投資用マンションの節税の仕組みを解説!「節税防止」の法改正とは
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不動産の減価償却とは、時間の経過とともに価値が下がる建物の取得費用を、法律で定められた耐用年数に応じて分割し、毎年の経費として計上する制度です。実際の支出を伴わずに帳簿上の利益を圧縮できるため、税負担を抑えながら手元に現金を残せ、不動産投資の資産形成の土台となります(参考:国税庁 No.2100「減価償却のあらまし」)。

土地は対象外で、木造なら22年、RC造なら47年というように、建物の構造ごとに経費にできる期間が決まっています。本業を持ちながら夜間や週末の限られた時間で運用する現役世代に向けて、正しい計算のステップから、デッドクロスや売却時の税金といった注意点まで順を追って解説します。

この記事の要点:

  • 不動産の減価償却は、建物の取得費を耐用年数で分割して経費にする仕組み
  • 土地は経年劣化しないため対象外で、償却できるのは建物と建物附属設備だけ
  • 法定耐用年数は構造ごとに異なり、木造は22年・RC造は47年である(出典:国税庁)
  • 実際の支出を伴わない経費のため、手元のキャッシュを残しながら節税できる
  • 長期保有ではデッドクロスと売却時の譲渡所得税を必ず考慮する必要がある

目次

  1. 減価償却とは不動産投資における基本的な仕組み
  2. 不動産の減価償却費を正しく算出する3つの計算方法・ステップ
  3. 不動産投資で減価償却費を活用する2つの大きなメリット
  4. 不動産の減価償却で失敗・後悔しないための2つの注意点
  5. 不動産の減価償却に関するよくある質問(FAQ)
  6. 結び:複雑な減価償却や収支シミュレーションはプロに相談して最適な資産形成を始めよう

減価償却とは不動産投資における基本的な仕組み

不動産の減価償却とはどのような制度か?

不動産の減価償却とは、購入した建物の代金を一括で経費にするのではなく、法律で定められた年数に分けて少しずつ経費にしていく税法上のルールです。

国税庁も、資産の取得費用は取得時に全額を経費にするのではなく、使用可能期間にわたって分割して必要経費にしていくものと定めています(参考:国税庁 No.2100「減価償却のあらまし」)。

建物の劣化という目に見えない価値の減少を、お金の面から費用として反映させる仕組みだと考えると分かりやすいでしょう。

たとえば新築のマンションを購入した年に、その代金をすべて一度に経費として処理すると、その年だけが極端な赤字になり、翌年以降はほとんど経費を計上できません。これでは各年の正確な収支がわからなくなるため、使用できる期間に応じて費用を均等に配分していきます。

金額は国が定めたルールに従って計算するため、投資家が任意に決めることはできません。税額を適正に計算しつつ長期的な収支を安定させるために設けられた、不動産投資で最も基礎的な仕組みの一つです。

なぜ土地は減価償却できず建物だけが対象になるのか

不動産の減価償却の対象になるのは建物や建物附属設備だけで、土地はどれだけ時間が経っても償却の対象には含まれません。理由は、土地が「時間の経過によって消耗したり劣化したりしない資産」と考えられているためです。国税庁も、土地や骨とう品のように時の経過で価値が減少しない資産は減価償却資産に当たらないと明記しています(参考:国税庁 No.2100)。

建物は雨風にさらされて確実に老朽化し、いずれ使えなくなる時期が来ますが、土地そのものが消えてなくなることはありません。価値が目減りしない資産には、取得費を分割して経費化するという考え方が適用されないのです。

そのため物件購入時には、総額をそのまま計算に使うのではなく、土地と建物の金額を正しく分ける必要があります。この区分があいまいだと経費にできる金額が変わり、税務署から指摘を受ける原因にもなります。最初の段階で正確に分類しておくことが、後々のトラブルを防ぐ第一歩です。

