であっても、このような下落局面で冷静に対応し、長期的な視点で投資を続ける忍耐力が求められます。

1-3-2.値動きが緩やか

インデックス投資は「平均点を取りにいく投資」です。そのため、分散効果を得られる一方で個別の株式のように短期間で急騰する局面は少なく、資産が増えている実感が得られにくいかもしれません。

1-3-3.リスクの実感が湧きづらい

一定の分散効果によりリスクを抑制できていることから「何も考えずにとりあえず投資しておけばいい」と考えてしまうと、リスクに対する感覚が鈍ってしまいます。
自身がどのような対象に投資していて、どのようなリスクを内包しているのかを理解しておかないと、暴落時に冷静さを失い、慌てて売却してしまう恐れがあります(いわゆる狼狽売り)。

2.インデックス投資をやめておいた方がいい人の特徴

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先述したインデックス投資の注意点を踏まえて、インデックス投資をやめておいた方がいい人の特徴を紹介します。自分が当てはまっていないかを確認しながら、相性を見極める参考にしてみてください。

2-1.短期間で大きな利益を得たいと考えている人

インデックス投資は、市場全体の平均に連動する性質上、急激な資産増加はあまり期待できません。そのため、1年で資産を2倍、3倍に拡大したいというような人には向いていません。短期的な成果を求めるタイプの人にとっては、物足りなさやもどかしさを感じやすい投資といえます。

2-2.損失への耐性が低い人

インデックス投資といえども、資産が一時的に大きく減る局面は訪れます。含み損の状態でも長期目線で淡々と積立を続けられるかが成功の鍵ですが、損失を見るたびに不安になってしまう人にとっては、精神的なストレスが大きくなります。値動きに一喜一憂してしまうタイプの人は注意が必要です。

2-3.投資に主体性を持ちたい人

個別株の分析やタイミングを考えるような能動的な投資を好む人にとって、インデックス投資は「受け身」なスタイルに感じられるかもしれません。市場任せの動きに納得感を持てない人は、途中で「自分で判断したい」という欲求が強くなり、継続が難しくなることもあります。

3.他の投資手法との比較

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ここでは、インデックス投資とよく比較される代表的な投資手法について、その特徴やリスクを比較してみましょう。

3-1.アクティブ投資との比較

アクティブ投資は、投資信託の運用者や自分自身が将来の市場の動きを予測し、積極的に売買してリターンを追求するスタイルです。インデックス投資と違い、指数を上回る成果を目指します。

アクティブ投資は、大きなリターンを狙える可能性がありますが、運用コストが高くなる傾向にあり、予測が外れれば損失も大きくなります。また、適切に運用するための知識が求められるため、初心者にはややハードルが高いといえるでしょう。

3-2.不動産投資との比較

不動産投資は、賃貸収入や売却益を得ることを目的に、マンションやアパートなどの不動産を運用する投資です。現物資産としての安心感があるほか、金融期間からのローンを活用することでレバレッジを効かせた投資も可能になります。

一方で、物件選びや管理、修繕対応などの手間がかかり、空室リスクや地価の下落などのリスクも伴います。インデックス投資よりも主体的な関与が求められる投資といえるでしょう。

3-3.債券投資との比較

債券投資は、国や企業にお金を貸し、その利息を得る投資スタイルです。株式に比べて値動きが穏やかで、安定した収益が期待できるため、リスクを抑えたい人に向いています。

ただし、金利の上昇局面では価格が下落する傾向にあり、発行体がデフォルト(債務不履行)に陥るリスクもあります。また、インデックス投資と比べるとリスクは低めですが、その分リターンも控えめです。

4.インデックス投資をやるなら知っておきたい注意点

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インデックス投資は、長期的な視点と制度の活用が欠かせません。ここでは、インデックス投資をより効果的かつ安心して続けるために意識したいポイントを整理しておきます。

4-1.長期・積立を心がける

インデックス投資は一度購入して終わりではなく、長期的にコツコツ積み立てていくことで効果を発揮する投資スタイルです。相場が上がっている時期でも下がっている時期でも積立を続けることで、購入単価を平均化し、リターンを安定させることができます。

短期間で結果を求めるのではなく、「10〜20年かけて育てる」という気持ちで取り組むことが成功の鍵となります。急激な成果よりも、地道な積立を継続できる仕組み作りが大切です。

