海外資産に投資するメリットとリスク、おすすめの金融商品について解説
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大西 勝士
大西 勝士
フリーランスの金融ライター(AFP、2級FP技能士)。早稲田大学卒業後、会計事務所、一般企業の経理職、学習塾経営などを経て2017年10月より現職。10年以上の投資経験とFP資格を活かし、複数のメディアで執筆しています。

日本で生活をしていると「海外資産に投資するのは難しい」と感じている人もいるかもしれません。しかし国内の金融機関では、海外資産へ投資できる金融商品も取り扱っています。海外資産は、国内資産にはないさまざまなリスクもありますがうまく活用すればリスクを軽減しながら資産を増やすことが可能です。今回は、海外投資のメリットとリスク、おすすめの金融商品について解説します。

海外資産への投資とは

海外資産への投資とは、海外の株式や債券、不動産などのリスク資産に投資することです。国内の証券会社では、海外資産に投資できるさまざまな金融商品を取り扱っているため、国内にいながら海外投資を始めることができます。なかには「海外資産への投資にはまとまったお金が必要」とイメージしている人もいるかもしれませんが実際には数万円程度から購入可能です。

証券会社によっては100円から購入できる商品もあるため、初心者でも始めやすいでしょう。

海外投資ができる主な金融商品

海外投資ができる主な金融商品を5つまとめました。

投資信託

投資信託とは、複数の投資家から集めた資金を一つにまとめて専門家が株式や債券などで運用する金融商品です。運用で得られた利益は、投資金額に応じて投資家に分配されます。投資信託の投資対象は、商品によって異なり海外の株式や債券、不動産など多岐にわたるのが特徴です。一般的には、1,000円程度から購入することができネット証券の場合100円から購入できるところもあります。

また毎月一定額を購入する積立投資にも対応しているので時間や手間をかけることなく投資に取り組めますが商品によっては購入時に手数料がかかるため確認が必要です。さらに保有中は、信託報酬と呼ばれる運用管理費用が運用資産から毎日差し引かれます。運用コストは、長期間になればなるほど投資成果に影響を与えるため、できるかぎり低コストの商品を選ぶといいでしょう。

国内ETF

ETFとは、Exchange Traded Fundsの略称で日本語では「上場投資信託」と呼ばれ特定の株価指数や債券指数などに連動する投資成果を目指して運用される投資信託です。そのなかでも国内の証券取引所に上場しているETFのことを「国内ETF」といいます。一般的な上場株式と同様に売買可能で先進国や新興国の株価指数などに連動する銘柄などさまざまです。

国内ETFの最低投資金額は、銘柄によって異なりますが多くの銘柄は数万円程度から購入することができます。投資信託と同じく国内ETFも保有期間中は信託報酬がかかるため内容の確認は必要です。また金額は証券会社によって異なりますが国内株式と同じ売買手数料が適用されます。

海外株式

国内の証券会社を通して海外の株式市場に上場する個別銘柄に投資することも可能です。例えば米国株式を取り扱っている証券会社であればAppleやAlphabet(Google)といった世界的な有名企業に投資できます。海外株式の最低投資金額や取引単位は、国や銘柄によって異なり例えば米国株式は1株単位で取引できるため、比較的少額から取引することが可能です。

株式売買手数料は、国内株式に比べると高めに設定されています。海外株式は、投資対象となる国の通貨で売買する「外貨決済」が基本です。しかし証券会社によっては日本円による「円貨決済」にも対応しています。特定の海外企業に投資したい場合は、海外株式を検討するといいでしょう。ただし海外株式は個別銘柄への投資となるため、複数の銘柄に投資を行う投資信託やETFに比べるとボラティリティは高くなります。

海外ETF

海外ETFは、海外の証券取引所に上場しているETF(上場投資信託)です。海外の株価指数や債券指数などに連動する投資成果を目指して運用され、海外株式と同じように売買することができます。基本的な仕組みは国内ETFと同じですが、海外ETFは商品ラインナップが豊富なのが特徴です。海外ETFの最低投資金額は銘柄によって異なりますが、多くの銘柄は数万円程度から購入できます。

