最終更新日:2024/8/22
 
買ってはいけない中古マンションとは?購入時の6つの注意点や特徴5選
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マンション経営を始めたいと考えた時、価格の安さゆえに一度は検討するのが中古マンションです。

しかし、価格が安いことは魅力ですが、安さと引き換えに中古マンションには特有の注意点やリスクもあります。特にリスクの観点から、中古マンションには「買ってはいけない」とされる物件があることも事実です。

本記事では、買ってはいけない中古マンションとはどんな物件なのかを解説し、マンション経営成功への道をご案内します。

田中 タスク
田中 タスク
エンジニアやWeb制作などを経験した後にFXと出会い、それを契機に投資系ライターとしての活動を開始。自身もさまざまな投資を経験し、その経験をいかした執筆活動に強みをもつ。長期的な視野にたって資産運用の重要性を強く感じ、不動産投資を含む中長期的な投資の生きた情報を発信するための記事制作に取り組む。初心者向けの資産運用アドバイスにも注力、安心の老後を迎えるために必要なマネーリテラシー向上の必要性を発信中。

目次

  1. マンション経営で中古マンションを購入する際の注意点6つ
    1. 築年数
    2. リフォーム、リノベーション費用
    3. 新築時よりも立地条件が悪くなっている
    4. 耐震基準
    5. 法令違反
    6. 定期借地権
  2. 買ってはいけない中古マンションの特徴5選
    1. 相場から逸脱して異常に安い
    2. 築年数が古すぎる
    3. デザイナーズマンション
    4. 最寄駅から遠い、最寄駅に各停しか停まらない
    5. 聞き慣れないマンションブランド
  3. 新築なら中古マンションのリスクと無縁
    1. 新築マンションのメリット
    2. 新築マンションは初心者向き
    3. 新築マンション経営で成功するために
  4. 4.まとめ

マンション経営で中古マンションを購入する際の注意点6つ

買ってはいけない中古マンションとは?購入時の6つの注意点や特徴5選
(画像=camerapapa/stock.adobe.com)

投資目的で中古マンションを購入する際には、いくつかの注意点があります。ここでは注意点を6つの項目に整理して解説しますので、中古マンションの物件選びに役立ててください。

築年数

築年数はマンションの年齢なので、「高齢」になるほど価値は低くなります。取引価格が安くなるだけでなく賃貸住宅としての家賃相場も同時に下がっていくケースもあるため、どのタイミングで買っても不利になることはないように感じます。しかしそれは、築年数と物件価格が正比例している場合にのみいえることです。

買った直後に大きく価格が下落するタイミングで購入するのは不利になるので、この価格推移を見る限り、築10年までの物件や築16年から30年までの物件は「買ってはいけない」と判断できます。あくまでも安さにこだわるのであれば、価格の下落が止まる築30年以降の中古マンションを購入するのが適切といえます。

リフォーム、リノベーション費用

中古マンションを購入する際には、物件の状態によってリフォームやリノベーションが必要になることがあります。こうした工事をすることによって物件を再生すれば集客力を高めることができますが、ここで重要になるのがコストパフォーマンスです。

物件の状態が悪くリフォームやリノベーションの工事費用がかさんでしまうようだと、安く中古マンションを買えたとしても意味がなくなってしまいます。

投資目的で中古マンションを購入する際には、物件を手直しするための費用がどれほど必要かを事前に見積もっておき、中古マンションを購入するメリットがあるかどうかを精査しましょう。

新築時よりも立地条件が悪くなっている

中古マンションには歴史があり、歴史の展開によっては、そのマンションが新築だった当時と周辺事情が変わってしまっていることがあります。新築時には近隣に大学や大手企業の工場など、賃貸マンションの需要を喚起するような施設があったものの、今ではそれがないとなると空室率の高さに悩まされる可能性があります。

築年数の割には安い価格で売り出されている中古マンションの中には、このように新築時よりも立地条件が悪くなっている物件が散見されます。こうした物件は新たな需要を喚起する施設ができない限りは「買ってはいけない」と判断することもできます。

耐震基準

昭和56年(1981年)の建築基準法の改正により、建物の耐震基準が強化されました。日本が地震大国であることを受けて、この法改正によって巨大地震にも耐えうる強度が義務化されました。そのため、昭和56年6月1日よりも前に建てられたマンションは旧耐震基準、同日以降に建てられたマンションは新耐震基準ということになります。

