

ワンルームマンション投資は、不動産投資のなかでも代表的な手法の一つです。比較的少額から始められ、安定した家賃収入を目指せるため、初心者からベテラン投資家まで幅広く選ばれています。しかし、継続的に収益を上げるためには、物件選びや空室リスクへの対応など、事前に考慮すべきポイントも少なくありません。
本記事では、ワンルームマンション投資を始める前に知っておきたいメリットや注意点、失敗しないためのポイントなどについて解説します。
目次
1.ワンルームマンション投資とは?

ワンルームマンション投資とは、主に分譲マンションの1室を購入し、第三者に貸し出すことで家賃収入を得る投資手法です。
アパートなどの一棟投資では、物件を丸ごと所有し、その管理責任も全て負いますが、ワンルームマンション投資は区分所有のため、建物全体の管理責任を単独で負うことはありません。また、戸建て住宅は専有面積や間取り、構造(二階建て、平屋など)が物件ごとに大きく異なりますが、ワンルームマンションは似たような構造のものが多く、物件選びや価格比較がしやすい点が特徴です。
一般的に、ワンルームマンションの投資額は、一棟物件や戸建て住宅よりも少額で済む傾向があり、不動産投資の初心者にも取り組みやすい選択肢といえます。
2.ワンルームマンション投資の仕組み

ワンルームマンション投資では、まずオーナーが金融機関から融資を受けて物件を購入します(全額自己資金で購入する場合もあります)。購入後は、物件を第三者に貸し出し、家賃収入を得ます。なお、不動産管理会社に管理を委託している場合、管理会社が入居者から家賃を集金し、オーナーの銀行口座に振り込みます。
その後、受け取った家賃収入からローンの返済を行い、必要経費を差し引きます。そして、最終的に手元に残った金額が利益となります。このように、家賃収入を原資としてローン返済を進め、安定した利益を目指すのがワンルームマンション投資の基本的な仕組みです。
3.ワンルームマンション投資のメリット

多くの不動産投資家がワンルームマンション投資を選ぶ理由は、他の物件タイプにはない、数々のメリットがあるからです。代表的な7つのメリットを見ていきましょう。
3-1.初期費用を抑えやすい
ワンルームマンションは、一棟物件やファミリー向けマンションに比べて初期費用を抑えやすいというメリットがあります。他の物件タイプよりも価格が安いことから、若い年代の人でも早いタイミングで投資を始めやすく、ローン返済の負担が少ない点が魅力です。
3-2.需要が高く安定収入が見込める
ワンルームマンションの主要な入居者は、単身の会社員や学生などです。こうした人たちは通勤・通学の利便性を重視するため、駅から徒歩10分以内など立地条件の良い物件は常に高い需要があり、安定した家賃収入が見込めます。また、需要が高ければ万一空室が出ても、次の入居者が見つかるのも早いというメリットがあります。
3-3.分散投資がしやすい
金融投資では、リスクを軽減するために分散投資をすることが基本とされています。しかし、不動産は高額な資産であるため、複数の物件を所有するのは難しいと考える人も多いでしょう。その点、ワンルームマンションであれば初期投資額が比較的少なく、異なるエリアに複数の物件を保有することも可能です。地震や豪雨などの自然災害リスクに備える意味でも、分散投資は有効な手段といえます。
また、すでにファミリー物件を所有している投資家にとっても、異なるタイプの物件としてワンルームマンションを追加することは、有効なリスク対策となります。
3-4.管理の手間が少ない
不動産投資では、物件管理がオーナーにとって大きな負担となります。特に一棟マンションやアパートの場合、建物全体の管理責任を負う必要があります。
一方、区分所有のワンルームマンションであれば、管理対象は1室のみのため、管理の負担が大幅に軽減されます。加えて、多くのオーナーは不動産管理会社に管理を委託しているため、実際には手間がほとんどかからないケースが一般的です。
3-5.売却がしやすい
ワンルームマンションは流動性が高く、売却しやすい点も大きなメリットです。市場での取引件数が多いため、常に一定の購入需要があります。ただし、どの物件でも売れるわけではなく、特に大都市圏で駅徒歩10分以内など、資産価値の高い物件が好まれます。購入時に好立地物件を選ぶことが、将来的な売却のしやすさにつながります。
3-6.修繕やリノベーションがしやすい
ワンルームマンションも築年数の経過とともに修繕が必要になりますが、ファミリー物件に比べて修繕の負担が軽い点がメリットです。3LDKや4LDKなどの物件では部屋数が多いため修繕箇所も増えますが、ワンルームマンションは専有面積が狭く、修繕費用も比較的少額で済みます。また、空室対策としてリノベーションを行う場合でも小規模で済み、コスト負担を抑えることができます。
3-7.税金や年金対策、生命保険代わりにも
投資用のワンルームマンションは、収益物件としての機能だけでなく、税金や年金対策、生命保険の代わりとしての役割も果たします。
3-7-1.税金対策
購入初年度は初期費用がかさむため、不動産所得が赤字になるケースも少なくありません。この場合、「損益通算」を行うことで、不動産所得の赤字分を給与所得などの他の所得と相殺でき、その結果として所得税や住民税の負担を軽減することが可能です。さらに、相続時には現金よりも不動産のほうが相続税の課税評価額が低くなる傾向があり、相続税の節税にもつながります。
3-7-2.年金対策
ローン完済後は、家賃収入から必要経費を差し引いた大部分が手元に残るため、私的年金としての役割を果たします。65歳の年金支給開始に合わせてローン完済時期を設定すれば、老後の安定した収入源として活用できます。
3-7-3.生命保険代わり
ローン契約時には、団体信用生命保険に加入するのが一般的です。この保険により、契約者が死亡または高度障害状態となった場合、保険金でローン残債が完済され、家族にはローンのないマンションを遺すことができます。そのため、不動産投資は生命保険の代わりとしても活用できるといわれています。
4.ワンルームマンション投資のデメリット、リスク

