最近、注目されているビジネススキルに「雑談力」があります。その注目度を示すように雑談力を向上させる企業研修が反響を呼んだり、成功者による雑談力をテーマにしたベストセラーが次々に生まれたりしています。ここでは雑談力を身につけたいビジネスパーソン向けに、商談で使える入門編的なコンテンツをお届けします。
なぜ、ビジネスパーソンに雑談力が必要なのか?
雑談とは「さまざまな内容のことを気楽に話すこと(引用:weblio辞書)」です。ビジネスにおける雑談には、職場や商談でのコミュニケーションがあります。
このようなビジネスの雑談が必要な理由の1つは、雑談によってその場の緊張をなごませるためです。それによって仕事や商談を進めやすい雰囲気をつくることが可能になります。
商談で使える雑談力を高める5つのコツとは?
とくに商談の雑談は、やみくもに話すだけでは意味がありません。短時間で効率的に場の緊張をほぐし、スムーズに本題に入ることが大切です。
そのためには、雑談力を高めるテクニックが必要ですが、ここではそのなかでも商談ですぐに使えそうな5つのコツをご紹介します。
質問で主導権を握る
雑談力のあるビジネスパーソンは、相手と顔を合わせたときのファースト・コンタクトから会話を盛り上げることが可能です。
ベストセラー『雑談の一流、二流、三流』(明日香出版社)の著者・桐生稔さんは、三流は「話しかけられるのを待つ」、二流は「先に話しはじめる」としたうえで、一流は「上手に質問を使って、相手から会話を引き出し、会話をリード」するといいます。
一例では、久しぶりに相手のオフィスを訪問したとしましょう。「ご無沙汰しています。半年ぶりですね」という会話で終わってしまえば、それ以上話題が膨らみません。
しかし、このあとに「ところで趣味の筋トレは続けられていますか?」「前回、話題に挙がったレストランには行かれましたか?」といった質問を加えれば、雑談が自然に発展していきます。
「質問をする」という受け身に見えて、実は質問者が会話の主導権を握っているというわけです。
接続詞を使って会話を広げる
雑談や話し方がうまくなるためのよくあるアドバイスに、「会話を弾ませるためには話し上手ではなく、聞き上手になるとよい」といったものがよくあります。
しかし、前出の『雑談の一流、二流、三流』の著者・桐生稔さんは、それでは一流の雑談力ではないといいます。
雑談力が一流の人は、聞き上手なのは前提であり、「相手が話したくなるような空間を作る」ことに長けているそうです。
これを実現するには、接続詞を活用して話を膨らませるのが有効です。相手が話したくなる空間づくりに有効な接続詞には、たとえば次のようなものがあります。
・ちなみに
・ということは
・そうすると
一例で見てみましょう。たとえば「○○さんはどちらの出身ですか?」と尋ねて「千葉県の出身なんですよ」という答えに対し、「千葉県ってよいところですよねー」と返していたら、会話はそこで終わってしまいます。
ここで接続詞を使うと、雑談が以下のように自然に膨らんでいきます。
「海沿いの○○町ですね」
「波がよいことで有名ですね。ということは、サーフィンをされていたんですか?」
「そうですね、昔はヒマさえあればしていましたよ」
「サーフィンは今もされているんですか?」
「そうですね、波がよい時期は月に数回くらい行きますね」
「実は、私もサーフィンが趣味でして……」
ポイントで話をまとめる
脳科学者の茂木健一郎さんは、その立場から雑談力に注目しています。
茂木さんは、グローバル化・多様化している今だからこそ雑談が必要であり、AIが人間に勝てない分野が雑談だといいます。
茂木さんは、雑談力を高めるためのコツとして「相手の話の内容をうまく整理すること」を挙げています。具体的には、話をある程度聞いた段階で「つまり、こういうことですよね?」と要約することを推奨しています。
とくにこの要約のテクニックは、会話が上手ではない人に対して有効だと茂木さんはいいます。聞き手が主導権を握って話を面白くすることでサポートするようなイメージです。
「話を整理する」というと、難しいことのように感じられるかもしれません。しかし実際には以下のようなコメントを挟むだけで済みます。
「ポイントは○○と○○ですね。ほかにもポイントはございますか?」
このように話を途中で整理することで、相手が「自分はこのことについて話していたんだな」「次はこれについて話せばいいんだな」と自覚しやすくなります。
相手から教わるスタンスを心がける
友達との会話は問題ない、それなのにビジネスシーンになると雑談がうまくできないという人もいらっしゃるのではないでしょうか。
五百田達成さんは、著書『超雑談力 人づきあいがラクになる 誰とでも信頼関係が築ける』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)のなかで「ビジネスにおける雑談も、その他の雑談と基本的な仕組みは変わりません」と述べつつも、スタンスが少し違うといっています。
ビジネスの場合の雑談の理想的なベストバランスは、「相手からものを教わる」スタンスだと五百田さんはいいます。
このスタンスであれば、次のように自身も相手もメリットが得られて一石二鳥となります。
相手のメリット:気分よく話せる
ものを教わる立場だからといって、へりくだる必要はありません。学生時代の先生・生徒の関係くらいを意識するとよいようです。
雑談と本題をうまく切り替える
商談の雑談が盛り上がり過ぎると、本題を話す時間が足りなくなる恐れがあります。
だからこそ、雑談から本題へのスムーズな切り替えが重要ですが、顧客や目上の人が相手だと切り替えのタイミングが見つからないこともあります。
このような場合はどう対処すればよいのでしょうか。前出の五百田さんはそんなとき、「話は変わりますけど」とストレートに伝えるのがよいといいます。
自然な流れはそこで断ち切られますが、雑談でそれなりに打ち解けたのであれば支障はないはずです。ただし、話の途中でいきなり「話は変わりますが」というのは失礼です。
話の合間を見計らって、「役立つお話ありがとうございます。話は変わりますが」といった具合に、クッションとなる言葉を挿入すると自然です。
なお、下線部分は次のような言葉でも代用できます。
今度、さらにくわしく伺いたいですね
など
雑談力は一生使えるスキルになる
冒頭でお話したように、この記事はあくまでも雑談力を高めるための入門編です。雑談をテーマにしたビジネス書や研修などを利用してスキルアップしていきましょう。
とくに雑談力をテーマにしたビジネス書は手軽に利用できて便利です。たとえば Amazonで検索すれば雑談力をテーマにした数多くの書籍が紹介されます。
ただし、知識を吸収するだけでは意味がありません。覚えた内容をリアルな商談で試して、自身に合うものを定着させていきましょう。時代が変わっても使える一生のスキルになるはずです。
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