住宅ローン「みんないくら払ってる?」は危険? 毎月の返済平均は10〜11万円。でも平均に惑わされず負債を資産に変えよう
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マイホーム購入を検討する際、誰もが一度は「住宅ローン、みんないくら払ってるんだろう?」と気になるものです。周りの友人や同僚の返済額は、自分の計画が妥当かどうかを判断する上での一つの目安になります。

しかし、その「平均」だけにとらわれてしまうのは、実は非常に危険なことかもしれません。

この記事では、最新の公的データを基に、住宅ローンの平均額を徹底解説するとともに、平均に惑わされずに「あなたにとって最適な返済計画」を立てる方法、そして住宅ローンを単なる負債で終わらせず「未来の資産」に変える新しい視点までを提案します。

目次

  1. 住宅ローンの平均月間返済額と借入額
  2. 【属性別】住宅ローンの平均返済額・借入額を徹底比較
    1. 年収別の平均返済額と借入額
    2. 物件の種類別の平均借入額
    3. エリア(地域)別の平均借入額
    4. 年齢・家族構成別の平均像
  3. 平均額はあくまで参考。あなたにとっての「無理のない返済額」の決め方
    1. 基準①:返済負担率を20~25%に収める
    2. 基準②:年収倍率は5~6倍が目安
    3. 基準③:ライフプランの変化を考慮したシミュレーションを行う
  4. 【視点の転換】その住宅ローン、本当に「資産」になっていますか?
    1. マイホームが持つ「資産」と「負債」の両側面
    2. 住宅ローンを「未来への投資」に変える考え方
  5. 不労所得を目指すなら「不動産投資」という選択肢も
    1. 家賃収入でローンを返済する仕組み
    2. 居住用ローンと投資用ローンの違い
  6. 平均データから一歩先へ、あなただけの資産形成プランを

住宅ローンの平均月間返済額と借入額

住宅ローン「みんないくら払ってる?」は危険? 毎月の返済平均は10〜11万円。でも平均に惑わされず負債を資産に変えよう
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まず、検索ユーザーが最も知りたい「みんないくら払ってる?」という疑問にお答えします。最新の公的データによると、住宅ローンの平均像は以下のようになっています。

住宅金融支援機構の「2024年度 フラット35利用者調査」によれば、全国の平均月間返済額は約12.1万円、平均借入額は約3,780万円です。

また、国土交通省の「令和5年度 住宅市場動向調査」を見ると、注文住宅(土地代含む)の年間平均返済額は約174万円。これを単純に12ヵ月で割ると約14.5万円になりますが、ボーナス払い(年間約40万円と仮定)を併用しているケースを考慮すると、毎月の返済額は約11.2万円と算出でき、やはり10万円〜11万円台がひとつの目安と言えそうです。

【属性別】住宅ローンの平均返済額・借入額を徹底比較

住宅ローン「みんないくら払ってる?」は危険? 毎月の返済平均は10〜11万円。でも平均に惑わされず負債を資産に変えよう
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平均額を把握したところで、ここからは属性別にデータを深掘りしていきます。自身の年収や検討している物件、住んでいる・住みたいエリアなどと照らし合わせることで、よりリアルなイメージがつかめるはずです。

年収別の平均返済額と借入額

年収によって、組めるローンの額や毎月の返済額は大きく変わります。以下は、年収帯別の平均データです。

世帯年収 平均月間返済額 平均借入額 年収倍率
400万円未満 9.7万円 2,831万円 7.6倍
400万~600万円未満 11.6万円 3,611万円 7.0倍
600万~800万円未満 13.2万円 4,322万円 6.2倍
800万円以上 15.6万円 5,348万円 5.4倍
出典:住宅金融支援機構「2024年度 フラット35利用者調査」より算出

年収が上がるにつれて借入額も増えますが、年収倍率(借入額÷年収)は低くなる傾向が見られます。これは、高年収層ほど家計に余裕を持たせた堅実な資金計画を立てていることの表れかもしれません。

物件の種類別の平均借入額

購入する物件の種類によっても、必要な資金額は大きく異なります。

物件種別 平均購入資金 平均借入総額 平均世帯年収 平均月間返済額
土地付注文住宅 5,436万円 4,233万円 844万円 14.5万円
分譲戸建住宅 4,214万円 3,294万円 752万円 11.6万円
分譲マンション 5,279万円 3,491万円 960万円 12.8万円
中古戸建住宅 3,341万円 2,399万円 751万円 8.8万円
中古マンション 3,157万円 2,130万円 799万円 8.5万円
出典:国土交通省「令和5年度 住宅市場動向調査」より作成

