宅配ボックスは配達業者の再配達緩和を目的としてコロナ以前から注目されていたアイテムの一つです。しかしコロナ禍による外出自粛などに伴いマンション・戸建てを問わず宅配ボックスの設置率が全国で高まっています。一軒家は自宅の脇や勝手口など自己管理で安全性を確保しながらの「置き配」で対応することもできますがマンションなどの集合住宅の場合は、宅配ボックスがあるほうが安心です。

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(画像=7maru/stock.adobe.com)


特にアフターコロナにおいては「入居するならば宅配ボックスがあるほうを選ぶ」という需要も増えてくる可能性があるでしょう。今回は東京23区のマンション宅配ボックス設置率を調べてみました。

東京23区の各区で宅配ボックスが設置されているマンションを調べてみた

調査方法は、多くの人が利用する賃貸検索サイトでこだわり条件「宅配ボックス設置」のチェックボックスにチェックをいれました。入居先を探している人と同じ目線に立ってまずは東京23区全体の宅配ボックス設置率を確認してみましょう。

築年数 物件全体 宅配ボックス設置済数 設置率
1年以内 1,304 1,207 93%
3年以内 3,379 3,014 89%
5年以内 2,600 2,158 83%
7年以内 2,018 1,580 78%
10年以内 2,269 1,635 72%
15年以内 8,694 7,215 83%
20年以内 6,391 4,880 76%
25年以内 3,249 1,566 48%
30年以内 3,938 559 14%

【参照:CHINTAIのサイトデータよりデータ作成】

設置率が8割近くなるのは築年7年以下のもの、それ以上の築年が経過すると宅配ボックスの設置率は大きく下がります。

建築物ごとの内容はこのデータからは推測できませんが、単純に、築年の経過と比例し設置率が低くなるのは、建築物が出来た年代と通販や宅配の利用率が関係しています。

築20年以上の物件は年代でいうと1990~2000年(平成2~12年)頃に建築された物件であり、平成2年ではまだアマゾンも楽天ショップもこの世に存在しません。

試しに平成2~12年までの年の地方財政白書を確認すると、ここ10年で頻繁に出てくるインターネットショッピングの利用率などに関したデータはおろか、インターネットという単語自体がゼロです。

時代背景的に荷物は自宅または管理人が預かるなどで対応されており、その総数も多くはなかったという事実が伺われます。このような背景を持つ築年の長い建物のオーナーが資産価値の維持に努めてた結果の設置率7~8割なのであれば、実際には満室で募集を出していない建物はもっと設置率が高い可能性があります。

つまり建物の築年数とは関係なく、23区内のオーナーは宅配ボックス設置に積極的であることが類推されます。
【参照:総務省 地方財政白書バックナンバー】

設置マンションが多い5区

東京23区別の設置率を見てみましょう。以下は23区の宅配ボックス設置率ランキングです。最高は95%の千代田区、最下位は20%の江戸川区です。トップ5をピンク、ワースト5をブルーで色分けしました。見事に5位以内が8割設置、下位ランクは5割設置以下に別れました。

    物件総数 宅配ボックス設置数 設置率
1 千代田区 885 795 90%
2 中央区 2,999 2,680 89%
3 港区 3,861 3,397 88%
4 墨田区 2,779 2,333 84%
5 台東区 2,745 2,237 81%
6 江東区 4,138 3,088 75%
7 品川区 2,521 1,855 74%
8 文京区 1,720 1,237 72%
9 新宿区 3,219 2,224 69%
10 渋谷区 1,794 1,224 68%
11 豊島区 1,932 1,281 66%
12 目黒区 1,261 798 63%
13 北区 1,447 835 58%
14 大田区 2,795 1,538 55%
15 板橋区 2,320 1,266 55%
16 杉並区 3,654 1,971 54%
17 中野区 2,213 1,176 53%
18 荒川区 617 321 52%
19 世田谷区 4,000 1,807 45%
20 練馬区 2,339 999 43%
21 足立区 950 331 35%
22 葛飾区 1,223 313 26%
23 江戸川区 1,487 302 20%


トップ5の5区が8割以上設置である理由は、東京23区内の地理および入居者の背景との関係があります。5区とも都心部、または大きなターミナル駅や観光名所・シンボルタワーなどがある大規模商業地域に徒歩圏内で移動できるため、このあたりを入居先に選ぶ住民の多くがライフスタイルをビジネス中心にしていることが推測できるでしょう。

夫婦や家族で入居をしていた場合でも共働きの可能性が高く世帯所得が高くなるため、仮に宅配ボックス設置による管理費の値上げに対しても反対する割合が低かったり積極的な設置を希望していたりするでしょう。「総合的に自宅の滞在時間が短い」「オフィス利用も兼用している」ということが推測できるため、「入居者には宅配ボックスの希望がある」とオーナーが判断した結果が想像できます。

設置マンションが少ない5区

こちらは宅配ボックス設置率の低い5区です。

19 世田谷区 4,000 1,807 45%
20 練馬区 2,339 999 43%
21 足立区 950 331 35%
22 葛飾区 1,223 313 26%
23 江戸川区 1,487 302 20%


この結果も東京23区の地理的要因が多くかかわっています。ワースト5区の共通点は、区内に大きな緑地公園が数多くあり広めの住宅地が多いのが特徴です。子育てに良い地域としても認知度がありファミリー世帯向けの賃貸マンションが多い地区。同時に子どもがある程度大きくなるまでにマンションまたは一軒家の購入に踏み切っているケースが多く、子どもの通学がしやすい同地区内で購入する傾向があります。

結果、建物に宅配ボックスがあったとしても賃貸情報には掲載されません。さらに小さな子どもがいる家庭では親または祖父母が在宅している可能性もあるため、仮に宅配ボックスがなかったとしても問題がないケースが多いといえるのではないでしょうか。

設置していないオーナーは設置を検討しよう

今回は都内23区の宅配ボックス設置率をまとめました。国土交通省が公表している宅配便再配達率によると2019年10月の国内再配達率は15%(前年同月比-0.2%)と進捗状況は思わしくありません。今後はコロナの影響で外出を控えてショッピングを通販に切り替えていく人が増えていくため、入居者にとっての宅配ボックスは「あるべきもの」にかわりつつあります。

そのためオーナーとしては需要を先取りして宅配ボックスの設置を積極的に考えたほうが長期的にはメリットが多いといえるでしょう。
 

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