

不動産投資に関心を持ったとき、「誰に相談すべきか」という悩みは多くの方が直面する問題です。相談先によって得られる情報やアドバイスは異なり、ときにはその内容が購入する物件や投資戦略に大きな影響を与えることもあります。本記事では、相談先の選び方や、押さえておきたいポイントについて解説します。
目次
1.不動産投資のおすすめの相談先

不動産投資の相談先は、不動産投資会社や専門家などさまざまな選択肢があります。それぞれの特性を理解して、自分に合った相談先を見つけることが大切です。ここでは、代表的な相談先とその特徴を紹介します。
1-1.不動産投資会社
不動産投資会社は、投資用不動産の販売を専門とする会社です。自社開発の新築物件を扱う会社や、中古物件を仕入れて販売する会社など、形態はさまざまです。投資目的の物件を専門的に取り扱っており、市場動向や収益性に関する情報に精通しているため、投資初心者にとっても頼りになる相談先です。
1-2.不動産投資家
身近に不動産投資家の知人がいれば、実体験に基づいた実践的なアドバイスが得られる可能性があります。ただし、相談する相手は自分と資産状況が近い人が適しており、あまりに資産規模が異なると参考になりにくい場合があります。
1-3.不動産仲介会社
不動産仲介会社は、売主と買主、貸主と借主の間を取り持って取引を成立させる役割を担っています。多くの物件を取り扱っており、物件探しを兼ねて相談したい場合には適しています。ただし、投資に関する助言や戦略的なサポートは限定的です。
1-4.ファイナンシャルプランナー
ファイナンシャルプランナーは、家計管理や保険、税金、資産運用など、お金に関する幅広い分野の知識を持つ専門家です。不動産投資についても、相談者の資産状況や投資の目的、リスク許容度をふまえて、長期的な視点でプランを立てる手助けをしてくれます。ただし、物件の紹介や契約など、実際の購入に関わるサポートは行っていないため、その点は事前に理解しておく必要があります。
1-5.金融機関
金融機関は、不動産投資ローンの相談先として適しています。借入可能額や金利、返済期間、必要な頭金の目安など、資金計画を立てるうえで必要な情報を得ることができます。具体的にどの程度の物件であれば購入が可能かといった大まかな方向性を把握するには最適な相談先といえるでしょう。
1-6.税理士
税理士は、不動産投資に関する確定申告や節税、相続対策などについて専門的な助言をしてくれます。継続的な顧問契約が必要な場合もありますが、単発の相談であれば1時間あたり1~3万円程度の費用に抑えられることが一般的です。
2.信頼できる不動産投資相談先を選ぶポイント

信頼できる相談先を見つけることは、不動産投資の成功に直結します。とはいえ、数ある相談先の中から適切な相手を見極めるのは容易ではありません。ここでは、相談先を選ぶうえで注意したい5つのポイントを紹介します。
2-1.実績や評判を確認する
インターネットの口コミサイトやレビューサイトで実績や評判を確認するのは参考になります。公式サイトは基本的にマイナスになることは書かれていないため、ユーザーの本音が投稿される口コミサイトなどで確認したほうがよいでしょう。
ほかには、税理士などの専門家であれば紹介サイトを利用する方法があります。また不動産投資会社の場合は「不動産投資セミナー」に参加して会社の雰囲気を確認するのも1つの方法です。
2-2.専門性と提供サービスの範囲
相談先がどの分野に強みを持ち、どこまでサポートしてくれるのかを事前に確認しておくことは重要です。たとえば、ファイナンシャルプランナーは資金計画に強い一方で、具体的な物件の選定には関与しません。反対に、不動産投資会社は物件に関する知識が豊富ですが、税務や家計全体に関する相談には対応できない場合もあります。
また、物件タイプによっては専門性の高い不動産投資会社があります。商業ビルや海外不動産などは、すべての会社が対応しているとは限りません。自身の目的に合った不動産投資会社を選ぶことが重要です。
2-3.費用と利用条件の明瞭性
相談相手が専門家である場合、費用や利用条件を事前に確認することが大切な判断基準です。公式サイトに掲載されていれば事前に把握できますが、明記されていない場合は電話などで問い合わせて確認しておきましょう。料金体系が不明確な場合は、候補から外す判断も必要です。
また、不動産投資会社の中には、専属のコンサルタントが継続的にアドバイスを行う有料サービスを提供している会社もあります。
2-4.管理物件の入居率と提携金融機関の数
不動産投資会社の管理能力を見極めるには、管理物件の入居率が参考になります。実績のある会社では、95%以上の入居率となっていることが多く、管理がしっかりしているかの目安になります。
また、提携している金融機関の数もポイントです。不動産投資会社を通じて紹介された場合、金融機関の融資審査で有利に働く可能性があります。提携金融機関が多い会社のほうが、融資面で柔軟な対応が期待できるでしょう。
2-5.担当者の人柄や相談のしやすさ
どの相談先を選ぶ場合でも、担当者との相性は非常に重要です。話しやすい雰囲気があるか、親身になって対応してくれるかどうかは、信頼関係を築くうえで欠かせないポイントです。不動産投資会社や仲介会社であれば、担当者の知識や提案力がその後の対応に影響する可能性があります。
とくに不動産投資が初めての方にとっては、安心して話ができる雰囲気があるかどうかが重要です。初回面談などで不安や違和感を感じた場合は、別の相談先を検討する柔軟さも必要です。
3.不動産投資の相談をする際に押さえておくべきポイント

