大学近くに賃貸のワンルームマンションを持つだけで、安定した収入が得られるという時代は終わりつつあります。それでも多くの学生が集まる大学は、マンション経営に適した市場であることに変わりありません。本稿では大学のそばにある、賃貸マンションの経営を成功させるための条件を具体的に解説しています。読んでいただくと、大学の近くではどんなマンション経営をすべきか理解できることでしょう。
目次
大学近くのマンション経営が人気だった理由
もともと大学の近くのマンションは、学生が入れ替わりで入居し続けるため空室になりにくく、安定したマンション経営ができると人気がありました。
以前は学生が多く景気も安定していたため、マンションに入居する学生も多かったという時代背景が要因です。
しかも大学が広い敷地を求めて地方にキャンパスを作ったため、その周辺なら手頃な値段で物件を購入できるメリットもありました。
ところが時代は変わり、単に大学近くにマンションを持つだけでは安定した経営にならない状況になっています。
大学に近い賃貸マンションのリスク
時代の変化とともに、大学に近い賃貸マンションには新たなリスクが生まれています。そのリスクをしっかりと理解したうえで物件を選ばないと、大きな失敗を招く可能性があります。
少子化による学生の減少
最も大きなリスクは、少子化による学生の減少です。
大学に集まる多くの学生をターゲットにする、これまでの戦略は理にかなっていました。しかし集まる学生が少なければ、安定したマンション経営は難しくなります。2032年には18歳の人口が、2020年比で14.3%減少するという予測もあります。また、文部科学省のデータからもわかるように大学生数は減っていくというのが現状です。
規模の大きな大学のそばならある程度の入居者は期待できますが、そうでない場合、周囲の物件との激しい競争が起きることになるでしょう。
大学撤退のリスク
近年は大学が地方のキャンパスから撤退するリスクも起きています。
少子化による学生減少にともない、大学側も生き残りに必死です。より学生に選んでもらいやすい大学にするため、都心やその近郊にキャンパスを移転しているのです。
学生が多かった時代は、より多くの人が学べる広いキャンパスが必要でした。その点で地価の安い地方は、大学側にとって都合が良かったのです。
しかし定員割れをする大学も少なくない現代では、都心のように利便性が良い場所のほうが学生を集めやすいはずです。地方の大学近くでマンション経営をする際は、撤退のリスクを常に考えておくべきでしょう。
それでも大学そばのマンションが有利な理由
少子化などで厳しい時代においても、まだ大学そばのマンション経営には有利な面があります。
特に次にあげる3つのメリットは、これから大学近くでマンション経営をするうえで重要なポイントになります。
2.退出のサイクルを見通せる
3.需要の高いワンルームである
1.安定して入居者がいるのは魅力
いくら少子化が進むとはいえ、それでも大学は安定して人が集まる場所であることに変わりはありません。企業のように経営悪化でリストラが行われ、一気に人が減るということは考えにくいからです。
また大学が移転するにしても、現在入学している学生が卒業するまでなど比較的長い猶予期間が設けられるはずです。
その間に物件売却などの対策を取れば、一気にマンション経営が悪化することは避けられるでしょう。
2.退出のサイクルを見通せる
大学近くの賃貸マンションなら、退出時期が見通せるというメリットがあります。
社会人をターゲットにした物件では入居者がいつ退出するかは不透明であり、突然空室になれば経営計画が大きく狂う可能性もあります。
しかし大学生は4年制なら4年間など、通学する年数がほぼ決まっています。このためいつ退出するかがある程度見通せます。
退出時期がわかれば早めに新たな入居者を募集するなど、空室期間を短くする対策が取れます。あるいは、退出時期に合わせてリフォームするといった計画的な運営ができます。
3.需要の高いワンルームである
学生向けのマンションは、さらに需要が高まるといわれるワンルームです。
ワンルームに入居する単独世帯の割合は今後も増え続け、2040年には2,000万世帯を超えるという推計もあります。特に都心のように人口の多い地域なら、大学が移転しても社会人の需要が見込めます。
もちろんファミリータイプのマンションも都心なら一定の需要があるでしょう。しかし持ち家を希望する家庭も多く、ワンルームに比べると安定感に欠けます。
また社会人は転勤や転職、子どもの入学などでいつ退出するかわかりません。こうした違いも、ワンルームの学生向けマンションは有利な理由になっています。
不動産投資用ワンルームマンションの選び方
大学に近いワンルームマンションを選んでも、自動的に入居者が集まる時代ではありません。漫然と物件を選ぶのではなく、次のような戦略を持って物件を厳選することが重要です。
2.都心と地方なら都心が有利
3.地方の中心都市ならばリスクは少ない
4.立地や周辺環境も大切
1.差別化を図る
大学に近い賃貸マンションは、明確に差別化できる物件であることが大切です。もともと大学の周辺には、学生をターゲットとした賃貸物件が数多くあります。
その競合と同じような物件を選んでいては、学生が減り続けるなかで安定して入居者を確保することは難しいでしょう。
・新築で清潔感があり設備が最新
例えば新築マンションのように、清潔感があり設備なども最新の物件なら学生を集めやすくなるはずです。
・セキュリティが充実している
他にも新築はセキュリティが充実しており防音性も高いなど、一人暮らしの学生にとってのメリットが数多くあります。
確かに新築は家賃が高めになるかもしれません。しかし新築マンションの家賃を払える入居者は経済的に安定しており、家賃滞納のリスクも低いと考えられます。
逆に中古物件を選び家賃の安さで差別化を狙っても、競合との値下げ競争になり収益が悪化する恐れがあります。
2.都心と地方なら都心が有利
地方のマンションは価格が安く、高い利回りになっているため気になる方もいるかもしれません。しか広告に出ている利回りは、常に入居者がいた場合を想定したものです。
学生の減少や大学の撤退といったリスクは、地方こそ高いことを忘れてはいけません。
一方で都心であれば、もし大学が移転してもまわりに企業などが多くあります。そのため学生に頼らなくても、入居者を集められる可能性が十分にあります。
マンション経営をする場所として都心と地方を比べるなら、圧倒的に都心が有利といえます。
3.地方の中心都市ならばリスクは少ない
ただし、地方とはいってもその地方の中心都市となれば話は違ってきます。
北海道なら札幌市、宮城県なら仙台市、愛知県なら名古屋市、大阪府なら大阪市、福岡県なら福岡市といったように、こうした中心都市ならば大学移転のリスクは少ないでしょう。
4.立地や周辺環境も大切
例え学生向けでも、立地や周辺環境をしっかり確かめたうえで物件を選びましょう。
学生が減り、他の物件との競争が厳しくなるこれからの時代では、どれだけ便利に生活できる物件かはとても大切です。
例えば日常的な買い物ができるスーパーやコンビニなどが近ければ、入居者募集で大いにアピールできます。さらに食事のできる飲食店が充実していたり、コインランドリーが近かったりすれば単身者に好まれるでしょう。
仮に都心でマンション経営をするなら、できるだけ駅に近い物件を選んでおくと学生だけでなく社会人も集めやすくなります。
とくにこれからは幅広い入居者をターゲットにできる物件を選ぶことが、リスク回避につながるはずです。
大学近くのマンションは条件次第で有利に
近年の大学近くのマンション経営には、少子化や大学撤退といったリスクが発生しています。しかし依然として多くの入居者が安定して集められる、優良な市場であることに変わりありません。
周囲の物件に競り勝ち多く学生に住んでもらうには、新築など明確に差別化できる物件を選ぶことが重要です。
また学生以外の需要も見込める都心の物件を選ぶことで、リスクを回避しやすくなります。
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