
「効率よく資産を増やしたい」「現在の資産規模で長期投資をしても目標に届かない」
そんな思いから、“短期投資”というスタイルに関心を持つ人が増えています。
この記事では、短期投資の基本や主な投資対象、成果を出すためにおすすめする4ステップまで、初心者にもわかりやすく解説します。
目次
短期投資とは?長期投資との違い
短期投資とは、明確な定義はないものの、比較的短い期間(数分〜数ヶ月)で売買を完結し、値動きの差益で利益を狙う投資手法のことを指します。1日のうちに何度も取引する「デイトレード」や、数日〜数週間で完結する「スイングトレード」などが代表的です。
これに対して長期投資は、数年単位で資産を保有し、配当や値上がりによる利益をじっくり拡大させていく方法です。
両者の違いは、時間軸の他に、分析方法にも表れます。たとえば、短期投資はチャートのテクニカル分析など、短期的な需給の動きを重視する一方、長期投資は企業の業績や財務状態などファンダメンタルズを重視する傾向があります。以下の表に、両者の主な違いをまとめましたので、ぜひ参考にしてみてください。
比較項目 | 短期投資 | 長期投資 |
---|---|---|
保有期間 | 数分〜数ヶ月 | 数年〜10年以上 |
利益の狙い方 | 短期の値動きを狙う | 値上がり益+配当・分配金など |
分析方法 | テクニカル分析が中心 | ファンダメンタルズ分析が中心 |
売買頻度 | 高い | 低い |
主なメリット | 投資資金の流動性が高い | 複利の効果が期待できる |
短期投資の主なメリット
1つ目のメリットは、比較的早く利益を得られる可能性があることです。長期投資では数年単位で成果を待つのに対し、短期投資は数日〜数週間の値動きで収益化を狙うため、資金を素早く回転させることができます。
2つ目は、相場のトレンドに柔軟に対応できる点です。経済情勢や企業ニュースなどの情報に即座に反応できることで、機動的な運用が可能となりますし、相場の上昇局面だけでなく下落局面でも利益を狙えます。市場の変化が激しい時代だからこそ、柔軟な戦略をとれることは強みになります。
また3つ目に、投資資金の流動性が高いという特徴もあります。資金を長期間固定せずに済むため、投資先に固執しすぎることはなく、損失回避にもつながります。
短期投資の主なリスク・デメリット
一方で、短期投資にはそれなりのリスクも内包しています。最も大きいのは、感情に左右されやすいという心理的なリスクです。値動きの速さに対応する必要があり、焦りや恐怖によって判断を誤ることが起きやすくなります。
また、相場をチェックする時間や集中力が求められる点も見逃せません。特に、株やFXのデイトレードなどは、日中ずっと画面と向き合う必要があり、本業との両立が難しいケースもあります。
さらに、取引回数が増えることで、手数料やスプレッドが積み重なりやすく、思ったより利益が残らないというケースもあります。短期投資では「勝つこと」だけでなく、「余計なコストを抑えること」も重要なポイントです。
短期投資の主な種類と特徴

短期投資にはさまざまな手法がありますが、それぞれに特徴やリスク・リターン特性が異なります。ここでは、代表的な4つの短期投資の種類について解説します。
株式の短期売買(デイトレード・スイングトレード)
株式市場での短期売買には主に「デイトレード」と「スイングトレード」があります。デイトレードは1日の中で取引を完結させる超短期の売買手法で、日中の小さな価格変動を狙います。一方、スイングトレードは数日から数週間の保有期間で、より大きな相場の波を捉える売買を目指します。
1999年の売買委託手数料の自由化や、インターネット専業の証券会社の台頭に伴って取引コストが低くなっており、初心者にも取り組みやすい投資対象とされています。ただし、株式市場は平日の9時から15時30分に限られるため、この場中に時間の確保ができないとなかなか取り組みづらい側面があります。
決算発表や外部環境の変化による急変動もあるため、事前の情報収集と反応の速さがカギとなります。
FX(外国為替証拠金取引)
FXは「通貨と通貨の交換差」で利益を狙う投資で為替レートの変動を利用します。レバレッジを効かせることで少額の資金から大きな取引が可能となり、24時間取引できる市場特性から短期投資の対象として人気があります。
為替市場は経済指標や地政学的リスク、中央銀行の政策などの要因で変動するため、これらの情報収集と分析力が重要になります。
スワップポイントという金利差によって損益が発生する点も特徴の一つです。
暗号資産(仮想通貨)
ビットコインやイーサリアムといった暗号資産は、価格変動が激しく、短期トレードに向いています。FXと同様に土日や深夜を問わず取引できるため、平日の日中に時間が取れない人でも参加しやすいのが特徴です。
暗号資産市場は技術開発の進捗、規制動向、大手企業の参入など多くの要因で価格が変動するため、業界の最新情報をキャッチアップすることが求められます。
取引所の信頼性やセキュリティの問題もあるため、取引先の選定には注意しましょう。
