富裕層はお金を持っているので、欲しいものは何でも買えるはず。しかし不動産投資など何か事業を始めるときには借金をすることが多いのはなぜ?と疑問に思う方は多いのではないでしょうか。
富裕層があえて借金をするというのは事実で、不動産投資を始めるにあたってキャッシュで物件を買うことができるのにもかかわらず銀行などからお金を借りるのはよくあるケースです。
本記事では、「富裕層があえて借金をする理由」を6つの視点から紐解いていきたいと思います。
目次
富裕層にとっての「借金」は意味が違う
借金とはお金を借りることですが、一般的に思われている借金と富裕層の借金とでは意味合いが異なります。生活費が足りなくなり、消費者金融などからお金を借りるのはイメージしやすい借金像ですが、これはお金が足りない問題を一時的にしのぐためにやむを得ず借金をするケースです。
それに対して富裕層がお金を借りるのは資金調達であり、借金をしなくても資金を用意できる場合であっても「借金をしたほうがトク」という理由から、あえてお金を借ります。ここが大きなポイントになるので、次項ではそれを踏まえつつ6つの理由を解説します。
不動産投資をする理由1. 節税と相続対策
不動産は償却資産といって、税制上、時間の経過とともに価値が目減りしていく資産と見なされています。マンションなどの不動産は、築年数が経過するにつれて建物が古くなるだけでなく設備も古くなってくるので資産価値が低下することは容易に想像がつきます。この価値の目減り分は会計上、減価償却費として経費計上することができます。
この減価償却費は実際にキャッシュが出ていくわけではないのに経費として計上できるとして節税に活用されることが多く、節税目的で不動産を購入して減価償却費を計上するのは節税の必要性が高い富裕層にも広く浸透しているスキームです。
ほとんどのマンションは法定耐用年数が47年なので、新築でマンションを購入すれば47年間にわたって減価償却費による節税メリットが得られます。
また、富裕層はいつかやってくる相続への対策を講じる必要があります。現金よりも不動産の形で相続したほうが相続財産の評価額が低くなるため、資産の一部を不動産にしておくことは相続税の節税につながります。
しかも不動産投資の場合は所有している物件を賃貸に供することになります。賃貸に供する不動産は相続財産としての評価額をさらに低くすることができるため、不動産投資は相続税対策に有効です。国税庁の土地や家屋の評価についてはこちらをご覧ください。
これらの理由により、富裕層の中には節税メリットに着目して不動産投資に乗り出す人が多く見られます。しかし、これだけだと借金をしてまで不動産投資をする理由にはならないので、次項以降でさらに富裕層があえて借金をする理由を掘り下げていきましょう。
富裕層が借金をしてまで不動産投資をする理由2. 超低金利はチャンス
ご存じの方は多いと思いますが、日本は長らく超低金利が続いています。超低金利はお金を借りる側に有利に働くため、富裕層がお金を借りる場合にも資金調達のコストが格安になります。
不動産投資は比較的堅実な投資であると見なされていることもあり、資金調達コストが安いのであれば不動産投資を始めてみようかとの動機につながりやすくなります。
富裕層が借金をしてまで不動産投資をする理由3. 富裕層は有利な条件で借りられる
富裕層にとっての大きな関心事には、資産を増やすことだけでなく資産を守ることも含まれます。そのためにはポートフォリオといって保有資産の内訳を多様化するのが有効です。不動産も当然その選択肢となります。
富裕層は信用状態が良好であることから銀行からお金を借りてほしいと持ち掛けられることも多く、それなら資金を調達して不動産投資を始めるかと考える富裕層が多くなったとしても不思議ではありません。
富裕層が借金をしてまで不動産投資をする理由4. 富裕層は不動産で利益を出しやすい
超低金利時代ではありますが、だからといって賃貸住宅の家賃が極端に安くなるわけではありません。これはつまり、低コストで資金調達をして不動産投資をする人に有利な環境です。
特に富裕層は信用状態のよさゆえに有利な条件でお金を借りられる可能性が高く、イールドギャップを大きくすることができます。
イールドギャップとは不動産投資の利回りと借入金利の差のことで、この差が大きいほど投資家の手残りは大きくなります。家賃相場がそれほど変わらない一方で借入金利を低くしやすい富裕層は、イールドギャップを大きくしやすく利益を出しやすいといった有利な条件下にいます。
富裕層が借金をしてまで不動産投資をする理由5. 金融機関との信頼醸成
富裕層の多くは資産管理や事業の資金調達など、さまざまな場面で金融機関との深い取引関係を有しています。先ほど富裕層は銀行から融資を持ち掛けられることが多いと述べたように、銀行などの金融機関にとっても富裕層は上得意です。
より信用力のある顧客に融資したいと思うのは当然なので、有利な条件を提示して富裕層向け融資を拡大しようとします。
その一方で、顧客である富裕層は特に必要がなくても金融機関からお金を借りてそれを完済することで信頼醸成ができます。本当に資金が必要になったときに備えて普段から信用を醸成しておくことは見えない財産になるため、多少の利息を支払ってでもお金を借りることに価値があると考えます。
融資と完済の実績は金融機関の担当者にとっても実績になるため、担当者の顔を立てて「恩を売る」こともできます。担当者との関係性は融資の審査にも影響を及ぼすため、普段から良好な関係性を構築しておくことはとても有益です。
富裕層が借金をしてまで不動産投資をする理由6. キャッシュ・イズ・キング
富裕層だけに限らず、投資家の間には「キャッシュ・イズ・キング」という格言めいた言葉があります。あらゆる資産のなかで現金は最も流動性が高く、いざとなったときにすぐに使えるメリットがあるため、「キャッシュ・イズ・キング=現金は王様」というわけです。
例えば株やFXなどをメインに投資をしている人の多くは急激な相場変動に備えるリスク管理の一環で一部の資産をあえて現金で保有しています。こうすることで暴落した株を買い増すこともできますし、FXであればロスカットからポジションを守ることができます。
富裕層はもちろん、この「キャッシュ・イズ・キング」の重要性を知っています。そのため全資産を現金以外にすることはなく、できるだけ多くの現金資産を手元に置いておくことでリスクに備えています。
不動産投資を始めるには、例えば区分マンション投資であれば数千万円規模の初期投資が必要になります。それを現金で購入はせず、あえて借金で購入することで手元に現金を置いておく選択をするのが富裕層です。有利な条件でお金を借りることができるのですから、なおさらでしょう。
また、金融機関の口座に多くの現金を置いておくことは信用につながり、次に借金をするときにも信用につながります。不動産市場の動向によっては新たに物件の買い増しをすることも十分考えられるので、そのときにも「キャッシュ・イズ・キング」がモノをいいます。
このように、富裕層が借金をしてまで不動産投資をするのには、さまざまな理由があります。資産形成を進めるうえでヒントとなるポイントが多数あるため、自身の状況に置きかえて上手に取り入れていきましょう。
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