最終更新日:2023/12/11
 
公務員で年収1000万円を達成する方法とは?取り組める副業と注意点を解説
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大西 勝士
大西 勝士
フリーランスの金融ライター(AFP、2級FP技能士)。早稲田大学卒業後、会計事務所、一般企業の経理職、学習塾経営などを経て2017年10月より現職。10年以上の投資経験とFP資格を活かし、複数のメディアで執筆しています。

公務員は安定しているのが魅力ですが、年収が1000万円に届く人はごくわずかです。しかし、高齢化によって退職後の期間は延びており、老後の生活費を確保する必要があります。公務員の給与や退職金だけでは、将来に不安を感じるのではないでしょうか。

そこで、年収1000万円を目指す公務員におすすめの副業と注意点を解説します。

目次

  1. 公務員の平均給与はどれくらい?
    1. 国家公務員の場合
    2. 地方公務員の場合
  2. 公務員には副業の規定がある
    1. 公務員は基本的に副業禁止
    2. 副業が例外的に認められるケースもある
    3. 副業を解禁した自治体もある
  3. 公務員でも取り組める副業
    1. 不動産投資
    2. 太陽光発電投資
    3. 小規模の農業
    4. 資産運用
    5. 講演・執筆
  4. 公務員が年収1000万円を目指すなら不動産投資がおすすめ
  5. 公務員が副業に取り組む際の注意点
    1. 規定に違反しないかを確認する
    2. 一定以上の収入を得た場合は確定申告を行う
  6. まとめ

公務員の平均給与はどれくらい?

公務員で年収1000万円を達成する方法とは?取り組める副業と注意点を解説
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まずは、国家公務員と地方公務員の平均給与と年収モデルを確認しましょう。

国家公務員の場合

人事院の調査によると、2021年度の国家公務員の平均給与月額は41万4,729円(平均年齢42.7歳)となっています。

また、人事院が公表している国家公務員のモデル給与例は以下の通りです。

職務段階年齢月額給与年間給与
係員18歳(一般職高卒初任給)15万600円244万6,000円
22歳(一般職大卒初任給)18万2,200円295万9,000円
25歳19万3,900円314万9,000円
30歳22万8,100円370万4,000円
係長35歳27万3,600円450万1,000円
40歳29万9,000円491万9,000円
地方機関課長50歳41万3,200円667万0,000円
本府省課長補佐35歳43万5,320円715万5,000円
本府省課長50歳74万9,400円1,253万4,000円
本府省局長-107万4,000円1,765万3,000円
事務次官-141万0,000円2,317万5,000円

本府省課長になると年収が1000万円を超えますが、誰でもなれるわけではありません。上記モデルでは年齢が50歳となっており、30年程度の勤務経験が必要だと考えられます。

また、国家公務員は総合職として採用された「キャリア」と一般職の「ノンキャリア」に分かれます。通常はキャリアのほうが出世スピードは早く、ノンキャリアで課長以上の職務に就くケースは少ないのが現状です。一般職の場合、公務員の給与だけで年収1000万円を達成するのは難しいといえるでしょう。

地方公務員の場合

総務省の調査によると、地方公務員(全地方公共団体・一般行政職)の平均月額給与は40万2,948円(平均年齢42.1歳)となっています。

また、東京都人事委員会が公表している職員の年収モデルは以下の通りです。

年齢・職務段階給与月額(その他手当含む)年収
25歳係員22万920円365万6,000円
35歳課長代理36万8,760円620万4,000円
45歳課長60万6,600円1,017万4,000円
50歳部長76万2,960円1,295万3,000円

東京都の場合、45歳課長で年収1000万円に到達しています。ただし、東京都の平均給与は他の都道府県に比べて高く、給与水準は自治体によって異なります。また、課長以上の職務に就くには、仕事で実績を残して出世競争に勝ち残らなくてはなりません。

年収1000万円は不可能ではありませんが、地方公務員で達成できる人は少ないと考えられます。

公務員には副業の規定がある

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公務員が年収アップを目指す場合、副業を検討するかもしれません。副業で収入を得ることができれば、給与と合わせて年収1000万円を達成できる可能性があります。公務員には副業の規定がありますが、給与以外に収入を得ることは可能なのでしょうか。

公務員は基本的に副業禁止

公務員は「全体の奉仕者」として公共の利益のために勤務しなくてはなりません。職務に専念する義務があり、兼職に関する規定が設けられています。営利目的の企業経営や兼職が禁止されているため、基本的には副業も認められません