メリットが多いワンルームマンション投資ですが、デメリットやリスクがまったくないわけではありません。投資を始める前に、以下の点をしっかり理解しておくことが重要です。
4-1.入居期間が短い傾向にある
賃貸経営では、1人の入居者が長く住んでくれるのが理想ですが、ワンルームマンションは主に単身会社員や学生が住むため、入居期間が短い傾向があります。独身の会社員は結婚を機に、学生は卒業後に退去することが多く、ファミリー物件のように長期間住み続けるケースはあまり期待できません。
そのため、ワンルームマンション投資では入居者の入れ替わりを前提とした運営が求められます。特に、通勤・通学に便利で生活利便性の高いエリアを選ぶことで、次の入居者を見つけやすくなります。
4-2.1室のみだと空室時に収入が途絶える
ワンルームマンション投資の最大のリスクは、1室のみを所有している場合、空室が発生すると家賃収入が完全に途絶えてしまうことです。収入がない期間もローン返済や管理費などの固定費は発生するため、その間は預貯金や給与から補わなければなりません。空室が長引けば、家計への負担も大きくなります。
このリスクを軽減するためには、2室以上の物件を保有して収入源を分散させることが有効です。仮に1室で空室が発生しても、他の物件からの家賃収入でカバーできるため、安定したキャッシュフローの維持につながります。
4-3.節税効果が限定的になる場合も
前述の「損益通算」は節税対策として有効ですが、ワンルームマンションは一棟物件やファミリー物件に比べて価格が低いため、その分、節税効果が限定的になる場合があります。
節税効果を高めたい場合は、初期費用が多くかかる新築物件を検討するのも一つの方法です。なかでも、大都市圏の駅徒歩10分以内といった資産価値の高い立地にある新築ワンルームマンションは、節税効果だけでなく将来的な資産価値の維持もしやすく、売却時の利益も期待できます。
5.ワンルームマンション投資で失敗しないためのポイント