4-2.NISAやiDeCoを活用して税制メリットを最大化する

インデックス投資を行うなら、税制優遇制度をフルに活かすことが資産形成において大きな差を生みます。現在、多くの人が活用しているのが「NISA(ニーサ)」と「iDeCo(イデコ)」です。それぞれの特徴を確認しておきましょう。

4-2-1.新NISA(少額投資非課税制度)

2024年からスタートした新NISA制度は、これまでの「つみたてNISA」「一般NISA」を一本化・拡充し、非課税で投資できる金額や期間が大幅に広がっています。新NISAでは、次の2つの枠を併用して投資を行うことができます。

・成長投資枠
年間最大240万円、生涯で最大1,200万円まで投資できる枠で、個別株やETF、アクティブファンド、インデックスファンドなど幅広い商品が対象になります。S&P500や全世界株式に連動するインデックスファンドも多く対応しており、自分のリスク許容度や投資スタイルに合わせて柔軟に選ぶことができます。

・つみたて投資枠
年間最大120万円、生涯で最大600万円まで投資できる枠になり、長期・積立・分散に適した投資信託のみが対象となります。対象商品は金融庁のホームページで確認することができます。

参考:つみたて投資枠対象商品(金融庁)

いずれも、国内外の株式に分散投資できる設計で、初心者から経験者まで幅広い投資家に支持されています。

これらの枠を活用することで、年間最大360万円、合計で最大1,800万円まで非課税で運用できます。非課税期間が無期限化されたことで、時間を味方にした長期投資がより実践しやすくなっています。なお、一度使った投資枠は、その年に売却しても再利用できませんので注意しましょう。

インデックスファンドは、この新NISA制度との相性が非常に良く、「長期・積立・分散」という投資の基本を効率的に実現できる選択肢として注目されています。

参考:NISAを知る(金融庁)

4-2-2.iDeCo(個人型確定拠出年金)

iDeCoは、掛金が全額所得控除される節税メリットがある制度です。拠出した金額は原則60歳まで引き出せませんが、老後資産の準備を目的とするなら非常に効率的な手段となります。

また、運用益も非課税で、受け取り時にも退職所得控除・年金控除といった優遇が受けられます。インデックス投資との相性も良く、税金の面から見ても長期投資の効果を引き出しやすい制度です。

参考:iDeCoの概要(厚生労働省)

4-3.他の投資と組み合わせたポートフォリオを構築し、分散効果を高める

インデックス投資はそれ自体に分散の効果がありますが、市場全体が不調になると同時に資産価値も下落するリスクがあります。そうした状況に備えるためにも、投資対象のインデックスとは特徴が異なる資産を組み合わせてポートフォリオを構築し、“外側からの分散”を図るのも一つの考え方です。下記にリスクの異なる資産の一例を紹介します。

4-3-1.不動産投資

家賃収入などのインカムゲインを得ることができ、株式市場とは異なる動きをしやすい投資対象です。長期的な安定収入を求める場合、有効な選択肢になり得ます。

4-3-2.債券・金(ゴールド)

価格変動が穏やかな債券や、インフレ対策にもなる金は、株式市場の下落リスクを緩和する資産になります。

これらの異なる性質の資産を取り入れることで、より堅実で柔軟な資産形成が可能になります。

5.インデックス投資は理解して選ぶことが大切

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インデックス投資は、低コスト・手間いらず・長期運用向きといった特性から、資産形成の手段として広く支持されています。特に投資初心者にとっては、始めやすく継続しやすい方法の一つといえるでしょう。

ただし、インデックス投資を「とにかく安全」「誰にでもおすすめ」といった表面的なイメージだけで始めるのは危険です。相場の下落により一時的に資産価値が大きく減る可能性や、成果が出るまでに長い時間がかかる点、さらには市場への依存リスクなど、インデックス投資にも明確なリスクが存在します。

大切なのは、それらの特徴をきちんと理解したうえで、自分にとって本当に向いている投資かどうかを見極めることです。情報があふれる時代だからこそ、「みんながやっているから」ではなく「自分に合っているかどうか」で投資対象を選ぶ姿勢が、将来の後悔を防ぐ第一歩になるはずです。

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