近年、資産形成の一環として始める人が増えている「マンション経営」。中には20代や30代といった若いうちにスタートし、老後資金を準備しておこうと考えている人もいるようです。
マンション経営を始める際、問題になるのが自己資金です。果たして、どのくらいの自己資金を用意しておくべきなのでしょうか。その目安について見ていきましょう。
マンション経営は最小限の自己資金で始められる
「投資用不動産を購入するとなると、数千万円以上のお金を用意しなければならないのでは?」と考えるかもしれませんが、マンション経営は、基本的に最小限の資金で始められます。実際に、不動産投資関連の書籍やWebサイト、あるいは不動産業者から直接「不動産投資は自己資金ゼロで始められる」といった情報を得たことがある人もいるでしょう。また、実際にマンション経営を始められたほとんどの方は最小限の自己資金でスタートしています。
具体的にスタートに当たって必要な資金は、手付金と登記費用等の諸費用となります。ワンルームであれば100万円ほど用意すれば可能です。
なお、諸費用部分まで含めて完全な自己資金ゼロ状態でローンを組むことは「オーバーローン」と呼ばれます。フルローンとは異なるので注意が必要です。
フルローンが組める物件は正当な評価を得ている物件
「フルローンで購入できる物件は何かリスクがあるのでは?」と、根拠なく心配している方がおられますが、そのようなことはありません。
フルローンが組める物件は金融機関からの正当な評価が出ている物件と言えるため、それ自体が安心材料になることはお分かりでしょう。頭金を必ず準備しなければならない物件と比較してみると、むしろ頭金が必要になるような物件はリスクが高いと考えられます。
フルローンを組むメリット2つ
フルローンを組むメリットとしては大きく以下のようなものが考えられます。
(1)自己資金(キャッシュ)を手元に確保できる
フルローンでは、物件購入にかかる諸費用のみ自己資金を準備します。しかしそれ以外は全てローンとなるため、資金を手元に確保しておくことができます。自己資金は、以下のような場合に柔軟に充当することができます。
① 購入した物件に予期せぬ修繕費用が発生した場合 ② ある程度自己資金に余裕が出てきた場合は、早期完済に向けて繰り上げ返済費用として利用することも可能
なお、①の事態は中古区分マンションなどの中古物件では起こり得るリスクとして念頭においておかなければなりません。しかし新築物件であれば、この費用は発生しにくいと言えます。
(2)レバレッジ効果を最大限に得られる
マンション経営における「レバレッジ効果」とは、「少ない資金で資産を増やす」ことを意味します。
マンション経営で得られる収益には「インカムゲイン」「キャピタルゲイン」の2通りがあります。株式や預貯金ならば配当金や利息、不動産投資の場合は賃貸で得られる家賃収入がインカムゲインにあたります。一方で物件自体を売買して得られる差益を「キャピタルゲイン」といいます。
上記2点以外にも、フルローンは団信(団体信用生命保険)の効果が大きいと言えます。団信により、物件保有者が亡くなったり、ガンと診断された場合、残された家族は返済義務が免除され、物件の残債が無い状態で資産として残されます。頭金を入れないフルローンの場合は残債が大きくなるため団信の効果が最大限に得られると考えられます。
フルローンを組むデメリット2つ
フルローンを利用することでもちろんデメリットもあります。簡単に紹介します。
(1)月々の返済額が大きくなる
借入金額が大きいため、月々の返済額が増えます。
ただし、2019年現在はかつてない低金利が続いているため、借入額が多少大きくても金利の負担は少なくなっています。フルローンを組んだとしても、毎月無理なく返済していける額であるかどうかをしっかり見極めた上で利用するならば、大きなリスクは無いと言えるでしょう。
(2)金融機関の審査が厳しくなる
上記で、フルローンを組める物件自体は金融機関が正当な評価をしていると述べましたが、金融機関から物件所有者に対して「借入金を返済できるかどうか」の審査基準は厳しくなります。
ただし、一般的に返済金額が上がるに従って金融機関の審査は厳しくなりますので、「フルローンだから」という理由だけとは言えません。
自己資金だけに拘らずマンション経営の全体像を理解する
本稿では最小限の自己資金(100万円程度)でもマンション経営をスタートすることは十分可能であるとお伝えしました。
資産を自ら増やそうとする姿勢は、年金をはじめとする社会保障への不安が広がりつつある日本において非常に重要です。そのためのファーストステップとして、マンション経営は最適な方法と言っても過言ではありません。
なお、金融機関によっては、頭金を入れることで金利が多少下がることがあります。利用する金融機関で頭金を多少でも入れるか入れないか、判断は異なってきます。自己資金を含むマンション経営の全体像を理解しつつ、適切な資金調達と確保、その運用を考えていただきたいと思います。
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