30代の貯金と投資の割合はどれくらい?おすすめの投資方法と注意点を解説
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大西 勝士
大西 勝士
フリーランスの金融ライター(AFP、2級FP技能士)。早稲田大学卒業後、会計事務所、一般企業の経理職、学習塾経営などを経て2017年10月より現職。10年以上の投資経験とFP資格を活かし、複数のメディアで執筆しています。

30代は結婚や子育てなど大きなライフイベントを迎える時期です。キャリアプランも定まり、将来に向けて資産運用を始める人が増えてきます。貯金と投資のバランスはどのように考えればよいのでしょうか。本記事では、30代の貯金と投資の割合やおすすめの投資方法、注意点について解説します。

30代の貯金と投資の割合は?

30代の貯金と投資の割合はどれくらい?おすすめの投資方法と注意点を解説
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まずは日本証券業協会の「2021年度証券投資に関する全国調査(個人調査)」の結果から、30代の貯金・投資事情を確認していきましょう。

金融商品の保有率

30代が保有している金融商品とその保有率は以下の通りです。

 預貯金株式投資信託持っていない
30~34歳男性87.6%11.9%11.0%11.0%
35~39歳男性90.7%15.3%13.7%8.0%
30~34歳女性93.0%7.5%8.5%6.5%
35~39歳女性94.0%7.2%7.8%5.3%

男女とも預貯金の保有率は約90%であるのに対し、株式や投資信託の保有率は10%程度です。

男性は年齢が上がると投資商品の保有率が増えていますが、それでも15%程度にとどまります。預貯金を含め、金融商品を「持っていない」と答えた人も約1割います。

女性は年齢が上がっても数字に大きな変化はありません。男性に比べて預貯金の割合が高く、投資商品の割合が低くなっています。「持っていない」の割合も低く、お金について男性よりも堅実で保守的な傾向が見られます。

月々の収入から金融商品にまわす割合

30代が月々の収入から金融商品にまわす割合は以下の通りです。

 10%未満10~20%未満20~30%未満30~50%未満50%以上まわしていない
30~34歳男性33.5%21.6%9.3%3.1%3.1%22.7%
35~39歳男性30.9%23.3%4.5%3.1%2.4%31.6%
30~34歳女性30.1%15.6%5.4%2.7%2.7%16.7%
35~39歳女性28.5%19.9%4.0%2.0%4.0%21.2%

男女ともに10%未満が約3割を占めています。月々の収入の20%以上を金融商品にまわしている人は2割に満たない状況です。「まわしてない」と回答した人も2~3割に達しており、男性のほうが高い傾向にあります。

ボーナスから金融商品にまわす割合

30代がボーナスから金融商品にまわす割合は以下の通りです。

 10%未満10~20%未満20~30%未満30~50%未満50%以上まわしていない
30~34歳男性15.5%10.8%9.8%4.1%10.8%21.1%
35~39歳男性17.7%10.8%4.9%4.9%11.5%28.5%
30~34歳女性10.8%8.1%7.0%6.5%7.0%10.8%
35~39歳女性11.9%8.3%4.0%3.6%7.0%12.9%

ボーナスは男性の約2~3割、女性の約1割が「金融商品にまわしていない」と回答しています。一方で、男女ともにボーナスの50%以上を金融商品にまわしている人が1割程度います。

上記のほかに「該当する収入(ボーナス)がない」と回答した人が男性は約2割、女性は約5割に達しています。

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30代で投資を始めるメリット

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先ほど確認した調査結果では、30代は9割が預貯金を保有している一方で、投資商品の保有率は10~15%程度にとどまっています。しかし、将来に向けてお金を増やしていきたいなら、投資は有効な手段といえます。ここでは、30代で投資を始めるメリットを紹介します。

・預貯金より高い利回りが期待できる
・老後まで長く運用を続けられる
・損失が生じても勤労収入でカバーできる

預貯金より高い利回りが期待できる

低金利状態が続いており、預貯金だけでお金を大きく増やすのは難しい状況です。株式や投資信託、不動産といった資産は元本割れリスクはありますが、預貯金に比べて高い利回りが期待できます。

2022年4月のプライム市場上場銘柄の株式平均利回り(加重平均利回り)は2.03%です。不動産は物件によって利回りは異なりますが、条件が整えば株式以上の利回りを得ることも可能です。

老後まで長く運用を続けられる

30代で投資を始めると、老後まで長く運用を続けられます。中長期の資産運用では、投資で得た利益を元本に組み込み運用を継続することでさらに資産が増えていく「複利効果」を得られます。

金融庁の資料によると、100万円を年利10%で10年間運用する場合、10年後の資産は利益を元本に組み込まないと200万円ですが、組み込んで複利運用すると259万円です。複利運用をするかどうかで、投資成果に約60万円の差が生じています(手数料、税金などは考慮外)。

