固定資産税が高いと感じたら。値上がりの正体と、資産価値上昇を味方につける不動産運用の視点
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毎年4月から6月頃、ポストに届く納税通知書を開封して、「えっ、去年より高くなっている?」と目を疑った経験はないでしょうか。特に家計のやりくりを考える中で、数千円、数万円単位の固定費増は決して小さくない衝撃です。

建物は古くなっているのに、なぜ税金が上がるのか。もしかして、役所の計算ミスではないか。このまま毎年上がり続けるのなら、維持するのが怖い──。

そんな不安や疑問を抱くのは当然のことです。しかし、固定資産税の増額には必ず明確な理由があります。それは単なる制度上の期限切れかもしれませんし、あるいは、あなたの保有する不動産の価値そのものが上昇しているポジティブなサインかもしれません。

この記事では、固定資産税が上がるメカニズムを3つの主要因から解き明かし、万が一の過払いを見抜くチェックポイント、そして税負担の増加を「資産価値の上昇」と捉え直す投資家的な視点までを網羅的に解説します。通知書を片手に、あなたの資産の現状を正しく把握していきましょう。

目次

  1. 固定資産税が上がる3つの主要因|あなたのケースはどれ?
    1. 【理由1】新築特例(減額措置)の適用期間終了
    2. 【理由2】3年に一度の「評価替え」と地価上昇
    3. 【理由3】分合筆や地目変更、リフォームの影響
  2. そもそも固定資産税はどう決まる?計算式と評価額の仕組み
    1. 建物と土地で異なる「経年」の考え方
  3. 行政のミスの可能性も?納税通知書の正しいチェック方法
    1. 課税明細書のここを見る|チェックポイント
    2. 不服がある場合の「縦覧制度」と審査申出
  4. インフレ時代の固定資産税|今後も値上がりは続くのか
    1. 建築資材の高騰と「再建築価格」への影響
    2. 地価上昇エリアと人口減少エリアの二極化
  5. 視点を変える|「固定資産税の値上がり」は投資家にとって吉報?
    1. 税金が上がる=資産価値が上がっている証拠
    2. 不動産投資なら固定資産税は「経費」になる
    3. 忙しい会社員こそ「都心・好立地」を持つべき理由
  6. まとめ:税金の通知は資産の健康診断書

固定資産税が上がる3つの主要因|あなたのケースはどれ?

固定資産税が高いと感じたら。値上がりの正体と、資産価値上昇を味方につける不動産運用の視点
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固定資産税の通知書を見て「上がった」と感じる場合、その原因は大きく分けて以下の3つに集約されます。ご自身の状況がどれに当てはまるか、まずはざっくりと確認してみてください。

  1. 新築住宅の「減額措置」期間が終了した(戸建て3年目・マンション5年目の壁)
  2. 3年に一度の「評価替え」で土地・建物の評価額が上がった
  3. 地価の上昇や、リフォーム・増築による価値向上

多くの方が該当するのは「1」ですが、昨今の経済情勢を鑑みると「2」や「3」の影響も無視できなくなっています。それぞれの要因について詳しく見ていきましょう。

【理由1】新築特例(減額措置)の適用期間終了

「3年目までは安かったのに、4年目から急に高くなった」。これが固定資産税に関する問い合わせで最も多いケースです。

これは税金そのものが値上がりしたのではなく、「新築住宅に対する減額措置(割引期間)」が終了し、本来の税額に戻ったことによるものです。

新築の住宅(一戸建てやマンション)を購入した場合、一定の条件(床面積など)を満たせば、建物部分の固定資産税が1/2に減額される特例があります。

  • 一般の戸建て住宅:新築後 3年間
  • マンション(3階建以上の耐火・準耐火建築物):新築後 5年間
  • 認定長期優良住宅:戸建ては5年間、マンションは7年間に延長

通知書を見て「急に2倍になった」と感じるのは、まさにこの「半額セール」が終わったタイミングだからです。決して行政が勝手に値上げをしたわけではなく、元々の定価に戻っただけなのですが、家計へのインパクトは大きいため、購入時に資金計画(ランニングコスト)に織り込んでおくことが重要です。

