住宅ローンを借り換えるタイミングと理解しておきたい注意点
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新井 智美
新井 智美
トータルマネーコンサルタント ファイナンシャルプランナー(CFP®)、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員 コンサルタントとして個人向け相談(資産運用・保険診断・税金相談・相続対策・家計診断・ローン・住宅購入のアドバイス)を行う他、資産運用など上記相談内容にまつわるセミナー講師(企業向け・サークル、団体向け)を行うと同時に金融メディアへの執筆及び監修も行い、現在年間200本以上の執筆及び監修をこなしている。これまでの執筆及び監修実績 は1,000本以上。

高額な借り入れを行い、長い期間をかけて返済していく住宅ローンにおいては、利息分をどのように削減していくかを考えることが総返済額の削減に繋がります。

現在は低金利の時代とはいえ、1%の金利でも十数年の期間で見ればかなりの額となります。その利息削減方法の一つとして利用できるのが住宅ローンの借り換えです。

住宅ローンの借り換えとは?

住宅ローンの借り換えとは、現在借りている金融機関の住宅ローン契約を消滅させ、別の金融機関の住宅ローンに切り替えることです。

借り換えによる新たな融資額によって、現在借りている金融機関の住宅ローン残債を一括返済し、それ以降の返済は新たに住宅ローン契約を締結した金融機関に対して行うこととなります。

住宅ローンの借り換えによって得られる効果

住宅ローンの借り換えによって得られる最も高い効果は、金利の低い住宅ローンに借り換えることで今後の利息分を削減し、総返済額を下げることに繋がることです。

では、実際に借り換えることでどのくらいの利息削減効果があるのか、例を挙げて試算してみましょう。なお、計算にあたっては諸費用を考慮しないものとします。

利息削減効果

【現在借りている金融機関の住宅ローン】
・借入金額:3,500万円
・金利1.5%(全期間固定金利)
・毎月の返済額:10万7,000円
・ボーナス払い無し
・残りの返済期間30年
・現時点の住宅ローン残債:3,105万円
【借り換え先の金融機関の住宅ローン】
・金利:1.0%(全期間固定)
・ボーナス払い無し
・借入金額:3,100万円
・返済期間30年
借り換え前借り換え後差額
毎月の返済額10万6,987円9万9,708 円7,279円
年間返済額128万3,844円119万6,496円8万7,348円
返済期間30年30年-
総返済額3,851万5,207円3,589万4,782円262万425円
内利息分751万5,207円489万4,782円-
利息割合19.6 %13.7%-

現状のローンよりも0.5%金利の低い住宅ローンに借り換えることで、月々の返済額が約7,000円減少するほか、利息分が262万円補ほど減額されることになります。

0.5%でこれだけの差ですから、もっと金利差がある場合は利息分の削減額がさらに拡大されます。

団体信用生命保険の保障充実

住宅ローンの借り換えによって得られる効果は、利息の削減だけではありません。

住宅ローンを申し込む際には、団体信用生命保険への加入を義務付けている金融機関がほとんどですが、団体信用生命保険のプランの内容は常に進化しています。

従来からある一般団信と呼ばれる死亡時および高度障害時にのみ住宅ローン残債を保障するプラン以外にも、がんになった際も残債の支払いを保障するものや、3大疾病などになった際にローン残債を保障してくれるものなど、金融機関によってさまざまなラインアップが揃えられています。

もし、現在加入している団体信用生命保険の保障内容が物足りないなと感じるのであれば、借り換えのタイミングでより充実した保障が用意されている団信プランに申し込むことができます。

借り換えに最適なタイミングとは?