本業が忙しい現役世代にとって減価償却費が重要な理由

平日の日中に本業を持つ現役世代にとって、減価償却費は手間をかけずに資産形成を支える心強い仕組みです。最大の特徴は、帳簿上は大きな経費を計上しながら、実際には手元から現金が1円も出ていかない点にあります。

副業として不動産を運用する場合、物件管理に使えるのは夜間や週末などの限られた時間です。そうした中でも、現金を支出せず書類上の手続きだけで利益を圧縮できる減価償却は、時間の制約がある人に向いた方法だといえます。

利益が圧縮されれば課税対象となる所得が減り、結果として支払う税金を抑えられます。浮いた分だけ手元に残る現金が増え、次の投資や繰り上げ返済の原資にもなります。

ただし後述のとおり経費にできる期間には限りがあるため、購入時点から「いつまで償却できるのか」を見据えておくことが大切です。限られた時間で効率よく資産を積み上げるうえで、まず押さえておきたい基礎知識です。

不動産の減価償却費を正しく算出する3つの計算方法・ステップ

ステップ1:建物の構造ごとに定められた「法定耐用年数」を確認する

最初のステップは、購入した不動産の構造を調べ、法律で定められた「法定耐用年数」が何年かを確認することです。これは建物の寿命そのものではなく、税務上「何年にわたって経費にしてよいか」を国が構造ごとに一律に定めた期間です。

構造が頑丈なほど年数は長く、その分だけ1年あたりの経費(償却率)は小さくなります。たとえばRC造は長期間かけて少しずつ、木造は短期間で集中的に経費化します。以下は、不動産投資でよく見られる住宅用建物の構造と、法定耐用年数・定額法の償却率です。

建物の構造 法定耐用年数 償却率(定額法)
RC造(鉄筋コンクリート造) 47年 0.022
重量鉄骨造(骨格材の肉厚4mm超) 34年 0.030
軽量鉄骨造(骨格材の肉厚3mm超4mm以下) 27年 0.038
木造 22年 0.046
住宅用の場合。事務所用途などは年数が異なる(出典:国税庁「減価償却資産の耐用年数等に関する省令」別表第一、「減価償却資産の償却率表」)

この表で自分の物件がどの区分に当たるかを正確に当てはめることが、計算の出発点です。なお中古物件では、この法定耐用年数をそのまま使うのではなく、経過年数に応じて短い年数を使える「簡便法」がある点も覚えておきましょう(詳しくは記事末尾のよくある質問で解説します)。

ステップ2:購入価格から土地と建物の金額を分ける「按分」を行う

次に、総購入金額から減価償却の対象となる「建物だけの価格」を切り出す「按分」(あんぶん)という作業を行います。売買契約書には土地と建物の合計額しか書かれていないことも多いため、次の順で建物価格を特定します。

  1. 売買契約書に建物分の消費税額が記載されていれば、その税額から逆算して建物本体の価格を求める(消費税は建物にのみ課税されるため)。
  2. 消費税の記載がない場合は、市区町村から届く固定資産税評価額の土地・建物の比率を、購入総額に当てはめて按分する。
  3. いずれも難しい場合は、不動産鑑定士による評価など、合理的な時価を基準に割合を決める。

本業で忙しい人が夜に契約書を確認する際は、まず消費税の記載があるかを見るのが近道です。土地の価格まで含めて計算すると経費を過大に計上してしまい、後から修正申告を求められるリスクがあるため、切り分けは慎重に行いましょう。

ステップ3:「定額法」を用いて毎年の減価償却費を計算する

建物価格と償却率がわかったら、「定額法」で毎年の減価償却費を計算します。1998(平成10)年4月1日以後に取得した建物は、定額法しか選べないのが原則です(参考:国税庁 No.2100)。計算式は次のとおりで、とてもシンプルです。

建物の取得価額 × 償却率 = 1年あたりの減価償却費

たとえば会社員が副業として、新築RC造(法定耐用年数47年・償却率0.022)のワンルームマンションを建物価格2,000万円で購入したとします。この場合は「2,000万円 × 0.022 = 44万円」となり、毎年44万円を47年間にわたって経費計上できます。