不動産投資は、相談内容やその場の判断次第で、購入する物件や将来の収益性が変わってしまう場合があります。理想に近い物件を選ぶには、相談に臨む際の準備が重要です。以下に、不動産投資の相談をする際に押さえておきたいポイントを5つ紹介します。
3-1.不動産投資の目的を明確にする
不動産投資で成功するには、投資する目的を明確にすることが大切です。目的を明確にして相談するほうが、担当者も相応しい物件を探しやすくなります。目的が定まっていないと、相談先も適切なアドバイスができませんし、物件選びの軸もぶれてしまいます。
たとえば、老後の資産形成を目指すのか、短期的なキャッシュフローを重視するのかで、選ぶべき物件やローンの組み方も変わります。収益目標や運用期間など、自分なりのゴールをあらかじめ整理しておきましょう。
3-2.不動産投資の基礎知識を身に付けておく
相談に行く前に、不動産投資に関する基本的な知識を身に付けておくことも大切です。知識がまったくないままだと、担当者の提案を鵜呑みにしてしまい、適切な判断ができない可能性があります。
特に、マンションなど購入したい物件タイプがある程度決まっている場合は、その分野のサイトや書籍などで情報収集しておきましょう。基礎知識を持っていることで、提案内容の妥当性を判断しやすくなります。
3-3.事前に必要な書類と質問を準備しておく
相談の機会を最大限に活かすためには、事前に必要な資料を整えておくことに加え、相談したい内容や確認すべき論点を明確にしておくことが重要です。
また、相談の場では、資金計画、運用シミュレーション、ローン条件など多岐にわたるテーマが取り上げられることが想定されます。優先順位をつけて論点を整理しておくことで、相談時間内に必要な情報を的確に得ることができるでしょう。
3-4.自身の資産状況を把握しておく
不動産投資について相談する場では、資産状況を確認されることが多くあります。手元資金や借入の有無など、資産状況によって購入できる物件やローンの条件が変わってくるため、自身の資産をあらかじめ把握しておくことが重要です。
資産内容をまとめた一覧表を作成しておくと、相談を受ける側に好印象を与えるだけでなく、より現実的な提案を受けやすくなります。借入金がある場合も含めて、正確に記載しておくとよいでしょう。
3-5.提案内容に対して慎重に検討する
提案された内容については、その場で即決せず、一度持ち帰って慎重に検討することが大切です。不動産投資会社からの提案に対して、第三者の視点を入れたい場合は、ファイナンシャルプランナーなどに相談するのもよいでしょう。
日本FP協会が認定しているファイナンシャルプランナーが設定している相談料で最も多いのが1時間5,000円~1万円未満なので、気軽に相談できます。
4.不動産投資でよくある相談内容と回答

