不動産投資を通じて利益が得られるようになると、その利益に対して税金を支払う義務が生じます。その義務を果たすために必ず行うべき作業が、確定申告です。

今回は、不動産投資家であれば念頭に置きたい確定申告の概要と税金の算出方法についてご説明します。

不動産所得は確定申告必須!税金の算出方法を知ろう
(画像=Sensay/Shutterstock.com)

不動産投資で確定申告が必要になる条件

不動産投資に限らず、会社員が副業をしている場合は確定申告の対象になる可能性があります。具体的には、給料(給与所得)以外の所得が年間20万円以上になると確定申告の対象となります。

ここでポイントになるのは、「収入」ではなく「所得」が基準になっている点です。所得は収入から経費を差し引いて計算されます。仮に家賃収入が年間30万円であっても、経費が15万円であれば所得は15万円ということになり、確定申告の必要はありません。

家賃収入に基づく所得は「不動産所得」と呼ばれます。不動産所得が年間20万円以上であれば、確定申告を行わなければなりません。これを怠ると、脱税を指摘されるおそれも出てきます。その場合、納めるべきだった税金に加えて、「重加算税」というペナルティまで支払うはめに陥ります。兼業であったとしても、確定申告には注意が必要です。

なお、不動産所得が赤字の場合、確定申告は不要ですが、あえて申告することで税金の還付を受けられる可能性があります。給与所得が500万円で不動産所得がマイナス100万円だとすると、両者を合算した400万円が課税対象とされます。源泉徴収の形で先に給与所得500万円に対する所得税や住民税などを支払っていますから、確定申告をすることで所得税は還付、住民税は減税となるわけです。

不動産所得がある場合の税額の計算方法

不動産所得には3種類の税金が課せられます。所得税と住民税、そして復興特別所得税(2037年までの予定)です。住民税の税率は10%、復興特別所得税の税率は所得税額の2.1%と固定されているのに対し、所得税の税率は、累進課税として、以下の表の通り所得額に応じて異なります。

(所得税の税率)

所得額 税率 控除額
195万円以下 5% 0円
195万円を超え330万円以下 10% 9万7,500円
330万円を超え695万円以下 20% 42万7,500円
695万円を超え900万円以下 23% 63万6,000円
900万円を超え1,800万円以下 33% 153万6,000円
1,800万円を超4,000万円以下 40% 279万6,000円
4,000万円超 45% 479万6,000円

上記の税率は、不動産所得だけでなく給与所得も合わせて計算されます。そのため、前述の通り不動産所得が赤字になる場合は、確定申告をすることで所得税は還付を受けられるのです。

なお、家賃収入が不動産所得に分類されるのに対して、不動産の売却益は「譲渡所得」に分類されます。譲渡所得は税率などの条件が以下の通り異なるため、不動産所得や給与所得とは別に計算されます。

(不動産の譲渡所得の税率)

所得税率 住民税率 復興特別所得税率
長期譲渡所得 (保有5年超) 15% 5% 所得税の2.1% (0.315%)
短期譲渡所得 (保有5年以下) 30% 9% 所得税の2.1% (0.63%)

上記の計算を自分でやろうとすると、かなり時間を取られます。日頃から経理ソフトを使って帳簿をつけ、自動で計算されるようにすると手間を圧縮できます。あるいは税理士などの専門家に経理作業自体を委託すれば、手数料は取られるものの手間が省けます。

確定申告をするときのポイント

確定申告をする際は、経費を漏れなく報告するようにしましょう。不動産取得税や固定資産税などといった税金だけでなく、管理費(賃貸管理委託費も含む)、修繕費、修繕積立金、借入金利子(元本は経費に含めない)、減価償却費やその他必要経費など、不動産事業に関わる幅広い支出が経費として認められる可能性があります。

領収書を書いてもらったり、取っておいたりすることに慣れていない会社員の方もいるかもしれませんが、不動産投資においては各種領収書や納付証明書を必ず保管しておき、支出を証明できるようにしましょう。

何が経費として認められるのか、あるいは減価償却費の設定をどうするかなど、経費の処理にはある程度知識が求められます。経理関連の知識に自信がない場合は、不動産会社や税理士などに相談した方が安心かもしれません。

不動産投資家なら確定申告は必ず行おう

不動産投資にはさまざまな作業があります。今回ご説明した確定申告も、給料を受け取るだけの会社員であればあまり必要とされない作業の一つです。しかし不動産投資によって新たな収入源を構築したいのであれば、その収入(所得)に対する税金を支払うことは必須の作業となります。

毎年2月中旬から3月中旬にかけて確定申告関連の書類を提出する必要があります。普段から記帳を欠かさず行うとともに、年が明けたらすぐ(年末年始の休みの間に)確定申告書を作成できるよう必要データを入力しておくことを心がけましょう。

>>【無料eBook】30代で知りたかった「お金」の極意 後悔しない8つのポイント

【オススメ記事】