日本人の平均寿命が延びています。厚生労働省が昨年発表した2017年の日本人の平均寿命は女性87.26歳、男性81.09歳と過去最高を更新しました。女性は5年連続、男性は6年連続で過去最高を更新しています。
これが何を意味するかといえば、現役世代の私たちが想像する以上に、これからの引退後の人生は長く続くということです。老後が長くなれば、生活費も当然、多く必要になります。
それでは、一体どうやって、そのための資金を捻出すればいいのでしょうか。本稿では老後の対策について考えてみます。
目次
1.高齢化の進行と社会保障費の増大
急激に進行する高齢化を背景に、社会保障費が年々増大しています。社会保障費の内訳は大きく分けて、年金、医療、介護、福祉の4つです。
2018年度の日本政府の一般会計予算である97兆7,128億円のうち、社会保障費は、33.7%にあたる32兆9,732億円となり、前年度よりも1.5%、4,997億円の増加となりました。
現役世代が減少する一方で、2025年には団塊世代が75歳以上の後期高齢者となるため、医療・介護費ともに急増することになります。
年金受給年齢の引き上げが検討され、働き方改革で、副業などを勧めるようになった背景には、こうした状況があります。今後の国の方針を簡単にいえば、公費でまかないきれなくなる分は、できる限り自分で賄ってくださいということなのです。
2.老後の生活費、いくらかかる?
現在、老後生活を送っている人たちの毎月の生活費はいくらとなっているでしょうか。
総務省が行った家計調査報告(2017年)によると、二人以上の世帯のうち高齢無職世帯(世帯主が60歳以上の無職世帯)の消費支出を年齢階級別に見ると以下の通りでした。
65歳~69歳:26万4,661円
70歳~74歳:24万3,416円
75歳以上:21万5,151円
平均:23万7,682円
一方、年金などの社会保障給付金も含めた実収入は、以下の通りです。
65歳~69歳:22万1,438円
70歳~74歳:20万6,652円
75歳以上:20万1,024円
平均:20万4,587円
どの年齢でも収入より支出が大きくなっています。平均で比較すると6万1,046円の赤字です。
仮に65歳で仕事から完全に引退し、夫婦2人で100歳まで生きるとすると、6万1,046円×12ヵ月×35年間=2,563万9,320円を、何らかの方法で補填しなければなりません。
生命保険文化センターが2016年度にまとめた「生活保障に関する調査」によれば、ゆとりある老後生活に必要な生活費は月平均で34.9万円です。豊かで満足できる生活を送る上では、まったく足りない状況なのです。
3.将来の不足は自分でおぎなう時代
内閣府は6月19日、日本高齢化社会の現状を解説する「高齢社会白書(2018年版)」を発表しました。それを見ると、年齢階層別の貯蓄の違いが分かります。
70歳以上で、2人以上の世帯は、平均で2,446万円の貯蓄を保有しています。これは、上述した35年間の不足額とほぼ同じ金額です。ギリギリで人並みな生活を送れるというのが現状でしょう。
また現在60代の世帯における貯蓄額は2,312万円、50代では1,802万円、40代では1,065万円です。60代になると急に貯蓄が増えるのは、退職金などの上乗せがあるためです。
しかし、貯蓄額の多い世帯は、現在の高齢者世帯に偏っており、4,000万円以上の高額貯蓄保有世帯は、60歳以上の世帯が18.6%で、全世帯の12.6%と比較すると突出しています。
つまり、現在の高齢者ほど資産を保有しているということです。
10年後、20年後に現役を退くことになる、現在の40代50代は、貯蓄について最も考えなければならないのにも関わらず、将来に対する備えがまったく不十分である実態が浮かび上がってきます。
4.老後への備えは、リスクを抑えた資産運用
公的年金があてにならない時代、老後への備えは自分で蓄えるしかありません。その方法に資産運用が挙げられます。ただ、資産運用を行うにあたってはハイリスクな商品は避けて、安定性の高い金融商品で運用することを心がけましょう。
リターンとリスクは背中合わせです。高リターンを求めれば、その分リスクも高くなります。無理をして、すべてを失ってしまっては元も子もありません。
投資する金融商品や運用方法はじっくりと考えて選択するべきなのです。
5.つみたてNISAやiDeCoの活用を
リスクの低い安定した資産運用の方法としては、老後資金を準備しやすくするため、政府によって税の優遇措置が受けられるものがお勧めです。これは「つみたてNISA」や「iDeCo(個人型確定拠出年金)」などが該当します。
5-1.つみたてNISA
つみたてNISAは毎年40万円(月々3万3,333円)まで、20年間非課税で運用できる制度です。通常、投資信託などを運用して利益が出ると20%の税金が取られるのですが、これらを活用するとその税金がかかりません。
ただし、運用にかかるコストが低くて、分配金を出さずに効率的に資産形成ができる投資信託などに投資対象が限定されています。
5-2.iDeCo(個人型確定拠出年金)
また、iDeCoも公的年金を補完する役割を担うように用意された仕組みです。iDeCoの最大のメリットは、掛け金が所得から控除されることにあります。
このため、所得税の還付と住民税の減税が受けられます。例えば年収が500万円であれば、所得税30%、住民税10%がかかってきます。
しかしiDeCoで月々2.3万円を積み立てていると、年間で8.3万円の節税となります。運用益が非課税なので、預貯金や投資信託などの運用でかかる20%の税金がかかりません。
iDeCoは年金であるため、60歳以降にならないと受け取れませんが、一括で受け取る際にも優遇措置があります。
6.不動産投資を組み入れることの安心感
将来に備えるのであれば、先述したつみたてNISAやiDeCoと合わせて不動産投資を組み入れてみましょう。投資のポートフォリオに不動産投資を組み込むことはリスクの分散につながります。
また、不動産投資には現物資産が手元に残るという、他の投資とはまったく違った強みがあります。
例えばiDeCoであれば、一括にせよ、数年間の分割にせよ、お金を受け取った後、物価上昇に併せて預金の価値が目減りしてゆきます。また、生活費として消費してゆくため、年々貯金が減ってゆくのはやはり心細くなるはずです。
一方、不動産を現物資産として持っている場合、自分がマンションを保持しているという目に見える安心感を得られますし、何よりも毎月安定した収入が得られるというのはとても心強いものです。
さらに物価に併せて自分で家賃を設定できるため、時代に応じて自分なりに運用を続けられるためです。
昭和とは異なり、今や「老後」というものへの不安は増すばかりです。真剣に老後の準備を検討しなければならない時代になりつつあります。つみたてNISAやiDeCoと並んで不動産投資にもぜひ挑戦してみることをおすすめいたします。
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