また、税制面でも独自の扱いがあり、株やFXとは異なり「雑所得」として総合課税されるため、所得によっては税率が大きく変わることもあります。取引履歴の管理や申告の準備も欠かせません。
参考:No.1524 暗号資産を使用することにより利益が生じた場合の課税関係(国税庁)
CFD・先物取引
CFD(差金決済取引)や先物取引は、株価指数や原油、金などの価格変動を利用して利益を狙う手法です。少額の証拠金で大きな金額を動かすことができるため、プロ向けの印象もありますが、短期投資の代表的な手法のひとつです。
取引対象が多く、世界中のマーケットにアクセスできる点が魅力ですが、その分情報量も多く、リスク管理のスキルやマーケットへの深い理解が求められます。初心者がいきなり手を出すより、経験を積んでから挑戦するのが望ましいでしょう。
短期投資で成果を出すための5つのコツ

短期投資を始めると、「知識はあるのに思うように勝てない」「一喜一憂して判断がブレる」といった壁にぶつかることも少なくありません。 そんなときに役立つのが、経験者が実践している地に足のついたコツです。
ここでは、初心者〜中級者がパフォーマンスを高めるために意識すべき5つのポイントを紹介します。 自分なりに少しずつ取り入れながら、再現性のあるスタイルを育てていくことが、短期投資で成功するための近道です。
コツ①|エントリー前に「出口戦略」を決めておく
利益を出す上でまず大切なのは、「どこで利確するか」「どこで損切りするか」をエントリー前に決めておくことです。 値動きを見ながら考えると、人はつい欲や不安に流されてしまい、判断がブレがちになります。感情に左右されず機械的に決断できるよう、具体的な価格や指標の数値で設定しておきましょう。
コツ②|トレード記録を残して振り返る
「なぜ勝てたのか」「なぜ負けたのか」を曖昧なままにすると、同じ失敗を繰り返しやすくなります。 そこで有効なのが、毎回のトレード結果を簡単でもいいので記録しておくこと。エントリーの理由、結果、心理状態などを書いておくと、後から見返したときに自分のクセが見えてきます。
コツ③|テクニカル分析で相場の流れを読み取る練習を続ける
短期投資では、個別銘柄や通貨ペアの値動きだけでなく、市場全体の「流れ」を読み取る力が重要です。 移動平均線の向きやローソク足のパターンなど、基本的なチャートの流れを日々観察する習慣をつけることで、精度の高いエントリーができるようになります。
最初は難しく感じるかもしれませんが、毎日チャートを見るだけでも感覚は磨かれていきます。無理に取引しなくても、観察と分析の時間を持つことが大きな差を生みます。
コツ④|経済指標カレンダーをチェックする習慣を持つ
値動きが急激に動くタイミングは、たいてい「雇用統計」や「政策金利発表」などの経済指標の発表直後です。 こうしたイベントのスケジュールを知らずにエントリーしてしまうと、予想外の値動きに巻き込まれるリスクが高まります。 経済指標発表の直前は相場が不安定になりやすいため、重要指標の発表時間帯は新規のエントリーを避けるか、ポジションを縮小するなどの対応も有効です。
コツ⑤|「損切りルール」を徹底し、“勝つこと”より“負けないこと”を重視する
短期投資で安定して利益を出す人ほど、実は「いかに損を小さく済ませるか」を常に意識しています。 勝ち続けることは難しくても、負けをコントロールすることは、ある程度技術で実現できるのです。
トレードの利益は、利食いの方法や派手な裏ワザよりも、こうした“地味だけど確実な習慣”によって積み上がっていきます。
短期投資はどんな人におすすめ?
投資の成果は、知識や資金力以上に、「その手法が自分の性格やライフスタイルに合っているか」で大きく変わります。
短期投資に向いているタイプとは?
まずは、短期投資との相性が良いタイプの特徴から見ていきましょう。 ここに当てはまる人は、比較的スムーズにスタートしやすく、継続的なパフォーマンスも期待できます。
冷静な判断力と自己管理ができる人
短期投資では、チャートの動きを見ながら素早く判断する場面が多くなります。こうした中で、感情に左右されず、利確や損切りといった判断をルール通りに実行できる人は、短期トレードでも安定した成績を出しやすい傾向があります。 日々の値動きに一喜一憂せず、一定のメンタルバランスを保てる人は、トレードの継続性という意味でも有利です。
数字やチャートの分析に抵抗がない人
テクニカル指標や価格の動きを読み取る力は、短期投資では大きな武器になります。チャートパターンや各種指標を見て「面白い」「もっと知りたい」と思えるタイプの人は、自然とスキルが伸びやすいです。
初めはシンプルな移動平均線だけでも十分。楽しみながら分析に取り組めるかどうかが、長く続けられるかの分かれ道になります。
ある程度の時間を確保できる人
短期投資では、リアルタイムで値動きを確認する時間が必要になります。 そのため、取引時間中にある程度まとまった時間を確保できる生活環境が望ましいです。
短期投資を避けた方がよいタイプとは?