定額法は毎年の経費額が一定なので、購入前に「何年間、いくら経費にできるか」を見通しやすいのが利点です。

一方で、木造や中古のように耐用年数が短い物件は、1年あたりの経費は大きくなるものの経費にできる期間は早く終わります。単年度の節税額だけでなく、経費が何年続くかまで含めて物件を選ぶことが、長期の収支計画では重要になります。最初の設定を誤ると数十年にわたって影響するため、丁寧に確認しましょう。

不動産投資で減価償却費を活用する2つの大きなメリット

メリット1:実際の支出を伴わない経費として手元のキャッシュを増やせる

減価償却の最大のメリットは、帳簿上の利益を減らしながら、実際に使える現金は手元に残せることです。通常のビジネスでは経費を増やすには同額の現金支出が必要ですが、不動産の減価償却では現金が出ていきません。手元のお金が減らないのに課税対象の利益が小さくなるため、所得税・住民税の負担が軽くなります。

つまり、軽くなった税額の分だけ、手元に残るキャッシュフロー(実際の現金収支)が厚くなります。この残った現金は、次の物件の頭金や繰り上げ返済、将来の修繕への備えなどに回せます。

なお「手間をかけずに運用したい」という現役世代には、入居者対応や集金といった管理業務を管理会社へ委託する方法があります。管理を任せれば、本業に支障を出さずに運用を続けやすくなります(委託費の扱いはよくある質問で解説します)。

ただし減価償却はあくまで税務上の仕組みであり、物件選びや資金計画そのものを代わりに行ってくれるわけではありません。仕組みを理解したうえで、任せる部分と自分で判断する部分を分けることが、効率的な資産拡大の土台になります。

メリット2:本業の給与所得と「損益通算」して所得税・住民税を節税できる

不動産投資で生じた帳簿上の赤字を、本業の給与所得など他の所得と合算して相殺することを「損益通算」といいます。減価償却によって不動産所得(家賃収入から経費を引いた額)がマイナスになれば、その赤字を給与所得から差し引けます(参考:国税庁 No.1391「不動産所得が赤字のときの他の所得との通算」)。

たとえば給与所得が800万円の人が、不動産投資で帳簿上100万円の赤字を出すと、所得は700万円として再計算されます。すでに源泉徴収された所得税の一部が確定申告で還付され、翌年の住民税も下がります。この赤字は減価償却という「支出のない経費」で生じた見かけ上のもので、生活の資金繰りが悪化するわけではありません。

所得税は所得が高いほど税率が上がる累進課税のため、本業の収入が高い人ほど損益通算の効果は大きくなります。ただし注意点として、土地を取得するための借入金の利子は損益通算の対象にできないというルールがあります(租税特別措置法第41条の4)。赤字の全額を必ず相殺できるわけではない点は、購入前に押さえておきましょう。

不動産の減価償却で失敗・後悔しないための2つの注意点

注意点1:耐用年数が切れた後に発生する「デッドクロス」のからくり

メリットの大きい減価償却ですが、長く保有すると「デッドクロス」という収支の逆転が起こる点に注意が必要です。デッドクロスとは、毎年の減価償却費よりもローンの元金返済額のほうが大きくなる状態を指します。

減価償却費は経費でも現金は出ていきません。逆に元金返済は現金が出ていくのに経費にはなりません。そのため、償却が終わって経費が減る一方で元金返済が続くと、「手元の現金は増えていないのに帳簿上は黒字」という状態になり、税負担だけが重くのしかかります。とくに建物の耐用年数が切れると、それまで利益を抑えていた減価償却費が突然ゼロになり、この現象が起こりやすくなります。