ワンルームマンション投資を成功させるためには、いくつかの重要なポイントを押さえておく必要があります。特に以下の5つは、失敗を避けるために欠かせないポイントです。
5-1.長期目線で運用計画を立てる
不動産投資は基本的に長期投資であるため、運用計画も長期的な視点で立てることが重要です。単に家賃収入やローン返済の見通しを立てるだけでなく、将来的な家賃の値下げや、築年数の経過に伴う修繕積立金の値上げといったコスト増も考慮する必要があります。これらを含めたシミュレーションを行うことで、突発的な支出にも対応できる安定した運用が可能になります。
5-2.立地条件の良い物件を選ぶ
「不動産投資は立地がすべて」といわれるほど、立地条件は物件選びの最重要ポイントです。マンション経営の成否は、入居者を安定して確保できるかどうかにかかっています。いくら価格が安くても、駅から遠いなど利便性の悪い物件では入居者が集まらず、家賃収入が途絶えるリスクが高まります。
一方、駅近などの好立地物件であれば、多少価格が高くても入居者が途切れにくく、安定した家賃収入が見込めます。購入時には「立地の良さ」を最優先で考慮しましょう。
5-3.不動産投資について継続的に情報収集を行う
投資の世界では、情報収集が成果に大きく影響します。不動産投資は株式などの金融投資ほど変動は激しくありませんが、市場動向や入居者ニーズを把握し続けることは重要です。
例えば、SUUMOが毎年発表する「住みたい街ランキング」は、今どのエリアが注目されているかを知るのに役立ちます。また、全国賃貸住宅新聞社が発表する「賃貸住宅の人気設備ランキング」も、入居者に人気の設備を把握でき、リフォームや設備投資の参考になります。
5-4.信頼できる不動産会社を選ぶ
ワンルームマンション投資をはじめとする家賃収入を目的としたインカムゲイン投資は、長期的な運用が前提となるため、信頼できる不動産会社の選定が極めて重要です。特に、物件の売買だけでなく、管理まで一貫して任せられる総合不動産会社を選ぶことが成功への鍵となります。総合不動産会社であれば、購入後の物件管理や入居者対応まで幅広くサポートしてくれるため、マンション経営の心強いパートナーとなるでしょう。
さらに、良心的な不動産会社は「オーナーを育てる」という姿勢を持っており、経営に関する悩みや疑問に対しても親身に対応し、適切なアドバイスを提供してくれます。このような会社と連携することで、より安心して長期的なマンション経営を進めることができます。
5-5.新築ワンルームマンションを選ぶ
ワンルームマンションの購入を検討する際、新築と中古のどちらを選ぶべきか迷う人は少なくありません。中古物件は初期投資額を抑えられ、表面利回りも高めであることから魅力的に感じます。しかし、長期的な運用を考えると、新築物件のほうがリスクを抑えやすいでしょう。
特に、初めてワンルームマンション投資を行う場合は、入居者を安定して確保することが重要です。新築物件は広告効果が高く、入居者が早期に決まりやすい傾向があります。一方、中古物件では入居者が見つかるまで時間がかかることが多く、空室リスクが増す可能性があります。
さらに、新築物件は当面の間、大規模な修繕が不要なため、初期の運営コストを抑えられるというメリットもあります。このように、長期的な安定運用を目指すなら、新築ワンルームマンションを選ぶことをおすすめします。
6.新築ワンルームマンション投資の魅力