旧耐震基準の建物は、万が一の自然災害に対するリスクが高いと見なされやすく集客力にも影響を及ぼすため、「買ってはいけない」と考えるべきでしょう。令和4年(2022年)の時点で、昭和56年(1981年)以前に建てられたマンションはすでに築41年以上になるため、築年数の面からもかなり古い物件です。

しかしながら、2018年時点で該当する住宅のストックが1,000万戸以上もある事実を踏まえると、今も多くの物件が中古マンション市場で流通していると考えられます。築41年以上となると安い物件が多いと思われますが、旧耐震基準の中古マンションは買わないのが無難な判断です。

法令違反

すべての建物は建築基準法に対して適法である必要がありますが、中古不動産の中には建築基準法に対して違法状態になっている物件があります。最初から違法建築である場合は論外ですが、新築時は適法であったもののその後の法改正や都市計画の変更などによって適法ではなくなったしまった物件もあります。

法令に違反している中古マンションはもちろん「買ってはいけない」ですが、そもそも金融機関の融資審査にも通らないので、融資の利用を前提としている場合は買いたくても買えません。

定期借地権

定期借地権とは、借地権の中でも期間が決まっているものを指します。借地の上にマンションが建っていることは特に珍しいことではありませんが、その借地権が定期借地権だと借地の期間を満了すると延長されることはないため、建物を取り壊して土地の所有者に返還する必要があります。

そのため、中古マンションの中には定期借地権であることが理由で価格が安くなっていることがあります。借地権の期限が数十年先であれば投資目的で購入することに現実味があるかもしれませんが、期限が近づいている場合は購入してもすぐに建物が取り壊しになってしまうため、「買ってはいけない」物件です。

買ってはいけない中古マンションの特徴5選

買ってはいけない中古マンションとは?購入時の6つの注意点や特徴5選
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不動産市場で流通している中古マンションの中で、「買ってはいけない」と判断できる中古マンションの特徴を5つの項目で解説します。

相場から逸脱して異常に安い

「不動産に掘り出し物なし」といわれるように、不動産には厳然とした相場があります。その相場を著しく逸脱した安い価格で売りに出されている中古マンションは、何か問題がある可能性が高いと見るべきでしょう。

物件の詳細情報を見るまでもなく、特にマンション経営の初心者は「買ってはいけない」と判断して問題ありません。

築年数が古すぎる

築年数が古すぎる中古マンションも、基本的には「買ってはいけない」物件です。旧耐震基準の建物は万が一巨大地震が発生したときに危険ですし、古い建物には表には見えていない不具合がひそんでいても不思議ではありません。

マンションの法定耐用年数は、47年です。47年が経過した瞬間に使用できなくなるわけではありませんが、法定耐用年数に近い築年数、もしくはそれを超えている築年数の中古マンションは融資を受けることも難しいので、基本的には「買ってはいけない」カテゴリーに分類されます。

デザイナーズマンション

デザイナーズマンションは洗練されたデザインや住む人の個性を主張できるデザインなどが人気を集めていますが、中古のデザイナーズマンションの中には「買ってはいけない」物件があります。

というのも、デザインにはそれぞれの時代の流行りがあるので、新築時にはデザイナーズマンションとして人気を集めていたとしても、中古市場で売り出されている時期にそのコンセプトやデザインが支持されるとは限りません。流行りに合わないデザイナーズマンションは集客力が低くなる可能性が高く、避けたほうが無難でしょう。

最寄駅から遠い、最寄駅に各停しか停まらない

マンションに入居する人の多くは、立地条件で物件を選んでいます。時間の経過とともに建物は古くなりますが、立地条件は築年数と無関係の価値です。中古マンションの中には建物が古くなっている物件も少なくありませんが、立地条件がよければ集客力を維持できるでしょう。

しかし、建物が古い上に立地条件もよくない物件となると入居者から支持されにくく、空室率の高さに悩まされる可能性が高くなります。

最寄駅から徒歩10分以上離れている、またその最寄り駅には各駅停車の電車しか停まらないといった立地条件の中古マンションは、長い目で見ると「買ってはいけない」マンションといえるかもしれません。

聞き慣れないマンションブランド

大手や信頼のあるマンションデベロッパーには、自社のブランドがあります。自社のブランドを多くのマンションで展開しているデベロッパーは、そのブランドの価値を守ることを重視しているため、中古マンションの中でも安心感があります。