対策としては、減価償却できる期間をできるだけ長く確保することが有効です。新築や築浅の物件は耐用年数の残りが長く、デッドクロスの到来を遅らせられます

反対に、木造中古のように短期間で償却する物件は、単年度の節税額は大きい一方でデッドクロスが早く来ます。購入前に、10年後・20年後に経費と返済がどう推移するかを試算し、キャッシュフローが破綻しない計画を立てておくことが、後悔しない運用の鉄則です。

注意点2:物件売却時に帳簿価格が下がり「譲渡所得税」が高くなるリスク

物件を売却して出口を迎える際にも、減価償却が税金に影響します。毎年減価償却を行うたびに、その建物の帳簿上の価値(簿価)は経費にした分だけ下がっていくためです。売却益(譲渡所得)は「売却価格 −(取得費 + 譲渡費用)」で計算され、この取得費は減価償却後の簿価が基準になります。

たとえば購入時2,000万円だった建物が、償却を経て簿価1,500万円まで下がっていたとします。これを1,800万円で売れば、購入時より安く売っても帳簿上は300万円の利益とみなされ、譲渡所得税の対象になります。

対策の柱は保有期間です。譲渡した年の1月1日時点で所有期間が5年を超えると「長期譲渡所得」となり、税率は20.315%(所得税15%+住民税5%+復興特別所得税0.315%)。

5年以下の「短期譲渡所得」は39.63%(所得税30%+住民税9%+復興特別所得税0.63%)と約2倍です(出典:国税庁 No.3208・No.3211)。判定は売却日ではなく「その年の1月1日」時点で行うため、実際には5年強の保有が必要になる点にも注意しましょう。

不動産の減価償却に関するよくある質問(FAQ)

Q. 中古不動産を購入した場合の減価償却期間(耐用年数)はどう計算しますか?

A. 中古物件は法定耐用年数の一部または全部を経過しているため、「簡便法」で耐用年数を算定できる。

全部を経過した物件は「法定耐用年数×20%」、一部を経過した物件は「(法定耐用年数−経過年数)+経過年数×20%」で計算し、1年未満は切り捨て、2年未満は2年とする(出典:国税庁 No.5404「中古資産の耐用年数」)。たとえば築25年の木造(法定22年)は22年×20%=4年で償却する。期間が短いぶん単年度の節税効果は大きいが、その分デッドクロスが早く来る点に注意が必要だ。

Q. 賃貸管理会社へ実務を委託した費用も減価償却のように経費になりますか?

A. 管理委託費は減価償却ではなく、その年度の「管理費・委託費」として支払った全額をその年の経費に計上できる。入居者対応や集金などの実務を委託する費用が対象だ。

本業が忙しく管理に時間を割けない現役世代にとっては、こうした実務を外注し費用を経費化するのは合理的な選択といえる。ただし資産価値を高める大規模修繕などは「資本的支出」として減価償却の対象になる場合があり、支出の内容によって扱いが変わる点は理解しておきたい。

Q. 確定申告の際、建物以外に減価償却できる設備はありますか?

A. 建物本体だけでなく、電気設備・給排水設備・エアコンなどの「建物附属設備」も減価償却できる。これらは建物本体より法定耐用年数が短いため、購入初期にまとまった減価償却費を計上しやすい。そのため購入時に建物価格と設備価格を分けて計上できると、初期の節税効果を高められる。ただし区分には合理的な根拠が必要で、売買契約書や工事明細などで内訳を示せることが前提となる。

結び:複雑な減価償却や収支シミュレーションはプロに相談して最適な資産形成を始めよう

不動産投資における減価償却は、手元の現金を守りながら将来への備えを積み上げられる、優れた仕組みです。建物の構造による耐用年数の違い、土地と建物の按分、定額法での計算、そしてデッドクロスや売却時の譲渡所得税まで、一つずつ正しく理解することで運用の成果は大きく変わります。

一方で、これらの税務計算や、10年・20年先を見据えた収支シミュレーションを、本業をこなしながら一人で行うのは簡単ではありません。特に、どの構造・築年数の物件を選べばデッドクロスを避けつつ節税できるのか、といった判断には専門的な視点が欠かせません。

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