MaaS(マース)というサービスはまだ認知度は低いですが2030年には世界全体で100兆円の巨大市場になるといわれています。そこで今回は巨大市場になるといわれているMaaSの概要や不動産市場の活性化にもつながるその理由について解説していきます。
MaaSとは何か
MaaSとは、Mobility as a Serviceを略した言葉です。国土交通省では以下のような説明をしています。
「出発地から目的地までの移動ニーズに対して最適な移動手段をシームレスに一つのアプリで提供するなど、移動を単なる手段ではなく、利用者にとっての一元的なサービスとして捉える概念」 出典: 国土交通省
この概念の中でキーポイントになるのが「アプリ」「一元的」という言葉です。スマホにインストールした「MaaS」のアプリから、これまで別々だった電車、バス、自動車(タクシーなど)についてルート検索から予約、決済までを一元的に行うことができるようになります。これらを定額制で利用できるため高齢者の足として普及が期待されているのです。
2019年2月に矢野経済研究所が行った調査によると国内のMaaS市場規模は2018年の845億円から2030年には6兆3,600億円に成長する見込みです。世界全体の市場規模が100兆円といわれていますので日本は約6.3%を占める巨大市場になります。
MaaSを使った街づくり
すでにMaaSを使った街づくりの実証実験を始めている企業もあります。東急電鉄が2019年1月下旬~3月下旬に東京都市大学・株式会社未来シェアと共同で「郊外型MaaS実証実験」を行いました。東急たまプラーザ駅と美しが丘1・2・3丁目を結ぶこの実験で取り組んだのが以下のサービスです。
ハイグレード通勤バス
会社員向けにWi-Fiを搭載したハイグレードな通勤バスを朝に1便運行。
オンデマンドバス
スマホで乗車予約ができ、利用者のニーズに応じたサービスを提供。
パーソナルモビリティ
坂道、狭い道などがある住宅街でも気軽に街まで回遊できる移動サービス。
カーシェアリング
同じマンションの住民同士で車を貸し出し、利用するサービス。
住民の回遊性が高まることによって東急グループの百貨店や施設の来場者増につながることで企業側にもメリットがあるシステムといえます。
マイカー不要の時代がやってくる?
MaaSの普及は、車社会にも大きな影響を与えるため、ローンや駐車場、車検と維持費が高いマイカーの所持をやめてカーシェリングやレンタカーの利用を選ぶ家庭が増える可能性があるでしょう。現在、世界的に電気自動車や自動運転車へチェンジする過渡期にあり今後はノーマル車の買い控えが起こるともいわれています。
そのような社会情勢もMaaSの普及を後押しする可能性があり、いずれマイカー不要の時代がやってくるかもしれません。この流れにすでに国内・海外の自動車メーカーも対策を打ち始めています。最大手のトヨタ自動車が販売オンリーの方針を改め定額制サービスを開始したほどです。
MaaSで立地の差が縮小、不動産革命へ
MaaSは不動産市場にも大きな革命をもたらす可能性があります。東急電鉄が取り組んでいるような回遊性が高い街づくりが実現すれば地域内のどの立地でも利便性が高まることが期待できるでしょう。立地の差が縮小すれば、これまで不便だからと敬遠されていた駅から徒歩20分前後の中距離物件にも買い手がつく可能性があります。
また郊外に多い工業団地もMaaSを利用したシャトルバスなどの運行手段を導入することで社員の利便性が高まり企業の進出が増えることも不動産市場の活性化につながります。MaaSが普及したからといって交通量が減るわけではありません。しかしアプリを利用したAI管理が進めば効率の良い運行が可能になることで交通渋滞の緩和にもつながります。マンションの駐車場不足も解消されることになるでしょう。
そして何より、「定額制MaaS」は、高齢化社会が進む日本にとって最も必要なサービスといえるのではないでしょうか。
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