反対に、短期投資には向いていない、もしくは慎重になるべきタイプもあります。 以下のような傾向がある場合は、スタイルの見直しを検討してみても良いかもしれません。
感情を優先して動きがちな人
「もう少し待てば上がるかも」「下がった株を売りたくない」という心理から、損失を抱えたまま塩漬けにしてしまう。これは短期投資でよくある失敗の一つです。損切りルールを守れない場合、少額の損失が雪だるま式に膨らむ危険性があります。あらかじめ決めたルールを守れない人や、焦って行動してしまう人は、短期スタイルには不向きかもしれません。
情報収集や学習が苦手、もしくは時間が取れない人
短期投資では、日々のニュースや値動きの背景を理解する力も重要です。最低限の情報感度を保つためにも、相場の変化に対して自分で考える習慣を持つことが求められます。
相場をチェックする時間が確保できない方にとっては、短期投資は避けた方が良いでしょう。
自分に合った投資スタイルを選ぶことが重要
短期投資は、成果が見えやすく刺激もある反面、自分の性格や環境に合っていなければ、ストレスや損失の原因にもなりかねません。その場合は、インデックス投資や積立投資など、より長期的な視点での資産形成を検討するのも良いでしょう。
大切なのは、自分に無理のない投資スタイルを見つけることです。投資にはいろいろな方法があり、必ずしも短期売買が最適とは限りません。
初心者が短期投資を始めるためのおすすめ4ステップ
短期投資を始める際には、段階的にスキルを身につけていくことが大切です。ここでは初心者がスムーズにスタートするためにおすすめの基本ステップを紹介します。 無理なく、そしてできるだけ失敗を避けながら、実践につなげることを意識しましょう。
ステップ1|基本的な知識をインプットする
まずは投資の基本知識を身につけることから始めましょう。書籍やオンライン講座、動画コンテンツなどを活用して、相場の仕組み、チャートの見方、分析手法、リスク管理の方法などを学びます。
特に重要なのは「テクニカル分析」の基礎です。移動平均線、RSI、MACD、ボリンジャーバンドなどの基本的な指標の意味と使い方を理解しておきましょう。また、相場に影響を与える「ファンダメンタルズ要因」についても学んでおくと良いでしょう。
ステップ2|証券会社やツールを選んで環境を整える
知識をインプットしたら、次は実際の取引に向けた「環境づくり」です。 短期投資では、取引ツールの操作性や、手数料・スプレッドの低さがパフォーマンスに直結します。
また、チャート分析ツールやスクリーニングツールなど、取引をサポートするツールも検討しましょう。スマートフォンやタブレットでも取引できる環境を整えておくと、機動的な売買が可能になります。
ステップ3|少額取引やデモトレードで感覚をつかむ
実際の取引を始める前に、デモトレード(仮想取引)で練習することをおすすめします。多くのFX業者や証券会社がデモ取引環境を提供しているので、これを活用して実践感覚を養いましょう。
デモトレードである程度感覚をつかんだら、いよいよ実践フェーズへ。ただし、いきなり大きな金額での取引はNGです。まずは1万円〜数万円の少額の取引で、値動きの速さや損益の感覚を経験していきましょう。この段階では、「勝とうとする」のではなく、「どんな場面で自分が焦るのか」「どのくらいで利益・損失が出るのか」を体感することが目的です。
ステップ4|資金管理とルール設計を徹底する
短期投資で最も重要なのは、厳格な「資金管理」と「ルール設計」です。たとえば、「1回の取引で使うのは資金の5%まで」「5%下がったら必ず損切り」といった具体的な基準を決めておきましょう。長く続けるためには、攻めるよりも「守る視点」が大切です。 冷静な判断を支えるのは、事前に決めたルールと、それを守る自律心です。
このように、「学ぶ→準備する→試す→守る」という順番を意識すれば、初心者でも無理なく短期投資の第一歩を踏み出すことができます。 最初から完璧を目指す必要はありません。小さな成功体験を積み重ねながら、自分なりのスタイルを育てていきましょう。
短期投資は相性と準備が成功の鍵
短期投資は、うまく活用すれば資産形成のスピードを高められる手法です。 一方で、その成果は「知識」や「資金量」だけでなく、その人自身の性格や生活リズムとの相性、そして事前の準備ができているかどうかで大きく変わってきます。
最初はうまくいかなくても、小さく始めて経験を積み、必要な知識と習慣を身につけていくことが何よりも大切です。焦らず、自分のペースでトライ&エラーを繰り返しながら、「勝ち方」よりも「続け方」を大切にしていきましょう。
短期投資は「ギャンブルではなく、戦略と自己管理の積み重ねで築かれる技術」と捉えることが成功への第一歩です。
なお、「短期投資はちょっと性格的に合わないかも」と感じた方には、つみたてNISAなどを活用した長期投資や、不動産投資のようにじっくり育てる資産運用がおすすめです。 大切なのは、自分に合う方法でお金と向き合うこと。焦らず、長い目で見て自分なりの投資スタイルを確立していきましょう。
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