投資の判断力を高めるのに役立つ5つの法則とは?
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本間 貴志
本間 貴志
ビジネス書・実用書専門の「アスラン編集スタジオ」の編集ライターを経てフリー。2015年より秋田県に移住、テレワークによる柔軟な働き方を実践中。

「投資や資産運用について学んでいるのに、うまくいかない」こんな悩みを持つ人もいるでしょう。その原因の1つは、適切な判断ができていないことかもしれません。知識をいくら増やしても、判断を誤れば成果は出せません。ここでは投資の判断力を高めるのに役立つ5つの法則をご紹介します。

知識や情報だけで正しい投資判断はできない

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投資で正しい判断をするには、それに必要な知識や情報を得ることが前提になります。とはいえ、知識があれば正しい判断が必ずできるわけではありません。

人間にはベストな判断を邪魔する思考や心理的な傾向があり、それによって判断を誤ることがしばしば起こるからです。

この思考や心理的な傾向を事前に把握し、常に意識していれば判断ミスを減らすことはできるでしょう。

ここではハーバード・ビジネス・レビューに掲載された論文やノーベル賞を受賞した理論を参考にしながら、投資の判断力を高めるための5つの法則をご紹介します。

法則1.先入観にとらわれて判断を誤る「アンカリング効果」
法則2.都合のいい情報ばかり集めてしまう「確証バイアス」
法則4.儲けより損失に強く反応する「損失の過大評価」
法則5. 損をするとハイリスクを取りやすくなる「リスク志向」

法則1.先入観にとらわれて判断を誤る「アンカリング効果」

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判断を誤らせる要素としては「アンカリング効果」が知られています。これは、その人がもともと知っていた情報や数字の大きな影響を受けて判断しやすい状態を指します。

例えば、証券会社がある銘柄の目標株価を5,000円と発表したとしましょう。

ある投資家は、(その目標株価を見て)この銘柄の現在の株価が2,000円なので「今なら割安」と判断して買いを入れました。

しかし、この銘柄には、証券会社が気づいてないリスクが潜んでいて1,000円以下の価値しかなく、その後急落してしまいました。このような流れがアンカリング効果の典型です。

アンカリングの罠にはまらないための対処法

ハーバード・ビジネス・レビューの掲載論文では、アンカリングの罠にはまらないための対処法として以下のような内容を提示しています。

・問題を別の観点から眺める
・まずは独力でその問題を考えてみる
・情報や意見を幅広く各層から求める

上記を先ほどのケースにあてはめれば、「対象の銘柄を否定的な立場から捉えてみる」「適正株価を自身で割り出してみる」「ほかの証券会社の目標株価とその根拠を調べてみる」などの行動が考えられます。

法則2.都合のいい情報ばかり集めてしまう「確証バイアス」

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前項でお話したように、適切な判断力をするには「問題を別の観点から眺める」「情報や意見を幅広く求める」のが有効です。

それにも関わらず、私たちには自分にとって都合のよい情報ばかりを集めてしまい、さらに先入観と違う内容の情報や意見と接したとき、それを無視したり軽視したりする傾向があります。これを「確証バイアス」といいます。

一例をあげてみましょう。

高利回りをうたうマルチ商法に投資をしている人が、周囲のメンバーが称賛しているから団体や商品を信用する、逆に家族から否定的な意見をいわれてもそれに耳を貸さないといった心理状態があてはまります。

確証バイアスに陥らないための対処法

ハーバード・ビジネス・レビューの掲載論文では、確証バイアスの対処法として以下のような内容を提示しています。

・ 信頼できる人物に自分の案に反対してもらい討論する
・ 自分で反対意見を構築してみる

法則3.これまでと同じにこだわる「現状維持バイアス」

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判断を誤らせる要素としては「現状維持バイアス」も知られています。

これは、客観的に見れば現状を変えることがベストにも関わらず、現状維持のスタンスを取り続ける状態を指します。

現状維持バイアスの一例としては、 地価が低下し続けているエリアの空室だらけの賃貸物件を保有し続けているようなケースが挙げられます。

この物件を売却して安定的なエリアの物件に買い替えたほうが合理的なのに、「新しい物件を探すのは手間がかかる」「空室を埋める方法があるかもしれない」などの理由で物件を保有し続け、赤字を膨らませるようなパターンです。

現状バイアスに陥らないための対処法

ハーバード・ビジネス・レビューの掲載論文では、現状バイアスの影響を緩和するための対処法として以下のような内容を提示しています。

・ 現状のままで目標が達成できるかを検討する
・ プラス面とマイナス面の両面から、ほかの選択肢も検討する
・ 現時点だけでなく、未来にどうなるかも考慮する

法則4.儲けより損失に強く反応する「損失の過大評価」

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リスクをともなう状況下での判断分析を研究した権威ある論文に、ダニエル・カーネマン氏らが提唱した「プロスペクト理論」があります。

この理論は、行動経済学のベースになったものとして広く評価され、2002年にノーベル経済学賞を受賞しました。

プロスペクト理論では、「人は儲けよりも損失に大きなインパクトを感じる習性がある」と述べられています。

例えば、ある投資をしていて儲けたときの嬉しさを1とすると、同じ金額を損したときの悔しさは2倍以上になるとのことです。

この習性によって、将来的にリターンをもたらす投資をしていても、一時的な損失にとらわれてやめてしまうということ起きやすいといえます。

「損失の過大評価」に陥らないための対処法

投資や資産運用をやめようとしているときには、「損失を過大評価していないか」のチェックが必要かもしれません。

法則5.損をするとハイリスクを取りやすくなる「リスク志向」

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投資や資産運用では「いかにリターンを大きくするか」と同じくらい(あるいはそれ以上に)損をしたときにそれを最小限に抑えるための判断も重要です。

この損失を抑えるために知っておきたい知識がプロスペクト理論の考え方の1つ「リスク志向」です。

これは損失を抱えた人は、「負けを取り返すためにハイリスクを取りやすくなる」傾向を指します。

注目したいのは、得をしているときにはリスク回避をする人でも、損しているときはハイリスクを取りやすい傾向があることです。

「リスク志向」に陥らないための対処法

損をしたときに取るべき行動は、「いったん損失確定して出直す」「ポジションを下げる」「現状のまま様子見をする」などでしょう。

投資や資産運用をしている人は、損失が発生した局面で「後悔するようなハイリスクを取ろうとしていないか」をチェックすることが大切です。

陥りやすい思考のクセに気がつこう

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人は先入観によって判断を誤り、リスクをともなうような状況下では偏った視点に陥ってしまいます。

「人には誰でもこのような思考のクセがある」ことを理解し、自分が偏った視点に陥ってないか、視野が狭くなってないかを確認してみましょう。

そうすることで、投資における判断ミスを減少させることができ、ビジネスや日常生活においても冷静で正確な判断を下せるようになるでしょう。

以下の書籍も参考になりますので、ぜひご参照ください。

・『行動経済学まんが ヘンテコノミクス』(原作:佐藤雅彦・菅俊一/画:高橋秀明)
・『思わずためしてみたくなる マンガ行動経済学』(監修:平野敦士カール)
・『情報を正しく選択するための認知バイアス事典』著者:情報文化研究所 、山﨑 紗紀子、 宮代 こずゑ 、 菊池 由希子、 監修:高橋 昌一郎

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