新築ワンルームマンションには、中古物件にはないさまざまな魅力があります。特に以下の5つのポイントは、新築物件ならではの大きな魅力といえます
6-1.金融機関から融資を受けやすい
新築物件は担保価値が高く、金融機関の融資審査で有利に働く点が大きな魅力です。法定耐用年数が長く、資産価値を維持しやすいため、将来的に買い手が見つかりやすいことも金融機関から高く評価されます。さらに、最新の設備が整っていることで入居者に選ばれやすく、安定した家賃収入が期待できる点も融資審査でのプラス材料となります。
一方、中古物件は法定耐用年数が短く、建物の劣化が進んでいる場合が多いため、担保価値が下がり、融資条件が厳しくなったり、融資額が制限されたりすることがあります。
6-2.家賃を高めに設定できる
マンション経営の収益性は家賃設定によって大きく左右されますが、新築ワンルームマンションは家賃を高めに設定しやすいというメリットがあります。新築物件に特化して探す入居者が一定数いるうえ、供給自体が限られているため、新築というだけで付加価値が生まれ、周辺の中古物件との差別化がしやすくなります。その結果、家賃を高めに設定しやすくなるのです。
6-3.修繕費が発生しにくい
新築物件は設備が新しく、適切な維持管理を行えば、当面の間、大規模な修繕が必要になることはほとんどありません。そのため、運用コストを抑えやすい点が大きな魅力です。
一方、中古物件では設備の経年劣化が進んでいることが多く、給排水管の交換や外壁の補修など、予想外の修繕費が発生する可能性があります。突発的な出費はキャッシュフローに悪影響を与えるため、特に投資初心者にとっては注意が必要です。
6-4.最新設備で入居者を集めやすい
新築ワンルームマンションは、最新設備が備わっている点も大きな魅力です。防犯システムや宅配ボックスなど、人気の設備を備えているため、物件広告でのアピール力が高く、入居者を集めやすいのが特徴です。こうした付加価値により、競合物件と差別化できるだけでなく、家賃の維持もしやすくなります。その結果、長期的な収益の安定化が期待できます。
6-5.長期にわたって運用できる
RC造やSRC造の新築ワンルームマンションは、法定耐用年数が47年と長く、長期運用に適しています。例えば、30歳で物件を購入し、35年ローンを組んだ場合、65歳で完済した後も築35年の状態で運用を続けることができます。ローン完済後は家賃収入がそのまま手元に残るため、公的年金と合わせて老後資金の確保にもつながります。
7.ワンルームマンション投資をするなら都心部がおすすめ

ワンルームマンション投資を検討するなら、都心部の物件を選ぶことをおすすめします。東京都なら東京23区、神奈川県なら横浜市、愛知県なら名古屋市などの都心部では、需要の安定性や将来的な資産価値の向上といったメリットが多く、安定したマンション経営が期待できます。
7-1.理由①空室リスクを最小限に抑えられる
先に述べたように、ワンルームマンションの主な入居者である単身者は、通勤や通学の利便性を重視するため、駅近物件を好む傾向があります。特に、都心部の駅から徒歩10分以内の物件であれば、常に一定の需要が見込めるため、空室リスクを最小限に抑えることが可能です。
7-2.理由②賃料アップを狙える
東京23区の分譲マンション賃料は右肩上がりで上昇が続いています。東京カンテイのプレスリリース(2025年1月16日版)によると、2024年における東京都の分譲マンション平均賃料は、4,295円/㎡で前年比の3.4%上昇しました。また、横浜市は3,028円/㎡、大阪市は3,085円/㎡となり、ともに初の㎡単価3,000円の大台に乗りました。
他の大都市でも、神戸市は横ばいを維持しているものの、千葉市・さいたま市・名古屋市は賃料が右肩上がりで上昇しています。このような都心部では、今後も賃料が上昇する可能性が高いため、投資先として魅力的です。
7-3.理由③再開発による資産価値向上の可能性も
都心部では、再開発エリアの物件を所有することで資産価値の上昇も期待できます。再開発によって周辺環境が整備され、物件の評価が上がることは少なくありません。
例えば、東京の渋谷駅前や明治神宮外苑の再開発は広く知られていますが、JR中央線中野駅前の再開発も注目を集めています。人気施設だった「中野サンプラザ」が解体され、周辺土地と合わせて大規模な再開発工事が進行中です。このようなエリアにマンションを所有していれば、資産価値の向上が期待できるでしょう。
8.ワンルームマンション投資は不動産投資の王道

ワンルームマンション投資は、安定した収益を狙えることから、多くの不動産投資家に選ばれている人気の投資手法です。ただし、全ての物件が収益性の高い投資先になるわけではありません。記事内で紹介した「失敗しないためのポイント」を参考にしながら、慎重に物件を選ぶことが成功の鍵となります。
また、物件選びと同じくらい重要なのが、不動産会社選びです。特に、ワンルームマンションに精通した不動産会社であれば、購入後の運用や管理まで一貫したサポートが期待できます。不動産会社が主催するマンション投資セミナーに参加すれば、会社の雰囲気や担当者の対応力も直接確認できるでしょう。まずは、新築ワンルームマンションを得意とする不動産会社に気軽に相談してみてはいかがでしょうか。
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