逆に無名のブランド、開発実績が少ないデベロッパー、さらに有名なブランドと似た名前の中古マンションは未知数の部分が多いため、避けるべきでしょう。

新築なら中古マンションのリスクと無縁

買ってはいけない中古マンションとは?購入時の6つの注意点や特徴5選
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ここまで投資目的で中古マンションを購入する際の注意点や、「買ってはいけない」物件についての解説をしてきました。やはり中古マンションは価格の安さと引き換えに注意すべき点が多いとお感じの方は多いと思います。

もう一方のカテゴリーである新築マンションは、これら中古マンション特有の注意点とは無縁です。ここでは、新築マンションのメリットやマンション経営の初心者向きである理由について解説します。

新築マンションのメリット

新築マンションには、主に4つのメリットがあります。それぞれのメリットについて個別に解説します。

金融機関からの融資を受けやすい

ほとんどのケースにおいて、マンション経営を始めるのにあたって銀行など金融機関の融資で資金を調達することが前提になると思います。新築マンションは担保評価が高く、それでいて法定耐用年数も長いため、融資の審査に通りやすくなります。

融資の審査に通らなければマンション経営の計画も絵に描いた餅になってしまうため、新築マンションには「実行力」があります。

空室リスクが低い

新築もしくは築浅の物件は人気が高く、築年数が進むにつれて徐々に空室率が高くなっていくのが賃貸住宅全体の基本です。以下は株式会社レオパレス21が公開している築年数別入居率のデータです。

「築5年未満」が最も入居率が高く、その後右肩下がりに徐々に入居率が下がる(空室率が上がる)様子が見て取れます。新築マンション経営は運用期間の大半が築浅で入居率が高い時期なので、中古マンションと比べて空室リスクが低いメリットがあります。

減価償却による節税メリットが大きい

マンションは減価償却ができる資産です。ほとんどのマンションは法定耐用年数が47年なので、新築マンションを購入すると最大で47年間にわたって減価償却費を経費として計上できることになります。

築30年の中古マンションを購入すると減価償却費を計上できるのは最大で17年なので、節税メリットを最大化できるという意味でも新築マンションは有利です。

住宅瑕疵担保履行法が10年間は適用される

新築マンションには、住宅瑕疵担保履行法が適用されます。瑕疵担保責任(現在は契約不適合責任といいます)とは購入した住宅に後から不具合が発覚した場合、引き渡しから10年間にわたって売主が負うべき責任のことですが、新築の住宅については瑕疵担保責任(契約不適合責任)を果たすための資力を確保することが法律によって義務付けられています。

住宅瑕疵担保履行法は新築住宅に適用されるため、新築マンションも対象になります。築10年までの10年間は後から不具合が発覚しても売主が責任をもって修繕や賠償をすることが義務付けられているため、中古マンションよりも安心感が大きいといえます。

新築マンションは初心者向き

全体的な傾向として、空室リスクが低く修繕やメンテナンスのコストが少ない新築マンションはマンション経営の初心者向きといわれています。

中古マンションと比べると取得価格が高くなるため利回りを高くすることは難しいですが、手堅く家賃収入を得て資産形成をしていくには新築マンションのほうが確実性は高いといえるでしょう。

新築マンション経営で成功するために

新築、中古ともにマンション経営では不動産会社の存在が大きなポイントになります。物件の提案や収支のシミュレーション、購入後のサポートなどあらゆる面でマンション経営に深く関わるのが不動産会社なので、信頼できるパートナーを味方につけることがマンション経営の成功には欠かせません。

同じマンション経営でも新築と中古とではノウハウが異なるため、新築マンション経営をするのであれば、パートナーは新築に強い不動産会社であることが重要です。

これからマンション経営に参入しようとお考えの方は、それぞれがお持ちの職業のプロです。しかし、不動産やマンション経営のプロではありません。だからこそプロの知見が必要で、それを味方につけることが成功への第一歩なのです。

4.まとめ

買ってはいけない中古マンションとは?購入時の6つの注意点や特徴5選
(画像=camerapapa/stock.adobe.com)

買ってはいけない中古マンションというテーマに沿って、中古マンション購入時の注意点や購入するとリスクが高い中古マンションの特徴などについて解説してきました。

価格が安いメリットがあるのは確かですが、有益な物件を選ぶには一定の経験や目利きが必要になるのも事実です。そういったノウハウがなくても始めやすいのが新築マンション経営なので、初心者の方はそのことも踏まえつつ購入する物件選びをするのがよいでしょう。

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