「お金の不安がいつも頭に浮かんでくる……」そんな人も多いのではないでしょうか。本記事では、前半で「どれくらいの割合の人がお金の不安を抱えているのか」「お金の不安を感じる理由は何か」をチェック。そして後半で、お金の不安をなくすために会社員ができる5つのことを解説します。
目次
お金の不安を感じる理由ベスト3は?
ビッグローブ株式会社が20代から60代の1,000人を対象に行ったお金に関する意識調査によると、「お金の不安を感じることがある」という人は、約半数を占めました。さらに「お金の不安を感じることはたまにある」という人も含めると、全体の9割近くがお金に不安を感じていることがわかります。
では、お金の不安を感じる理由はどのようなものでしょうか。理由の上位ベスト3(複数回答可)は以下のようになっています。
2. 貯蓄や資産が少ない 53.5%
3. 老後に年金がもらえるかわからない 43.1%
次に、これら3つのお金に不安を感じる理由をなくすために、会社員ができることを考えていきます。
「収入が少ない」不安をなくすための方法
お金の不安を感じる理由の第1位は「収入が少ない」でした。会社員が収入を増やす方法は、以下の選択肢があります。
資格手当制度を活用する
勤めている会社に資格手当制度があるなら、それを利用するのが確実に収入を増やせる方法といえます。
厚生労働省では、対象の3業種(建設業、製造業、サービス業)で資格・検定の取得が待遇に反映されるかを調査しました。その結果を見ると、資格・検定の取得によるインセンティブを用意している会社が相当数あることが分かります。
・昇給の際に考慮 23.6%
・一時金の支給 20.0%
・基本給を決める際に考慮 18.0%
(出典:厚生労働省 資格・検定等の人員配置、昇格及び賃金への反映状況等に係る実態調査)
上記の中でも特に「月々の資格手当を支給」する会社に勤めている人は、積極的に制度を利用したいものです。仮に資格手当が1万円だとしたら、年間で12万円、 5年で60万円、10年で120万円の収入アップになります。
「仕事をしながら資格取得をするのは難しい」という意見もあるかもしれませんが、他の方法(例:転職や副業など)で結果を出し、収入を増やすのもハードルがかなり高いです。資格取得と他の方法の難易度を比べて、どちらを選択するのがよいか考えてみましょう。
昇給・昇進を目指す
会社員が収入を増やす現実的な方法として、現在の会社で昇給・昇進できる可能性がないかも考えてみましょう。昇給・昇進が期待できる会社の特徴は以下の通りです。
・社内のキャリアアップの仕組みが透明化されている
・業界や会社の業績が右肩上がりである
勤めているのがこういうタイプの会社であれば、上司や先輩などのアドバイスを受けながら、社内での評価を高める努力をしていきましょう。
成長産業に転職する
勤めている会社のままで収入アップが難しい場合、転職してお金の不安をなくす選択肢もあります。しかし、転職によって収入ダウンのリスクがあることも意識すべきでしょう。
転職によって収入が増えるかは、その人の人材価値に加えて、転職する業界が成長産業なのか、斜陽産業なのかも間接的に影響してくると考えられます。当然ながら、収入アップを重視するなら、成長産業への転職が賢い選択です。
実際に、転職によってどれくらいの割合が収入アップできるのでしょうか。一例では、高所得者が多いと言われるメディカル業界の場合、転職後に年収アップした人の割合は約半数、年収ダウンの人の割合は約3割でした。
お金の不安をなくすために転職したのに、逆に、お金の不安が大きくなってしまっては本末転倒です。一方で、転職による収入アップは年代が上がるごとに難しくなるため、転職を先延ばしにするリスクもあります。
例えば、メディカル業界の調査の場合、「転職で収入が減った」と回答した人は30代以下では17.4%でしたが、50代になると34.6%とほぼ倍増するという結果でした。こういった現実を踏まえながら、「転職をするのかどうか」「転職のベストなタイミングはいつか」を見極めましょう。
「貯蓄や資産が少ない」不安をなくすための方法
お金の不安を感じる理由の第2位は「貯蓄や資産が少ない」でした。収入を増やすとともに、以下のような方法で支出を抑えたり資産運用をしたりすると、お金の不安をなくしていきやすいでしょう。
定期契約サービスを解約する
支出を抑える手軽な方法として、「定期契約サービスの解約」がおすすめです。一例では、以下のようなサービスが解約の対象になります。
・有料の動画コンテンツ
・フィットネスジム
・効果が見られない子どもの塾代
・効果が見られないサプリメント
・使っていないサブスク・サービス など
ただし、無理に節約をするとストレスによる反動で、逆に散財してしまうパターンもあり得ます。まずは、定期契約をしている中でも、利用頻度の少ないサービスを解約していきましょう。
一例として、定期契約サービスを解約した場合に、どれくらい支出が減らせるかをシミュレーションしてみます。
複数のニュースサイトに契約している人が、〇〇電子版(月額4,277円)と〇〇ニュース(月額プラン1,700円)を解約した場合、年間の削減額は計7万1,724円です。あるいは、動画配信サービス2社を解約した場合、年間の節約額は1万1,880円になります。
定期契約の見直しでは、ネット回線やスマホ代の見直しも効果的です。筆者の場合、主要キャリア会社のサービスと契約していたときは、ネット回線とスマホ代を合わせて毎月約1万3,000円の支出でしたが、格安サービスに切り替えたことで毎月約5,000円まで削減できました。年間の削減額は9万6,000円です。
ローリスクな投資商品を運用する
「投資をすることで資産を増やしたい」と考える人が増えています。しかし、「お金の不安をなくすこと」を重視するなら、投資の中でもローリスク・ローリターンな方法を選ぶのがおすすめです。
なぜなら、あらゆる投資商品にリスクがあり、ハイリスクならハイリターン、ローリスクならローリターンというのが原則だからです。「貯蓄や資産が少ない」と焦ってハイリスクな投資商品に手を出し、資産を失ったり借金を抱えたりすれば、お金の不安はさらに大きくなります。
主なローリスク・ローリターンな投資商品には、以下のような種類があります。それぞれメリット・デメリットがあるため、比較しながらご自身にあった投資商品を選択するのがよいでしょう。
種類 | メリット | デメリット |
---|---|---|
投資信託 | ・少額で投資ができる ・運用益と値上がり益がある ・分散投資をしやすい | ・種類が多く銘柄選びが大変 ・手数料がかかる |
不動産投資 | ・運用益と値上がり益がある ・生命保険の機能もある ・元本にレバレッジをかけられる | ・一定の収入がないとローンを組めない ・空室リスクがある |
金投資 | ・価値がゼロにならない | ・値上がり益しか得られない |
債券投資 | ・格付の高い銘柄はローリスク | ・低利回りである |
年金がもらえないことを嘆く前に、個人でできることに注力を
お金の不安を感じる理由の第3位は「年金がもらえるかわからない」というものでした。しかし、将来の老齢年金が見通せないという問題は、少子高齢化や人口減少などの影響が大きいため、個人の努力ではどうにもならないことです。
厚生年金に加入しているビジネスパーソンが年金額を増やす方法としては、年金受給の先送り(年金の繰り上げ受給)がありますが、年金制度そのものが揺らいでしまえば根本的な不安解消にはならないでしょう。
年金不安を嘆いても、現実は何も変わりません。本記事でご紹介してきた「収入を増やし、支出を減らす」という個人でできることに注力して、お金の不安なくしていきましょう。
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