経費率(信託報酬)が低い銘柄もあるので購入金額や為替動向によっては運用コストを抑えられるケースもあります。

海外債券

海外債券とは、外国政府や外国法人が発行する債券です。国内の証券会社では、米国債をはじめとする「外国債」、海外企業が発行する「外貨建て社債」などを取り扱っています。基本的な仕組みは、国内債券と同じで満期まで保有することで元本と利息を受け取ることが可能です。海外債券の最低投資金額は金融機関によって異なり、例えば米国債なら100米ドル単位(1万円程度)で購入できるものもあります。

海外債券は、国内債券に比べると利回りが高い傾向にあることが魅力です。一方で為替動向によっては為替差損が生じるリスクがあり投資する国によってはデフォルト(債務不履行)リスクも高くなります。

海外資産に投資するメリット

海外資産に投資する主なメリットは、以下の2つです。

高い利回りが期待できる

海外資産は、国内資産よりも高い利回りを期待できることがメリットです。長期金利の代表的な指標「10年物国債」の利回りは、日本に比べて米国・豪国などの諸外国が高い状況が続いています。そのため海外投資を行うことで国内資産だけに投資するよりも資産を増やせる可能性が高まるでしょう。

分散投資でリスク軽減につながる

分散投資とは、値動きの異なる資産や銘柄を組み合わせて投資する手法のことです。さまざまな資産・地域に投資先を分散することでリスク軽減が期待できます。例えば「国内株式の値下がりを海外株式の値上がりでカバーする」といったことが可能です。国内資産だけに投資せず資産の一部を海外資産で保有することで資産全体のリスク軽減につながります。

海外投資の主なリスク

海外資産への投資にはメリットがある一方で以下のような2つのリスクもあります。

為替リスク

海外資産は、外貨で取引される傾向のため、為替レートの影響を受けます。1米ドル=100円のときに米ドル建て資産を10万円(1,000米ドル)購入するケースについて確認しましょう。(為替手数料は考慮せず)1米ドル=110円(円安)になった場合、資産は11万円(1,000米ドル×110円)に増えます。しかし1米ドル=90円(円高)になると資産は9万円(1,000米ドル×90円)に減ってしまうのです。

このように購入時よりも為替が円高になると資産が目減りするリスクがあります。

カントリーリスク

カントリーリスクとは、投資先の国や地域の政治・経済環境の影響を受けることです。投資対象国で政治体制の変更や政府のデフォルトなどが発生すると資産価格が大きく変動する可能性があります。一般的に新興国への投資は、先進国に比べてカントリーリスクが高い傾向です。海外資産に投資を行う際は、投資対象国の政治・経済情勢を注視することが大切といえるでしょう。

初めての海外投資は投資信託がおすすめ

初めて海外投資を行う場合は、投資信託を活用するのがおすすめです。投資信託は、多くの金融機関(証券会社、銀行)で取り扱っており少額から海外資産に分散投資ができます。また積立投資を活用すれば金融機関が設定した口数や金額を自動的かつ定期的に購入してくれるため、「購入時のタイミングに悩む」など時間や手間もかかりません。

またつみたてNISAやiDeCoといった非課税制度を利用すれば運用益が課税されないため、効率的に資産を増やすことが期待できます。ただし投資信託はさまざまな商品が販売されているので商品選びに苦労するかもしれません。どのファンドに投資するか決められない場合は、つみたてNISA対象商品の中から選ぶといいでしょう。

金融庁が資産形成に適した商品を選定しているため、初心者でも安心して投資ができます。

海外資産に投資してリスクを分散しよう

海外資産への投資には、為替リスクやカントリーリスクなど国内資産にはない投資リスクがあります。しかし分散投資を目的に資産の一部を海外資産で保有すればリスクを軽減させることが期待できるでしょう。海外投資に興味がある場合は、まず少額から購入できる投資信託を検討してみてはいかがでしょうか。

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