【理由2】3年に一度の「評価替え」と地価上昇

次に考えられるのが、「評価替え」の影響です。

固定資産税の基準となる「固定資産税評価額」は、毎年変わるわけではなく、3年に一度のタイミングで見直されます。直近では2024年(令和6年)が評価替えの年でした。

この評価替えでは、その時点での地価公示価格や不動産市場の動向が反映されます。2024年〜2025年にかけては、都市部を中心に地価が上昇トレンド(インフレ)にあります。地価が上がれば、当然、土地の評価額も上がり、それに連動して税額も上昇します。

ただし、いきなり税額が跳ね上がって生活を圧迫しないよう、「負担調整措置」という激変緩和の仕組みも設けられています。これは、本来の税額に向けてなだらかに上昇するように調整するものですが、それでも「今年は少し高いな」と感じる要因となります。

【理由3】分合筆や地目変更、リフォームの影響

3つ目は、所有者自身の行動によって評価が変わるケースです。

  • 土地の分筆・合筆:広い土地を分割したり、複数の土地をまとめたりした場合、道路付けなどの条件が変わり、評価額が見直されることがあります。
  • 地目変更:たとえば「畑」や「山林」だった土地を造成して「宅地」にした場合、評価額は数十倍〜数百倍に跳ね上がります。
  • 大規模リフォーム:建築確認申請が必要な増築や大規模改修を行った場合、家屋の価値が上がったとみなされ、再評価の対象となります(通常の壁紙張り替えやキッチン交換程度では影響しません)。

そもそも固定資産税はどう決まる?計算式と評価額の仕組み

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ここで一度、固定資産税の基本的な計算ロジックをおさらいしておきましょう。

固定資産税評価額 × 1.4% の基本計算式

固定資産税額は、以下の式で算出されます。

固定資産税 = 固定資産税評価額 × 1.4%(標準税率)

また、市街化区域内に不動産を持っている場合は、これに加えて都市計画税もかかります。

都市計画税 = 固定資産税評価額 × 0.3%(制限税率)

重要なのは、この「固定資産税評価額」は、実際に売買される金額(実勢価格)とは異なるという点です。一般的に、土地は公示価格(国が定める価格)の約70%、建物は建築費の約50〜70%を目安に設定されます。

建物と土地で異なる「経年」の考え方

「建物は古くなれば価値が下がるから、税金も安くなるはず」と思っていませんか?

たしかに基本的な考え方は「経年減価」ですが、昨今の経済状況がこれを覆しています。

建物評価額は「再建築価格方式」で決まります。「今、同じ建物を建てたらいくらかかるか?」を基準にするのです。

2025年現在、建築資材(木材、コンクリート、鉄骨)や人件費の高騰により、建築コストは上昇し続けています。その結果、「建物は古くなっているのに、再建築価格(点数単価)が上がっているため、評価額が下がらない(あるいは上がる)」という現象が起きています。

一方、土地は劣化しません。地価の変動がダイレクトに評価額に反映されます。つまり、インフレ下においては、建物も土地も評価額が下がりにくい状況にあるのです。

行政のミスの可能性も?納税通知書の正しいチェック方法

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「計算式は分かったけど、やっぱり高すぎる気がする」。その直感は正しいかもしれません。実は、固定資産税の計算ミスは稀に発生しています。

課税明細書のここを見る|チェックポイント

納税通知書と一緒に届く「課税明細書」をチェックしましょう。特に以下の点はミスが起きやすいポイントです。

  • 住宅用地の特例(1/6減額)の適用漏れ:
    住宅が建っている土地は、200㎡以下の部分について評価額が1/6になる強力な特例があります。しかし、建て替え中や用途変更があった場合に、誤ってこの特例が外れてしまっているケースがあります。摘要欄に「小規模住宅用地」等の記載があるか確認してください。
  • 床面積や構造の間違い:
    登記簿上の面積と異なっていないか、木造なのに鉄骨造として計算されていないかなどを確認します。

不服がある場合の「縦覧制度」と審査申出

「自分の土地の評価額は、近隣と比べて高すぎないか?」

これを確認できるのが、毎年4月1日から第一期の納期限までの期間に行われる「縦覧制度」です。役所の窓口で、近隣の土地や家屋の評価額を見ることができます(無料)。

もし明らかに不当だと感じた場合は、納税通知書を受け取ってから3ヶ月以内に「審査申出」をすることができます。ただし、手続きは煩雑ですので、まずは役所の資産税課窓口で「なぜこの金額になったのか」を丁寧に説明してもらうことから始めるのが現実的です。