資産を増やしたいなら、なるべく早く投資を始めて長く複利運用を続けるほうが有利です。

損失が生じても勤労収入でカバーできる

投資は元本保証ではないため、運用がうまくいかずに損失が生じるかもしれません。30代なら働ける期間が長いので、勤労収入で損失をカバーできます。しかし、老後を迎えてから資産運用を始めたいと思っても、勤労収入がなければリスクをとるのは難しくなります。

資産運用を始めるなら、比較的リスクがとりやすい30代のうちに始めましょう。

30代におすすめの投資方法

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ここでは、30代におすすめの投資方法を3つ紹介します。

・投資信託
・株式投資
・マンション経営

投資信託

投資信託は、少額から株式や債券、不動産などに分散投資ができる金融商品です。銘柄選びなどの運用は専門家に任せられるので、初心者でも投資しやすいでしょう。iDeCo(イデコ)やつみたてNISAといった非課税制度を利用すれば、一定額の投資までは利益に課税されないのもメリットです。

投資信託は購入時に販売手数料、保有中は信託報酬(運用管理費用)がかかります。特に信託報酬は長期の投資成果に大きな影響を与えます。運用コストは商品によって異なるため、なるべくコストの低いファンドを選びましょう。

株式投資

上場株式に投資して、値上がり益や配当金の獲得を目指す方法です。購入時より株価が上がったタイミングで売却すれば、購入時と売却時の価格差が利益となります。また、保有株式数に応じて年1~2回の頻度で配当金が支払われる銘柄もあります。

国内では約3,800社が上場しており、株価はさまざまな要因で変動するため、大きな値上がり益が期待できる銘柄を探すのは簡単ではありません。初心者は配当金を目的に株式を長期保有し、タイミングが合えば値上がり益を狙うといいでしょう。

マンション経営

マンション経営は、ワンルームマンションなどを貸し出して入居者から家賃収入を得る方法です。投資信託や株式投資とは異なり、入居者がいれば毎月家賃が入ってくるのが魅力です。入居者募集や賃貸借契約といった賃貸管理業務は管理会社に任せられます。

自己資金だけで物件を購入するのが難しい場合は、ローンを利用することも可能です。家賃収入からローンを返済することで、効率よく資産を増やせます。

マンション経営は入居者がいないと家賃が入ってこないため、空室リスクの低い物件を選ぶのが重要なポイントです。初心者は基礎知識を身につけたうえで、不動産会社に物件選びや賃貸管理のサポートを依頼するといいでしょう。

30代が投資に取り組む際の注意点

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30代が投資に取り組む際の注意点をまとめました。

・余裕資金で投資を始める
・家計を見直して投資にまわせる金額を増やす
・リスクの取りすぎに注意する
・仕事に支障が出ない投資方法を選ぶ

余裕資金で投資を始める

投資は元本保証ではないので、長期的には資産を増やせても一時的に含み損を抱える可能性があります。すぐに使う予定のお金を投資にまわすと値下がりに耐えられず、運用を続けるのが難しくなるかもしれません。短期の値動きを気にせず長く運用を続けられるように、余裕資金で投資を始めましょう。

家計を見直して投資にまわせる金額を増やす

月々の収入やボーナスからより多くのお金を投資にまわすには、家計の見直しが有効です。家計簿をつけて収支を見える化すれば、ムダな支出や見直すべき項目が明確になります。家計を見直すときは、変動費(食費や光熱費など)より固定費(保険、スマホ代など)のほうが大きな節約効果が期待できます。

リスクの取りすぎに注意する

「投資でお金を増やしたい」という気持ちが強すぎると、リスクをとりすぎてしまうことがあります。しかし、投資の割合を増やしすぎると損失が生じたときに耐えられなくなるかもしれません。

貯蓄と投資の割合に正解はなく、受け入れられるリスクの度合いは人それぞれです。長く運用を続けられるように、無理のない範囲でお金を投資にまわしましょう。

仕事に支障が出ない投資方法を選ぶ

30代はキャリア形成において重要な時期です。投資に時間や注意を奪われ、仕事の評価が下がってしまうと大きな損失となります。目の前の業務に集中できるように、仕事に支障が出ない投資方法を選ぶことが大切です。

まとめ

30代の貯金と投資の割合はどれくらい?おすすめの投資方法と注意点を解説
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30代は仕事で安定した収入があり、老後まで十分な時間があるので、投資を始めるには最適な時期です。長期的な視点で投資に取り組めば、資産を大きく増やせる可能性があります。「少額から投資信託を買ってみる」「マンション経営のセミナーに参加する」など、できることから始めてみましょう。

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