不動産投資を検討している人からは、共通する悩みや疑問が多く寄せられます。ここでは、よくある相談内容とその回答を紹介します。
4-1.Q.自己資金はどれくらい必要?
物件を購入する際の自己資金の目安は、物件価格の10~30%程度といわれています。購入時には頭金以外にも各種の諸費用が発生するため、30%程度を見込んでおけば安心です。
ただし、すべての資金を頭金や諸費用に充ててしまうと、運用開始後の修繕費や空室時の支出に対応できなくなる可能性があります。無理のない資金計画を立て、一定の予備資金を確保しておくことが大切です。
4-2.Q.物件購入代金以外に必要な費用は?
不動産投資では、物件購入代金(頭金含む)以外にもさまざまな費用がかかります。具体的には、以下のような初期費用が必要になります。
・登録免許税
・司法書士報酬(登記を依頼する場合)
・不動産取得税
・印紙代
・ローン手数料
・ローン保証料
・損害保険料(火災保険料・地震保険料)
・固定資産税・都市計画税(中古物件の場合は購入時点で日割り計算)
4-3.Q.家賃収入でローン返済は可能?
可能です。不動産投資の基本的な構造は、家賃収入でローンの返済を行い、最終的に黒字を確保するというものです。ローン返済額は、毎月の家賃収入から管理費や修繕費、税金などの経費を差し引いたうえで黒字が出る範囲で設定する必要があります。
ローン完済後は、毎月の家賃収入から経費を引いた金額がそのまま手残りになるため、老後の安定収入を目指す場合には有効な投資手段といえます。
4-4.Q.不動産投資ローンの融資条件は?
不動産投資ローンの融資条件は金融機関によって異なりますが、主に以下のような内容が設けられています。
・融資金額(例:1億円以内など)
・融資期間(例:最長35年)
・返済方法(元利均等払い、元金均等払いなど)
・金利タイプ(変動金利、期間選択型固定金利、全期間固定型金利など)
以上のほかにも各種条件があるので、詳細は金融機関の公式サイトで確認することが必要です。
4-5.Q.物件の管理はどうすればいい?
物件の管理は、自主管理も可能ですが、不動産管理会社に委託するのが一般的です。委託する場合は、家賃の5%程度の管理委託手数料がかかります。
購入先が管理まで一貫して行っている不動産投資会社であれば、物件の構造や設備にも精通しており、トラブル時の対応もスムーズです。そのまま管理を任せられる点も、安心材料のひとつといえるでしょう。
4-6.Q.新築と中古、どちらを選ぶべき?
空室や修繕のリスクをできるだけ抑えたいのであれば、新築物件を選ぶのが現実的です。新築は築年数が浅く、設備も最新であるため、入居希望者からの関心が高く、空室リスクを抑えやすいというメリットがあります。
また、建物の状態も良好なため、当面は大きな修繕費が発生しにくく、安定的な運用がしやすい点も利点です。中古物件は新築より価格が安く、表面利回りが高く見える傾向にありますが、空室や修繕によって実質的な収益が下がる可能性もあります。購入前には物件の状態や周辺環境、過去の修繕履歴などをしっかり確認しましょう。
4-7.Q.どのエリアの物件がおすすめ?
不動産投資では、安定的な入居需要が見込めるエリアを選ぶことが重要です。おすすめは、東京23区、横浜市、川崎市、名古屋市、大阪市など、大都市圏で駅から徒歩10分以内の物件です。
特にワンルームマンションは、単身会社員や学生が入居者の中心なので、通勤・通学に便利な駅近物件が好まれます。
4-8.Q.リスクを抑えて運用する方法はある?
リスクをできるだけ抑えて運用したい場合は、まず立地の良いエリアにある需要の高い物件を選ぶことが基本です。入居希望者が多く、築浅または新築の物件であれば、空室や修繕のリスクを抑えやすくなります。
また、家賃収入を安定させたい場合は「サブリース契約」を活用する方法もあります。管理会社が物件を一括で借り上げ、空室があっても一定額の賃料が支払われる仕組みです。ただし、契約内容によっては途中で賃料が引き下げられることもあるため、条件を十分に確認し、慎重に判断することが大切です。
5.注意したい不動産投資会社の特徴

不動産投資会社の中には、顧客本位ではなく、自社の利益を優先するような対応をする会社も存在します。こうした会社と関わってしまうと、資金や時間を無駄にするだけでなく、大きな損失につながるおそれもあります。ここでは、相談や面談の際に注意すべき特徴を紹介します。
5-1.投資の目的を確認しようとしない
投資の目的や将来の見通しについて確認しようとしない担当者は注意が必要です。顧客の希望を十分に把握しないまま、会社側の事情で販売したい物件を一方的に勧めてくる可能性があります。
通常であれば、まず顧客の投資目的や資金計画などを丁寧にヒアリングし、それに合った提案を行うのが基本的な流れです。そのプロセスを省き、すぐに物件の紹介に入るような場合は、信頼性に欠けるといえるでしょう。
5-2.契約を必要以上に急がせる
早く契約を結ぶよう圧力をかけてくる場合も要注意です。例えば「すぐに決めないと他の人に取られてしまう」といったセールストークや、「今日中に決断してくれたら特別価格にする」といった煽りが見られる場合は、焦らせることで冷静な判断を妨げようとしている可能性があります。
販売期限や会社の都合(決算期など)を理由にした急な勧誘には、慎重に対応する必要があります。重要な投資判断は、十分な検討時間をもって行うべきです。
5-3.リスクやデメリットをきちんと説明しない
不動産投資には、物件の種類や立地、管理状況などに応じてさまざまなリスクが存在します。そうしたリスクやデメリットを一切伝えず、良い話ばかりをする担当者には注意が必要です。
例えば、事故物件や近隣環境の問題、施設の撤退など、将来的に入居率や収益性に影響を与えるような情報は、事前に説明されるべきです。これらを意図的に伏せたまま物件を勧める会社は、誠実さに欠けると判断してよいでしょう。
6.不動産投資は信頼できる相談先を見つけることが成功のポイント

不動産投資では、物件選び、資金計画、購入後の管理など、判断すべき要素が多岐にわたります。特に初めて投資を行う方にとっては、ひとつひとつの判断が将来の成果に直結するため、不安や迷いを感じる場面も少なくありません。
だからこそ、信頼できる相談先を持つことが、投資を成功に導くうえで欠かせないポイントになります。適切なアドバイスを受けることで、選択肢の幅が広がるだけでなく、リスクの回避や長期的な視点での判断もしやすくなります。
特に、不動産投資に特化した会社であれば、投資目的に沿った物件提案や融資の相談、購入後のサポートまで一貫して対応してもらえるケースも多く、初心者でも安心して進められます。不動産投資を検討している場合は、まず信頼できるパートナーを見つけることから始めてみましょう。それが、将来の資産形成に向けた第一歩になります。
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