インフレ時代の固定資産税|今後も値上がりは続くのか

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「今年は上がったけど、来年は下がるだろう」という楽観視は禁物です。

建築資材の高騰と「再建築価格」への影響

前述の通り、建物の評価額を決める「再建築価格」は、物価(インフレ)の影響を強く受けます。世界的な資源高や人手不足が解消されない限り、建築コストが高止まりする状況は続きます。

かつてのように「家は持っているだけで税金が安くなっていく」という常識は、インフレ時代においては通用しなくなっています。

地価上昇エリアと人口減少エリアの二極化

今後の日本は、明確な二極化が進みます。

都心部や再開発エリアなど、人が集まる場所の地価は上昇を続け、それに伴い固定資産税も上がり続けるでしょう。一方で、人口減少が進む地方や郊外の不便なエリアは、地価が下落し、税金は下がる(あるいは横ばい)かもしれません。

「税金が上がる」ということは、裏を返せば「そのエリアの人気が高まっている」という証明でもあります。

視点を変える|「固定資産税の値上がり」は投資家にとって吉報?

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比較項目 自宅(居住用) 投資用不動産(賃貸)
固定資産税の扱い 家計からの支出(経費化 ×) 必要経費として計上(経費化 ○)
評価額上昇時の影響 税負担増のみ(恩恵なし) 税負担増+資産価値上昇+担保価値向上
インフレへの対応 負担増加の一方 家賃収入増+売却益期待+資産防衛効果
税金が上がる意味 「痛手」 「資産価値上昇の証明」
キャッシュフロー 給与→税金(出ていくのみ) 家賃収入→ 経費控除→ 利益
(編集部作成)

ここまでは「居住者(コスト負担者)」としての視点でしたが、少し視点を変えて「投資家」の目でこの現象を見てみましょう。

税金が上がる=資産価値が上がっている証拠

自宅の固定資産税が上がるのは単なる痛手ですが、もしこれが投資用不動産だったらどうでしょうか?

固定資産税評価額の上昇は、実勢価格(売れる価格)や担保価値の上昇と高い相関があります。つまり、税金が年間数万円上がったとしても、物件自体の価値が数百万円上がっていれば、トータルでは大きなプラスなのです。

「税金が高いエリア」は、言い換えれば「資産価値が落ちにくい、または上がる可能性が高いエリア」と言えます。

不動産投資なら固定資産税は「経費」になる

さらに、会社員などの個人投資家にとって大きいのが、税制上の扱いの違いです。

自宅の固定資産税は、給与から支払う「家計の消費」に過ぎません。しかし、賃貸経営を行っている場合、固定資産税は全額「必要経費」として計上できます

家賃収入から税金を差し引き、手残りの利益を計算できるため、実質的な負担感は自宅よりも軽くなります。この「経費化できる」というメリットは、資産形成において非常に強力です。

忙しい会社員こそ「都心・好立地」を持つべき理由

固定資産税が上がるような「地価上昇エリア」に物件を持つことは、インフレ時代における最強の資産防衛です。

税金が安いからといって、人口が減り地価が下がり続けるエリアの物件を買ってしまえば、税負担は軽くても、空室リスクや売却時の資産価値下落(キャピタルロス)で大損をする可能性があります。

多少税金が高くても、人が集まり続ける都心の好立地物件を選ぶこと。それが、入居需要(家賃収入)を維持し、将来的な売却益も狙える、最も理にかなった投資戦略です。

まとめ:税金の通知は資産の健康診断書

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固定資産税の値上がり通知は、一見するとショックな出来事です。しかし、中身をよく見れば、新築特例の終了という制度上の理由か、あるいはインフレによる資産価値の上昇という経済的な理由が見えてきます。

通知書が届いたら、まずはミスの有無を冷静にチェックしましょう。そして、もし「負担が重い」と感じるなら、それは資産構成を見直すタイミングかもしれません。

単に税金を払い続けるだけの「自宅」だけでなく、税金を経費にしつつ、インフレを味方につけて資産を増やす「不動産投資」の視点を取り入れてみる。そうすることで、固定資産税の通知書は、ただの請求書から、あなたの資産の健全性を示す「健康診断書」へと変わるはずです。

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