住宅ローンの借り換えを行う際の目安としては、金利差が1%以上あることや、残りの返済期間が10年以上あること、さらには住宅ローン残債が1,000万円以上あることといわれていますが、上のシミュレーションでも確認したとおり、1%以下の金利差であっても十分に借り換えを行うメリットはあるといます。

実際にシミュレーションを行い、メリットがあるかどうかを確認してから行うことが大切です。

もし、借り換えを行いたいと思っているのであれば、できるだけ早めに借り換えを行うようにしましょう。上に挙げた目安も含め、借り換えを行う時期は早ければ早いほどその効果を大きくすることができます。

借り換えを行う際に忘れてはいけない注意点 

一見メリットばかりありそうな住宅ローンの借り換えですが、以下の点に注意しながら行う必要があります。

借り換えの際には審査を受ける必要がある

住宅ローンを借り換える場合、新規の借り入れの際と同じように審査を受ける必要があります。もしも、最初の借り入れ時より収入などの状態が悪くなっていた場合は、借り換えができない可能性があります。

また、最初の住宅ローンの借り入れ後に延滞など信用事故を起こしている場合は、審査に通らない可能性が高いことから、延滞などを起こしていないか確認することも大切です。

もしも、自分の信用情報が気になるのであれば、株式会社シー・アイ・シー(CIC)、全国銀行個人信用情報センター(KSC)、株式会社日本信用情報機構(JICC)などの信用情報機関に対して情報の開示請求を行うことができます。

株式会社シー・アイ・シー(CIC
https://www.cic.co.jp/index.html

全国銀行個人信用情報センター(KSC)
https://www.zenginkyo.or.jp/pcic/

株式会社日本信用情報機構
https://www.jicc.co.jp/

本人が請求することが原則で、1,000円程度の手数料で請求を行うことができるため、不安に思われる方はご利用をおすすめします。

必要書類については新規借り入れの時と合わせて、現在借りている金融機関の返済計画表などを用意する必要がありますので、早めに準備しておくようにしましょう。

団体信用生命保険に加入できない可能性がある

借り換えの直近に大きな病気をした場合や、持病が悪化したなどで団体信用生命保険への加入ができない場合は、住宅ローンの契約を結ぶことができませんので、借り換え自体ができないことになります。

そういった意味でも、借り換えを行おうと思っているのであれば、健康であるうちに行うようにしてください。

借り換えには諸費用が発生する

住宅ローンの借り換えには、新規の借り換え時と同様に諸費用がかかります。

その諸費用を借り換え後の住宅ローンに組み入れてくれる金融機関もあれば、自分で別途用意しなければならないケースもあります。

その際の一時的な負担額はまとまった金額となりますので、それを支払う余裕があるかどうかも考えておく必要があります。

直近に別の出費の予定があるなどの場合は、借り換えによって資金額に影響がないかどうかを確認するようにしましょう。

住宅ローン控除の残り期間に注意

現在住宅ローン控除の適用を受けている場合は、借り換えによって返済期間が10年未満にならないように注意する必要があります。

なぜなら、住宅ローン控除を受ける要件として、利用している住宅ローンの返済期間が10年以上に設定されていることが挙げられているからです。

住宅ローン控除の適用期間は、10年間もしくは13年となっていることから、当初の借入金額や繰り上げ返済の実施状況次第では、借り換え後の住宅ローンの借入期間が10年未満となる可能性もあります。

その際には、借り換えによって得られる利息削減効果と住宅ローン控除の適用によって得られる節税効果を比較して、借り換えを行うかどうかについて決めるようにしましょう。

諸費用も含めて綿密なシミュレーションを行うことが大切

住宅ローンの借り換えには、新規の借り入れの際と同様の手続きが発生することになりますので、必要書類について事前に何が必要なのかを確認し、漏れのないように準備しておくことが大切です。

最近ではネット銀行の利用で時間を気にせずに借り換えの申し込みや手続きを行うことができるようになっていますが、借り換えの際には現在借りている金融機関の抵当権抹消手続きと合わせて、新たに借り入れる先の金融機関の抵当権設定手続きが必要となります。

この手続きの際には司法書士との面談が不可欠となりますので、日程を調整し、空けておくようにしましょう。

住宅ローンの借り換えのメリットばかりに目を奪われるのではなく、借り換えを行うことによってどれだけの利息削減効果があるのかどうかをしっかりとシミュレーションし、判断することが大切です。

ほとんどの金融機関のサイトでは借り換えを行う際のシミュレーションができるようになっています。

複数の金融機関のサイトでシミュレーションを行ってみてもいいでしょう。また、お金の専門家であるファイナンシャルプランナーに相談するなど、自分に一番適した方法で借り換えを検討してみてください。

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