一般的に、新築は中古よりも高額です。また、マンションは建物自体の価値は年々減少しますが、立地が良ければ価値が維持・上昇しやすく、中古戸建は土地の価値が残りやすいなど、資産価値の変動しやすさにも違いがある点を意識しておきましょう。

エリア(地域)別の平均借入額

物件価格は、どのエリアに住むかによっても大きく左右されます。

エリア 物件種別 平均借入額 平均所要資金(物件価格)
首都圏 分譲戸建住宅 5,099万円 3,918万円
分譲マンション 6,116万円 4,128万円
近畿圏 分譲戸建住宅 3,878万円 2,955万円
分譲マンション 4,786万円 2,989万円
東海圏 分譲戸建住宅 3,624万円 2,841万円
分譲マンション 4,679万円 2,946万円
出典:国土交通省「令和5年度 住宅市場動向調査」より作成

やはり首都圏が最も高額ですが、これは裏を返せば、将来的に資産価値が維持・向上しやすいエリアであるとも言えます。不動産における「立地」の重要性が、このデータからも見て取れます。

年齢・家族構成別の平均像

最後に、購入者の人物像についても見てみましょう。

  • 平均年齢:初めて住宅を取得する世帯主の平均年齢は40.1歳(令和5年度 住宅市場動向調査)。
  • 家族構成:「二人以上の世帯」が購入者の約8割を占めており、特に3人家族、4人家族が中心。

これらのデータから、「40歳前後で、子供が生まれたり大きくなったりしたタイミングで、世帯年収600万円前後のファミリーが、4,000万円程度のローンを組む」というのが、一つの平均的なモデルケースとして浮かび上がります。

平均額はあくまで参考。あなたにとっての「無理のない返済額」の決め方

住宅ローン「みんないくら払ってる?」は危険? 毎月の返済平均は10〜11万円。でも平均に惑わされず負債を資産に変えよう
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ここまで様々な平均データを見てきましたが、最も重要なのは「平均と比べて自分が多いか少ないか」ではありません。家族構成も、ライフプランも、お金に対する価値観も人それぞれ。

大切なのは、平均値ではなく「あなた自身の家計にとって無理のない返死済計画」を立てることです。そのための3つの基準を解説します。

基準①:返済負担率を20~25%に収める

無理のない返済計画を立てる上で最も重要な指標が「返済負担率(返済比率)」です。これは、年収に占める年間返済額の割合を示すもので、以下の式で計算します。

返済負担率(%) = 年間の総返済額 ÷ 年収 × 100

一般的に、この返済負担率が手取り年収の20%~25%以内に収まっていれば、家計を圧迫しすぎず、無理のない返済が可能とされています。

注意点は、計算に含める「年間の総返済額」には、住宅ローンだけでなく自動車ローンやカードローン、奨学金など、他のすべての借入の返済額を含めることです。これらを見落とすと、想定以上に家計が苦しくなるため、必ず合算しましょう。

基準②:年収倍率は5~6倍が目安

借入額の総額を決める際の目安となるのが「年収倍率」です。

年収倍率 = 住宅ローンの借入総額 ÷ 年収

近年の全国平均は6~7倍と高くなる傾向にありますが、将来の金利上昇リスクや教育費の増加なども考慮すると、無理のない範囲としては5~6倍程度を目指すのが堅実です。金融機関は年収の7倍、8倍まで貸してくれる場合もありますが、「借りられる額」と「無理なく返せる額」は違うということを肝に銘じておきましょう。

基準③:ライフプランの変化を考慮したシミュレーションを行う

住宅ローンは、30年、35年という超長期戦です。今の年収だけで返済計画を立てるのは非常に危険です。

子供の進学(教育費のピーク)、車の買い替え、転職や独立による収入の変動、親の介護など、これから起こりうる様々なライフイベントを時系列で書き出し、長期的な資金計画(キャッシュフロー表)を作成することが不可欠です。これにより、「10年後に教育費が最もかかる時期でも、ローン返済は大丈夫か?」といった未来のリスクを可視化し、備えることができます。

【視点の転換】その住宅ローン、本当に「資産」になっていますか?