副業が例外的に認められるケースもある

ただし、公務員であっても副業が例外的に認められるケースもあります。人事院の「義務違反防止ハンドブック」によれば、所轄庁の長の承認を得た場合は、一定規模の不動産賃貸や太陽光電気の販売、農業などの自宅兼業は可能とされています。

副業を解禁した自治体もある

最近では、公務員の副業を解禁した自治体もあります。例えば、神戸市では「地域貢献応援制度」を導入し、報酬を得て地域貢献活動に参加する際の基準を定めています。

また、奈良県生駒市でも、持続可能なまちづくりを進めるため、職員が公共性のある組織で副業を行うことを促進しています。

一定の条件はありますが、今後は公務員の副業解禁が広がる可能性があるでしょう。

公務員でも取り組める副業

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公務員が年収アップのために副業を始める場合、どんな選択肢があるのでしょうか。ここでは、公務員でも取り組める副業として、以下の5つを紹介します。

・不動産投資
・太陽光発電投資
・小規模の農業
・資産運用
・講演・執筆

不動産投資

家賃収入を目的とした不動産投資は公務員でも始められます。ただし、以下の規模を超えないことが条件です。

・独立家屋:5棟以上
・独立的に区画された一の部分の数*:10室以上
・賃貸料収入:年額500万円以上
*区分マンション、アパート等

規模が大きくなると自営に該当すると判断され、認められなくなるので注意しましょう。

太陽光発電投資

太陽光発電投資は、発電した電気を販売して収入を得る投資方法です。不動産投資と同じく自営に該当する基準が示されており、「発電設備の出力が10キロワット以上」の規模を超えなければ公務員でも始められます

小規模の農業

自給を目的とした小規模の農業も、公務員の副業として認められます。ただし、職務の遂行に支障が生じないことが要件となるため、大規模で営利が主目的と判断される場合は認められません。副業が可能か判断できない場合は、勤務先の自治体に確認しましょう。

資産運用

株式投資や投資信託、FXなどの資産運用は、公務員でも副業として取り組めます。資産運用は営利目的ではないので、基本的に許可をとる必要はありません。ただし、資産運用は元本保証がなく損失が生じる可能性もあるので注意が必要です。

講演・執筆

単発的に依頼された講演や執筆で報酬を得る場合は兼業に該当しません。ただし、毎月依頼を受ける場合などは、「労働の対価として報酬を得る」「定期的または継続的に従事する」という兼業基準に触れてしまいます。安定的な収入源にはならないでしょう。

公務員が年収1000万円を目指すなら不動産投資がおすすめ

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公務員が年収1000万円を稼ぐために副業を始めるなら、不動産投資がおすすめです。空室リスクの低い物件に投資すれば、長期にわたって安定した家賃収入が期待できます。家賃収入が年額500万円までは副業として認められるため、給与と合わせて年収1000万円を達成することは十分に可能でしょう。

公務員は金融機関からの信用が高い点もメリットです。すぐに収支がプラスになるとは限りませんが、融資を利用して物件を購入し、家賃収入からローン返済を進めれば資産形成スピードを高められます。

また、管理業務は賃貸管理会社に任せられるので、仕事をしながらでも無理なく取り組めるでしょう。

公務員が副業に取り組む際の注意点

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公務員が副業に取り組む際は以下の2点に注意が必要です。

・規定に違反しないかを確認する
・一定以上の収入を得た場合は確定申告を行う

規定に違反しないかを確認する

公務員が副業を始める場合は、規定に違反しないかを確認することが大切です。副業が営利目的の兼業と判断されると、減給などの懲戒処分が課されることがあります。副業で収入を得ても、給与が減ってしまっては意味がありません。処分によって今後の仕事や昇進に影響が出る恐れもあります。

副業が規定に違反しないか判断できない場合は、必ず事前に許可をとりましょう。

一定以上の収入を得た場合は確定申告を行う

公務員は年末調整を受けられるため、基本的に確定申告は不要です。ただし、給与以外の所得が年20万円を超える場合は、公務員であっても確定申告をしなくてはなりません。確定申告が必要かは、副業の収入から経費を差し引いた金額が年20万円を超えるかで判断しましょう。

まとめ

公務員は雇用が安定していますが、給与だけで年収1000万円を達成できる人は限られます。収入を大きくアップさせたい場合は、給与以外の収入源を確保するのが近道です。公務員でも副業として取り組める不動産投資で年収1000万円を目指しましょう。

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