住宅ローン「みんないくら払ってる?」は危険? 毎月の返済平均は10〜11万円。でも平均に惑わされず負債を資産に変えよう
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多くの人が「マイホームは一生に一度の買い物であり、夢の資産だ」と考えます。しかし、ここで一度立ち止まって「その住宅ローンは、本当に資産になっているか?」という問いを考えてみましょう。実は、マイホームは資産であると同時に、「負債」としての側面も強く持っているのです。

マイホームが持つ「資産」と「負債」の両側面

なぜマイホームが負債となりうるのか。それは、自身が住んでいる限り、家賃収入のような収益を一切生まないにも関わらず、税金や維持費といった支出(キャッシュアウト)が継続的に発生するからです。

資産としての側面 負債としての側面
団体信用生命保険による生命保険効果 金利負担(総返済額は元本より数百万~千万多くなる)
社会的信用力の向上(ローンを組める証明) 固定資産税・都市計画税などの各種税金
インフレ時に価値が上昇しやすいインフレ対策 修繕費、リフォーム費用などの維持管理費
完済すれば自分のものになるという精神的満足 すぐに売却できない流動性の低さ

このように、マイホームはプラスとマイナスの両面を併せ持ちます。この事実を冷静に受け止めることが、賢い資産形成の第一歩となります。

住宅ローンを「未来への投資」に変える考え方

住宅ローンを単なる「負債」で終わらせないためには、どうすればよいのでしょうか。

その答えは、「住宅ローンで得た『信用』を、次の資産形成に活かす」という視点を持つことです。

低金利で数千万円もの融資を長期で受けられる住宅ローンは、あなたの社会的信用力(クレジット)を最大限に活用する行為に他なりません。この「大きなローンを組んで、きちんと返済できる」という実績は、金融機関からのさらなる信頼につながります。

この信用力を活用した次のステップとして、収益を生み出す本物の資産、つまり「不労所得」を目指す不動産投資へと駒を進める道が開けてくるのです。

不労所得を目指すなら「不動産投資」という選択肢も

住宅ローン「みんないくら払ってる?」は危険? 毎月の返済平均は10〜11万円。でも平均に惑わされず負債を資産に変えよう
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住宅ローンが「自分が住むための家」の代金を支払うものであるのに対し、不動産投資は「他人に貸すための家」を購入し、収益を得ることを目的とします。

家賃収入でローンを返済する仕組み

不動産投資の最大の魅力は、「第三者(入居者)が支払う家賃収入で、銀行へのローンを返済していく」というビジネスモデルにあります。

これにより、自己資金の負担を最小限に抑えながら、自分名義の不動産という資産を形成していくことが可能です。給与から返済していく居住用ローンとは、お金の流れの構造が根本的に異なります。

居住用ローンと投資用ローンの違い

ここで注意したいのは、両者のローンはまったくの別物であるという点です。

項目 居住用ローン(住宅ローン) 投資用ローン(アパートローンなど)
金利 低い(0%台~) 高い(1%台後半~)
審査基準 契約者の返済能力(年収、勤務先)を重視 物件の収益性(事業計画)を重視
対象物件 契約者自身が住むための物件 賃貸経営を行い、収益を上げるための物件

住宅ローンを投資用物件に使うことは契約違反となります。不動産投資を始める際は、必ず専用の投資用ローンを組む必要があります。専門的な知識が求められるため、信頼できる不動産会社に相談することが成功の鍵となります。

平均データから一歩先へ、あなただけの資産形成プランを

住宅ローン「みんないくら払ってる?」は危険? 毎月の返済平均は10〜11万円。でも平均に惑わされず負債を資産に変えよう
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今回は、住宅ローンの平均額から、自分に合った返済計画の立て方、そしてローンを資産に変える考え方までを解説しました。

  1. 住宅ローンの毎月返済額の平均は約10~11万円だが、あくまで参考値。
  2. 重要なのは、返済負担率(20~25%)やライフプランを基に、あなた自身にとっての「無理のない返済額」を見つけること。
  3. 住宅ローンを「負債」で終わらせず、そこで得た信用力を次のステップに活かし、資産形成の第一歩と捉える視点も重要。
  4. その具体的なステップとして、家賃収入でローンを返済する「不動産投資」という選択肢がある。

「みんないくら払ってる?」という疑問から一歩踏み出し、あなただけの、そして未来を見据えた資産形成プランを考えてみませんか。まずは専門家に相談し、情報収集を始めることからスタートしましょう。

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